あらすじ:
紀元前245年、中華西方の国・秦。戦災で親を失くした少年・信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、大将軍になる夢を抱きながら剣術の特訓に明け暮れていた。やがて漂は王宮へと召し上げられるが、王の弟・成キョウ(本郷奏多)が仕掛けたクーデターによる戦いで致命傷を負う。息を引き取る寸前の漂から渡された地図を頼りにある小屋へと向かった信は、そこで王座を追われた漂とうり二つの王・エイ政(吉沢亮)と対面。漂が彼の身代わりとなって殺されたのを知った信は、その後エイ政と共に王座を奪還するために戦うことになる。
『キングダム』予告編
『キングダム』シングメディア編集部レビュー
これまで実現不可能と言われ続けてきた、大人気アクション漫画「キングダム」の実写化。
しかしいざ蓋を開ければ、2019年実写邦画No.1の快挙をあげる大ヒットに。
原作者である原泰久先生が加わり、練りに練られた脚本。そして作品の舞台でもある中国で行われた大規模撮影。
とにかくすべてのスケールが桁違い!
今回はそんな「キングダム」の二度見ポイントについてご紹介したいと思います。
「キングダム」の二度見ポイント1:リアルすぎて本物と見分けがつかないCG技術
冒頭でもお伝えした通り、今作はとにかくスケールが桁違い。日本国内のみの撮影では、まず不可能であろうと思われるシーンが多々登場します。
それを実現可能にした要因のひとつは、本物と見分けがつかないほどリアルなCG技術です。
建物の細部までこだわることで紀元前の世界を再現
作中では鑑賞する側の目を惹く、造形美がところどころで垣間見えます。
初見で鑑賞した方のなかにはバックに映る風景を目にするたび、「これほどまで紀元前の風景を再現できるなんて」と感動を覚えた方も多いのではないでしょうか。
実際に筆者個人も映画館のスクリーンでひとり鑑賞しながら、大道具や美術担当の方々をはじめとしたプロ集団本気の力に感動させられっぱなしでした。
しかしそれだけではありません。今作はCGの技術力なしでは完成しえなかった作品なのです。
たとえば咸陽の街並みや王宮はロケ地に実在する建物を参考にCGでモデリングしたり、実写プレートにCG素材を合成したりすることにより再現。
CG技術の分野に関してほとんど無知である筆者があれこれ述べるのは、プロの方たちにも失礼なので避けたいのですが……。
ただ一言だけ述べさせてください。正直、どこからどこまでが実写でCGなのかまったくわからなかったほどリアルでした!
そんな細部までこだわりぬいたCG技術により、紀元前に存在した咸陽という名の土地が現在によみがえったのです。
CGでありながらCGでないランカイの存在
「キングダム」が実現不可能だと言われてきた要因のひとつと言えるのが、珍種の猿の赤子として闇商人に売られていたランカイ。
作中で反乱を起こす成蟜に絶対服従するよう育てられてきたランカイはとにかく巨体の持ち主であり、実写で描くのはほぼ不可能に近い存在。もし実写化で登場するとなっても、CGにより描くしかないと思われていましたが……。
今作では身長201メートルの俳優・阿見201さんがランカイ役として登場。まさかの実在する俳優さんをキャスティング。
とはいえ原作を知っている方であれば周知のとおり、ランカイのでかさは半端じゃない。阿見201さんの身長の高さはすごすぎますが、それでも物足りなさを感じるのではないか? と思った方もおられるかもしれません。
そこで登場するのがCGチームです。
特殊メイクをほどこしたランカイをさらにリアルに見せるべく、頭部のサイズ変更や不自然なシワのレタッチなど細かい部分にCG技術を駆使。それにより実際より何倍もランカイを巨体に見せることに成功。
おそらく筆者を含め「実写化するならランカイはCGだろうな」と思っていた誰もが想像しなかったことでしょう。
ランカイ自身は実際の俳優さんが演じ、彼の体の一部や背景のみをCGで加工し、リアリティさを出すという手法。
改めて「キングダム」のCGチームの方々の技術力に感動させられました。
初見で強烈なインパクトを残した八万の兵たち
初見でかなりのインパクトを残したシーンといえば、成蟜が王宮の上から八万の兵を見下ろすシーン。
もう鳥肌が立ちましたよね。結末がわかっていても「こんな大勢の兵相手に勝てるわけないじゃん」と思わずにはいられない迫力。
そして同時にこう感じた方も多いはず。「何が本物で何がCGなのかまったくわからない」と。
だって目の前に映る兵士の向きや並びが絶妙にバラバラなのですよ。一瞬「本当に八万人のエキストラを集めてきたの?」と信じそうになるほど、リアルすぎるのですよ。
そんな印象に強く残る八万の兵が登場するシーンですが、こちらはCGの兵士を合成し、さらにわざとばらつきを加えることによりリアルさを再現。
その後石畳の地面と遠景の背景を合成することにより、あの八万の兵が集結する迫力満載のシーンが完成したのです。
CGだとわかって二度見しても信じられないリアリティ
紀元前という時代をリアルに再現するにあたり、駆使されたCGの力。
当たり前のように「今作はCGがすごいのですよ」と偉そうに語っている筆者ですが、正直、初見時は何が本物で何がCGなのかまったくわからずただ迫力に圧倒され続けていました。
もし筆者のように咸陽の街並みをはじめとした再現度に感動された方は、今作で用いられたCG技術の巧みさ知ったうえで二度見鑑賞してみてはいかがでしょうか。
ただ先に申し上げておきます。初見時とは見方が変わるかもしれませんが、CGとわかったうえで見ても「いややっぱり本物じゃない?」と疑ってしまいます。それほど今作のCG技術のリアリティさは計り知れない高さを持っているのです。
参考:できることを着実にやる、質実剛健なVFXワークーー映画『キングダム』
「キングダム」の二度見ポイント2:何度見返しても鳥肌のたつ名シーンの数々
原作の「キングダム」といえばとにかく名シーン揃いで、熱く泣けるシーンが数多くあることでも有名です。
そのため「実写化であの漫画ならではの熱さを表現できるのか?」と期待と不安を抱えていたファンの方も多いはず。
しかし今作は成し遂げました。漫画同様、何度でも見返したい鳥肌のたつ名シーンを数多く残したのです。
戦開戦のきっかけをつくる山の民たちの動き
冒頭から何度も語っておりますが、今作はとにかくスケールが桁違い。
ラストの王宮での決闘シーンにいたっては、スタッフ七百人、エキストラ一万人という日本映画では異例のスケールにより撮影が行われました。
さらに人数だけではありません。スタッフのなかにはジャッキーチェンのアクションチームも参加することで、本格的なバトルシーンが繰り広げられていたのです。
特に長澤まさみさん演じる楊端和の「矢ごときに屈する我らではない!」の一言をきっかけに始まるバトルシーン。
めちゃくちゃかっこいい。山の民がカッコよすぎる……。
矢に打たれた山の民が楊端和の檄により復活し、そこから乱闘が始まるあのシーンは何度見返しても鳥肌ものです。
政が檄を入れ兵たちの士気があがる瞬間
ただでさえ人数に差があり、不利な状況である政と山の民側。何とか死闘を繰り返すものの、疲弊しきったところでまさかの成蟜側に応援部隊が到着。当然兵たちの士気も下がります。
この時代の戦は士気の低下がなによりもの命取り。たとえ人数で勝っていても、全体の士気が低下すると一気に形勢逆転しちゃう可能性も大いにあるのです。
そこで登場するのが吉沢亮さん演じる大王・政です。
兵たちの士気をあげるため、みずから先頭に立ち檄を入れます。
この場面での檄が本当に熱く、まるで自分も一緒に戦っているかのような錯覚に陥ります。
そして政の檄により、一気に士気を高める兵たち。山の民にいたっては腹にぶっささっていた剣を引き抜いて、雄叫びをあげるほどあがりにあがりまくっちゃっていますからね。
熱い、とにかく熱い、の一言に尽きる名シーン中の名シーンです。
一瞬のまばたきすら許さない信と左慈の斬り合い
主役の信を演じる山﨑賢人さん自身も一番印象的なアクションシーンだと語った、坂口拓さん演じる左慈との斬り合い。
一対一の斬り合いシーンではアクション俳優である坂口拓さんと山﨑賢人さんが本格的な殺陣を披露しています。
そしておそらく初見でご覧になった方は一体目の前で何が起きているのかまったくわからなかったのではないでしょうか。
もうとにかく一つひとつのアクションが早すぎてまったくついていけないのです。
さすがはアクションのプロである坂口さん。本格的な斬り合いはもちろん、表情だけで冷酷な左慈という男を演じています。
そんな坂口さんと本気で斬り合いを続ける山﨑賢人さん。
まさに一瞬のまばたきすら厳禁の名シーン。今見返しても手に汗握る展開にハラハラさせられます。
あと筆者個人的にはそんなふたりの斬り合いを見ながら、楽しそうに高笑いをあげる本郷奏多さん演じる成蟜の顔がめちゃくちゃリアルだなと思いました。
アクションシーンは何度見返してもおもしろい
ごくわずかな兵数だけで八万の反乱軍側に乗り込むという熱いストーリー展開。
しかしストーリーだけではありません。
今作はキャスト陣とスタッフにより作りあげられた本気の演技とアクションにより、何度でも見返したい名シーンが数多く生まれた作品でもあるのです。
初見で迫力あるラストのバトルシーンに感動した方は、二度見ではじっくりひとつひとつのアクションに注目してはいかがでしょうか。印象に強く残る名シーンは何度見返してもおもしろいと再確認できるはずです。
「キングダム」の二度見ポイント3:今だからこそ話せる撮影秘話がすごかった
今作は日本と中国での撮影を始め、とにかくすべてが大規模。
当然、キャストやスタッフの方も撮影中に何度も苦労された瞬間があると思います。
そんな撮影秘話をキャスト陣がさまざまなメディアにて語っています。
海外の馬とは会話ができない?
秦の大将軍・王騎の右腕でもある騰を演じた要潤さんは、自身のYouTubeチャンネルにてこう語っています。
「馬と会話ができなかった」
ええ、この一言だけを聞くとまったく意味がわからないかと思います。
しかしどうやら要さんいわく、王騎将軍を演じる大沢たかおさんも要さんも元々乗馬の経験はあったそう。
しかし日本と海外では馬が違うだけで乗馬の難易度も大きく変わってくるのだとか。
そのため今回撮影で用意されたモンゴルの馬たちも、要さんたちが乗った瞬間「あっ、今外国の奴が乗ってきたな」と感じるそぶりを見せたのです。
そのため馬がなかなか言うことを聞いてくれず、乗馬にはかなり苦労したとのこと。
そんな裏話を知ったうえで序盤中の序盤である王騎将軍が馬に乗って登場するシーンを見返してみましょう。
確かに! 後ろを歩くモンゴルのエキストラの方たちの馬はまっすぐ進んでいるにもかかわらず、王騎将軍と騰の馬だけちょっと揺れている!
ただ要さんによると最初はまっすぐに歩いてすらくれなかったそうなので、かなりの時間をかけて馬との関係を築いたのだということがわかります。
あの短いワンシーンにそんな苦労が隠されていたなんて……。と思ったうえで序盤の王騎将軍の登場シーンを見返してみると、また違った風景として見えてきます。
今だから言える……『キングダム』の撮影秘話。|要 潤【Jun Kaname】
実は見た目より何倍も重い衣装
今作において多くのキャスト陣が身につけていた鎧や甲冑。
何もわからない鑑賞側としては「めちゃくちゃ精密に作られているな~」くらいにしか見えなかったかもしれません。
しかし実際は見た目よりも何倍も重いのだとか。
特に王騎将軍の衣装に関しては身につけている鎧はもちろん、矛の重さも半端ない。種類がいくつか用意されていたのですが、一番重い矛はクレーンで吊るしながらでないと撮影できなかったのだとか。
原作でも王騎将軍の矛はとにかく重いことで有名ですが、まさかの実写化でも重さまで再現しちゃうって……。どこまでリアリティを追及しているのですか……。
また橋本環奈さん演じる河了貂の衣装。ぱっと見はただの藁にしか見えませんが、こちらも実は甲冑並みの重さがあったのです。
そんな裏話を聞くと衣装一つひとつにまでこだわりぬかれて製作されたことがわかります。
あと全然関係ないのですが、個人的には河了貂の衣装に必要だった肩パットは、長澤まさみさんが撮影の合間に縫ってくれたものという裏話にめちゃくちゃ癒されました。
#橋本環奈 さん演じる河了貂の衣装は、実は甲冑並みに重たかったそう。胴体部分を肩からかけられるようになっていて、アクションシーンでは肩パットを着用して撮影。その肩パットは、#長澤まさみ さんが撮影の合間に縫ってくれたものだったそうです。#キングダム pic.twitter.com/4Sy4jDuLNH
— アンク@金曜ロードSHOW!公式 (@kinro_ntv) May 29, 2020
予定外の展開となった洞窟内での殴り合い
序盤で親友の漂は政の影武者を引き受けたことで命を落としたという事実を知った信。抑えきれない怒りから洞窟内で政と殴り合いを始めるという、これまた今作に残る名シーンがありました。
そしてこちらの名シーンもさまざまな取材で語られておりますが、当初は暴れる信に対し、政が冷静に言い聞かせる流れになるはずでした。
しかしいざ撮影が始まると、信役の山﨑賢人さんがめちゃくちゃ本気の怒りを見せてきた。その熱に感化され、政役の吉沢亮さんのボルテージもマックスに。
自身が当初想像していたよりも声を張り上げ、結果的に激しい殴り合いになったのです。
でもそんな予想外の展開があったからこそ、洞窟内での殴り合いは印象に強く残るシーンになったのだと思います。
もし怒り狂う信に対し、政が冷静に対処する姿を見せていたらただ冷たいだけの男の印象になっていたかもしれません。
でもそうではなく信と同じく声を張り上げ、本気で殴り合う姿勢を見せたからこそ、一国の王としての威厳を残せたのかなと思えるシーンです。
撮影秘話を知れば知るほど世界観が堪能できる
何気ないワンシーンや印象に強く残った名シーンのなかには、さまざまな撮影秘話が隠されていました。
今回ご紹介した撮影秘話をはじめ、「実は撮影中にこんなことが起こっていたのですよ」という裏話を知ったうえで鑑賞し直すと、さらに「キングダム」の世界観を深く堪能できるのではないでしょうか。
繰り返し見返すことで世界観に入り込める作品
細部まで駆使されたCG技術、キャスト陣のアクション、スタッフのこだわりなどにより、実現不可能を可能にした実写化「キングダム」。
今作は繰り返し見返すことで細かいこだわりの点に気がつき、さらに世界観に入り込める作品となっています。
初見でストーリーを思う存分堪能したあとは、二度見でCG技術がうみだす造形美や目を離せない名シーンをじっくり見返してみてください。
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