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デスゲーム作品『神さまの言うとおり』の二度見ポイント。グロテスク描写が少ないにもかかわらず恐怖を感じる理由とは?【映画レビュー(ネタバレあり)】

あらすじ:

何事もない日々に飽き飽きしていた高校生・高畑瞬(福士蒼汰)の通う学校に突如ダルマが出現し、命を懸けたゲームの始まりを告げる。少しでも動いたら首が吹き飛ぶ第1のゲーム「ダルマさんが転んだ」をクリアした彼は、幼なじみの同級生・秋元いちか(山崎紘菜)と一緒に第2のゲームへと向かう。一方世間では、ゲームから生還した生徒たちを、神の子とあがめており……。

『神さまの言うとおり』予告編

『神さまの言うとおり』シングメディア編集部レビュー

昨今、急激に増えてきたマンガ原作の実写化映画。

ただ原作が長編のマンガであると、約2時間の映画にまとめることが難しく、それもあり原作ファンを中心に賛否両論も起こりやすい題材です。

今回ご紹介する『神さまの言うとおり』も長編マンガに基づいた実写映画化作品。内容的には次々と出されるゲームをクリアしなければ命を奪われてしまうという、いわば流行りのデスゲーム作品になっています。

そのため初見でご覧になった方の中には、「あまり内容がわからなかった」「よくあるデスゲーム作品だった」という感想を持った方も多いはず。(筆者と一緒に初見で鑑賞した友人も、そのようなことを話していました。)

しかしそのような感想を抱いた方にこそ、『神さまの言うとおり』は二度目の鑑賞をしていただきたい!

二度見で見るべきポイントがわかると、今作がただのよくあるマンガ実写化のデスゲーム作品でないことがわかるのです。

3つの二度見ポイント

「神さまの言うとおり」の二度見ポイント3つまとめ

「神さまの言うとおり」の二度見ポイント1:神木君のサイコパスキャラが完全に仕上がっていた理由

まず今作で一番の見どころと言っても過言ではないのが、神木隆之介さんこと神木君が繰り出す渾身の演技。とにかくド肝を抜かれます。

というのも今回、神木君が演じているキャラはおそらくこれまでに演じたことがないタイプのもの。なんと狂いに狂ったサイコパスキャラなのです。

そんな神木君の演技を見ていると、改めて彼の演技力の高さを見せつけられると同時に目がくぎづけになってしまいます。

「神さまの言うとおり」の二度見ポイント1

あの爽やか純粋青年がサイコパスに?

そもそも普段私たちが目にしている神木君といえば、爽やかな純粋青年の役が多く、一言で語るなら好青年役がハマりにハマりまくる実力派俳優。

また声優としても大活躍していることもあり、ルックスや演技だけでなく、声だけでも数多くの女性に癒しを与える存在です。

しかーし! 今回彼が演じているのは、天谷武という狂いに狂ったサイコパスキャラ。デスゲーム作品に必ずひとりはいる、死のゲームを心から楽しんで参加している狂いに狂ったサイコパスキャラなのです。

そのため配役が発表された際、「好青年の神木君がサイコパスキャラなんて……」とも思っていた方も多いかと思いますが、実際に鑑賞してみると「あれ、神木君ってこんな狂った人だったっけ」と思わず錯覚してしまいそうになるほど、サイコパスキャラが板についていたのです。

サイコパス役が板につきすぎて怖い

もうどれくらい彼のサイコパス演技が板についていたかと申し上げますと、まず登場シーンから刀らしきもので、せっかくゲームをクリアした仲間たちをザクザク刺して退場させちゃいましたよね。で、仲間たちを刺し終えた後の目が完全にいっちゃっているのです。サイコパス特有の焦点が合っていないかのような目をしているのです。

おまけにその後もゲームをクリアするたびに不要になった仲間を殺したり、目の前で仲間がゲームに失敗して殺されても嬉しそうな表情で大笑いしたりと、完全にやべえ奴になっています。

極めつけはヒロインの秋元いちか(山崎紘菜)から、キレられた際に返した言葉がこちら。

「殺すことと愛することは同じだろ」

はい、名言いただきました! ちょっと何を言っているのかわからない、サイコパス独特の名言いただきました!

と、そんな感じで最初から最後まで完全なサイコパスキャラを演じきっていた神木君なのでした。

なぜサイコパスキャラが様になっていたのか?

しかしなぜ、好青年としての印象が強い神木君がここまで完全なるサイコパスキャラを再現できたのでしょうか。

それはよく見ないと見逃してしまいそうになるほど、細かい部分まで作りこまれた彼の表情や言動にあったのです。

たとえば登場シーンからラストまで、彼は完全なる死んだ魚のような目をしています。もう目つきからサイコパスキャラをつくりあげていたのです。

また振り向いて背を向けるシーンでは、顔が見えなくなるかどうかの微妙な瀬戸際でニヤッと不気味な笑みを浮かべています。ということはカメラに背を向けて表情が映っていない状況でも、彼はサイコパスの役を演じきっていたのです。というかもう完全にサイコパスになりきっていたのです。

他にも生存者たち全員が映し出されたシーンや、引きの画面で人物の表情がほとんど映っていないシーンでも、よく見ると彼はひとりだけ怪しげな笑みを浮かべていたのです。

神木君がほとんど映っていないシーンこそ、二度見での注目ポイント

これまで俳優としては、サイコパスキャラと正反対の立ち位置にいたであろう神木君。

しかし彼が今作で見せたサイコパスぶりは、今までの彼の印象を大きく変えるほど完全な仕上がりを見せていました。

その理由はおそらく、彼が製作中に役に入りきり、カメラに映るかどうか関係なく、最初から最後までサイコパスキャラを演じきっていたことにあると思います。

二度見ではそんなほとんど映っていない部分の天谷武こと、神木君の小さな表情や言動にも注目してください。きっと初見で見逃していた彼のサイコパス顔が拝めるはずです。

「神さまの言うとおり」の二度見ポイント2:初見で多くの人が見逃しているであろう、実力派俳優の方々

そして今作では、三池崇史監督作品あるあると言っても良いほど、「あれ?あの俳優さんも出ていたの?」と後で知るという、登場シーンがほとんどないまま一発退場になった実力派俳優の方たちも大勢います。

正直、筆者も映画館で鑑賞したのですが、後になってこれから紹介する方たちが出演していたことに気がつきました。そんな初見で見逃した同士も多いはず(だと信じたい)。

「神さまの言うとおり」の二度見ポイント2

序盤で即退場となってしまった染谷将太さん

序盤からいきなり、動いたら殺されるという“死のだるまさんがころんだ”に巻き込まれたクラスメイトたち。目の前で次々に動いて殺されていく友人たちを見て全員がパニックに陥ります。いや、そりゃそうなるでしょう。

そんなときひとり「落ち着け!」と声をあげ、すぐさま状況を飲み込み、ゲームのルール説明を始めすべての指示をあおいでくれたのが、染谷将太さん演じるサタケでした。

かなり重要な役柄であるにもかかわらず、髪型と眼鏡で印象が大きく変わっていたためか、彼が染谷さんだと気がつかなかった方もいるのでは?

そして序盤から大活躍してくれた染谷さん演じるサタケでしたが、最後まで残ったにもかかわらず、理不尽なルールによりまさかのここで一発退場。

染谷さんを最初にこんな形で退場させるなんて……。とも思ってしまいそうですが、この一瞬の出演だけでサタケというキャラを大きく印象づけた演技力はさすがとしか言いようがありません。

回想シーンまで入ったのに一発退場の村上虹郎さん

また数々の映画、ドラマ、舞台に出演し主演をかざるなど、今をときめく若手実力派俳優の村上虹郎さんも、実は今作に出演していたのです。

……と言っても、「えっ、出演していたっけ?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。ええ、映画とレンタルで二回も鑑賞したはずの筆者もそう思いましたよ。

そこで改めて見直してみると、いました! 二回目のゲームである招き猫の首に鈴型のボールをシュートするという場面に、バスケ部のエース・吉川晴彦役として出演していましたよ!

ただ「シュートなら俺に任せろ!」と登場し、何なら「今まで俺がバスケをしてきていたのはこのときのためだ」と自己紹介回想まで入ったにもかかわらず、またしても理不尽な理由でシュートは失敗。あっさり招き猫に投げ飛ばされ退場という形になってしまいました。

でも彼の活躍のおかげで後々このゲームもクリアできるので、吉川君が残した功績は素晴らしいものだったと思います。

登場シーンは三回だけの謎のホームレス役リリー・フランキーさん

そして最初から最後まで謎であったのが、長髪のホームレスを演じていたリリー・フランキーさん。

何と約2時間の上映中においてリリーさんが登場したのは三回のみ。しかもセリフはラストの一回だけ。

それにもかかわらずラストシーンはリリーさんのアップで終了というから、最後の最後で戸惑いを感じた方も多いのではないでしょうか。

実はリリーさん演じる謎のホームレスは、原作においてこの後かなり重要なキャラになってくるのですが、今作の物語の中では特に出番のないキャラだったのです。

今後続編が製作されるのであれば、重要なキャラとなるためチェックは必須! ただ今作のみの鑑賞であれば、正直深く考える必要はないと思います。

とはいえたった三回の登場でセリフも一回だけにかかわらず、「このホームレスは何者?」と強い印象を残したリリーさんの存在感には、何度鑑賞しても圧巻されると思います。

物語と一緒に俳優さんの出演シーンを探してみよう

その他にも今作には、「あの俳優さんが出演していたの?」と思わず、驚いてしまう方々が何人も出演しています。

初見で見逃した方は、ぜひ二度見の前に出演者一覧を把握してから鑑賞をしてみてはどうでしょうか。

物語と合わせて今をときめく俳優さんの出演シーン探しをしながら鑑賞してみると、二度見はさらに楽しめるかもしれません。

「神さまの言うとおり」の二度見ポイント3:グロテスク描写が少ないにもかかわらず恐怖を感じる理由

デスゲーム作品というと血しぶきが飛び散ったり、死体の描写が映ったりと、たびたびグロテスクなシーンが描かれがちですが、今作においてはそこまでグロテスクな描写はほとんどありません。

それにもかかわらず、めちゃくちゃ恐怖を感じるときがあるのです! 実際、筆者と一緒に映画館で鑑賞していた友人は、「うわっ」と何度もスクリーンから目をそむけていました。

リアルなグロテスク描写がほとんどないにもかかわらず、恐怖を感じる。果たしてその理由とは何なのでしょうか。

「神さまの言うとおり」の二度見ポイント3

血の代わりに使用された赤いビー玉が不安感をあおる

冒頭から登場する、最初のゲーム“死のだるまさんがころんだ”。

ここではだるまが振り向いた際に動いた人が次々に殺されていくという描写がしばらく続くのですが、その際、血の変わりに使用されているものが赤いビー玉。血しぶきが飛び散る代わりに大量の赤いビー玉が飛び散ることで恐怖もやわらぎ、グロテスク描写が苦手な方でも見やすい演出になっているのですが……。

かと思えば教室の扉から逃げ出そうとしたクラスメイトが殺された際は、扉の窓枠にびっしりの血しぶきが降りかかり、急にドキッとさせられます。

また赤いビー玉で血を表しているため当初はそこまで恐怖を感じないのですが、次々にクラスメイトが殺されていくにつれ、教室の床は赤いビー玉と倒れて重なり合う生徒たちで埋め尽くされ、本来の床の色がほとんど見えない状態になっています。

これがものすごく不安感をあおるのです。血のり等を使った演出とはまた違う、妙な不安感をあおってくるのです。

「ただの赤いビー玉なのに何でこんな恐怖に感じるのだろう」と初見で感じた方は、突然あらわれる血しぶきや、徐々に埋まっていく大量の赤いビー玉によって、知らぬ間に恐怖感をうえつけられていたのかもしれません。

中盤の恐怖に向けて一旦恐怖感をなくす展開

そんな“死のだるまさんがころんだ”ゲームを無事クリアした主人公たちは、次のゲームの会場となる体育館へと向かいます。この瞬間「一体次はどんな恐怖のゲームが待ち構えているのか」とドキドキした方も多いはず。

しかし蓋を開けてみると、同じくデスゲームであるものの血や死体などのグロテスクな描写は一切なし。

何なら村上虹郎さん演じる吉川さんのシュールな退場シーンや、主人公である高畑瞬を演じる福士蒼汰さんがネズミの着ぐるみ姿で全力の「チュー」という鳴き声を発することにより、恐怖を感じるどころかクスッと笑わされてしまう場面も多々ありました。

そのうえ招き猫の声は前田敦子さんが演じているということで、もうその猫の声に癒されて仕方ない……。

と、あまり恐怖を抱くことがなかった招き猫とのゲームは、ドキドキ展開が続く今作の中でも心を落ち着ける良い休憩タイムとなったはず。

ただここで気を抜いてしまったことにより、その後の恐怖がさらに大きくなってしまったのです。

安心したところで襲い掛かる怒涛の恐怖展開

おそらく招き猫とのほのぼのデスゲームを見た後、多くの方がゆったりした気持ちで鑑賞を続けていたのではないでしょうか。

しかしそのあとに待ち構えていたのは、ただただ恐怖の連続。

頭を何度もぶつけられ、血を流しながら絶命する男子生徒。
泣き叫びながら体を引きちぎられていく女子生徒。
サイコパス天谷によって理不尽に殺される男子生徒。

そして大型の雪熊とのゲームでは熊に踏みつぶされた後、血と髪の毛だけが残り、真っ白な雪の中でゆっくりと血が滴りおちていくという半端ないグロテスク描写が!

このように中盤以降では、序盤の赤いビー玉や招き猫とのほのぼのゲームは何だったのだと叫びたくなるほどの恐怖描写の連続が続き、思わず目をそらしてしまいたくなるのです。

謎の恐怖感を抱かされた理由とは?

おそらく初見時は、筆者の友人のように思わず目をそらしながら鑑賞した方もいるはず。とはいえ序盤までは、リアルなグロテスク描写は一切なし。

それにもかかわらず私たちが恐怖を感じたのは、赤いビー玉を血に見立てることで従来のデスゲーム作品とは一味違った恐怖感や不安感をあおらされたこと。

そして一瞬のほのぼのした展開をつくり安心させたところで、一気に恐怖描写の連続で見ている側をドキドキハラハラさせるという流れにもっていったこと。

もし初見時になんともいえぬ恐怖を感じた方は、これらの演出により恐ろしさを抱いてしまったのかもしれません。

そんな心理状況を把握したうえで二度見をしてみると、今度は目をそむけずに鑑賞ができる。もしくは初見時以上に恐怖を抱く鑑賞ができるのではないでしょうか。

ストーリーを把握した二度見でこそ、今作はすべてを理解できる

多くの実力派俳優の方々が出演する、マンガ原作の実写作品『神さまの言うとおり』。

ただ恐怖の連続にくわえ、一つひとつのデスゲームのクリア方法を考えながら頭を使って鑑賞すると、物語についていくだけで必死となり、作品の世界観に入り込めなかった方もいるはず。

しかし結末がわかった二度見以降であれば、ストーリーが理解できたうえで初見では見逃した部分に目を向ける余裕も出てくるはず。

二度見ではそんな初見で見落としていた俳優陣の演技や、三池監督ならではの巧みな演出で恐怖感をあおる映像の見せ方に注目してみてください。

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WRITTEN BY
LISA

フリーライター/コラムニスト。2011年よりライター活動開始。元ギャルのオタク。映画は出演俳優とジャンル重視で選びがち。特にサメとゾンビとイケメンが大好物です。でも現実世界ではどれとも遭遇したくないと思いながら毎日を生きています。

Blog:https://ameblo.jp/lisa-ism9281/

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