ぼくたちはどこに旗を立てよう #ぼく旗

想いの深さを大切にした大石健弘の発見とアクション|ぼくたちはどこに旗を立てよう【#ぼく旗 Vol.2】

「自分自身に希望を持つこと」は、「旗を立てることだ」。

そんな信念の基に生まれたプロジェクト「ぼくたちはどこに旗を立てよう」。

「人」というものへの興味が尽きないシングメディア佐藤が自分自身の旗を立て続ける人たちと語り合っていきます。

第一回に続き、第二回となる今回も、映像制作会社株式会社Happilm(ハピルム)、代表取締役の大石健弘さんにお話を伺っていきます。

今回のセクションはこんな感じ。

さて、第一部ではフリー前期、中期についてお話しいただく中で主体性の大切さや目の前のことに向き合う姿勢を教えてくれた大石さん。第二部ではフリー後期、最近の大石さんについてお聞きしました。

大石健弘
サプライズ映像やドキュメンタリーを中心に制作する株式会社Happilm代表取締役。
株式会社AOI Pro.退社後、エディターを経てフリーのディレクターとなる。
2014年Happilmを創業。
高校時代に自主映画を制作したことがきっかけでディレクターを目指す。
現在36歳。子どもが大好きすぎて仕事量が減る。

映像のコアはパッケージではなくメッセージ

佐藤一樹(以下佐藤)ーーはい、ということで今回は、大石さんのフリー後期、さらに最近の大石さんについても、聞いていこうかなと思います。

大石健弘(以下大石) フリー後期でさらにブライダルビデオを極めていくうちに、ドキュメンタリーってめちゃくちゃおもしろいなって思えたんですよね。発見でした。

同時に「自分がなぜ映像を作るのか」っていうのが寿ビデオ大賞を獲った「*麻里子の教室」を作った時にわかった気がしたんです。

披露宴での上映後、とにかくすごく感謝されたんです。本人たちからはもちろん、親御さんからも「こんなに幸せなことはない、宝物だ、家宝にする」と涙ながらに言っていただいて。撮影に参加してくれた友達からは「撮影に参加できてよかった」と言われたり、「むちゃくちゃ感動した」といった話をとにかくたくさんの方からいただいたんですよね。

この時初めて、自分が映像を作る目的がわかったんです。「あ、人を喜ばせたいんだ」って。

誰かを幸せにするような作品を残したいそれが自分の存在意義だって強く思ったんですよね。

今でもその想いが舞い降りた瞬間を覚えています。人生で初めて心の中にぐわっと溢れるものを感じました。披露宴の二次会だったんけすけど、その時は思いが溢れて号泣しちゃって、「こいつなんでこんなに泣いてるの?」って気持ち悪がられましたね(笑)。

フリーランスになって社会から一歩外れることで、「何のためにここにいるんだろう」、「なんで働いているんだろう」、「お金を稼ぐ以外に何か世の中のために価値を生み出しているのだろうか」と考えるようになって、でも具体的にこれだっていうのがずっと無かったんですよね。

そんな何となくもんもんとしていたのがあの作品がきっかけで晴れたというか。自分のこの世界における存在意義を結構本気で感じて、「人を喜ばせる、人を感動させる作品」を作りたいなって強く意識できるようになりました。

その後は、そういう作品に巡り合う機会が自然と増えていきましたね。それで、ありがたいことに今ではドキュメンタリー系の映像ディレクターとして、全うできるようになったという感じです。

雨嫌だなぁって顔してますね。

佐藤ーーなるほど。いくつか他にも聞きたいことがあって、まず、僕もプロデューサーとして参加させていただいた*某ウェブコンテンツのCMについて。あれはやってみて大石さん的にどうでしたか?

大石 あれはすごく楽しかったし、あれを大野くん(*大野大樹)が僕をダブルディレクターとして誘ってくれたことにすごく感謝していますね。「麻里子の教室」から3年ぐらい経っていたんだけど、大野くんが僕のブライダル作品をたくさん見てくれていて、自分にはない何かを感じてくれていたらしく、ぜひ一緒にやりたいっていうことで参加させてもらえたんですよ。

ブライダルビデオを作っていた経験が、広告映像の制作にも活かせるんだっていう発見もあったし、サプライズは何度もやっていたので、作品に対してすごく主体的に考えられたんです。あの仕事で監督がするべき「演出」っていうものがどんなことなのか少し見えたと思っています。それまでは全く分からなかったので。

佐藤ーー当時大野くんがちょうどすごくバリバリやっている時期で、そんな中、ああいうドキュメンタリックなものに、ちょっとしたクライアントの課題なり伝えたいことなりを入れつつ、リアルを演出するっていうところで、やっぱり仲間が必要だったように思いました。特に演出サイドが。なので、大石さんが参加したのは本当にすごくよかったと思いますね。

大石 その言葉嬉しいです。ほんとにありがたかったですね。

佐藤ーー大野くんが現場に来られないっていう時に、「大石さんがいたら大丈夫っす」みたいに言ってて、大石さんのことをすごく信頼してるのを感じて、僕、すごくいいなって思ったんですよね。

大石 いや、自分で言うのもなんですが、大野くんは本当に信頼してくれてるんですよね。あれ以来、何度も*セカンドディレクターとして呼んでくれていて。一年に1回は一緒に仕事していると思います。

実のところ、それ以前にも、大野くんの監督作品にエディターとして関わっていたことが何度かあったんですよ。大野くんの初めてのCMとかも僕が編集していて。現場エディターとかもやっていたからそういう繋がりはあって、当時から尊敬していたのでダブルディレクターとして呼ばれたのは嬉しかったです。

だからそう言う意味では大野くんは自分のステージを上げてくれた存在ですね。それは割と言ってるんですけどね大野くんに(笑)。本当にありがとうって(笑)。

化け物ディレクターですよね、彼は。人生においても結構影響を受けている気がします。演出、映像作りもそうだし、生き方とかも。大好きですね(笑)。仲良しです(笑)。

佐藤ーー死闘をくぐり抜けた仲っていうのは本当にいいですね。

大石 翌年に同じシリーズをまたやったんですけど、その時は大野くんが育休をとるということで全部自分にバトンが来たんですよ。まじか、と焦りましたが、自分にとっては結果的に大きな経験になりました。

すごく大きな発見があって。

大野くんもスカイプで参加して、「女性の社会進出」っていう作品のテーマに対してみんなで打ち合わせをしていたんですけど、大野くんはそのテーマに対する自分なりの想いだったり、課題感だったり、こうしたらいいんじゃないかっていう意見をすごく持っていたんですよね。はっきり、しっかり。企画とか云々飛び越えてテーマに対する深い理解だったりとか想いを言っていて、その時にすごくハッとしましたね。

自分はテーマに対して全然理解していないし、なんとなくその企画に沿ってこのシーンはこういう風に撮ればいい、こんな風に動けばいいみたいな、すごく表面的な作り方をしていたんだなって、ものすごく感じました。

やっぱり演出というか、映像作りって表象的な部分じゃなくて、「何を伝えるか」、その「メッセージ」、「テーマ」、「本質」を自分なりに理解して共感して「語れる」レベルにならないといいものはできないんだなって。

そういう大野くんの立ち振る舞いを間近で見て学びました。ものすごい発見でした。自分は考えが足りない、これじゃあいいものを作れないって心底思いましたね。

佐藤ーーこの仕事は、広告的なアプローチっていうのがどうしても優先されるけど、大野くんみたいに、より想いの通った人とやるとそれが本当にその解決になってるんだっけって考える機会があるし、フィードバックとかちょっとした意見に対してブレないでいられるんですよね。そこがちょっと軟弱になりそうな時ってあるじゃないですか。ちゃぶ台返すぐらいの事情とか、しがらみみたいなものがある中で、でもディレクターとして向き合い続けて、こだわり続ける部分はこだわり続ける力というか、そこがやっぱりディレクターとして求められている力な気がしましたね。広告だろうと、それ以外だろうと別に関係ないですよね。与えられたお題だったり叶えたい形を、どういうアプローチでやってくかは方法論でしかないんですよね。

大石 そうですね、方法論でしかなくて、そのベースとなるのはやっぱりその深い理解というか、そこがないとどんな小手先を使ってもうまく伝わらないというか、いいものにならないはずです。その場限りの映像、簡単に消費される映像になる。誰の心にも残らないんじゃないかなと思います。

麻里子の教室:大石さんが親友のために制作したブライダルビデオ。「アクサダイレクト生命 寿ビデオ大賞」で大賞を受賞。
某ウェブコンテンツのCM:2015年に大野大樹監督と大石監督のダブルディレクター体制で制作した、出産からの復職を祝うサプライズ作品。一つの作品を2人の監督が担うことは少ない。
大野大樹:Club A 所属の映像ディレクター。AOI Pro.時代では、大石さんの二つ後輩にあたる。
セカンドディレクター:撮影日数が多かったり規模の大きな作品の場合に起用される、監督の右腕となる職種。

ただ目の前の人を喜ばせたい

佐藤ーーここからはまた話が変わって、最近のことについてお聞きしていきたいんですけど、まあ相談というか、自分も会社を創って、その中で広告に飽きたってことをよく口ずさんでたんですけど、本来的な映像制作のおもしろさというか、「大変な部分もあるけどみんなそれぞれ想いがある中で作っていく」ような、その「環境づくり」とかをするのが自分は好きだと、改めて原点回帰をしたんですよ。この時間ってよかったよねっていう、その一夏の思い出というか、あの時最高だったよねっていうのがあればいいなって、そういう最高の瞬間を求めることについてはどう思いますか?

大石 それを言うならやっぱり僕はサプライズ映像を作ることをおすすめしますね(笑)。

例えば「*響子先生への家族授業」を撮影したあの日ってすごい尊い思い出だし、その時カメラ持ちながら味わった感動ってほんっとに永遠のものだと思っています。心震える瞬間でした。

あんな日がまた来て欲しいって思いますね。

それが広告であれ、ブライダルであれ、ドキュメンタリーであれ、関係なくて、その瞬間目の前の人たちが笑顔だったらすごくハッピーで、その場の想いが強ければ強いほど人に伝わるものはあるんじゃないかなって思いますね。

佐藤ーーそこからは演出の落とし込みというか、パッケージにしていくのって、やっぱり難しいし、やりがいがありますよね。この純度が高い、鮮度が高い、感情が動きまくった様子をじゃあどう伝えたらいいのかっていうのはすごいやりがいですよね。料理しがいがあるというか。

大石 ありますね。もう「響子先生の家族授業」の撮影の帰りなんかは一人ですごくウキウキしていましたね。家に帰ってすぐ素材をテレビに繋いで嫁と一緒に見て、「うわ、めっちゃ最高なの撮れたんだけど、超いいやん!これだけで泣けるわ!」って盛り上がってました。すっごい楽しかった(笑)。
こういう思いがあるかないかって映像の本質を作れるかどうかに関わるんじゃないかなと。

最高の瞬間に思いを馳せる大石健弘。

佐藤ーーその「本質をつくる」っていうのは結構キラーワードかもしれないですね。

大石 やっぱり自分自身で原体験を感じている方が深く理解できるし、映像を作る上でも自然と何が大事かわかってくるんじゃないかなと思います。火は熱いと理屈では分かっていても、実際に火を焚いたり触って覚えた熱さの方が遥かに熱いってことです。

佐藤ーーそのきっかけがあるだけでも違うと思うんですよ、例えば大野くんと映像を作った時のその発見とかも、自分ごと化してしまえば、「僕もやってみたいな」、「やってみようかな」って思いますね。あくまであれはあれって決めちゃって、距離を置く人っていうのはなんかちょっとつまらないというか。

大石 今だから言えますけど、当時は大野くんとの仕事も相当なプレッシャーで、夜も眠れず、逃げたいと思う時もありましたよ(笑)。でも、逃げずに立ち向かっていたら、いつのまにか世界が変わったみたいな。そういうのを初めから狙っているわけじゃなく、目の前にきたチャレンジをがむしゃらにやってみると世界は変わりえるんだと思います。それはきっと誰だってそうで、そのきっかけを掴むには自分の想いをとりあえず人に伝え続けることだと思いますね。自分で言うとそれが「ディレクターをやりたい」っていう想いで、大野くんにもその想いは伝わっていたように思います。

佐藤ーーそうなんですよね。それで、案外こういう「本質をつくる」っていうキラーワードみたいなものって抜き出したくなるんですけど、文字にして抜き出すと突然陳腐というか、そこにいく前の助走である原体験、それが案外本質なんですよね。映像でその助走から得たものを形にしないと、「これは何を伝えているんだっけ」ってなりがちというか。伝わらないとそれはそれで悲しいんですよね。あついですね、「本質をつくります。そしてサプライズで」って。人を喜ばせるところにテーマがありますね。

大石 僕にとっては生きることと、人を喜ばせることって繋がっていると思っていて、どんな仕事であれ、その仕事って本当に誰かを喜ばせているのかっていう問いをたてると何が大事なのかわかってくるというか。それが結果本質なんじゃないかみたいなことを思いますね。

佐藤ーー僕は関わった人に対して、全員が全員とはもちろん言わないけど、こいつやるなって思わせたいっていう想いがあって、じゃあどうするかっていうと、相手が喜ぶのを見るんですよね。めっちゃ見る。小出しにしながら。どこに噛み付いてきたとかを観察するんですよ。でもそれってコミュニケーション上の回り道なんですよね。制作部だった時の長い脳みそというか、実体験、経験からいろんなところにボールを投げたくなるんですよ。Aはこんな感じ、Bはこんな感じ、Cはこんな感じ。明らかにその人の考え方からしたらAしかないような時も、あえて、B、C、なんならDもぶつけると結構その人の感情や正解、やりたいことがより具体的になってくるように思いますね。でも、その上でさらに僕の方が考えてるんだっていうことをの常にアピールしていたかったですね。ちゃんと内容をよくするべく仕切り方を考えていて、それに対して意見が欲しいんですっていうのを伝えたいと言うか。それが得てして人を喜ばせることだったんだろうなって思いますね。

大石 それってお互いwinwinですよね。仕事をする上でwinwinを見つけられるってめちゃくちゃ大切だと思います。

響子先生への家族授業:2015年に制作されたウェディングサプライズ映像。AOI Pro.時代の大石さんの同期と後輩の結婚を祝して企画された。
SONY が主催するProfessional Movie Awardにて準グランプリを受賞。

人への感謝と映像制作への愛

佐藤ーー後期、いろいろお話を聞いて、ディレクターになれたというか、時間は結構かかりましたが、例えばこう、やめようかなっていうときはありましたか?この業界とか…。

大石 それはないですね、一切。

楽しいからですかね、やっぱり。撮影前に逃げたいと思っていても、いざ編集作業を始めるとそんなことも忘れて「楽しい〜」みたいな。

好きだからここにいるので他の選択肢がそもそも見つからないというか。他の仕事を始めたとしても映像作りは一生やっていると思いますよ。

佐藤ーーなによりもこの仕事に魅力を感じているってことですね。やりがいとかはどうですか?

大石 やりがいはすごくありますね。もちろん案件にもよりますが(笑)。

映像制作はルーティンワークがないし、関わる人も変わるので、もちろん居心地の良し悪しはそれぞれありますが楽しめています。

それにプライベートでも家族や子どもの映像を作っているくらいもう本当に心の底から楽しんでいるというか、自分の生き甲斐というか、『生きる=映像作り』みたいになっていますね。

今は映像以外でも好きなことを見つけたいです(笑)。趣味とかないから(笑)。

映像の仕事しかないことに危機感を感じてはいるので。好きなことが仕事になってるっていうのはありがたいですけどね。

佐藤ーーなるほど、それで言うと自分がここまでやってこれた理由って、何か具体的にあったりしますか?

大石 難しいけど、でも、「」もありますね。

自分から「何かをやらかそう」「ブライダルビデオを極めよう」みたいな自分発信っていうのは今までしてこなかったんですよ。たいてい受け身なんですね。本当に周りが導いてくれたおかげというか、いわゆる有名なスティーヴジョブズの言葉にある「点と点がランダムについていたけど、振り返ると全部線として繋げられた」みたいな。

それをさらに紐解くと高校生くらいに映画を作るっていうチャレンジができたおかげかもしれません。

それはもしかしたらその高校に入ったことかもしれないし、映画作りを後押ししてくれた友達の存在があったからかもしれない。当時映画を作るってなった時に周りからの批判というか、「そんなのできるわけないよ」みたいな野次がめちゃくちゃあって。映像作りがまだまだ相当マイノリティな時代だったんですよね。放課後にビデオカメラを持って撮影していたら「キモいな!」って言われるとか(笑)。「キモい」は褒め言葉だって自分に言い聞かせていました。

ただ、おもしろがって一緒に撮影や出演をしてくれた友達は少なからずいたんです。そういう存在が高校時代、大学時代もいて、その友達がいなかったらどこかで辞めていたかもしれないと思いますね。僕とかその上の世代の映像業界の人たちは、みんな似たような経験があるかもしれませんね。今となっては映像制作がメジャーになって、若い子はみんなやっているし、将来就きたい職業だって人も多いですよね、ユーチューバーとかのおかげもあるとは思うんですけど。

佐藤ーー今の話に結局集約するのかもしれないですが、自分が頑張れば頑張る分だけリターンももちろんあるし、評価も得れるみたいな中で、1人の個の力っていうのと、さっきのチームのような力ってどう考えていますか?

大石 いや、もちろん、チームの方がいいと思ってますね。1人って結構辛い瞬間もあるし、悩んでも共有できないですからね。だから結婚したんですけど(笑)。

佐藤ーー基本は奥さんと相談、というかコミュニケーションをとってっていう感じですか?

大石 っていう風に思ってたんだけど、子どもができるとそういう時間もなく映像の話はあんまり興味持たれずみたいな(笑)。まあ、そりゃそうですよねって(笑)。

佐藤ーーじゃあ、話すのは奥さんっていうよりは大野くんってことですかね(笑)?

大石 そうかもしれません。大野くんとは割と色々話せる機会もあるし、何かしら定期的にあるから、その時に自分が抱えてる作品や悩んでることを相談して意見もらったりとかを結構してますね。

コンテを見せて大野くんだったらどう撮るかとか、具体的なことまで腹を割って話しています。

佐藤ーー相談相手というか、話し相手って本当に大事ですよね。やっぱり自分1人だとおもしろくないんですよね。制作部に入ってちょっとして一回やってみようって思う時期があって、やってみたら全くおもしろくなかったですね。基本人といる時間を選ぶというか。それがあるからこそ1人の時間が際立つと思いましたね。人と話すっていうのはめちゃくちゃ大事ですよね。

大石 本当に大事だと思いますね。

編集であれ企画であれ人生であれ気になったことは、ささやかな出来事でもいいから人と話す方がいいです。

佐藤ーー今、オンラインサロンなり、チャットツールとかも増えて基本的に電話コミュニケーションっていうのをあまりしなくなった中で、「繋がり」についてどう考えますか?

大石 そうですね、繋がらなすぎて少し麻痺しちゃいましたね(笑)。全然飲み会も行かないですし、そもそも誘いがほぼないです(笑)。

佐藤ーーじゃあ、ちょっと志向を変えて、飲み会って好きですか?あったほうがいいと思いますか?

大石 ちょうど今月久々の飲み会があったんですけど、ディレクターや若いドキュメンタリー作家がいて、いろいろ巻き込まれるというか、それによって考える熱量が上がったんです。対面じゃないとわからないものを感じました。ちょっと自分も頑張ろうって思ったんですよね。目の前の人たちの「頑張りの声」を聞くのは定期的に必要だと思います。

佐藤ーー基本的には話したい人と話して自分の中で整理をつけて、そういうコミュニケーション取れる人たちから結構定期的に自分が刺激を受けられる場、それが飲み会って場だって思うんですよね。形ってだけでこういう風に会うっていうのも全然必要だし、人と話していると結構もっていかれるというか。アイディアも湧きますし。

大石 言葉のキャッチボールじゃないと生まれない何かってありますよね。自問自答よりも、自分の発することに対して相手が反応してくれたものって、やっぱり化学反応っていうか、生まれるものって全然変わると思います。

佐藤ーー自分って結構たかが知れてるんですよね。向き合って話してるこの瞬間っていうか、喋ってた方がいくらでも出ますし。多分聞いて考えるんだと思います。自分のストックというか引き出しから出そうと。

大石 それこそ大野くんと喋った日にはめっちゃ自分のレベルが上がった感ありますね。もちろん誰とでもいいって話じゃないんですけど、数ヶ月に一回は絶対そういう機会があった方がいいかなって思います。そういう場が自動的にあるのがいいんですけど。

シングメディアナイト!シングナイトvol.1,2とかどうです(笑)?

佐藤ーーナイトとうか夜会というか、それ一個やりたいんですよ。

大石 シングな夜を作ると。

佐藤ーーそこにじゃあ、絶対参加ということで(笑)。

大石 ぜひ参加しますよ(笑)。レギュラーメンバーで(笑)。

佐藤ーーレギュラー欲しかったんですよね(笑)。結局、これからどうするとか、今どうしているとかをちゃんと真剣にぶつけ合うっていうのは凝り固まった頭をほぐす役割があって、こうやって話してるのもなんかいいなって思いますね。自分1人でやっていると同じ感じでしかできないというか、幅が狭いというか、嫌なんですよね。同じことをやりたくない。アプローチはそれぞれ違うと思っているので。結局アウトプットとしてはちょっとエモっぽくしようとか必殺技はあるにせよ、なんかちょっと超えていきたいんですよね。『刺激』ですね。繋がりというか『刺激』

大石 普通にみんなこれからどうするつもりなんだろうなっていうのは気になります。この職業ってこのまま続いていくんだっけとか、そういう現実的なキャリアについて周りの考えを知りたいし、これからをワクワク楽しみたいので。だからみんなと未来を語る場があればいいなと思いますね。

「人を喜ばせるための映像を作る」という自分の存在意義に加え、ディレクターとして、「対象」に対する深い理解を持つことの重要性に気づいた大石さん。

まだ自分の存在意義を模索している私にとってこれはとても大きなヒントになったように思う。

映像制作をはじめとしたものづくりの本質は、実際に「人を喜ばせる」というところにあると思う。それはこうして文章を書いていても本当に実感することだ。

「誰かに何かを伝えたい」「誰かを元気づけるような、喜ばせるようなそんなメッセージを届けたい」。

何かをつくったり成し遂げたりするその先には常に「人」の存在があって、私たちは必死にその「人」に何かを届けようと「もがく」のだと思う。

その「もがき」には、大石さんの言うようなベースの「深い理解」がなければならないし、もちろんそのベースを作るためにたくさん人と話して「刺激」をもらわなければならないのだろう。

私のように、まだ自分の「存在意義」に気づけていない人がきっとたくさんいると思う。この記事は、そんな「人」にこそ読んで欲しい。そんな「人」にこそ伝えたいのだ。

次回の「#ぼく旗」もお楽しみに。


シングメディア×Happilmーー地域活性化プロジェクト始動…!?

今回インタビューをさせていただいた大石さんとシングメディアがタッグを組んであなたの住む地域の活性化を行います!

日本は今、人口減少や地方過疎化といった様々な問題を抱えています。

そんな時我々は思いました。

もっと日本をよくするために、我々が今できることはなんだろうか…。

「映像のチカラ」でなんとかできないだろうか…。

と、いうことで少しずつ動き出したこの企画。

テーマは「サプライズ」!

その様子は随時シングメディア上で発信していきます!

乞うご期待ください!

大石健弘個人サイト

今回インタビューさせていただきました大石さんの作品集はこちらから。

WRITTEN BY
高橋朋佳

株式会社ダダビのPR。クリームソーダとロックがすき。パンクに生きたい。現在シングメディアで修行中。