パニック映画

巨大竜巻を描く『イントゥ・ザ・ストーム』の二度見ポイント! 独特の映像視点に注目【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:2014年
製作国:アメリカ
上映時間:89分

監督:スティーブン・クォーレ
出演者:リチャード・アーミテージ、サラ・ウェイン・キャリーズ、アリシア・デブナム=ケアリー

あらすじ:

直径3,200メートル、秒速135メートルというこれまでにない規模の巨大竜巻がシルバータウンの街に襲来する。炎に包まれた巨大竜巻が猛威を振るい、ジャンボジェット機すら飲み込む威力を前に、住民たちはシェルターに避難。一方で、竜巻を追跡する観測者ストームチェイサーや、最愛の人を守り生き残るため危機的状況を打破しようと模索する人々もいて……。

『イントゥ・ザ・ストーム』予告編

『イントゥ・ザ・ストーム』シングメディア編集部レビュー

自然災害を題材にした映画作品が数多くある中、かも自分がそこに巻き込まれているかのような錯覚に陥らされる作品が、今回ご紹介する『イントゥ・ザ・ストーム』です。

突如発生した巨大竜巻に対し、逃げ惑う学生や、あえてその現場に向かう竜巻ハンター。そしてちょっとおバカなYouTuberたちの姿を描いたこちらの作品。

日本ではあまり見たり知ったりする機会のない竜巻ですが、この作品を一度でも鑑賞した経験のある方であれば、誰もが竜巻の恐怖に固唾をのんだことでしょう。

しかし思わず作品の世界観に夢中になってしまうのには、竜巻がもたらす恐怖以外にも理由があったのです。

そこで今回は『イントゥ・ザ・ストーム』を二度見する際に欠かせないポイントについてご紹介いたします。

3つの二度見ポイント

イントゥ・ザ・ストームの二度見ポイント3つ/登場人物それぞれのカメラ視点の異なりに注目/対竜巻用のマシーン“タイタス”がかっこいい理由/ラストで見せたピートの表情は必見!

「イントゥ・ザ・ストーム」の二度見ポイント1:登場人物それぞれのカメラ視点の異なりに注目

映画『イントゥ・ザ・ストーム』の一番の特徴といえば、独特のカメラ視点。

何と作中のほとんどのシーンが、登場人物が持つカメラ視点で映し出されており、プロのスタッフが撮影した視点での映像はごくわずか。

そのためまるでVRで鑑賞しているかのようなリアルさを感じた方もいれば、中にはぶれ続ける画面に少し酔いかけた方だっているのでは?

しかし今作では、ただ登場人物が持つカメラ視点での映像が映し出されているだけでなく、それぞれの登場人物の映像ごとに異なる特徴があったのです。

「イントゥ・ザ・ストーム」の二度見ポイント1

素人感満載のドニーとトレイ視点

高校生のドニーと、その弟であるトレイ。

彼らは序盤からタイムカプセル用にハンディカメラで自撮りや友人たちを撮影。そして終盤ではトレイが撮影を続けながらも、襲い来る竜巻から逃げる様子を彼のハンディカメラ視点が映し出しています。

とはいえ、あくまでも高校生の素人が撮影している映像。画面はぶれぶれで、言うなればホームビデオ感覚。若い世代の方がスマホで撮影している動画のようにも見えてきます。

そんな素人感満載の映像だからこそ、ドニーやトレイ視点で映る映像はリアルであり、まさに自分の目の前で恐ろしい出来事が起こっているかのような感覚に陥ってしまうのです。

鮮明なプロ技術を持つ竜巻ハンター視点

そんなドニーやトレイとは対照的に、竜巻ハンターたち視点で映し出される映像はプロ顔負け! さすが長年竜巻を追っているハンターだけのこともあります!

おまけに彼らが持つカメラはドニーやトレイのハンディカメラとは打って変わり、当たり前ですがプロが使用する業務用のカメラ。それもありとにかく映像が美しい。

基本的に竜巻ハンターではジェイコブが撮影を担当しているのですが、ドニーやトレイ視点からジェイコブ視点へと変わった瞬間、映像が鮮明になるため一段と竜巻がはっきり映り、それにより恐怖をあおられます。

素人ならではのドニーやトレイ視点の映像はリアル感がある反面、ジェイコブ視点の映像は竜巻の恐怖を明確に映し出すため、一気に見ている側を恐怖のどん底へと陥れていたのです。

まるでVRを装着している感覚になるドンク視点

そして今作の中で脇役にもかかわらず、多くの方に強い印象を与えたであろう、おバカYouTuberのドンクたち。

大型の竜巻が発生し避難勧告が促される中、みずから竜巻に近づき頭につけたヘッドカメラで撮影。何なら竜巻と自撮りまで始めて、「やったぜ、これで俺たちも大人気YouTuberの仲間入りだ!」と騒ぐ始末。

まあその後、竜巻に飲み込まれるというわかりきっていたオチが待っているのですがね。いや、そりゃそうなるでしょうね。

ただドンクたちの場合は使用しているカメラがハンディカメラでも業務用のカメラでもなく、ヘッドカメラ。

そのため鑑賞している側としては、一番目の前の光景が伝わりやすく、まるで自身がVRを装着しているかのような感覚に陥らされます。

それもありバイクで走っている際の映像では少し酔いそうになったり、彼が竜巻に巻き込まれた際はまるで自身が竜巻の中にいるかのような錯覚に陥ったりしてしまったのです。

三者三様の視点に注目すると映像も違って見える

そんな三者三様のカメラ視点で映し出された今作。

他にも学校内で逃げ惑う学生たちの様子は監視カメラの映像を利用して映し出したり、ドニーたちが竜巻によって閉じ込められる瞬間はその場にあった三脚のカメラから映し出されたりと、さまざまなカメラ視点を利用しています。

もし初見で「登場人物が持つカメラ視点での映像なのだな」としか思わなかった方は、二度見の際は、ぜひそれぞれのカメラ視点の異なりに注目してください。

よく観察するとそれぞれの登場人物が持つカメラ視点によって、画の映し方が違ってくることに気がつくはずです。

「イントゥ・ザ・ストーム」の二度見ポイント2:対竜巻用のマシーン“タイタス”がかっこいい理由

竜巻から逃げ惑う人々を描いた今作では登場人物も多く、それぞれが個性的なキャラをしています。そんな登場人物たちの一挙一動を見て、初見では「このキャラが気に入った」「このキャラは気に食わない」など様々な感想を持った方も多いはず。

しかし二度見では、そんな個性豊かな登場人物ではなく、あえて“タイタス”に注目していただきたいのです!

「イントゥ・ザ・ストーム」の二度見ポイント2

対竜巻用の究極マシーン“タイタス”

そもそもこのタイタスとは、竜巻ハンターたちが乗る対竜巻用の究極のマシーンのこと。いやもう本当にこのマシーンは何度見てもかっこいいのです!

外装から完全武装で迫力があるのはもちろん、竜巻を追うための24台の監視カメラ付きで窓は防弾ガラス仕様。

おまけに5トンまで耐えられるウィンチに、竜巻から飛ばされないための特製アウトリガーが装備。

さらに車内には視界360度を見渡せるパノラマシート付き!

竜巻を追う勇気はないものの、一度は乗ってみたいと思わせる魅力がタイタスにはあるのです。

実は意外な見せ場が隠されていた

そんなタイタスですが、ただかっこいいだけでなく、しっかりとした見せ場も多くあるのです。

たとえば周りの家や車がばんばん飛ばされる中、タイタスだけは竜巻に近づいてもものともしません。

それどころか外観に設置された24台の監視カメラが、吹き飛ばされることなく竜巻の威力を映し出しているのです。

この監視カメラ視点からの映像はマシーンの下部分に設置されているため、登場人物たちが持つカメラとはまた違い、道路ぎりぎりからの視点で竜巻によって吹き飛ばされる物の数々を鮮明に映し出しています。

またラストでは風速130メートルの大型竜巻に耐え切れず飛ばされてはしまったものの、一度、台風の目に入るまではぎりぎりまで耐えきったタイタス。あの姿は本当にかっこよかった……。

見落としがちなタイタスの見どころにご注目を

おそらく、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンなどが好きな方であれば、もうストーリーなど関係なく、タイタスだけを何度繰り返し見ても飽きないはず。

個性的な登場人物に注目しがちな初見の鑑賞。ただ二度見では、最初から最後までかっこいい姿を見せてくれたタイタスにもご注目ください。

意外と見落としがちではあるものの、竜巻によって他の車が動かなくなったときでも、タイタスだけは微動だにせず起動しなおしたり、タイタスのカメラ視点によって竜巻の風速がいかにすごいかを実感できたりするなど、隠れた見どころが満点のマシーンなのです。

「イントゥ・ザ・ストーム」の二度見ポイント3:ラストで見せたピートの表情は必見!

竜巻の威力をこれでもかというほど教えてくれる『イントゥ・ザ・ストーム』。

しかし今作では竜巻だけでなく、ところどころに家族愛や仲間愛が伝わってくるシーンが多々ありました。

その中でも二度見で注目していただきたいのが、ラストのピートの表情なのです。

「イントゥ・ザ・ストーム」の二度見ポイント3

当初は嫌な奴でしかなかったピート

竜巻ハンターのリーダーであり、大の竜巻オタクであるピート。

ただリーダーという責任感もあってか、竜巻を撮るためなら部下にも無理強いを強制します。

おまけに撮影係のジェイコブが途中で抜けたがった際は怒鳴りつけ、強引に彼を引き留める。

さらにはそのジェイコブが竜巻に巻き込まれ亡くなった際は、悲しみの表情を見せることもなく、すぐさま撮影した竜巻映像のチェックに入ります。

さすがにこれには仲間であり気象学の博士であるアリソンから「ジェイコブが死んだのに竜巻の方が大事なの?」とブチ切れられる始末。いや、まったくの正論です。

……と、当初のピートはとにかく嫌な奴オーラ全開のタイプだったのです。

自分が犠牲になり、みんなを守ろうとする姿

しかしそんなピートも徐々に変わっていく様子を見せます。それは終盤で巨大竜巻から逃げようとしたとき。

その場にいるみんなを助けるため自分ひとりがシェルターから抜け出し、タイタスへと戻ります。そしてタイタスを使い、シェルターの蓋が飛ばされないように盾になってくれたのです。

これまであれほど自己中心的な態度ばかりを見せていたピートが、最後に自分の身を犠牲にしてみんなを救おうとする姿。その変わりようには強く心を打たれました……。

ただ一度は巨大竜巻に耐えたものの、竜巻の目に入り、二度目の渦の中に入ったときに、ピートはタイタスとともに空へと飛ばされてしまったのです。

竜巻に巻き込まれて飛ばされた際に見せた微笑み

そして! ここでご注目いただきたいのがタイタスとともに竜巻に飲み込まれたピートの表情。何と竜巻に飲み込まれたにもかかわらず、彼は静かに微笑んでいるのです!

いや、普通に考えて巨大竜巻に巻き込まれ天高くまで飛ばされてしまったら、誰だって恐怖以外の何も感じないはずです。

しかしピートは薄っすらと恐怖を感じる表情を見せるものの、その後は静かに微笑みます。

そして竜巻のてっぺんまで舞い上がり、遠くに夕日が見えた際は、先ほどとは違う幸せそうな微笑みを見せ、そのまま地上へと落下していったのです。

ショッキングでもあり、温かい気持ちにもなるピートの表情

ピートのこのラストシーンで見せた表情からは、彼がこれまで竜巻にかけてきた人生を思い返していることがひしひしと伝わってきます。

あまりにもショッキングなシーンではあるものの、そんなピートの最後の微笑みを見ていると、なぜか温かい気持ちにもさせてもらえます。

二度見ではそんな彼の一瞬見せる何とも言えぬ微笑みに注目して、彼の心境を思い描いてみてください。

二度見では不思議な感覚に陥ったカメラ視点でじっくり鑑賞を

巨大竜巻から逃げ惑う人々や、そこに向かうハンターたちを描いた『イントゥ・ザ・ストーム』。

初見では中盤から終盤にかけての竜巻の威力にばかり目がいってしまい、竜巻の恐ろしさを改めて思い知らされたという感想しか残らなかった方も多いはず。

でもこの作品はそれだけではないのです。

二度見の際は、ぜひ不思議な感覚に陥った登場人物のカメラの視点を通じて、それぞれのキャラクターの心境に立って鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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WRITTEN BY
シングメディア編集部

映像・動作制作を手掛けるTHINGMEDIA株式会社のメンバーで構成しています。制作現場で得た映像・動画の知見をお伝えしていきます。