アドベンチャー映画

ただ絶望を感じた人にこそ見返してほしい『ゼロ・グラビティ』の二度見ポイント! 宇宙の美しさに感動する場面や意外な楽しみポイントも!【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:2013年
製作国:アメリカ
上映時間:91分

監督:アルフォンソ・キュアロン
製作総指揮:クリス・デファリア、ニッキ・ペニー、スティーブン・ジョーンズ
脚本:アルフォンソ・キュアロン、ホナス・キュアロン
出演者:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー、エド・ハリス

あらすじ:

地表から600キロメートルも離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。すると、スペースシャトルが大破するという想定外の事故が発生し、二人は一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出される。地球に戻る交通手段であったスペースシャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼らは懸命に生還する方法を探っていく。

『ゼロ・グラビティ』予告編

『ゼロ・グラビティ』シングメディア編集部レビュー

「宇宙なんて大嫌い」

作中で主人公が放った一言に思わず共感してしまいそうになるほど、鑑賞側の恐怖を次々と煽る心理描写が魅力の『ゼロ・グラビティ』。

宇宙を題材にした映画は数多く存在します。

そのなかでも今作は、一言で表すなら“宇宙におけるすべての絶望”を描いた一作。壮大な宇宙空間の中では、私たち人間などちっぽけな存在であることを痛感させられる作品です。

しかし『ゼロ・グラビティ』は、ただ絶望感を味わうだけの作品ではありません。改めて見返すことにより、宇宙の美しさや未知の世界、こだわりぬかれた演出なども楽しめる作品になっているのです。

『ゼロ・グラビティ』の二度見ポイント1:心境や状況によりさりげなく変化する地球の描写

『ゼロ・グラビティ』の二度見ポイント1

今作で何度目にしたかわからない“宇宙から目にする地球の描写”。

人類で初めて宇宙に行ったガガーリン飛行士の名言「地球は青かった」を肯定するかのごとく、神秘的で美しい地球の描写が画面いっぱいに広がる場面も多々登場しました。

そんな圧倒的存在感を見せた地球の描写ですが、実は登場人物の心境や状況に合わせ、色合いや雰囲気も場面ごとに変化を見せていたのです。

青く美しい地球と暗闇が襲う地球の対比

たとえば冒頭でスペースシャトルの乗組員たちが船外活動をする場面。まさしく私たちが知る地球を表すかのように青い輝きを見せています。

きっとガガーリン飛行士が宇宙から見た地球もこんな感じだったのでしょうね。まさに“美しい”の一言につきます。

……が、事故後は一転!ロープが外れたライアン(サンドラ・ブロック)が無重力空間に投げ出され、現在地がわからなくなるという絶望的状況に陥ってしまいます。

おまけに酸素も残りわずか。作中で最初に襲い掛かる最大の絶望シーンです。

そしてこの瞬間、ライアン視点から目にする地球の描写をご覧ください。

先ほどの青く神秘的な地球とは打って変わり、彼女の目の前に映し出されるのはただの真っ暗な球体。恐怖感を煽る暗闇が彼女を襲います。

まったく同じ冒頭のシーンであるにもかかわらず、登場人物の状況や心境により、地球の色が変化するという粋な演出。視覚的に宇宙の偉大さや恐ろしさを鑑賞側に伝える場面でもあります。

一筋の希望を感じさせる日の出の存在

体ひとつで宇宙空間に投げ出され、絶望のどん底を味わうライアンですが、マット(ジョージ・クルーニー)の的確な判断により無事救助。お互いの体をロープで繋ぎ止めることで一命をとりとめます。

しかし安心できたのも束の間。再び2人を絶望感が襲います。

スペースシャトルに帰還するものの、生存者はライアンとマットの2人のみ。肝心のスペースシャトルも無残な有様に。仕方なくマットの船外活動ユニットを利用し、遠くに見えるISS(国際宇宙ステーション)まで体ひとつで向かう判断をします。

その間も2人を繋ぐのは1本のロープのみ。絶望はもちろんのこと「ロープがいつ切れるかわからない」「無事にたどり着くまでに酸素が持つかわからない」と別の意味での恐怖も襲います。

恐怖のあまりパニック状態が続くライアン。いやそりゃそうですよ。いつ再び宇宙空間に投げ出されるかわからない恐怖のなか、前へと進むしかない状況でパニックに陥らない人などいません。

……と言いたいところなのですが、そこは頼りになるマット兄さん。怯えるライアンを落ち着かせようと何気ない世間話をしながら、ゆっくりとISSに向かいます。

自分も恐怖を感じているはずなのに、怖がる様子を1ミリも見せない彼の存在は今作において非常に心強い存在でした!

そんな心強い兄貴こと、マットが「美しいと思うだろ?」とライアンに問いかけた際の地球の姿もお見逃しなく。

相変わらず暗い雰囲気が漂ってはいるものの、日の出により太陽が地球を徐々に明るく照らし出しています。

圧倒的に絶望しか感じない状況のなか、頼りになるマットの存在により一筋の希望がもてそう……。暗闇の地球を照らし出す日の出の描写は、まさにそんな2人の心境を表していたのかもしれません。

『ゼロ・グラビティ』の二度見ポイント2:宇宙の“絶望”と“美しさ”を同時に映し出す見事な描写

『ゼロ・グラビティ』の二度見ポイント2

宇宙空間でのミッション中に突発的な事故に遭遇し、ロープ1本で結ばれた2人が無重力空間(ゼロ・グラビティ)に投げ出されてしまう場面から始まる今作。

あらすじを読んだだけでも絶望しか感じません。実際、作中でも何度絶望感を味わうシーンが私たち鑑賞側を襲ったことでしょうか。

しかし改めて見返すと、今作はただ絶望を感じるだけの作品ではない。実は至る場面で“宇宙の絶望と美しさ”がまるで隣り合わせであるかのように映し出される見事な描写も目にできるのです。

ライアンとマットの2人の心境から見える宇宙の描写

無事にISSにたどり着いたものの、激突時の衝撃により、今度はマットがロープ1本で無重力空間へと投げ出されてしまいます。

マットと繋がる唯一の命綱であるロープを必死に引き寄せようとするライアン。

しかし瞬時にマットは悟ります。このままでは2人とも無重力空間に投げ出されるだけだ。それならライアンだけでも助けたいと……。

そして次の瞬間、自らロープのフックを外し、無重力空間へと投げ出されるマット。本当にどれだけいい奴すぎるのですか!もうマットの最後の笑顔を目にするだけでも泣けるシーンです……!

そんなライアン視点からすると絶望しか感じない別れのシーン。ただマットは違います。

通信が繋がる間にライアンに的確な指示を出し、地球帰還までの方法を伝えます。その間も彼女を励ますマット。自身の死が目の前に迫っているとは思えない落ち着きようです。

そして通信が途切れる寸前にマットが語った一言。

「ガンジス川を照らす太陽がすばらしい」

絶望と恐怖の狭間で戦うライアンとは打って変わり、最期を迎える直前まで宇宙という名の空間を愛し、宇宙の美しさを伝え続けたマット。

2人の登場人物の心境から、宇宙の絶望と美しさが同時に垣間見られるすばらしい描写です。

絶望感を期待感に変える美しいラストシーン

その後、何度も絶望が襲うなか、無事に宇宙船「神舟」に乗り込むことに成功したライアン。残るミッションは宇宙ステーションと宇宙船を切り離し、地球に帰還するのみです。

……が、最後まで絶望を感じさせるのが今作です。

大気圏に突入した途端、衝撃により宇宙ステーションごと分解。無事に宇宙船を切り離したものの、周囲には炎で包まれた宇宙ステーションの残骸が飛び交います。衝突すれば一瞬にして木っ端みじんになるという最大の絶望感がライアンを襲います。

しかしなぜかこのシーンだけはそれほど絶望を感じないのです。

その理由は美しく描かれた映像と壮大なBGM。そしてライアンの心理描写にありました。

状況的には周りを炎の塊が飛び交うという絶望しか感じない場面です。

ただ炎で包まれる残骸が飛び交う描写は、まるで宇宙を飛び交う流星群。絶望的状況でありながらも、なぜか美しいとさえ感じるCG映像が描かれているのです。

また美しい映像とともに流れる壮大なBGMが期待感を膨らませる曲調になっている点も、鑑賞側に絶望感を抱かせない重要なポイントになっています。

なによりライアンの心理描写です!これまでは「絶対に地球には帰れない」「今日で最期を迎えるのだ」と投げやり気味な瞬間も多々ありましたが、ラストの期間シーンでは「何が何でも絶対に地球に帰還する」という強い意思が伝わってきます。

作中最大の絶望を感じる場面でありながらも、美しい映像と心理描写により、期待感が膨らみワクワクするラストシーン。特に燃え盛る宇宙ステーションの残骸が地球に向かって一直線に飛び交う描写は、何度見返しても目に焼き付く美しさを秘めています。

『ゼロ・グラビティ』の二度見ポイント3:宇宙という名の世界観を堪能できる小道具や演出

『ゼロ・グラビティ』の二度見ポイント3

絶望の2文字が何度も鑑賞側を襲う今作ですが、見方を変えると私たちがあまりよく知らない宇宙の世界観を存分に堪能できる作品にもなっています。

初見で嫌というほど絶望を感じた方は、二度見鑑賞ではあえて宇宙の世界観に注目して見返すのも楽しいはずですよ!

宇宙をリアルに感じられる独特のカメラワーク

今作は宇宙が舞台であるため、カメラワークも独特の動きを見せています。

特に冒頭でライアンやマット達が船外活動をするシーンは必見!カメラが上下左右だけでなく、斜めに傾くなど、360度様々な角度で動く描写が目立ちます。またあえてカメラは静止し、登場人物が宇宙空間の中で360度回転する場面も。

普段の映画作品ではあまり見かけない独特なカメラワークにより、まるで鑑賞側も宇宙にいるかのような錯覚を味わえる場面も多く用意されています。

さらに登場人物の視点(第一人称視点)から描かれた場面は、本当に目の前に宇宙が広がるかのようなリアリティ感じるシーンに。VRの世界を堪能するかのような気分を味わうことも可能です。

冒頭の船外活動シーンでは自分も宇宙にいるかのような没入感を存分に味わえるので、非日常感を楽しみたい時に見返すのもおすすめです。

無重力のすごさを実感する場面

宇宙=無重力空間であるため、当然のことながら人間の体はもちろん、すべての物体は重力など関係なく宙を漂います。

ただ実際に無重力空間のすごさを知る機会って、そうはありませんよね。

そのため今作では「そんな物まで飛んじゃうの?」と意外と驚いてしまう衝撃的な場面もチラホラありました。

なかでも筆者が特に感激したのがライアンの涙です。

地球に帰還までの希望が途絶え、ひとりソユーズのなかで涙を流すライアン。するとどうでしょう!彼女の涙が丸い水滴となり、宙を自由自在に漂うではありませんか。

またこの涙が美しいこと……!宇宙では涙ってこんな感じで漂うのだとちょっと感激してしまいました。

そのほかにも意外な物が飛び交う場面を探しながら鑑賞してみると、改めて無重力空間のすごさを知ることができるのではないでしょうか。

宇宙ステーション内部の探索気分も楽しめる

また今作では、普段なかなか目にすることのない宇宙ステーションの内部を探索している気分も味わうことができます。

これが注意深く見てみると意外と楽しいのです。初めて知る知識もあれば、なかには好奇心をくすぐる小道具やセットが至る場面に映っていることに気がつくのです。

たとえばライアンがISS内部を探索中のシーン。ペンやフォークなど宇宙生活における必需品があちこちに浮遊していますが、そのなかに混ざりオモチャのようなものもチラホラ。

またその後たどり着いた中国宇宙ステーションでは、何と目の前から卓球のラケットが!さすが中国の宇宙ステーション!と言いたくなるほど、細部にまで細かいこだわりを感じられます。

さらにステーションの一角には、床から天井までびっしり野菜を栽培している部屋まで……!

初見では1秒たりとも目を離せないドキドキのシーンでしたが、余裕ができた二度見鑑賞では、宇宙ステーション内部を探索している気分で、小道具やセットをチェックしてみると新たな発見ができるかもしれませんよ。

『ゼロ・グラビティ』はただ絶望するだけの作品ではない!

次々に襲い掛かる絶望感と対峙し、宇宙の恐ろしさや偉大さについても知ることができる『ゼロ・グラビティ』。

しかし今作はただ絶望を感じるだけの作品ではありません!細部にまでこだわられた演出や描写。意外と見逃しがちな楽しみポイントも満載の一作なのです。

初見で絶望しか感じなかったという感想をお持ちの方は、あえて別角度からの二度見鑑賞を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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WRITTEN BY
シングメディア編集部

映像・動作制作を手掛けるTHINGMEDIA株式会社のメンバーで構成しています。制作現場で得た映像・動画の知見をお伝えしていきます。