コメディ映画

クリスマスが近づくと見返したくなる映画『ホーム・アローン』の二度見ポイント! ケビンの意外な一面を映したシーンとは?【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:1991年
製作国:アメリカ
上映時間:103分

監督:クリス・コロンバス
脚本:ジョン・ヒューズ
製作総指揮:マーク・レビンソン、スコット・ローゼンフェルト、ターキン・ゴッチ
出演者:マコーレー・カルキン、ジョー・ペシ、ダニエル・スターン、ジョン・ハード、ロバーツ・ブロッサム、キャサリン・オハラ

あらすじ:

ある一家が総出でパリに行くことになった。ところが息子のケビンだけは、出発のどさくさで、独り屋敷に取り残されてしまう。初めての一人暮らしに浮きたつケビン。そんなおり、留守だと思った二人組の泥棒が屋敷を狙ってきた。ケビンは家を守るため、男たちの撃退作戦に出るが……。M・カルキン坊やを一躍人気者にしたドロボー撃退ムービー。

『ホーム・アローン』予告編

『ホーム・アローン』シングメディア編集部レビュー

光り輝くライトアップに包まれ、街がいつもとは違う表情を見せるクリスマスシーズン。そんな心躍る時期がくると、ふと見返したくなるのが、クリスマス映画としてもおなじみの『ホーム・アローン』です。

コメディ作品でありながら、最後には心が温まり、家族の絆についても考えさせられる今作。今回は、クリスマスシーズンの鑑賞にぴったりな『ホーム・アローン』の二度見ポイントについてご紹介します。

『ホーム・アローン』の二度見ポイント1:ここぞというときに切り替わる、ケビン視点のカメラアングル

今作では時折、カメラアングルが主人公・ケビン視点からの映像に切り替わる瞬間があります。このカメラアングルの切り替えにより、ケビンの心境がひしひしと伝わり、まるで一緒に冒険しているかのような気分が味わえるのです。

万引きをして警察官から逃げる瞬間はスリル満点

たとえば、ケビンが雑貨店に歯ブラシを買いに行ったときのシーン。突然、背後から近所で殺人鬼と噂されているマーリーが現れ、驚いたケビンは支払い前の歯ブラシを手に持ったまま、警察官から逃げることになります。

この時、映像がケビン視点のアングルに切り替わるのですが、自分よりも背が高い大人たちの足元をくぐりぬけていく視点は、何とも迫力があります。緊迫するBGMも相まって、ちょっとしたスリルを感じられる瞬間になっています。

恐怖をあおられるツリーハウスまでのジップライン

また、今作の終盤では、家に侵入してきた泥棒2人を自作の罠でこらしめ、終始上機嫌だったケビン。とはいえ、まだ8歳の男の子です。お手製のジップラインで、2階の窓から向かいのツリーハウスに渡るときは、さすがに恐怖心にかられます。

窓に足をかけ、地面までの高さとツリーハウスまでの距離を見る瞬間、カメラアングルがケビン視点に変わるのですが、大人であっても足が震えそうな状況です。高所恐怖症の方であれば、絶対に渡れない。ケビン視点を通すことにより、ラストのツリーハウスまでの仕掛けがさらに緊張感あふれる展開へと変わります。

ケビンの心境がひしひし伝わる夜道のシーン

そして、何度見ても涙を誘われそうになるのが、サンタクロースに「プレゼントはいらないから、家族を返して」と伝えに行った帰り道のケビン視点です!寂しそうに夜道を歩くケビン。ふと、にぎやかな雰囲気に目を向けると、そこには今からクリスマスパーティを行うであろう、とある家族の姿がありました。

切なそうな表情を見せるケビンですが、次の瞬間、映像は窓を通して家の様子を見つめるローアングルのケビン視点に変わります。一切セリフはないものの、ケビン視点を通して鑑賞することにより、「僕の家族だけ何でいないの?」という彼の心境がひしひし伝わってくるシーン。笑い溢れる今作の中でも、数少ない感動の瞬間になっています。

カメラアングルの切り替わりにご注目を!

ここぞという瞬間で、ケビン視点からのカメラアングルに切り替わる今作。子どもの視点から作品の世界観を除くことにより、鑑賞側はよりケビンの心境に寄り添うことができます。二度見では、そんなカメラアングルの切り替わりにもご注目ください!

『ホーム・アローン』の二度見ポイント2:演技がアドリブかわからない、ケビンのお茶目なシーン

皆さんご存知の通り、今作の主役・ケビンはオーディションで選ばれ、天才子役と呼ばれた俳優のマコーレー・カルキンが演じています。作中でアドリブを披露するなど、天才子役と呼ぶにふさわしい逸話を持つ彼ですが、なかには演技かアドリブかわからない子どもならではのお茶目なシーンも多々あるのです。

ひとりだけピザにテンションがあがる

作中の冒頭、翌朝からパリに出かけるマカリスター家は、夕食にデリバリーのピザを注文します。15人分のピザが到着すると、続々と子どもたちがダイニングへと集合するのですが、その様子は「さっさとピザを食べて明日のために休みましょう」と言わんばかりのテンションの低さ。特にピザを心待ちにしている感じではありませんでした……が!

末っ子のケビンだけは、2階からものすごいテンションで降りてきます。まるで勝利のゴールを決めた後かのように、右こぶしを高く掲げ、「ピザ!ピザ!ピザ!」と3回も連呼しながらダイニングへと走っていきます。3回目のピザに関しては、興奮しすぎて「ピゾォアアア!」と、もはや別の単語になっています。家族のなかでひとりだけピザと聞いてテンションのあがるケビンの姿は、何度見返しても癒されます。

テンションがあがりすぎてなぜか真顔になる

ケビンを取り残した(忘れた)まま、パリへと出かけた家族ですが、当のケビン本人はというと、うるさい家族がいなくなったことでお祭り騒ぎ状態。口うるさい親や兄弟がいるときにはできない遊びを、ここぞとばかりに楽しみます。

ベッドで飛び跳ねながらポップコーンを食べたり、大声を出して家中を走り回ったりと、やりたい放題ですが、よく目を凝らしてみると、どの瞬間も必死の形相を浮かべています。あまりにも楽しすぎてなぜか真顔になってしまうという謎の現象。そんなケビンの姿を見ていると、このシーンは演技ではなく、心から本当に楽しんでいる、ほぼアドリブ状態だったのではないかと思わされます。

泥棒が連行されるときの嬉しそうなドヤ顔

作中終盤、無事に捕まった泥棒2人が警察に連行されるシーンでは、家の中から嬉しそうな様子で眺めるケビンの姿がありました。

この瞬間、泥棒のひとりであるハリーと目が合ったときのケビンのドヤ顔にご注目を!憎らしいのに可愛いという、絶妙なドヤ顔でハリーに向かい手を振っているのです。この何とも言えないドヤ顔は、子どもだからこそ出せる表情だと思っています。繰り返し何度見ても可愛いケビンのドヤ顔は、見返すたびに癒される瞬間になるはずです。

ケビンの愛らしい瞬間は必見!

2人の泥棒を退治したり、マーリーの悩みに向き合ったりと、大人顔負けの姿を披露しながらも、ときに子どもならではの愛らしい瞬間を見せてくれるケビンの演技。二度見する際は、そんなケビンの演技かアドリブかわからないお茶目なシーンも必見です!

『ホーム・アローン』の二度見ポイント3:90年代アメリカのクリスマス風景が懐かしくも美しい

今作は90年代のアメリカ映画ということもあり、作中では当時の暮らしがよくわかるシーンも多々登場しています。おまけに舞台の季節はクリスマスシーズン!何回も見返して飽きてしまった方には、90年代アメリカのクリスマス風景を目に映す鑑賞方法がおすすめです。

儚げな美しさを醸し出すライトアップ

現在では、ユニークな置物が増えたり、点滅のバリエーションが豊富だったりと、自由度が増した住宅のライトアップ文化ですが、作中では家の外観や庭木のみに電飾をつけるという、当時ならではのライトアップを楽しめます。派手なライトアップもきれいですが、夜道にそっと浮かび上がるシンプルなライトアップも、どこか儚げな美しさを醸し出しています。

特に中盤に登場するサンタの家は、住宅街のライトアップとは、また一味違う雰囲気を楽しめる必見ポイントです!

お店に置かれた懐かしのクリスマス雑貨

ケビンがひとりで出かけた雑貨店やスーパーマーケット。一見、何の変哲もない海外のお店なのですが、よく鑑賞してみると、レジ回りがクリスマス仕様に飾られています。このレジ回りの様子をじっくり見てみると、意外と楽しいポイントがたくさんあるのです。

たとえば、雑貨店のレジ回りでは、クリスマスのピンバッチやベーシックタイプのサンタ人形など、ここ最近は見かけなくなった商品が売られています。また、スーパーマーケットのシーンをよく見ると、クリスマス関連のお菓子作りの本や手芸の本が並べられた回転ラックがさり気なく映っているのですが、この本の表紙が、まさに当時の雑誌!と言わんばかりの雰囲気を出しているのです。

90年代に子どもだった方や、ちょうど子育て真っただ中だった方であれば、思わず懐かしいと感じてしまう小物の数々は、見ているだけで楽しい気分になってしまうはず。

心躍るホワイトクリスマスの朝

今作一の感動シーンでもある、ケビンと家族の再会。このラストシーンのホワイトクリスマスの映像は、何度見返しても心が躍ります。

ケビンが朝目覚めると、窓の外は一面の雪景色。そして彼が玄関先に向かったシーンでは、画面いっぱいにマカリスター家の屋根や庭に雪が積もる映像が映し出されます。この瞬間の映像が、まさに海外のホワイトクリスマスの朝!といった感じで、見ているだけでワクワクしてしまいます。一緒に流れるきれいなクリスマスソングのBGMが、また良い味を出しているのです……!雪がしんしんと降り積もる住宅街の様子は、子どもに戻ったかのようなドキドキを思い出させてくれます。

当時のクリスマスムードを楽しもう

クリスマス作品でもある今作には、美しい景色や心躍る舞台が盛りだくさん。繰り返し見返している方は、あえて当時のクリスマスムードを楽しみながらの鑑賞を!

クリスマスの二度見鑑賞は『ホーム・アローン』で

温かい気持ちにさせられる映画『ホーム・アローン』は、30年以上経った今も、毎年クリスマスが近づくと見返す方が多い作品です。クリスマス当日、家族や恋人、友人とゆっくり家で映画鑑賞をしながら過ごす予定の方は、ぜひ、今作を大切な人と一緒に見返してみてはいかがでしょうか。

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WRITTEN BY
シングメディア編集部

映像・動作制作を手掛けるTHINGMEDIA株式会社のメンバーで構成しています。制作現場で得た映像・動画の知見をお伝えしていきます。