動画制作の絵コンテに何を描けばいいのかわからない、絵コンテの描き方が知りたい・・・。
そんな「動画制作における絵コンテの描き方について知りたいあなた」は必見です。
絵コンテを描くのに絵心は必要ありません。何をどのように撮影するかというシナリオがわかることが大切です。この絵コンテがあることにより、映像・動画の完成度も高くなります。
そこで今回は「映像・動画制作における絵コンテを描くときのポイント」をご紹介します。
三行まとめ
- 動画制作において絵コンテは設計図の役割
- ポイントをおさえれば絵心のない人でも問題なく絵コンテを描くことが可能
- 絵コンテのサンプル付きなので参考に
制作チームで完成イメージを共有! 動画制作で絵コンテが必要な理由
動画制作において絵コンテは設計図の役割を持っています。
自分一人で好きなものを好きなように撮影する場合であれば絵コンテがなくても問題ありませんが、ビジネスで映像・動画制作を行う場合は複数人で一つの映像・動画を作り上げるケースが多いです。
基本的に絵コンテは監督が作るものですが、絵コンテを作ることによって自分の頭の中にあるイメージが整理されますし、作りたいものがブレるのを防ぐこともできます。
そして何より、監督の頭の中にある「こういった映像・動画を作りたい」というイメージを他の制作スタッフと共有する意味でも、絵コンテが必要になるのです。
絵コンテがあれば制作スタッフみんなが完成イメージを共有して動画制作にあたれるので、動画の完成度も高くなります。
また絵コンテはクライアントに「こういう映像・動画を作ろうと思っています」という企画提案する際にも必要になります。
このように絵コンテは動画制作において、特にチームで動画制作をする場合・ビジネスで動画制作をする場合には欠かせないものです。
絵コンテには何を描くの?
絵コンテに描くのは、頭の中にあるイメージを映像化するために必要となる情報のすべてです。
出演者の動きやセリフ、カメラアングル、撮影順序、場面ごとに見せたいものなどの情報を集約して描いていきます。
制作チームのスタッフが共通の認識で映像制作を進めていけるよう、どんな映像を作るのかがわかるようにすることが大切です。
手書き以外にもある? 絵コンテの種類
どんな映像になるのかイメージできることが絵コンテを作る目的なので、決まったフォーマットがあるわけではありません。
基本は手書きとなりますが、手書き以外にも絵コンテの種類はあります。
たとえば画像で作る場合。ネット上からイメージに合う画像をダウンロードし、シナリオに沿って貼り付けて作ります。
またIllustratorで作る場合もあります。手書きのものをパソコンに取り込んでIllustratorで加工して作成します。手書きよりもクオリティーが高くなるのが特徴です。
絵が上手くなくても大丈夫! 絵コンテを描くときのポイント8つ
「絵コンテの必要性はわかったけど、絵が下手だからちゃんと描けるか心配」という方でも大丈夫。
ポイントをおさえれば絵心のない人でも問題なく絵コンテを描くことができます。
絵コンテを描くときのポイントは以下の8つです。
- 最初は良い作品を真似してみる
- 実際の映像と同じ縦横比のコマに描く
- シーンごとに紙を変えて描く
- 絵のうまさではなく第三者へのわかりやすさを意識する
- 撮影のイメージを具体的に膨らませてから描く
- 全体のバランスを見る
- セリフやナレーションを推敲する
- 伝えたいメッセージは絞る
どんな点を意識して絵コンテを描けばいいのか、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
1. 最初は良い作品を真似してみる
絵コンテを描くとき、最初は良い作品を真似してみるというのもポイントになります。
初めての映像・動画制作をするにあたって絵コンテを描こうとする場合、どんなシナリオにすればいいのかわからないという人も多いでしょう。
そんなときは「自分もこんな動画を作ってみたい」「この作品のような映像を作りたい」と思う作品のシナリオをそのまま真似してみるという方法もおすすめです。
手を加えるのであれば、良いなと思う作品をベースにして自分のオリジナルの素材をプラスしたり、シーンの順序を変えてみたりするだけでもまた違ったテイストの映像作品となります。
まずは良い作品を真似して絵コンテを描いてみるということからスタートしてみて構いません。
2. 実際の映像と同じ縦横比のコマに描く
絵コンテを描くときには、実際の映像と同じ縦横比のコマに描くというのもポイントです。
絵コンテを描くのにフォーマットはありませんが、コマの縦横比に注意することが大切になります。
動画を放送する媒体によって、縦横比のサイズが異なる場合があるためです。
たとえばYouTubeなどインターネット上の動画の縦横比は16:9が一般的ですが、テレビでは4:3となります。
そのため絵コンテを描く際にも、実際に動画を放送する媒体の縦横比に合わせてコマ割りをしておく必要があるのです。
自分で線を書いてコマを作る場合はもちろん、絵コンテ用のコマ割りがされたフォーマットをネット上からダウンロードする場合にも、この縦横比に注意しましょう。
3. シーンごとに紙を変えて描く
絵コンテを描くときには、シーンごとに紙を変えて描くというのもポイントになります。
シーンごとに用紙を変えて描くことによって、後で見返したときにシーンの入れ替えを行うこともでき便利です。
用紙はルーズリーフなど何を選んでも構いませんので、シーンごとに用紙を使い分けることを意識してみましょう。
4. 絵のうまさではなく第三者へのわかりやすさを意識する
絵コンテを描くときには、絵のうまさではなく第三者へのわかりやすさを意識するというのもポイントです。
絵が下手でも問題ありません。大事なのは、スタッフや視聴者といった自分以外の人が見たときにも必要な情報がきちんと伝わること。
人間の絵がうまく描けないという場合には、丸と十字線を使って描けばOKです。十字の交わる部分を鼻にすれば、顔の向きもわかります。
またすべての情報を絵で描く必要もありません。文章によって補足を入れることも可能なので、とにかく第三者にわかりやすい絵コンテとなるよう意識して描きましょう。
5. 撮影のイメージを具体的に膨らませてから描く
絵コンテを描くときには、撮影のイメージを具体的に膨らませてから描くというのもポイントです。
いきなり描き始めるのではなく、1シーンずつ頭の中でどんな構図にするのか、人の顔の向きはどうするのか、衣装やセリフはどうするのか、場所はどこにするのかなど、できるだけ具体的にイメージしてから描きましょう。
また一度ですべての情報を描かなければいけないわけではありません。
重要な情報から描くようにして、後から振り返りとして少しずつ情報を加えていくようにするとシーンの検証もできて完成度が上がります。
6. 全体のバランスを見る
絵コンテを描くときには、全体のバランスを見ることもポイントです。
1コマずつではなく、すべてのコマとシーンを全体的に見ることが大事。
前半だけに情報が偏っていないか、情報が伝わらないシーンがないかなどのバランスを見ながら調整します。
その際に必要があれば情報を足したりシーンの入れ替えを行ったりするようにしましょう。
7. セリフやナレーションを推敲する
セリフやナレーションについて間違いがないか、伝えたいことがしっかりと伝わる表現になっているかを確認するため推敲することも、絵コンテを描くときのポイントの一つです。
セリフやナレーションは回りくどいものではなく、文字数を減らして端的でわかりやすいものにしましょう。
また確認する際には、声に出して音読するのがおすすめ。セリフやナレーションはカットの長さにも響くため実際のテンポで音読し、時間を計測しながら確認することが必要です。
もしも決まった時間内に入りきらないようであれば、台本やコマ割りを変更しましょう。
8. 伝えたいメッセージは絞る
メッセージが長すぎると要点がうまく伝わらず、視聴者に刺さらない動画となってしまいます。
そのためメッセージを詰め込みすぎないよう、伝えたいメッセージは動画の尺に合わせて絞ることが絵コンテを描くときに大切なポイントです。
たとえば60秒以内の動画なら、伝えるメッセージは1つか2つに絞り、60秒以上であれば最大でも3つまでに絞りましょう。
メッセージを絞ることで何を伝えたい動画なのかが明確になり、視聴者の印象にも残りやすくなります。
絵コンテを描く前に必要な準備
絵コンテを描くにあたり、事前にしておくべきことを紹介します。
動画制作の目的を明確にする
絵コンテを描く上で軸となるのが動画制作の目的です。動画を何のために制作するのか、その目的を明確にすることで動画の方向性も決まります。
たとえば購入促進が目的なのであれば、商品を使うメリットを訴求する、実際の購入者の声を紹介するなどとなりますし、ブランディングが目的であれば、強い印象が残るようストーリー仕立てにするなどとなります。
ターゲットを細かく設定する
訴求力を高めるためにも、ターゲットを細かく設定するということも大切です。
ターゲットとなる人の年齢や性別、職業、住んでいる場所、家族構成、悩みなどを具体的に設定しましょう。
掘り下げられるだけ掘り下げてペルソナを決めることで、戦略も立てやすくなり、よりメッセージ性の強い動画を制作できます。
配信先を決める
公式サイトやSNS、YouTube、タクシーや電車など、動画をどこで配信するのかについても事前に決めておきましょう。
配信先によって動画の長さやユーザー層が異なるため、ターゲット層に合った媒体を選ぶのが望ましいです。
参考動画を用意する
動画の世界観や表現方法を決めるためにも、参考動画を用意するのがおすすめです。
YouTubeや他社のサイトなどから制作したい動画のイメージに合ったものを探して見ておくと、絵コンテを描く際に役立ちます。
動画制作を行うチームのメンバー間でも共有しておくとイメージしやすくなり、理解を深めてもらいやすくなります。
さっそく実践! 絵コンテの描き方6ステップ
絵コンテを描く際のポイントがわかったら、さっそく自分で絵コンテを描いていきましょう。
絵コンテを描く手順は以下の6ステップです。
- フォーマットを用意する
- 頭の中の映像イメージを絵・画像にする
- 絵・画像の説明を文章で書く
- カットごとに秒数を記載する
- シーン番号・カット番号を記載する
- 合計時間・ページ番号を記載する
絵コンテの描き方を順を追って見ていきましょう。
1. フォーマットを用意する
絵コンテを描くには、まずフォーマットを用意します。
自分でコマ割りをして作成してもいいですし、ネット上でフォーマットをダウンロードしてもいいです。
自分が描きやすいフォーマットを用意しましょう。
2. 頭の中の映像イメージを絵・画像にする
絵コンテ用のフォーマットを用意したら、「画面/絵」という欄に頭の中の映像イメージを絵または画像にしていきます。
手描きではなく画像を使いたい場合は、ネット上でイメージに合った画像を探し、フォーマットに貼り付けていけばOKです。
ただネット上ではなかなか自分のイメージにピッタリ合った画像が見つからない場合もありますから、その際は手描きで絵を描いていきましょう。
3. 絵・画像の説明を文章で書く
絵・画像を描き終えたら、その説明を文章で書いていきます。
たとえば絵・画像自体がどういう場面なのかという説明、人物のセリフ、ナレーションなどです。
セリフであれば誰のセリフかわかるように、名前+「セリフの内容」というようにセリフはカギカッコ内に入れて記載します。
ナレーションの場合は、ナレーション(以下N)「ナレーションの内容」というように記載します。ナレーションという言葉は長いので、一度書いたらそれ以降は「N」と略して書いて問題ありません。
4. カットごとに秒数を記載する
絵・画像の説明まで書き終えたら、それぞれのカットごとにどれくらいの時間が必要なのか、秒数を記載していきましょう。
秒数に厳しい制限があるテレビCMなどの場合は、1秒間に何コマの静止画を見せるかがわかるフレームレートまで記載するようにします。
フレームレートの単位は「FPS」となり、29.97fpsが一般的です。
なお秒数は編集の段階で変わることもありますから、クライアントには事前に伝えておいたほうがいいでしょう。
5. シーン番号・カット番号を記載する
シーンやカットが変わる際には、編集するスタッフが混乱しないようにシーン番号・カット番号を記載します。
シーンが変わるのは場所が変わるタイミング、カットが変わるのはカメラアングルが変わるタイミングという認識をしているとわかりやすいです。
音声を別撮りする場合は、カチンコにシーン番号・カット番号を記載しておくようにしましょう。
6. 合計時間・ページ番号を記載する
最後に、すべてのカットの秒数を合計した合計時間を記載します。合計時間が予定していた秒数になればOKです。
また絵コンテがバラバラになってしまったときにも順番がわからなくならないように、それぞれの用紙にページ数を記載しておくことも必要になります。
参考に! 絵コンテのサンプル集
絵コンテの描き方は実際の絵コンテを見てみるのが一番わかりやすいと思います。
そこで絵コンテのサンプルとして、「もしシングメディアウォーターという商品を訴求するCMを作るとしたら?」というテーマで絵コンテを制作してみました。(作:THINGMEDIA株式会社 映像プロデューサー・安枝新介)
こちらの絵コンテを参考にしてみてください。
まとめ
「動画制作における絵コンテの描き方が知りたい」という方のために、映像・動画制作における絵コンテを描くときのポイントをご紹介してきましたが、いかがでしたか?
絵コンテを描くのに絵が上手かどうかは問題ではありません。絵が下手でも自分が言おうとしていることが相手に伝われば問題ないのです。
自分の頭の中にあるイメージを、簡単な絵と文章による説明で他のスタッフと共有できればOK。難しく考える必要はありません。
あなたの描いた絵コンテをもとに、映像・動画がイメージ通りに完成しますように。
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