アドベンチャー映画

不朽の名作映画「スタンド・バイ・ミー」の二度見ポイント。大人になった今こそわかる、あの名言の意味とは?【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:1986年
製作国:アメリカ
上映時間:84分

監督:ロブ・ライナー
原作:スティーブン・キング
脚本:レイノルド・ギデオン、ブルース・A・エバンス
出演者:ウィル・ウィートン、リバー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、リチャード・ドレイファス、キーファー・サザーランド、フランシス・リー・マッケイン、マーシャル・ベル、ジョン・キューザック

あらすじ:

モダン・ホラーの帝王スティーヴン・キングの非ホラー短編を基に、R・ライナーが少年時代の想い出をさわやかに描き上げた名編。オレゴンの田舎町、行方不明になった少年の死体を見つけようと、ちょっとした冒険旅行に出かける4人の少年の姿を描く。

『スタンド・バイ・ミー』予告編

『スタンド・バイ・ミー』シングメディア編集部レビュー

学校で勉強をし、友達と遊んで、夜は家族と過ごしていた小学生時代。平凡な毎日の繰り返しであるにもかかわらず、なぜか常に新しいことの発見にワクワクしていた。たとえるなら、毎日が大冒険の連続だったのではないでしょうか。

そんな淡い思い出に浸らせてくれるのが、不朽の名作「スタンド・バイ・ミー」です。1986年の映画であるものの、今見ても名作中の名作と呼ぶにふさわしい作品。

今回は大人になった今、久しぶりに今作を見返したい方に向けての二度見ポイントをご紹介いたします。

「スタンド・バイ・ミー」の二度見ポイント1:何度見ても懐かしい気持ちにさせられる名シーンの数々

「スタンド・バイ・ミー」の二度見ポイント1

今作の見どころといえば、何年経っても色あせることのない名シーンの数々。

物語において重要なシーンではないものの、なぜか何十年経っても頭から離れず、画を見るだけで登場人物たちのセリフがすぐに思い出せる。そんな名シーンを見返すと、おもわず懐かしい気持ちにさせられてしまうのです。

ずっと見続けられるウッドハウスでのやりとり

今作のメインキャストである、ゴーディ、クリス、テディ、バーンの四人が隠れ家としていた、ウッドハウス。初めて目にしたときは、誰もが心躍らせたのではないでしょうか。

子どもだった筆者も、初めて今作を鑑賞した際、「私もこんな隠れ家つくりたい!」と目をキラキラさせ、自由帳に設計図を書いていた記憶があります。まあ、実際に作れずはずもなく、木の上に登って隠れ家気分を味わうのが精いっぱいだった、ほろ苦い思い出でもあるのですがね。

とはいえ大人になった今、さすがにウッドデッキの描写だけでテンションはあがらないだろうと、たかをくくっていたのですが……。普通にテンションがあがりましたね。むしろ子ども時代より興奮しちゃったかもしれません。

ウッドデッキに入るために合言葉が必要であったり、バーンの話を他の三人が遮ってからかったりと、小学生あるある満載のネタに気持ちをほっこりさせられる。

同時に子ども視点で見ているときは、やんちゃな少年たちという印象を受けたシーンですが、大人になって見返してみると、背伸びしつつも、あどけなさが残る少年たちの日常がほほえましく、ずっと見ていられるシーンでもありました。

もっとも有名なシーンである線路を歩く少年たち

「スタンド・バイ・ミー」で最も有名なシーンといえば、やはり線路を歩く一場面ではないでしょうか。

実際、今作を見たことがない方であれども、主題歌と少年たちが線路を歩く姿だけは知っているなんて方も多いはず。

目的地にたどり着くため、延々と線路をたどって歩き続ける。たったそれだけのシーンではあるのですが、少年である彼らにとっては先の見えない線路をひたすら歩き続けることが、とにかく大冒険だったのです。

ある程度大人になってしまうと、そんな子どもならではの感覚は失われてしまいます。実際、作中でもエース率いる不良グループたちは、同じ目的地まで車でひゅっと駆けつけていましたからね。当然の選択なのですが、何かずるいな、エースたち。

四人の少年が線路を歩き続ける姿は、懐かしさを覚えると同時に、忘れかけていた子どもならではのワクワクを思い出させてくれる一場面です。

目頭が熱くなるラストのナレーション

二日間の大冒険を終え、街へと戻ってきた四人。「じゃあ、またね」という感じでひとりずつ家路に向かうのですが、大人になった今、このラストのシーンを見返すと、ゴーディのナレーションに胸がぎゅっと締めつけられてしまうのです。

一生忘れることがないであろう大冒険の日々を過ごした四人。さぞかし強い絆が生まれ、生涯を通して大親友になるのだろうと思いきや……。

中学進学とともにテディとバーンは疎遠になり、大人になったふたりはそれぞれ自分なりの人生を歩む。そして唯一、中学進学後も友人関係が続いていたクリスも、就職後は疎遠になり、新聞の記事で彼が亡くなったことを知るという結末に。

まだあどけなかった子ども時代の鑑賞では、「友達じゃなくなっちゃったんだ」程度の感想で見終わっていた方もおられるかもしれません。

しかし学生、社会人と経験を積んだ今見返してみると、ゴーディのナレーションを聞くだけで、目頭が熱くなってしまう。つい自分の人生と重ねて考えさせられてしまう、何とも深いラストであることに初めて気づかされるのです。

子ども時代と大人になった今で印象が180度変わる

初めて子ども時代に鑑賞したときは、ウッドハウスの秘密基地感や少年たちの大冒険にワクワクさせられた、いわば「楽しい映画」といった印象で終わっていた筆者。しかし大人になってから見返してみると、「何て切なくて泣ける映画なのだ」と印象が180度変わっていることに気がついたのです。

筆者同様、「少年たちの二日間限りの大冒険」といったイメージのまま見終わっている方は、ぜひ今こそ、二度見の鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。

「スタンド・バイ・ミー」の二度見ポイント2:テディとバーンに注目すると途端に感動作品がコメディへと早変わり

「スタンド・バイ・ミー」の二度見ポイント2

少年たちのひと夏の思い出を描いた今作。特に作中では、兄の死や親との関係に悩むゴーディと、家庭環境による差別を受けるクリスの熱い友情に泣かされるシーンも多々ありました。

しかしみなさんお気づきでしょうか。実は今作、テディとバーンのふたりに注目して鑑賞してみると、感動の名作が途端にコメディ感満載の作品に変わってしまうことに。

小学生レベルの言い合いがかわいいふたり

軍隊大好き少年のテディと、臆病でおっちょこちょいだけどなぜか憎めないバーン。そんな正反対の性格であるふたりは、意見が対立することも多々あります。ただ、言い合いが小学生レベル。いや、小学生だから当たり前なのですが、とにかくどうでもいいことでもめがちなのです。

特に心底どうでもいいと思ったのが、線路を歩きながらゴーディとクリスが進路についての話を真剣にしているとき。

ふたりの前を歩くテディとバーンも何やらもめているなと思ったら、まさかの会話の内容が「スーパーマンとマイティのどちらが強いか」。いやわかるけども。今もめる話じゃない!

進路についてゴーディとクリスが真剣に語り合う姿に胸熱くさせられそうになった瞬間、「マイティは片方の手でゾウ5頭持ち上げるんだぞ!」と真剣に語るバーンの姿が映り、思わず冷静さを取り戻してしまう。ゴーディとクリスの姿にウルっとしかけていたのに、何をしてくれるのだよ、バーン。

でもこの何とも言えないシュール感も、今作ならではの味だと思っています。

突然始まる肩パン攻撃のくだりが病みつきに

テディとバーンのかわいい掛け合いといえば、突然はじまる、謎のしっぺ(肩パン)攻撃。

バーンがとんちんかんなことを言うと、決まってテディが彼に肩パンを食らわせるのですが、その際「お返しなしな!」と先に宣言する流れがお決まりとなっていました。

何だか思い出しちゃいましたよね。「バリア張っているから効いてませーん!」「この線の中には入れないから攻撃できないんだ!」と、自分に有利な謎ルールを使って遊んでいた、小学生時代の戦闘ごっこを。

そんなふたりの肩パンごっこを見て、背伸びしていても中身は小学生なのだなと癒されていたら……。

バーンが初めてテディに肩パンを食らわせた際、すかさずテディがバーンに肩パン返しをし、まさかの「お返しなし!」宣言。いや、せこいなテディ!

バーンのおちゃめさがわかる必見シーン

見ているだけで笑いという名の癒しを与えてくれる、テディとバーン。

特に筆者個人的に大好きで、見逃した方も多いであろうシーンが、二日目の朝、ふたたび四人が線路を歩き始めたときのふたりのやりとりです。

先頭を行くゴーディとクリスから少し離れ、線路のレールの上を平均台のように歩くテディとバーン。一本の木の棒をふたりで持ち、隙を見ては引っ張り相手をレールから落とすという、また謎の遊びをしています。もうこれだけでも十分にかわいいのですが。

よくご覧ください。圧倒的にバーンのほうが落とされている。何なら最後はテディが引っ張ってもいないのに、自分でレールから足を踏み外し勝手に落ちているのです。

カメラにほぼ映っていないときでも、相変わらずバーンはバーンのままだったと分かる貴重なシーン。必見です。

テディとバーンにさらなる愛着がわくかも?

お互いに違った悩みを抱えつつも、明るく生きる少年たちの姿に感動させられる今作ですが、十分に感動しきった方は、ぜひテディとバーンを主役にしてコメディ感覚での鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。

何気ない場面のなかに笑える瞬間がたっぷりつまっています。おそらく初見以上にテディとバーンのふたりに愛着がわくはずです。

「スタンド・バイ・ミー」の二度見ポイント3:子ども視点ならではの何気ない一言に隠された名言中の名言

「スタンド・バイ・ミー」の二度見ポイント3

名作映画と呼ばれる作品には、必ずと言ってよいほど名言がつきもの。もちろん今作にも心打たれる名言が数多く登場しています。

なにより今作は少年たちが主人公の作品。子ども視点ならではの何気ない一言が、大人の私たちにグサッと突き刺さる名言のオンパレードとなっているのです。

「子どもさ。子ども時代は二度と来ない」

目的地まであと少しのところで四人が遭遇したのは、深い沼。全員がきれいに沼にハマり、テンションもだだ下がりになってしまいます。

そんな場面で突拍子もない行動をとり始めるのが、やんちゃボーイのテディです。隣にいたバーンを沼に沈め、全力で水遊びならぬ沼遊びを始めます。

あまりにも幼稚ないたずらなので、すかさずクリスが「子どもっぽいぞ」と止めに入るのですが、次の瞬間、テディが返したのは「子どもさ。子ども時代は二度と来ない」という一言。

そうなのだよ、テディ。おそらく大人が沼にハマってまったく同じことをやっていたら、全力でまわりの人に引かれるか怒られるかの二択になることでしょう。というか沼がどうとか関係なく、大人になると二度とできないことってたくさんあります。

そう思うと子ども時代の経験って本当に貴重だったのだなと思わされる、テディの何気ない一言。切ない気持ちにさせられちゃいました。

「人はみな変わっているさ」

大好きな兄の死を機に親をはじめ、まわりの大人から心ない言葉をかけられることに傷ついていたゴーディ。言葉には出さないものの、自分を責める瞬間も多々あったのかもしれません。

そんな悩みを親友であるクリスに打ち明けるべく、「僕って変人かい?」と尋ねると、間を空けずにクリスは「もちろん」とあっさり答えます。さすが子ども、言葉のフォローという概念が1ミリもありません。

しかし次の瞬間、クリスが口にしたのは「人はみな変わっているさ」という一言。

十人十色なんて言葉がある通り、同じ人間なんてこの世にひとりもいない。見方を変えれば、全員違うからこそ、全員変わっている。

「私って人としてダメなのかも」「まわりと同じようにできない自分が嫌い」など、自分に自信を持てない人にとっては、何気ない一言でありつつも、ものすごく勇気をもらえる一言ではないでしょうか。

自己肯定感レベルがゼロに等しく、もはや開き直って生きるしかないと諦めていた筆者も、クリスの一言に勇気をもらえました。ありがとう、クリス……!

「あの12歳のときのような友達はもうできない。もう二度と……」

「スタンド・バイ・ミー」といえば、この一言! といっても過言ではない名言中の名言が、ゴーディがテキストで語ったラストの一言。

「あの12歳のときのような友達はもうできない。もう二度と……」

まさに今作を象徴する名言であり、作品を見返せば見返すほど、心に突きささる深い言葉です。

大人になると、良い意味でも悪い意味でも友達を“選ぶ”ことになります。「一緒にいて楽だから」「話が合うから」「考えが違うから距離を置きたい」など、無意識のうちに理由をつけて友達関係を築いてしまう瞬間も少なくはありません。

でも思い返してください。今作の少年たちと同じ12歳の頃って、友達になるのに理由なんていらなかったのではないでしょうか。

公園に知らない子がいても、ボール片手に「一緒に遊ぼう」の一言さえあれば、すぐ友達になれた。

普段喋らないクラスメイトでも、おもしろそうなことをやっているなと思ったら「何しているの?」の一言で友達が増えた。

そう思い返すと、まさに“子ども時代のときのような友達はもうできない”のだなという事実を痛感させられます。大人になったゴーディの一言、深い、深すぎます。

少年たちの一言から教えられる大切なこと

今作に登場する少年たちが何気なく発する一言は、大人になり忘れていた大切な思いをよみがえらせるきっかけをくれます。

二度見では彼らのセリフに注目し、鑑賞してはいかがでしょうか。大切なことを教えてくれる名言に出会えるかもしれません。

大人になった今こそ見返したい名作!

30年以上経った今も色あせず、温かい気持ちにさせられる名作「スタンド・バイ・ミー」。

子ども時代に見て以来見返していない方にこそ、二度見鑑賞していただきたい作品でもあります。

今見返すと懐かしい気持ちにさせられると同時に、大人になって忘れていた何かに気づかされるはずです。

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WRITTEN BY
シングメディア編集部

映像・動作制作を手掛けるTHINGMEDIA株式会社のメンバーで構成しています。制作現場で得た映像・動画の知見をお伝えしていきます。