アメリカ映画

映像と音楽による錯覚がすごい『ポンペイ』の二度見ポイント。「迫力がすごかった」で初見終わりしている方に伝えたい!【映画レビュー(ネタバレあり)】

あらすじ:

西暦79年の古代都市ポンペイ。奴隷戦士マイロ(キット・ハリントン)は、富裕層の商人の令嬢カッシア(エミリー・ブラウニング)と恋仲になるが、彼女にはすでに婚約者がいた。身分違いの恋に悩んだ彼は、自由を得るために街を去ろうとする。ちょうどその時ベズビオ火山が噴火を始め、マイロは愛する女性を救うために街に舞い戻る。

『ポンペイ』予告編

『ポンペイ』シングメディア編集部レビュー

学生時代、社会の成績はオール1。世界史で覚えている言葉は「黒船来航」のみ。

そんな最強に歴史オンチの筆者ですら繰り返し何度も見てしまう歴史映画が、今回ご紹介する『ポンペイ』です。火山の噴火により、一夜で街が灰と化した悲劇の実話を基に製作された今作。

監督は『バイオハザード』等で有名なポール・W・S・アンダーソンということもあり、とにかく映像が迫力満点ですごい! 筆者のように歴史オンチの方でも、初見時は最初から最後までその映像技術のすごさに引き込まれてしまったのではないでしょうか。

とはいえ「何だかわからないけど映像はすごかった」という印象しか残っていない感じもあったりなかったり……。

そこで具体的に『ポンペイ』の何がすごいのかを筆者なりの視点で解説! これを知ることにより、二度見はさらにワクワクさせられながら鑑賞できるはずです。

3つの二度見ポイント

ポンペイの二度見ポイント/引きや視点を巧みに使った絶妙なカメラワーク/スローモーション撮影をうまく駆使した演出/映像技術と並んですばらしい音楽の演出

「ポンペイ」の二度見ポイント1:引きや視点を巧みに使った絶妙なカメラワーク

まず何と言っても初見で誰もが引き込まれたのが、壮大なポンペイの街並みや噴火する火山の迫力。

その凄まじさに序盤から終盤まで一切目が離せず、その映像技術にただ驚かされた人も多いのでは?

実はこれ、ポール・W・S・アンダーソン監督お得意の様々なカメラワークによって、私たちは知らぬ間に作品の世界の中に引き込まれていたのです。

「ポンペイ」の二度見ポイント1

引きをうまく使った撮影技術

ただポンペイの美しい街並みを映したり、噴火する火山を大迫力で見せたりするだけであれば、その画を画面いっぱいに映せば良い話です。

しかし今作では近くから遠くに、遠くから近くに、という引きをうまく使ったカメラワークにより、街並みや火山の噴火を実際の何十倍も凄まじく見せていたのです。

ポンペイの街並みひとつを見せるにしても、目の前を走る道から徐々に上空へとカメラの視点をあげ、最後には街並み全体を盛大に映し出しています。

また火山が噴火した際は、反対に遠くの視点から徐々に火山へと近づく手法で、そこでいかに恐ろしいことが起こっているのかということをじわじわ映し出していたのです。

瞬間ごとに視点が変わる決闘シーン

今作において街並みや火山噴火と同じく、強く印象に残ったシーンと言えば奴隷たちが生死をかけて戦う剣闘会の様子。

大体このような決闘シーンってだらだらと決着がつかず、飽きてしまう場合もあるのですが。今作にいたっては決闘シーンで見飽きることは一切なし。それどころか1秒たりとも目が離せなかった方もいるはず。

その理由は次々に変わっていく映像の視点。何なら1秒ごとに決闘シーンの視点がころころ変わっていくため、見ているこちら側にまばたきする暇さえあたえてくれないのです。

その一瞬で変わっていく視点効果により、剣闘会シーンは飽きることなくずっと見られていたのかもしれません。

まるで3D作品を見ているような不思議さ

そして二度見で鑑賞する際は、ぜひともスマホやパソコンではなく、大画面でご鑑賞いただきたい限りでございます。

初見を映画館で鑑賞した方であればお分かりの通り、今作は2D作品であるにもかかわらず、まるで3Dを見ているかのような不思議な感覚を味わえるのです。

突然池の水が熱により沸騰し、次々と地表が爆発していく瞬間。
火山の噴火により、剣闘会が執り行われていた闘技場が破壊されていく瞬間。
終盤で背を向けたアルティカが、大量の溶岩流に飲み込まれていく瞬間。

それらどのシーンも、まるで自分の目の前で恐怖の瞬間が起こっているかのようなリアルさがあるのです。もうリアルすぎて見ているこちら側にも絶望感しか漂ってきません。

そんな3Dさながらのリアリティを求める方は、大画面でご鑑賞することを強くおすすめします。

さすがはポール・W・S・アンダーソン監督作品

初見で「とにかく映像がすごかった」という不思議な感覚に陥った方は、もしかするとこれらの巧みなカメラワークにより、思わず作品の世界観に引き込まれてしまったのかもしれません。

さすが映像技術がすばらしいポール・W・S・アンダーソン監督作品!

二度見の鑑賞の際は、ただ「映像がすごい!」だけでなく、絶妙なカメラワークや視点の切り替わりに注目してみてはいかがでしょうか。

「ポンペイ」の二度見ポイント2:スローモーション撮影をうまく駆使した演出

また今作では、比較的それぞれの登場人物に感情移入しやすく、物語的にも一歩先の展開が読めるので、頭を使って疲れることもありません。

それもあり、じっくり作品の世界に入り込んで鑑賞しやすい作品となっています。

でもなぜ深く考えることなく、最初から最後まで鑑賞を終えることができたのでしょうか。その理由はスローモーション撮影をうまく駆使していることに隠されていました。

「ポンペイ」の二度見ポイント2

スローにより登場人物の心境が読める

今作ではいたるところでスローモーションを使ったシーンが登場します。

たとえば冒頭でローマ軍にケルト騎馬民族が蹂躙されるシーンでは、少年時代の主人公マイロが、家族や仲間たちが目の前で無残に殺されていく様子を見ている姿がスローで映されています。

そこでのマイロのセリフは一切なし。しかしそのスローで映し出された姿から「一体何が起こっているの?」と、マイロの思考が停止してしまっている心境がひしひしと伝わってきます。

また屋敷が崩壊するシーンでは、ヒロインであるカッシアの目の前で仕えていた侍女が崩れ去る屋敷とともに落ちていきます。この場面もスローで映し出されているのですが、同じくセリフは一切ないにもかかわらず、カッシアと侍女がお互いの名前を呼びあっている様子がスローの画ひとつだけで伝わってきます。

今作の登場人物に対して、比較的感情移入しやすかったのは、スローモーションのシーンにより、ゆっくりと彼らの心境を読むことができたからなのです。

先の展開が読めるので作品の世界観に入り込みやすい

物語的には実際の歴史を基にした作品ということもあり、正直、歴史オンチの筆者は初見時から内容が理解できるか不安でした。

ただ実際に見てみると次々に先の展開が読めるため、頭をフル回転することなく、あっさり作品の世界の中へと入り込めたのです。

この理由も、やはりスローモーションを使った手法によるもの。

剣闘会で仲間がピンチに陥った際、マイロが飛び出す場面がスローで映されているのですが、その一瞬のスローで「仲間の助太刀に行くのだ」と、あっさり先が読めてしまう。

またさらわれたカッシアを追いかける際は、途中で地割れが起きるのですが、ここでもスローのシーンが入るため「この割れた地面を馬に乗ったマイロが飛び越えるのだな」と、やはりあっさりと先が読めてしまう。

なによりこのスローモーションのシーンは、あっさりと先の展開が読めるだけでなく、その一瞬の映像が非常にカッコよく、今作における見どころをつくっているため、先の展開が読めても飽きることなく見続けることができるのです。

ときにはスローが恐怖を煽ることも

今作でのスローモーション技術は登場人物に感情移入したり、見どころをつくったりしているだけではありません。

ときにはスロー再生されることにより、私たちはなんともいえぬ恐怖を感じさせられていたのです。

火山が噴火したとき。
襲ってきた津波に何十隻もの船が飲み込まれたとき。
そしてラストにふたりが溶岩流に飲み込まれていくとき。

これらの恐ろしいシーンは、すべてスロー再生により映し出されています。

終盤にかけて何とも言えないドキドキハラハラする恐怖感に陥った方は、おそらくこのスローモーション技術により、より一層の恐ろしさを与えられたのかもしれません。

通常とスローのシーンを比較してみると楽しい

今作において、いたるところで登場するスローモーション撮影の技術。

そんなスローモーションを使った撮影技術により、私たちはその場で何が起こっているのか、登場人物が何を考えているのかを、無意識に考えさせられる時間をつくりだされていたのです。

二度見の際はそんなスローモーションシーンのことも頭に置きつつ、火山噴火のシーンや決闘中のシーンが、通常とスローでいかに迫力が違うかを見比べてみてはどうでしょうか。

「ポンペイ」の二度見ポイント3:映像技術と並んですばらしい音楽の演出

終盤の火山噴火のシーンだけでなく、序盤から中盤にかけての決闘シーンなど、終始ドキドキさせられる今作。

そこには映像技術による見せ方が理由のひとつであるのはもちろん、バックで流れる音楽の力もあったのです。

「ポンペイ」の二度見ポイント3

音楽によりうまく場面を切り替えている

映画作品にとって欠かせない、音楽。

今作でもポンペイの街並みで人々が楽しく過ごす様子を描いたシーンでは、軽快でポップな音が流れています。

しかし次の瞬間には、映像が奴隷たちを閉じ込めている檻のシーンに早変わり。同時に音楽も先ほどとはまったく正反対の恐ろしい音へと変わっています。

そのように音を早変わりさせることにより、作中内での陰と陽をうまく表現している手法。

この手法によって一瞬でシーンが切り替わった際も、さっと次の場面に頭を切り替えることができるのです。

音の抑揚が決闘シーンを盛り上げていた

また序盤から中盤にかけて多かった喧嘩や決闘のシーンでも、映像だけに限らず音楽が大活躍しています。

特にマイロとアティカスの決闘シーンでは、ふたりの会話中はほぼ音楽も流れず、ただ静かにセリフが響き渡るだけ。

……かと思えば次の瞬間、いきなり決闘を始めるふたり。ここで音楽も一気に大爆音で流れ始めます。

そしてまた会話に戻るとバックの音量は下がり、再び決闘が始まると大爆音が流れるという繰り返し。

この音の抑揚も相まって、決闘シーンは1秒たりとも目が離せない、固唾をのむ展開が続いていたのです。

逆に一切音楽を使わない演出も

そんな音楽をうまく使用している今作ですが、実は逆に一切音を使わないことにより、一つひとつのシーンをリアルに表現していることもあります。

たとえばポンペイの街並みを映し出したシーンでは、音は一切使わず、人々の笑い声だけが響いています。それにより市民の普段の暮らしぶりがよく分かる瞬間にもなっているのです。

また火山噴火直前の異変を知らせるシーンでは、こちらも音を一切使わず、異変に気付いた馬の鳴き声や天上から落ちる砂の音だけで、何か嫌な予感がするということを伝えています。

そして火山噴火により闘技場が崩壊していく瞬間においては、今作の見せ場であるにもかかわらず、またまた一切の音を使わず、観客の逃げ惑う叫び声と崩れるがれきの音だけで恐怖を再現。

大音量にドキドキハラハラさせられる反面、音がない場面では違った意味で恐怖を煽られてしまいます。

映像と合わせて注目したい音楽の演出

初見の際、ドキドキハラハラや謎の恐怖感や絶望感など何とも言えない感情を抱いた方は、おそらく映像と共にこの音をうまく使った演出に引き込まれたのかもしれません。

二度見では映像と合わせて、そんな音楽がかもしだす演出にも注目してみてください。

「すごかった」の一言で終わっている方にこそ二度見をしてほしい

大迫力の映像の数々に圧倒されつつも、物語としては、比較的鑑賞しやすい『ポンペイ』。

ただ初見では「映像がすごかった」「火山噴火の恐怖しか印象に残っていない」と感じた方も多いかもしれません。

その感想の理由は、巧みに製作された映像技術と音楽による演出にあったのです。

もし「すごかった」の一言で見終わったままの方がいれば、二度見以降は映像や音楽の一つひとつに注目しながら鑑賞してみてはいかがでしょうか。必ず初見時とはまた違った迫力を味わえるはずです。

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WRITTEN BY
LISA

フリーライター/コラムニスト。2011年よりライター活動開始。元ギャルのオタク。映画は出演俳優とジャンル重視で選びがち。特にサメとゾンビとイケメンが大好物です。でも現実世界ではどれとも遭遇したくないと思いながら毎日を生きています。

Blog:https://ameblo.jp/lisa-ism9281/

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