恋愛映画

リアル少女漫画の世界を堪能できる映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の二度見ポイント。何度見ても胸キュンしてしまう!【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:2013年
製作国:日本
上映時間:117分

監督:小泉徳宏
原作:青木琴美
脚本:吉田智子、小泉徳宏
出演者:佐藤健、三浦翔平、窪田正孝、水田航生、浅香航大、大原櫻子、吉沢亮、森永悠希、谷村美月、相武紗季、反町隆史

あらすじ:

人気バンドCRUDE PLAYのメンバーだったものの、デビューする前に抜けた小笠原秋(佐藤健)。サウンドクリエイターとしてバンドに楽曲を作ってきたが、ビジネス優先な音楽業界にうんざりしていた。そんなある日、CRUDE PLAYのファンだという女子高生・小枝理子(大原櫻子)と出会い、彼女に正体を明かさず恋人同士になる。理子との日々に安らぎを覚える秋だったが、類いまれな歌声を持つ彼女を音楽プロデューサーの高樹(反町隆史)がスカウトしたことで……。

『カノジョは嘘を愛しすぎてる』予告編

『カノジョは嘘を愛しすぎてる』シングメディア編集部レビュー

天才サウンドクリエイターと女子高生の恋。

もうこのキャッチフレーズを聞いただけで胸キュンしてしまう世の女性も多いのではないでしょうか。

「カノジョは嘘を愛しすぎてる」は一言でいうならば、少女漫画を忠実に描いた恋愛映画。終始ドキドキさせられるストーリーにくわえ、大人気シンガーで女優の大原櫻子さんのデビュー作となった作品でもあります。

で、正直この手の胸キュン作品は何も言わずとも、繰り返し見て楽しめます。筆者のような一個人がわざわざ説明せずとも、何度でも見返せるのです。

でも今回はあえて違った視点から「カノジョは嘘を愛しすぎてる」を楽しめる二度見ポイントについてご紹介していきたいと思います。

「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の二度見ポイント三行まとめ

「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の二度見ポイント1:オリジナルソングの歌詞に注目するとさらに作品の世界観が楽しめる

今作は歌をテーマにした作品ということもあり、作中では数多くのオリジナルソングが登場します。

なかでも強く印象に残ったであろう歌といえば、2曲の失恋ソング。天才サウンドクリエイターの小笠原秋(佐藤健)が主人公の小枝理子(大原櫻子)と茉莉(相武紗季)、それぞれの女性と別れたときに生まれた曲です。

しかしこの2曲。実は同じ失恋ソングでありながらも、よく聞いてみるとまったく対極の歌であることがわかるのです。

茉莉との別れでうまれた「サヨナラの準備は、もうできていた」

交際中であった人気歌姫・茉莉に別れを告げ、家を飛び出した秋。本来なら大好きな女性と別れ、思いっきり涙を流したいところでしょう。

しかし天才サウンドクリエイターと呼ばれるがゆえの性なのか、彼は失恋して心身ともにボロボロになっている状態のときに曲が頭に浮かんじゃうのですよね。

そしてこの茉莉との別れによってうまれたのが、秋のプロデュースする人気バンドCRUDE PLAYの「サヨナラの準備は、もうできていた」。

もうとにかく切ない曲。2013年の曲ではあるものの、TikTokあたりで今再ブレイクしても何らおかしくないよねって言えちゃうくらい、めちゃくちゃ切なくていい曲なのです。

理子との別れでうまれた「ちっぽけな愛のうた」

茉莉と別れたあと女子高生の理子と出会い、交際を始める秋。そんな理子と秋の恋愛模様がストーリーの主軸となっているのですが。

やはりそこは恋愛作品。茉莉に続いて、理子とも別れる展開がやってきます。

しかも理子との別れは茉莉のときとは違い、好き同士なのに別れなければいけないという一番つらい状況なのですよね。理子に嫌われるため「うざいんだよ」「まったく好きじゃない」と秋が嘘ばかりをならべて、おもいっきり振っちゃうという展開。

そしてひとりになり、理子を傷つけてしまったことと好きなのに離れなくてはいけないという現実を目の当たりにして号泣する秋。そこでうまれたのが「ちっぽけな愛のうた」です。

作中では理子のイニシャルをとり「R」という名の仮タイトルで登場した、あの曲です。

歌詞から読みとれる失恋直後の秋の本心

「サヨナラの準備は、もうできていた」と「ちっぽけな愛のうた」。どちらも映画の世界観にぴったりすぎるすばらしい曲です。

しかしひとつお伝えしたいのは、ただ“いい曲”ってだけじゃないのですよ。この2曲は。

歌詞にご注目ください。

まず茉莉との別れからうまれた「サヨナラの準備は、もうできていた」。

曲名からもお分かりの通り、秋のなかでは茉莉と別れる準備はずっと前からできていたのです。

他にもそもそもふたりが出会ったこと自体が間違いだったり、自分だけが彼女を好きだったのかもと一方通行の思いに疑問をもったりと、ただ後悔の二文字だけが思い浮かぶ歌詞となっています。

要するに多少なり未練は残っているけど、きっぱり別れを決意した曲に仕上がっているのですよね。

しかし理子との別れからうまれた「ちっぽけな愛のうた」は、同じ失恋ソングでありながらもまったく意味が違ってきます。

とにかく理子の好きな部分が歌詞のいたるところにつづられている。そしてふたりが出会えてよかったと言わんばかりに奇跡的な出会いに感謝している。

おまけにいつかまたふたりが出会ったときはこうなっているといいな~、なんて未来の想像まで描かれている。

お分かりでしょうか。茉莉のときとは違い、失恋ソングでありながらまったく別れる気がない!

むしろ離れているのは今だけ。自分が成長したらまた会いに行くという秋の気持ちがあらわれた曲になっているのです。

失恋ソングでありながらも対極な2曲

さまざまなオリジナルソングが登場する作中で、特に心に残るであろう2曲の失恋ソング。

でもじっくり歌詞を読んでみると、一方はしっかりけじめをつけた別れであるのに対し、もう一方は失恋ソングと見せかけ、実は深い愛をつづっていたラブソングにも聞こえるという対極な2曲になっているのです。

この2曲をつくった亀田誠治さんに私は全力のスタンディングオベーションを送りたいです。

初見時はなんとなくいい曲だなと思って聞いていた方は、二度見の前にまず歌詞に注目しながら、2曲の失恋ソングを聞きなおしてはいかがでしょうか。

曲の意味を知ったうえで鑑賞し直すと、さらに作品の世界や秋の心境に入り込んで鑑賞することができるはずです。

「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の二度見ポイント2:意外と知らない方も多い!? あの人気俳優も出演していた

2013年に公開された今作。主役の佐藤健さんをはじめ、三浦翔平さんや反町隆史さんなど、とにかく俳優陣が豪華なことでも話題になりました。

しかし今では大人気実力派俳優でありながらも、当時はまだ知らない方も多かったであろう、あの有名俳優が出演していたことをご存知でしょうか。

重要キャラの心也役は朝ドラにも抜擢されたあの人気俳優

おそらく知っている方は知っているでしょうが、知らない方は本気で知らないと思います。

いまやドラマや映画で数々の主演をつとめ、朝ドラの主役にも抜擢された窪田正孝さんが、今作に出演していたという事実を。

しかも重要中の重要キャラですからね。秋の代わりにクリプレ(CRUDE PLAY)のベーシストとして加入した心也役ですからね。いやマジでみなさん知っていました?

心也といえば少女漫画に必ずひとりは出てくるであろう、嫌味ばかり言うけどめちゃくちゃ才能をもっているライバル的な位置づけにいるキャラです。

そしてこの心也役に窪田さんの演技がハマりにハマっているのですよね。「頼むからお前は秋と理子の邪魔をしないでくれ」と横から口を出したくなるくらい、とにかく嫌なライバル役の演技がすばらしい。

心也の言動をじっくり見てみると、改めて窪田さんの演技力の高さを実感できます。

理子の友人役は国宝級イケメンランキング1位のあの俳優

窪田さんと同じく知っている方は知っているでしょうが、知らない方は本気で知らないと思う意外な出演者。

それが昨今数多くの作品に出演し、国宝級イケメンランキング1位も受賞した吉沢亮さんです。

吉沢さんが演じたのは理子の友人であり、MUSH&Co.のギターを担当する通称・ユウちゃん。そうです、序盤のタワレコのシーンで佐藤健さん演じる秋に向かって「彼氏ってオヤジじゃん!」とキレ気味に叫んでいたあの青年です。

いまや女性を虜にさせるイケメンキャラから歴史物のキャラまで、何でもこなしてしまう吉沢さんですが、今作では超ピュアな男子高校生を演じています。いい意味で普通にそこらへんを歩いていそうな男子高校生を演じています。

なによりユウちゃんが時折見せる、理子への友情とも愛情ともいえぬ言動がこれまたかわいいのですよね。

見逃しちゃっていた方は至急二度見鑑賞を!

……と、実は知らない方も多いであろう意外な出演者おふたりをご紹介したものの、自分で書きながら「いやこれって二度見ポイントと言えるのか?」と疑問に思っています。

でも筆者が知る限り、今作を見たことがあるという女子から話を聞くと「(窪田正孝さんと吉沢亮さん)出ていたっけ?」と驚く子がまあ多い。

今見たらさすがに誰もが気づくと思いますよ。ただ当時はまだお二方の存在を知らずに見逃していた方も多かったのかもしれません。

そう思うと、やっぱり二度見ポイント認定して良さそうです。

というわけで、当時映画館で鑑賞して以来、今作を見直していないという方がいらっしゃいましたら、窪田正孝さんと吉沢亮さんが出演しているということを頭の中に入れておいたうえで二度見鑑賞をしてください。

ふたりの活躍を知った今見直すと、初々しいふたりの演技を見て新鮮な気持ちで鑑賞することができるはずです。

同時に改めて今作の俳優陣が豪華すぎるという事実に感動してしまうことでしょう。

「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の二度見ポイント3:リアル少女漫画の世界観を可能にしたカメラワークと演出

いまや数多く登場している、少女漫画の実写化。

でもね、やっぱり言われることもあるじゃないですか。少女漫画の世界観を映画にしてしまうと「何かこれじゃない感がある」みたいなことも。

しかし今作はお世辞抜きでリアル少女漫画だと言っていい世界観の作品となっています! もう鑑賞しながら漫画のページをペラペラとめくっている感覚になっちゃうくらい、リアルさがすごいのですよ。

ではなぜ、不可能に近いと思われていた少女漫画の世界をリアルに描くことができたのか?

その理由は絶妙なカメラワークやこだわりぬかれたであろう演出に隠されていました。

秋の正体がバレる瞬間の演出

当初は自分がクリプレ(CRUDE PLAY)のAKIであることを隠し、理子と交際を続けていた秋。しかしついに理子に自分の正体がバレるときがやってきます。

それがクリプレの新曲「サヨナラの準備は、もうできていた」を初めて聞いたあのシーン。

大好きなクリプレの新曲を生で聞けることにウキウキ状態の理子。しかし曲を聞き続けるにつれ、「あれ、これ秋が出会ったときに口ずさんでいた曲?」という事実に気がついてしまいます。

そこで流れる秋との出会いの回想シーン。

で、次の瞬間! 目の前に秋ご本人が登場。

そして「ごめん、嘘ついていた」と悲しげな表情で一言。

切ない! 切なすぎる!

同時にこの切ないシーンが脳内で漫画として再現できちゃうことに気づいちゃいましたよね。理子があれって思った瞬間、次のページをめくったら見開き半ページに秋が描かれている画が頭の中に浮かんじゃいましたよね。

秋の正体が理子にバレるこの重要なシーン。今作でトップを争うリアル少女漫画展開ではないでしょうか。

少女漫画あるあるが満載の展開

主人公がいきなり予想外の行動をはじめ、暴走しちゃう展開。筆者個人的に少女漫画あるあるのひとつだと勝手に思っています。

そんな少女漫画あるあるが描かれていることにより、今作はさらにリアル少女漫画を追求した世界観が繰り広げられているのです。

たとえば代表的なシーンでいえば、タワレコで友人を押し倒して逃げちゃうところとか、秋のベースをとっさにパクッて逃げちゃうところとか。

で、これまた少女漫画あるあるなのですが、普段冷静な相手役もヒロインが予想外の行動を起こすと「ええ!?」と驚き、おもわず素の一面を見せちゃう。そしてそんな彼女の天真爛漫さに惹かれていっちゃう的な。

きっと普段は冷めている秋も理子の突拍子もない言動に惹かれていっちゃったのだろうなと思わされる。

そんなシーンがいたるところで登場するため、リアル少女漫画の世界に私たち鑑賞側はドキドキさせられてしまったのです。

エンディングがすべてを語っていた

そしておそらく今作で多くの方が一番胸キュンしたであろうシーン。それがエンディングのエンディングです。もはや日本語としておかしいことになっていますが、あのシーンはエンディングのエンディングとしかいいようがありません。

終盤、海外に飛び立つ秋と最後に歌うことになった理子。そのままエンドロールとともに「ちっぽけな愛のうた」が流れるというエンディングで作品は幕を閉じました。

……と思いきや、エンドロールが流れ終わった瞬間、スクリーンに映し出されたのは演奏を終えた秋と理子の姿。

そこから「じゃあ」と一言だけ残し、空港にそっけなく向かう秋。そんな秋の後ろ姿を見て、もう彼に会えないと思うと涙がとまらない理子。

しかーし、次の瞬間! 去ったはずの秋が戻ってきてからのキスシーン!

はい、完全に少女漫画の最終回!

もう見えましたもん、左の片隅に「〇〇先生の次回作にご期待ください!」って最終回の決まり文句が見えましたもん。

エンドロールで終わったと見せかけて、最後の最後にとんでもない胸キュンシーンをもってくるというにくい演出。完全に少女漫画の世界でした。

もう一度リアル少女漫画の世界にいざなわれよう

理由はわからないけど、なぜか終始胸キュンしっぱなしだったという感想をもったあなた。

おそらく巧みなカメラワークやこだわりの演出的要素により、リアル少女漫画の世界にいざなわれたのかもしれません。

二度見ではぜひとも脳内でぺらぺらと漫画をめくる感覚で、リアル少女漫画の世界をさらに堪能ください。

曲や登場人物の心境に目を向けるとさらにときめける作品

出演者の演技、オリジナルソング、こだわりぬかれた演出により、リアルな少女漫画の世界観を実現した「カノジョは嘘を愛しすぎてる」。

ときめきが欲しいときに二度見鑑賞するには、打ってつけの作品です。

しかしただときめきだけを求めるのではなく、作中の曲に隠された意味や登場人物それぞれの心境にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

今作は中身を知れば知るほど、違った視点から新鮮な持ちで二度、三度と鑑賞することができる恋愛作品なのです。

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WRITTEN BY
シングメディア編集部

映像・動作制作を手掛けるTHINGMEDIA株式会社のメンバーで構成しています。制作現場で得た映像・動画の知見をお伝えしていきます。