日本映画

怖いけど見たい欲をそそられる映画「人狼ゲーム」の二度見ポイント。実は序盤で人狼を見つけられた!?【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:2013年
製作国:日本
上映時間:110分

監督:熊坂出
原作:川上亮
脚本:夏野みや子、川上亮、熊坂出
出演者:桜庭ななみ、太賀、竹富聖花、岡山天音、入江甚儀、大沢ひかる、梶原ひかり、藤原薫、平埜生成、藤井美菜

あらすじ:

高校2年生の仁科愛梨(桜庭ななみ)は、帰り道で突然何者かに拉致され、気が付くと10人の男女が円形に横たわっていた。一同は不可解な状況に戸惑うが、村人と村人に化けた人狼に分かれ相手チームを全滅させる「人狼ゲーム」に強制的に参加させられることに。彼らはなぜここに集められたのか理由もわからぬまま、生死を懸けたゲームに巻き込まれていく。

『人狼ゲーム』予告編

『人狼ゲーム』シングメディア編集部レビュー

10年ほど前からボードゲームとして流行り始め、2020年現在は主にオンラインゲームで人気の“人狼”。

しかしみなさん、考えたことはありますか? 人狼ゲームはあくまでも架空のゲームだからこそ楽しめるという事実を……。

作家の川上亮氏による小説「人狼ゲーム」は、狼役と村人役に振り分けられた高校生たちが実際に自分の命をかけ、人狼ゲームを進めていくというデスゲーム作品。

小説だけにとどまらず、漫画化や映画化された作品でもあります。

今回は映画化された七作品のうち、待望の第一作となった「人狼ゲーム」の二度見ポイントについてご紹介。結末や人狼役を知ったあとでも楽しめるポイントが満載となっております。

「人狼ゲーム」の二度見ポイント3行まとめ

「人狼ゲーム」の二度見ポイント1:序盤で人狼の正体がわかる決定的瞬間!

投票前の話し合いでも話題にあがっていましたが、人狼ゲームはとにかく序盤が難しい! 生き残っている人数が多いうえ、何も手掛かりがないため、ほとんど勘で人狼を投票するしかないのです。

しかし筆者は発見してしまいました。

序盤で人狼がうっかりボロを出し、みずからが人狼だとバラしてしまっている決定的瞬間に。

人狼役に不慣れな序盤は会話が噛み合わない

一度でも人狼ゲームを経験した方ならお分かりいただけると思うのですが、人生で初めて人狼役が当たったときのプレッシャーって半端ないのです。

なかにはゲーム慣れしていて「余裕で村人をあざむける」という方もおられるかもしれませんが、おそらく大多数の方は立ち振る舞いの仕方がわからず、焦ってしまうのではないかと思います。

今作において、ふたりいる人狼のうちひとりは多田友宏(太賀)。

おそらく初めて人狼役になった多田君もめちゃくちゃ焦っていたのでしょうね。後半はうまい立ち回りを見せるものの、序盤では相手との会話が噛み合っていない瞬間を見せてしまいました。

それは川崎文隆が話の中、全員を煽るかのような発言をした直後。

川崎君の挑発にイラっとしたのか「いや(全員)生きて帰りてぇだけだろ」と煽り返す多田君ですが、川崎君の「何だよ、お前。どっちの味方だよ?」と煽り返されます。

すると少し間を空け、「……敵は(俺たちをさらった)犯人だろ?」とキレ気味に答えるのです。うん、答えになっているようでなっていない。

おそらく川崎君は「(逃げ道を探す組と人狼ゲームに参加する組)どっちの味方だよ?」という意味で問いかけたと思うのですが、自身が人狼の多田君。川崎君の発言を「(狼側と村人側)どっちの味方だよ?」という意味でとらえちゃったのではないかなと。

そして焦りから話題をずらそうとトンチンカンな返答をしてしまったのでしょうが、結果的に自分が怪しいと言っているだけの発言になってしまったのでした。

初日の投票日に見せた違和感ある発言

序盤のなかで多田君が人狼としての尻尾を思いっきり見せてしまった瞬間が、初日の投票日での発言。

今夜処刑する人を各自指差した結果、井上真理絵、藤木毅、川崎文隆の三人に二票ずつ入り、決選投票が行われることになったのですが……。

この瞬間の多田君にご注目を。

「二票入ったのは真理絵さんと……」と口にするものの、その後は「えっと、えっと……」としどろもどろ状態に。

そうなのです、なぜか井上真理絵の名前と彼女に二票入ったことはすぐに理解していたのに、残りのふたりが誰かわからない。

ただたんに名前を知らなかったのでは? 投票先を見ていなかったのでは? と思われるかもしれませんが、川崎君は投票前にみんなの前で自己紹介をしているのですよね。おまけに多田君はそんな川崎君に投票している。

本来であれば自分同様、他に川崎君に投票した人がいるかを真っ先に気にするはず。しかし多田君は誰が彼に投票したかを一切確認せず、なぜか井上真理絵に二票入ったことを確認していたのです。

うっかり相方の人狼までバラしちゃった決定的瞬間

他二票入った男子の名前は憶えていないにもかかわらず、井上真理絵の名前は熟知していた多田君。その理由は役職カードに自分ともうひとりの相方である人狼の名前「井上真理絵」が記されていたから、嫌でも名前を憶えていたということ。

そして自分が投票した川崎文隆ではなく、井上真理絵に入った票数を確認したのは、今夜相方である彼女が処刑されないかを無意識のうちに確認してしまったがため。

その結果、「二票入ったのは真理絵さんと……」と口にしたものの、残りのふたりがわからず、「えっと……」としどろもどろになってしまったのではないでしょうか。

もしも誰かが初日の投票でこの事実に気づいていれば、多田君と井上真理絵のふたりが人狼であるということに気づけたかもしれません。

そんなうっかりミスで自分が人狼であることはおろか、誰が相方までかをバラしちゃった人狼・多田君の決定的瞬間でした。

二度見鑑賞では人狼役の細かいミスを探してみよう

登場人物たち同様、鑑賞側も初見の序盤では誰が人狼かまったくわからない。もはや村人が確定していた主人公の仁科愛梨(桜庭ななみ)以外全員が怪しく見えてしまうほど。

しかし人狼が多田友宏と井上真理絵のふたりであるとわかった今、ふたりの表情や発言をじっくり観察してみると、細かいミスを犯し、尻尾を出す瞬間が時折あらわれます。

二度見ではそんな人狼役の細かいミスを探しながら鑑賞してみてはいかがでしょうか。

「人狼ゲーム」の二度見ポイント2:リアルすぎて鑑賞側のメンタルがやられる二日目の投票日

今作では毎日20時から21日の間に処刑する人を決めなければいけないというルール設定が課されていますが、とにかく毎夜が地獄状態で鑑賞側のメンタルもぐいぐいえぐってきます。

なかでも特にリアルさが増していたのが、二日目の投票のシーンです。

預言者がふたり登場した瞬間から漂う不穏な空気

初日と違い、二日目からは占い結果を知った預言者が名乗り出ることができるため、人狼側と村人側、どちらにとっても状況次第で有利な場面をつくることができます。

そこでまず預言者として名乗り出たのが、井上真理絵。

彼女は町村誠一郎を占い、彼が人狼であると言い切りました。

しかしその瞬間、「ちょっと待てぃ!」と言わんばかりに藤木毅が「自分こそ本当の預言者だ」と名乗り出て、町村誠一郎は村人だったと発言。

この時点で井上真理絵か藤木毅のどちらかがほぼ100%の確率で人狼であることは決定しました。

そして真の預言者である藤木毅。井上真理絵は偽の預言者であるため、占う方法を知らないはずだと高を括り、「(占い方を)答えられるものなら答えてみろよ」と問いかけるのですが……。

チートすぎて村人側が圧倒的不利な状態に

次の瞬間、井上真理絵は「カードに部屋のテレビをつけ、正体を知りたい人の部屋番号を押せば、相手が人狼か村人かわかる。そこで町村さんが人狼と出た」とまさかの発言。

これには真の預言者である藤木毅も「何で(偽物の)お前が占い方を知っているのだよ!!!」とブチ切れ。そりゃそうなりますよね。

実はこれ、終盤に明かされるのですが、一度村人側でゲームに参加した人は人狼側として二度目のゲームに参加するという、前半戦と後半戦に分かれたゲームだったのです。

要は今回人狼の多田友宏と井上真理絵はすでに一度ゲームを経験し、二度目の参加であったため預言者の占い方も詳しく知っていたのです。

いやいやいや、チートすぎません? 絶対こんなの偽預言者に勝てないですよね?

案の定、真の預言者しか知らないはずの占い方を先に答えたため、まわりは井上真理絵を本物として見るように。

おまけに「町村誠一郎が人狼で、藤木毅は相方を助けるために預言者をかたったのでしょ!」ととどめの一言を浴びせる、井上真理絵。

もはやここまできたら真の預言者に勝つ術なし……。

四方八方から飛び散る叫びと泣き声で完全にカオス化

その後は一言でいうと、ただただカオス。

町村誠一郎と藤木毅はお互いに「自分は人狼じゃない!本当に村人側だ!」とパニック状態で説明するものの、占い方法という一手をとられた今、他に自身の無実を示す根拠がない。

完全に人狼あるあるです。まわりが偽物に言いくるめられて自分が疑われると、パニックになり何も考えられず、ただ「信じてくれ!」と叫ぶしかない。しかしその慌てぶりがさらに自分を怪しくさせてしまうという悪循環。

そして結果的に二日目の処刑者として選ばれた、町村誠一郎。処刑の瞬間は鑑賞側ですら思わず目を伏せてしまいたくなるほど、初日以上の地獄絵図。

翌日、主人公の仁科愛梨が町村は人狼ではない決定的な証拠を見つけるのですが、このときパニックにならず、冷静にその証拠をつきつけられていれば……。と悔やんでも悔やみきれない最後となってしまったのでした。

リアルすぎる演技を見せた出演俳優全員に敬意をしめしたい

二日目の投票は今作において一番リアル感のある画が描かれており、演技ではなく本当に投票から処刑までの一連の流れが行われているのではないかと思うほど、出演俳優陣全員の演技力に脱帽させられるシーンでもあります。

正直、メンタルが嫌というほどやられます。ぐいぐい鑑賞側の精神をむしばんでいきます。

それほど迫力のある演技を見せてくれた出演俳優全員に敬意をしめしつつ、今一度、見直してみたい名シーンでもあるのです。

「人狼ゲーム」の二度見ポイント3:グロテスク描写があまりないのに恐怖を感じる理由

デスゲーム作品につきものなのと言えば、グロテスクな描写。今作も血しぶきや死体といった多少のグロテスク描写が登場してはいます。

しかし初見で筆者が感じたことは従来のデスゲーム作品と比較すると、今作は全体においてグロテスク描写はそれほど多くない。……にもかかわらず、めちゃくちゃ怖いし、メンタルもやられる。

その理由は絶妙なカメラワークと出演俳優の演技力に隠されていました。

処刑シーンではグロテスク描写をあえてカメラから見切らせる

毎夜、投票により処刑する人を決める。このルールだけを聞くと、めちゃくちゃグロテスクな描写を思い浮かべてしまいそうになります。

しかし実際は処刑する瞬間にグロテスクな描写はほぼなし。というのもあえて残虐な描写はカメラから見切らせ、撮影していたのです。

川崎文隆は真っ暗闇の外に飛び出すという描写により、血しぶきだけで死体を映さない。

町村誠一郎はメンバーたちから青酸カリを飲まされるものの、途中で泣きわめく仁科愛梨にフォーカスがあたり、青酸カリを飲んだ決定的瞬間は移さない。

といった感じで残酷描写はカメラ内に映っていません。そのためグロテスクな描写もなし。

ただその反面、カメラ枠外で今何が起こったのか? という想像により、不安や恐怖を掻き立てられる。

あえてグロテスクな描写をカメラから見切らせることにより、言葉にしようのない恐怖を鑑賞側に与えていたのです。

一瞬にして人狼にやられた村人が誰かわかる絶妙な描写

人狼ゲーム中は夜中に村人の誰かひとりが狼に殺されるルールがあるものの、こちらも処刑シーン同様、グロテスクな描写はほとんどなし。

ただものすごく気味が悪いのです。

朝になったことを知らせる明るい空の画が映し出されたかと思えば、次の瞬間、ほぼ無音の中で人狼に殺された村人側の横顔だけが映し出され、その一瞬の映像により「昨夜人狼に狙われたのはこの人だったのだ」と初めて理解させられる。

つい数秒前までの明るい空の映像と真逆の描写。そして音もセリフもないなか、ただ静かに映る村人側の横顔。

とにかく気味が悪く、何とも言い難い恐怖を感じる朝の風景。

この絶妙な描写が物語における恐怖をさらに高めていたのです。

処刑の瞬間に垣間見えるひとり一人の本性

またカメラワークや映像以外でも恐怖を与えてくるのが、処刑の瞬間に垣間見えるひとり一人の本性。

「自分が死ぬ」「今から人を殺さないといけない」という心境に陥ると、当たり前ですが人はこうも変わってしまうのかということをまじまじと見せつけられる瞬間です。

ある者は泣きわめきうなだれ、ある者は「仕方ない」と自分に言い聞かせ涙ながらに処刑を実行し、またある者は逃げられないことをわかりつつも最後まで必死の抵抗を見せ。

その姿を見ているとこっちまで気がくるってしまいそうになるほど。

「怖い」や「グロい」とはまったく違う意味での恐怖を与えられるシーンです。

グロテスク描写のほうがまだマシだと思わされるほどの恐怖

初見でグロテスクな描写は少ないから見やすそうだなと安心したのもつかの間。

見終わったあとに「これならグロテスク描写のほうがまだマシだったかも」と思わされるほど、言葉にできない恐怖を与えられる今作。

そんな謎の恐怖を感じた理由はカメラの視点、描写、演技それぞれに従来のデスゲーム作品とは違う手法が使われていたから。

二度見鑑賞の際は、恐怖を感じる理由を考えながら見直してみてはいかがでしょうか。

「怖いけど見たい」という欲が掻き立てられる作品

ただひたすら謎の恐怖を感じ、メンタルがやられそうになってしまう瞬間も多々ある「人狼ゲーム」。

しかし関連作品が七作品も登場していることからもわかる通り、なぜか鑑賞側の「怖いけど見たい」という欲を掻き立てる作品でもあるのです。

物語の結末、そして人狼の正体が分かった今、二度見するのであればぜひ人狼の視点に立ってみたり、言葉にできない恐怖の理由を探したりなど、初見とは違う見方をしてみてください。

『人狼ゲーム』を配信中の動画サービス

動画サービスで『人狼ゲーム』を観よう!

「U-NEXT~日本最大級の動画サービス~」
今なら31日間無料トライアル実施中!
U-NEXT

映像制作パートナーをお探しではありませんか?

私たちが作るのはスライドショーのような動画でなく「映像」です。シングメディアは人を、想いを、感情を映し、見た人の心に響く、記憶に残る映像を作ります。
クライアントの要望通りに作るだけを良しとせず、クライアントと共に考え、課題に向き合い、議論し合いながら映像を作り上げていくスタイルを目指す映像制作会社です。
お困りごとがあればお気軽にご相談ください。

WRITTEN BY
LISA

フリーライター/コラムニスト。2011年よりライター活動開始。元ギャルのオタク。映画は出演俳優とジャンル重視で選びがち。特にサメとゾンビとイケメンが大好物です。でも現実世界ではどれとも遭遇したくないと思いながら毎日を生きています。

Blog:https://ameblo.jp/lisa-ism9281/