日本映画

笑いあり、涙あり「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の二度見ポイント。大人になった今こそ見返したい名作【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:1996年
製作国:日本
上映時間:97分

監督:本郷みつる
脚本:本郷みつる、原恵一
原作:臼井儀人
主題歌:矢島晶子
エンディングテーマ:雛形あきこ
出演者:のはらしんのすけ(声)矢島晶子、みさえ(声)ならはしみき、ひろし(声)藤原啓治、ジョマ(声)田中秀幸、マカオ(声)大塚芳忠、ス・ノーマン・パー(声)古川登志夫、クレイ・G・マッド(声)辻親八、チョキリーヌ・ベスタ(声)深雪さなえ、メモリ・ミモリ姫(声)渕崎ゆり子、ゴーマン王子(声)保志総一朗、トランプの精(声)八奈見乗児、園長先生(声)納谷六朗、よしなが先生(声)高田由美、松坂先生(声)富沢美智恵、風間くん(声)真柴摩利、ネネちゃん(声)林玉緒、マサオくん(声)鈴木みえ、ボーちゃん(声)佐藤智恵、河村くん(声)大塚智子、アクション仮面(声)玄田哲章、カンタム・ロボ(声)大滝進矢、ぶりぶりざえもん(声)塩沢兼人、雛形あきこ(声)雛形あきこ

あらすじ:

「クレヨンしんちゃん」の劇場版第4弾。声優として雛形あきこが本人役で出演し、エンディングテーマも歌っている。しんのすけはアミューズメントパーク“群馬ヘンダーランド”に幼稚園の遠足で出かける。しかしそこは地球を侵略しようとする魔女・マカオの本拠地だった。しんのすけはみんなとはぐれ、メモリ・ミモリという女の子と出会う。彼女はどうやらマカオによって閉じこめられてしまったようだ。しんのすけはメモリを助けようとするものの、魔女の手下に妨害されてしまい…。

『映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』予告編

『映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』シングメディア編集部レビュー

数十年前までは「子どもに見せたくないお下品アニメ」と言われることも多かった、「クレヨンしんちゃん」。

しかしいまや日本を代表するアニメ作品に!

特に定期的に公開される劇場版は「大人も泣ける」とたびたび話題になり、老若男女からの根強い人気をうかがうことができます。

今回ご紹介する「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」は、「クレヨンしんちゃん」の劇場版作品の基盤をつくったと言っても過言ではない作品。

大人になった今、改めて見返すと子どもの頃とはまた違った印象を抱く作品となっています。

「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の二度見ポイント1:濃すぎるキャラクターを見て懐かしい気分に浸れる

「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の二度見ポイント1

「クレヨンしんちゃん」の歴代映画には主人公であるしんのすけのインパクトを薄めてしまうほど、濃いキャラクターが数多く登場しています。

当然、今作も一度見たら忘れられない濃すぎるキャラクターのオンパレード。

彼らがかもしだす破壊力には子ども大人関係なく笑わされてしまいます。

実は意外と礼儀正しいス・ノーマン・パーこと、スノーマン先生

ビジュアルと江戸っ子口調が印象的なス・ノーマン・パー(通称・スノーマン先生)。

正直、筆者のなかでは完全にトラウマとなっていました。特にスノーマン先生が野原家で本性を表すシーンは、幼心に大きなトラウマを与えたのです。本当に8才のピュアな心をもつ少女に何てものを見せてくれたのだよ。

しかし大人になり、改めて見返してみると気づくのですよね。

スノーマン先生、実はめちゃくちゃ礼儀正しいいい奴じゃないか! って事実に。

通りがかりのご婦人に「よっ、ばあさん。死ぬまで生きろよ!」と粋な言葉をかけたり、マサオ君をいじめられっ子たちからさりげなく助けてあげたり。

なにより野原家にお邪魔したときの礼儀正しさ。こんなに礼儀正しい悪役はおそらくスノーマン先生しかいないのではないかと思うほど、他人の家にお邪魔した際のマナーがすばらしい。

子どもにはちょっと恐ろしい存在でもあるスノーマン先生ですが、大人からすると根はいい奴であることがわかる、なんとも印象深いキャラクターです。

アクション仮面、カンタムロボ、ぶりぶりざえもんの安定トリオ

通常のアニメ回でもおなじみのアクション仮面、カンタムロボ、ぶりぶりざえもん。劇場版でこの三人が揃っている姿を見られるのは今作が初となります。

しかし劇場版だからといって特に変わることはなく、通常回と同様、安定のトリオコントを披露しています。

しんのすけと一緒に戦う気満々のアクション仮面とカンタムロボに対し、基本的に強い者の味方側につくことがモットーのぶりぶりざえもん。

で、最後はぶりぶりざえもんがアクション仮面とカンタムロボにぼこぼこにされる一連の流れが繰り返されるのですが。

終盤間近の敵との戦いではまさかのぶりぶりざえもんの策が成功しちゃう、予想外の展開に。

本当に通常回でも劇場版でもおいしいどころどりをする男ですよ、ぶりぶりざえもんって奴は。

同時に濃すぎる新キャラが大勢いるなか、この三人が登場することで得られる安心感の高さは半端ないなと思わされる安定のトリオです。

予期せぬよきに呼び出される雛形あきこさん

いまやアニメ作品に実在の人物がスペシャルゲストとして登場するのは、何ら珍しいことではありません。

しかし今作が公開された1996年当時、実在する芸能人をアニメに登場させていたのって「クレヨンしんちゃん」の世界くらいだけだったのではないでしょうか。

今作に登場したのは当時グラビアアイドルとして活動していた、雛形あきこさん。しんちゃんが雛形さんの大ファンという設定で出演しているのですが。いかんせん、登場のさせられ方が(良い意味で)雑なのです。

しんちゃんが魔法のトランプの使い方を練習するために魔法で召喚させられる。

その後、魔法の存在を信じないひろしを納得させるために再び魔法で召喚させられる。

……といった感じで予期せぬときに呼び出される雛形さん。数多くの濃いキャラクターがいるなかでも圧倒的存在感を見せてくれています。

また今作ではエンディング曲も雛形さんが歌っちゃっていますからね。もはや準レギュラーレベルでの出演です。

一度見たら忘れられないキャラクターたちの存在

劇場版「クレヨンしんちゃん」のすばらしさってストーリーもさることながら、一度見たら忘れられない濃いキャラクターたちに隠されているのだと思います。

実際に今作を数十年ぶりに見返した筆者ですが、今回ご紹介したキャラクター以外にもジョマとマカオをはじめ、ほとんどのキャラクターが記憶に残っており、おもわず懐かしい気分にさせられました。

子どもの頃に鑑賞した以来である方はそんな懐かしいキャラクターを目におさめるだけでも、二度見するかいがあるはずです。

「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の二度見ポイント2:子ども大人関係なく何度見ても笑えるシーン

「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の二度見ポイント2

しんちゃんがおしりを出してブリブリ言っているだけで大笑いできた子ども時代。

ただ大人になった今、「さすがにクレヨンしんちゃんで笑うことはもうないだろう」と思っている方もおられるかもしれませんが……決してそんなことはありません!

今作では子ども大人関係なく、何度見ても笑えるシーンが盛りだくさんとなっているのです。

ス・ノーマンVSヒーロー三人衆のカオスな戦い

野原家にあがりこんだス・ノーマンと戦うため、しんのすけが魔法のトランプで召喚したのが、アクション仮面、カンタムロボ、ぶりぶりざえもんの三人。

そしてス・ノーマンVSヒーロー三人衆の戦いが始まるのですが、そこはクレしんワールド! 白熱した戦いは一切なく、もはやコント!

アクション仮面とカンタムロボは必死で戦いながらも「家が壊れるかもしれないがカンタムパンチを使う」「家が火事になるかもしれないがアクションビームを出す」など、さらっと恐ろしいセリフを吐きます。嫌だよ、こんなヒーロー。

その後やっとぶりぶりざえもんが動き出したかと思えば、あっさりス・ノーマン側に寝返るいざぎよい裏切りよう。

おまけにしんちゃんが作戦を練りたいと申し出た際は、「認める」と宣言し、しっかり作戦が練り終わるまで攻撃を待ってくれるス・ノーマン。もはや誰が悪役かわからないカオス展開です。

ただこのメンバーの掛け合いが本当にテンポよく、それなりに長いシーンなのですが、おもしろすぎて一瞬で見終わっちゃいます。

BGMがひたすらシュールな踊り対決

今作におけるラスボスである、ジョマとマカオ。

終盤ではジョマとマカオVS野原一家が戦う最終決戦が描かれていますが、毎度のことながら手に汗握る展開など一切なく、最後の最後までコント展開をもってきます。

特に印象的なのがジョマとマカオのバレエに対し、野原一家が阿波踊りで対抗する踊り対決。

華麗な技を次々に決めるジョマとマカオ。一方の野原一家は勢いとハートだけで阿波踊りを続けます。たったこれだけのシーンが繰り返されるだけなのですが、お腹がよじれるくらい笑えちゃうのです。

クラシックのBGMにあわせて静かに踊り続けるジョマとマカオに対し、にぎやかなBGMともはや何を言っているかわからない野原一家の映像が交互に映し出され、ひたすらシュールな展開が続きます。

キャラクターやセリフに笑わされるのであればまだわかりますが、まさかBGMに笑わされる日がくるとは……。さすがはクレしんワールドです。

数秒に一度のペースで小ボケをはさむラストのステンドグラス競争

今作における最大の見せ場であり、おそらく鑑賞した方の多くがお腹をかかえて笑ったであろう、ラストのステンドグラスまでの競争。

魔法のトランプのジョーカーをお城のステンドグラスにかざすと、ラスボスのジョマとマカオを倒せると知った野原一家。全身全霊の力を出し切りステンドグラスを目指します。当然、後ろからは何としてでも阻止しようと追いかけるジョマとマカオの姿が。

展開的には今作一、白熱した戦いになっているのです。

しかし数秒に一度のペースで小ボケを仕掛けてくるため、真剣に戦いを鑑賞することができない。

ジョマとマカオの走り方が独特すぎたり、ひろしがトランプと名刺をすり替えて相手に渡したり、しんのすけが必死で走る後ろで大の大人四人が転がり落ちていったり。とにかくつっこみどころが多すぎて頭のなかで処理が追いつかない。ただただおもしろくて笑うしかない。

そんなラストの展開は何度見返しても飽きることはありません。

頭を空っぽにして見直したい笑いのシーン

定番コントからシュール展開まで、ありとあらゆる笑いが盛りだくさんの今作。

子どもの頃とまったく同じシーンで笑ってしまうこともあれば、大人になった今だからこそわかる笑いもあり、懐かしさだけでなく自分の成長過程を知ることができます。

頭を空っぽにして大笑いしたいときに見返してみると気持ちがすっきりし、晴れなやか気分になるかもしれません。

「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の二度見ポイント3:大人になったからこそ気づける隠れ名シーン

「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」の二度見ポイント3

子どもの頃は何も考えずに思いっきり笑えた今作。

しかし大人になり改めて見返してみると、しんのすけの何気ない言動から気づかされることも多いのです。

つい親目線でしんのすけを見守ってしまう

地球侵略をもくろむマカオとジョマ一味を倒すため「一緒に戦ってほしい」としんのすけにお願いするトッペマ。

従来のアニメ作品であればおそらく「一緒に敵を倒そう」と主人公が同意し、熱い展開になることでしょう。

でもしんのすけは一瞬悩んだのち、「おら、何だか嫌だな。怖いもん……」と断ります。

その後も説得し続けるトッペマですが、最後までしんのすけが首を縦に振ることはありませんでした。

子どもの頃は「しんちゃんのいくじなし!何で戦わないの!」とついしんのすけを責めていた自分がいました。

しかし大人になった今ならわかります。そりゃ無理だよね、しんちゃん。いきなり魔法を使って未知の存在である敵と戦えと言われ、すんなり了承できる5才児なんているわけないよね。と、つい親目線でしんのすけを見てしまうのです。

そしてこの一連のやりとりを見たあとだからこそ、終盤にかけ敵と戦うしんのすけを目にするたび、作中のなかで成長した彼の姿に思わず涙をさそわれてしまいます。

何気ない日常シーンをずっと見ていたくなる

トッペマのお願いを断り、普段と変わらない日常生活に戻ったしんのすけ。

しばらくは幼稚園で友達と遊んだり、ひろしやみさえに怒られたりと、いつも通りのクレしんワールドが描かれています。

ただBGMで流れてくるトッペマのテーマ曲にぎゅっと胸を締めつけられそうになってしまうのです。

またしんのすけがおもちゃ箱に閉まった魔法のトランプを見て、何かを考えこむ様子を見せるシーン。

きっと5才児なりに必死で考えているのだけど、答えが出るはずもなく、目をそむけてしまっちゃったのかなとさまざまな想像がかきたてられるこの一瞬。

子どもの頃はおもしろくも何ともなく、早くストーリーを進めてほしいとしか思っていなかった日常シーンですが、大人になると反対にこの何とも言えない日常シーンをずっと見ていたい衝動にかられます。

とにかく感慨深い。同時に大人になると何気ない日常のひとコマに感動させられるのだなと思わされるシーンです。

しんのすけの成長ぶりに思わず涙

そして筆者個人が選ぶ、“大人になってから見直したいNo.1名場面”が、さらわれたひろしとみさえをひとりで助けにいくしんのすけです。

ヘンダーランドに遊びに行った際、さらわれてしまったひろしとみさえ。大好きな両親を助けるため、しんのすけはひとり電車を乗り継ぎ埼玉から群馬まで向かうのですが……。

もうしんちゃんの成長ぶりに泣かされます。

トッペマから「一緒に戦って」といくらお願いされても断っていたしんのすけが決意を固め、ひとりヘンダーランドへと向かう展開だけですでに胸を熱くさせられます。

なにより目を熱くさせられるのが、通りがかりのおじさんの軽トラでヘンダーランドまでたどり着いたときのしんのすけのセリフ。

おじさんが「閉まっているけど、どうするぼく?」と問いかけると、「中でお父さんとお母さんが待っていますので」「(乗せてくれて)ありがとうございました」とめちゃくちゃ礼儀正しい子になっているのです。

普段はひろしとみさえのことを「父ちゃん、母ちゃん」と呼び、ズボンを脱いでは「ブリブリ」「ぞうさん」と言ってばかりのあのしんちゃんが敬語を使い、しっかりお礼まで言っている。

しんのすけが去ったあと、軽トラのおじさんが「しっかりした子だね~」とひとりつぶやいていましたが、まさにその通りですよ、おじさん! やればできる子なのですよ、しんのすけは!

……と作中でのしんのすけの成長ぶりに思わずウルっとさせられてしまうシーンです。

わが子を見守る気持ちでしんのすけを目にしたい

子どもの頃に見ていたアニメを大人になってから見返すと、見方も180度変わってくることを実感させてくれる今作。

特に子どもの頃は友達感覚で見ていたしんのすけの存在ですが、大人になってからはまるでわが子を見守るかのような気持ちで見てしまいます。しんのすけの小さな成長を目にするだけでも感動させられます。

大人になり、改めて子どもと一緒に見返したい作品

まさに笑いあり、涙ありの展開が続く「映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」。

子どもの頃に見て以来、一度も見直していない方であれば、間違いなく感動できる二度見作品かと思います。

また今現在、自分にもしんのすけと同年代の子どもがいる方は、親子そろって一緒に鑑賞してはいかがでしょうか。

親から子へ、そして子から子へと、時代が変わっても親子そろって一緒に楽しんで鑑賞できる。いつまでたっても色あせない作品です。

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WRITTEN BY
LISA

フリーライター/コラムニスト。2011年よりライター活動開始。元ギャルのオタク。映画は出演俳優とジャンル重視で選びがち。特にサメとゾンビとイケメンが大好物です。でも現実世界ではどれとも遭遇したくないと思いながら毎日を生きています。

Blog:https://ameblo.jp/lisa-ism9281/