あらすじ:
平和な海水浴場に突如出現した巨大な人喰い鮫。観光地としての利益を求める市当局によって対応が遅れ犠牲者の数は増すばかりとなるが、遂に警察署長ブロディと漁師クイント、海洋学者フーパーの三人の男が鮫退治に乗り出す。ピーター・ベンチリーのベストセラーを若きスピルバーグが映画化したメガヒット・ムービー。
『ジョーズ』予告編
『ジョーズ』シングメディア編集部レビュー
おそらく、「世界一有名なサメ映画は?」と聞かれたら、100人中99人……いや、100人全員が迷うことなく答えるであろう、名作中の名作『ジョーズ』。
映画界の巨匠、スティーヴン・スピルバーグ監督が1975年に手がけた『ジョーズ』は、海水浴場として有名なアミティに突如現れた人食いザメの恐怖から人々を救うため、警察署長のブロディ(ロイ・シャイダー)が仲間と共にサメ退治を行う、サスペンス映画です。
しかし、今から40年以上も前の作品ということもあり、「過去に一度見ただけ」で終わっている人もいれば、「人食いザメとかちょっと怖そうじゃない?」と鑑賞自体に躊躇し、いまだに見られていない人だっているでしょう。
断言しましょう。『ジョーズ』は二度目からが本当におもしろい作品なのです!
そこで今回は、自称・サメ映画マニアの筆者が、マニアから初見の方までが楽しめる、名作『ジョーズ』の二度見ポイントをご紹介したいと思います。
『ジョーズ』の二度見ポイント1:サメ映画なのにほとんどサメが出てこない
まず、何と言っても『ジョーズ』がいまだに名作と呼ばれる理由のひとつが、“サメ映画なのにほとんどサメが出てこない”という部分にあります。
うん、ちょっと何を言っているかわからないですよね。でも、嘘はついていません。本当なのです。
サメの登場が待ち遠しくなる序盤
そもそも、多くのサメ映画では、海面から怪しく近づくサメのヒレや、口を大きく開いたときに見えるサメの歯などを強調し、サメの恐ろしさをここぞとばかりにビジュアルで表現しています。
しかし、『ジョーズ』では、そのような展開はほとんど見られません。何なら、一度鑑賞した経験のある方ならご存知の通り、序盤ではサメのヒレや歯どころか、影すら見えないのです。
むしろ途中から、「いつになったら大好きなサメちゃんの姿を拝ませてもらえるの!?」と、彼の登場を心待ちにしてしまう程度には、サメシックになる展開が続きます。
映像と音楽だけでサメがいると錯覚させる構成
そのようにサメの姿をなかなか拝めないにもかかわらず、『ジョーズ』は始まって数分後からエンディングまで、常に手に汗握る展開が続きます。
きっと、初見の方であれば、「なぜだかわからないけど終始怖かった」という不思議な感覚を味わうことになるでしょう。
その理由は、音楽と映像のみで「そこにサメがいる」と思わず錯覚させられてしまうから。
海水浴を楽しむ人々の足元で、不気味に響く水の音。
サメの気配を感じ、海の中で泣き叫びながら逃げまどう人々。
暗闇の中で怪しげに浮かぶ、一隻の壊れたボート。
そして、そのたびに「ジャジャ、ジャジャ、ジャジャジャジャ……」と流れ始める、あの有名なメインテーマ。
いる……、絶対に数メートル以内にあの凶暴な人食いザメが姿を隠しているぞ……。と、思わずにはいられないこの展開。
フィクション映画であることを忘れ、思わず、無我夢中でその場から逃げ出したい衝動にかられてしまいます。
やっぱりスピルバーグ監督は天才だ
この映像と音楽の組み合わせにより、姿が見えない存在があたかもそこにいるかのような感覚に陥らせてしまう演出こそ、まさにスピルバーグ監督作品だ! と、個人的には思っています。
思えば、同じくスピルバーグ監督の名作のひとつである『ジュラシックパーク』でも、ついさっきまで目の前にいたヤギが突如消えるシーンがあり、幼心にトラウマを与えられた記憶があります。
いまだにあのシーンを見ると、「絶対そこにティラノサウルスがいる! 優雅にドライブなんかしてないで、早く逃げて!」と叫びだしたくなるほどです。
今後『ジョーズ』を鑑賞する機会のある方は、ぜひ、そんな「姿が見えないのに存在が見える」という不思議感覚に陥る二度見ポイントにもご注目ください。
『ジョーズ』の二度見ポイント2:登場人物は独特な個性の持ち主だらけ
さて、(当たり前ではありますが)サメにばかり注目が集まりがちな『ジョーズ』。
特に初見では、いつサメが出てくるかわからない恐怖から、ストーリーにあまり集中できなかった方も多いのではないでしょうか。
しかし、『ジョーズ』の世界ではサメに負けず劣らず、キャラの濃ゆ~い登場人物たちが数多く登場しているのです。
根っからのサメオタクである海洋学者“フーパー”
人食いザメの調査のため、アミティを訪れた海洋学者のフーパー。
作中では、終始、誰かに喧嘩を売っているか、売られているかで、何となく短気っぽい人というイメージを持たれがちなフーパーですが、実は根っからのサメオタク。
特に主人公であるブロディの奥さんに「あなたはサメが好きなの?」と聞かれたシーンでは、それはそれはもう、嬉しそうにサメとの出会いから、サメの良さについて延々と語り出します。しかも、信じられないほどの早口で。おまけにめっちゃ笑顔。
いつもキレているお前はどこに行ったのだとツッコミたくなるほど、嬉しそうにサメ愛を語るフーパー。そんな彼の姿を見ていると、不思議と「なぜだかわからないが、きっとこいつは良い奴なのだろう」と思えてきます。
同時に好きなモノについて語るとき、無意識のうちに早口になってしまうのは、全世界のオタク共通であるのだなという安心感を、同じくオタクである筆者は彼から得られたのでした。
まさに小悪魔ボーイである“ブロディの次男”
主人公・ブロディには奥さんとふたりの子どもがいるのですが、中でもこの次男くんが、とにかくかわいすぎるのです。
たとえば、サメに襲われ息子を失った母親からビンタをくらわされ、とことん落ち込んでしまったブロディ。そんな彼がやけ酒をあおるように口にすると、目の前に座っていた次男も父親のマネをし、自分もジュースを一気飲み。
その後も考え事をしながら腕を組んだり、悲しみを隠すように顔を覆ったりするブロディをマネて、まったく同じ動作を繰り返す次男。
そんなマネっ子ボーイである次男の姿に癒され、ブロディも徐々に元気を取り戻すのですが、まあ、とにかくこの様子が微笑ましくてたまらないのです。もはや、ただの天使でしかありません。
また、海辺で遊ぶお兄ちゃんに付いて行こうと、後ろから必死で兄を追いかけるシーンがあるのですが、そのヨチヨチ走りがもうめちゃくちゃかわいい。もはや、地上を駆け回る天使でしかありません。
おそらく、全世界の女性がハートを奪われるであろう、次男の一挙一動は、恐怖の連続続きであるストーリーの中で、ほんのひとときの癒しを与えてくれる。まさに必見シーンです。
一周回ってなぜか憎めなくなるヒールキャラの“市長”
舞台であるアミティは、海に囲まれていることもあり、夏の海水浴シーズンが一年で一番の稼ぎ時。
そのため、人食いザメが現れたにもかかわらず、どれだけ危険を説明しても、市長は「海開きは中止できない」の一点張り。何なら「今が一番の稼ぎ時なんだ」と普通に本音もぶっちゃけます。すげえな、市長。
そのうえ、ブロディとフーパーが「この海にいるのは凶暴なホオジロザメだ」といくら説明しても、「ええ~でも、証拠はあるの~?」「歯を見たって言っているけど、本当にそれホオジロザメの歯だったの~?見間違いじゃな~い?」くらいの軽いノリで聞く耳持たず。
さらには、強制的に海開きした際も、サメを恐れてか、観光客の誰もがなかなか海に入ろうとはしません。その様子を見た市長は、近くにいた知り合いに「ちょっと誰も海に入らないと盛り上がらないから、とりあえずお前最初に入ってくれない?」とまさかのむちゃぶり。いや、そう思うならお前が入れよ。
と、そんなぶっとび発言満載の市長に初見時は「何だよこのおっさん」とイライラさせられましたが、二度目以降の鑑賞では、なぜだか一周回って市長が憎めなくなってきます。
そんな前半戦では、ここぞとばかりにヒールキャラぶりを発揮している市長の言動からも目が離せません。
『ジョーズ』の二度見ポイント3:マニアなら誰もが知る、伝説の傷あと自慢大会
そんなサメの恐怖と独特の登場人物たちのおかげで、すでにお腹いっぱいになりそうではありますが、『ジョーズ』の世界には、まだまだ二度見ポイントが隠されています。
それが“男たちのわかるようでよくわからない絆愛”を描いた、名シーン。
おそらく、初見の方や二度見の方はもちろん、『ジョーズ』マニアの方ですら、何度見ても楽しめるシーンとなっているのではないでしょうか。
犬猿の仲から始まったフーパーとクイント
まず、事の発端は、海洋学者フーパーと、地元の漁師クイントが出会うところから始まります。
先ほどもご紹介したとおり、フーパーは気がつけば誰かと言い合いを始めてしまうほど、大人しそうに見えて実は短気な性格。
ただ、このクイントもなかなかの曲者で、あるときは「俺がひとりでサメ退治をしてやるから、報酬を3,000ドルから1万ドルに増やせ」と偉そうに提案したかと思えば、またあるときは「お前らに漁の何がわかるんだよ」と言わんばかりに、だれかれ構わず、周りの人々を見下す始末。
そんな周りが手を焼くほどのふたりです。当然、初対面から犬猿の仲となり、ブロディを含め、三人でサメ退治に出かけることになったものの、終始、船の上では険悪なムードが流れることになってしまったのです。
お酒のノリで始まった傷あと自慢大会
しかし、何と犬猿の仲であるフーパーとクイントは、とある出来事がきっかけで急速に距離を縮めます。
それは、サメ退治一日目の夜、船内で行われたプチ宴会。おそらく、お互いにお酒が入り、良い気分になったのでしょう。
突然、クイントの方から「これはボストンで試合をしたときのコブだ」とフーパーに自分の額を見せつけてきます。
すると、フーパーも負けじと腕まくりをし、「僕のはウツボにやられた傷だよ」と誇らしげに腕の傷を自慢し始めるのです。
その後も、「いやいやなんのその、俺なんてシスコで腕相撲やって以来、腕が伸びねえんだぞ」と対抗を始めるクイント。
そこからお互いに全身の傷あと自慢が始まり、最終的には「俺たちの足の傷に乾杯だ」と満面の笑みで笑い合うふたり。
もはや、中学生男子の“俺すげ~自慢”でしかない。
と、思わずツッコミたくなるシーンではあるものの、男同士のこういうノリって何だか良いなと感じさせられる名シーンなのです。
でも結局、お酒が抜けるといつも通りのふたり
とはいえ、翌日、お酒が抜けると、再び言い争いが絶えなくなるふたり。
何なら、「そんな無茶をするな」と制止するクーパーに対し、「うるせえ!引っこんでろ」と怒鳴りつけて、彼の胸ぐらをつかむクイント。いや、前日より悪化してますがな。
ただ、口では相変わらず言い合いを続けつつも、意志疎通ができ始めているふたりを見ていると、当初よりもお互いを理解しあってきたのかも。となると、昨夜の傷あと自慢大会は彼らにとって必要なものだったのかな……とも思えるような、思えないような。
そんな初見では見逃してしまいがちな、ふたりの心境が垣間見える名シーンは、二度見だけに限らず、『ジョーズ』を鑑賞する際には絶対に欠かせない重要ポイントとなっております。
『ジョーズ』は二回目以降からが間違いなくおもしろい作品
全世界を震撼させた『ジョーズ』は、40数年経った今見ても、間違いなく名作と呼べる作品。
とはいえ、一度見ただけで満足してしまった方もいれば、中には、あまりにも有名であるため、見る機会を逃している方だっているかもしれません。
そんな方にこそ、ぜひ、この機会にスピルバーグ監督の名作『ジョーズ』をご覧いただきたいと思います。
いつサメから襲われるかわからない恐怖。
独特な個性の持ち主である登場人物たちが見せる予想外の言動。
初見の方からマニアまでが楽しめる名シーン。
『ジョーズ』は、二回目以降からが間違いなくおもしろい作品なのです。
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