こんにちは、シングメディア編集部です。
Webメディアが発展するに伴い、広告媒体としての役割も大きくなってきている中、訴求効果が高い動画広告は、特に注目されている手法です。そんな中で、次のような疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。
「動画広告の媒体がいろいろあってどれを選ぶべきかわからない」
「自社にとって最適な動画広告の媒体はどれだろう?」
「動画広告の媒体ごとにそれぞれどんな特徴があるのだろう?」
そこで今回は動画広告を出稿しようと考えているマーケティング担当者や経営者向けに、「動画広告媒体選びのポイントや各メディアの特徴」をご紹介します。
動画広告とは
動画広告とは、動画クリエイティブを使用した広告のこと。テレビCMや電車内で流れる広告なども含まれますが、一般的にはWeb上で目にする動画広告を指すことが多いです。
動画広告には複数の種類があり、それぞれに特徴があります。
動画広告の中でも多くの人が目にしているのが、YouTubeの動画コンテンツを視聴する際に冒頭や合間で流れる動画広告。6秒や15秒~30秒程度の長さのものが多いです。
なお日本における動画広告の市場は急速に成長しており、広告フォーマットの中でも需要が大きくなっています。
電通/電通デジタルが国内の広告費について調査した「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」の発表によると、インターネット広告媒体の費用の中でも、動画広告が占めるシェアが2割にもなったということです。
この結果からも、動画広告は注目度の高い広告フォーマットだといえます。
出典:「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」 | CCI/D2C/電通/電通デジタル
動画広告のメリット
動画広告の市場が急速に拡大しているのは、動画広告に大きなメリットがあるからでもあります。
まず拡散の可能性が高いこと。さまざまな表現方法が可能な動画広告は、ユーザーに商品やサービスについて強く印象付けることができます。
ユーザーは印象に残った動画広告をSNSでシェアする傾向にあり、それがきっかけで多く拡散され、大きな広告効果をもたらすことがあるのです。
また動画広告は幅広い層に訴えられるというのもメリット。SNSやWebサイト、店頭などいろいろな場所で配信できるため、それだけ多くの人の目に触れる機会が多くなります。
動画であれば言語表現に頼らず、映像や音だけで情報を伝えることができるため、外国の方などにも訴求可能なのです。
さらに商品やサービスの魅力を伝えやすいというのも動画広告のメリット。音や動きで静止画よりも多くの情報を伝えられる動画広告では、商品やサービスの魅力・イメージをよりわかりやすく伝えることができます。
動画ではさまざまな表現や演出方法が可能なため、ユーザーが商品やサービスについての理解を深めやすく、自分が実際に利用しているシーンをイメージしやすくなるため、購入促進にもつながります。
動画広告のデメリット
動画広告にはメリットだけでなく、デメリットと捉えられる点もあるため理解しておきましょう。
まずクリエイティブ制作に費用がかかるということ。動画にはさまざまな工程があり、出演者や使う機材、カメラの台数、演出方法などによって多大な費用がかかってしまうこともあります。
制作費と時間がかかるため、予算やスケジュール確認をしっかりおこなうようにしましょう。
また動画広告はスキップされる場合があるというのもデメリットとして挙げられます。再生されたとしても冒頭でユーザーの心を掴めなければ、スキップされて最後まで見てもらえないことも少なくありません。
そのため冒頭でユーザーの心を掴む工夫が必要となります。
動画広告はクオリティ次第で効果が変わるというのもデメリットとして捉えられるでしょう。
動画がつまらなかったり誰かを不快にさせる内容だったりすると、商品やサービス、企業のイメージまで悪くなってしまう可能性があります。
動画広告の課金形態の種類
動画広告の課金形態には、「CPM課金」「CPC課金」「CPV課金」という3種類が存在します。それぞれの特徴について見ていきましょう。
CPM課金はインプレッション型の課金形態で、動画広告が1,000回表示されるごとに課金されるのが特徴です。表示回数が多くなるほどコストパフォーマンスが高くなります。
注意点として、ユーザーが動画をクリックして再生しなくても、表示されるだけで課金されるということを覚えておきましょう。
CPC課金はクリック型の課金形態で、動画広告のリンクが1クリックされるごとに課金されるのが特徴です。ユーザーが興味を持ってクリックすることによって課金が発生するので、費用対効果が高くなります。
ただしCPCは入札制であり、競合他社が多くなるほどコストが増えることに注意。タイミングをはかって課金するようにしましょう。
CPV課金は視聴型の課金形態で、動画広告が1回再生されるごとに課金されるのが特徴です。ユーザーが動画を一定秒数視聴することで課金されるため、コストパフォーマンスが高いといえます。
ただし配信媒体によって再生回数の定義や細かい条件が異なるため、課金発生のタイミングを事前に確認しておくようにしましょう。
動画広告媒体はどう選ぶ? 選び方のポイントを解説
動画広告を出せる媒体は複数あり、どれを選べばよいか迷うところでしょう。とはいえやみくもに出稿しても効果が出なければ意味がありません。
効果が出せる媒体を選ぶために、ここでは動画広告を選ぶポイントを解説していきます。
アクティブユーザー数は十分か?
動画広告を出稿する媒体を選ぶ際に重要な選定ポイントとなるのが、アクティブユーザー数です。
アクティブユーザー数(AU:Active Users)とは、特定の期間内にサイトを訪れた、あるいはサービスを利用したユーザーの数のことを言います。
計測する期間によって呼び方が異なり、1日あたりのアクティブユーザー数なら「DAU(Daily Active Users)」、1週間あたりのユーザー数なら「WAU(Weekly Active Users)」、1か月あたりのユーザー数なら「MAU(Monthly Active Users)」となります。
たとえば、DAUが1000のサービスと10000のサービスを比較すると、単純計算で広告を目にするユーザー数が1日あたり10倍も違うのです。
広告効果を高めて集客増・売上増をはかる場合、媒体のアクティブユーザー数のウエイトはかなり大きいと言えます。そのため媒体を選ぶ際には、それぞれのアクティブユーザー数を比較することも大切です。
ユーザーの属性や年齢層は?
動画広告媒体を選ぶ際には、媒体ごとのユーザーの属性や年齢層を確認しておくことも大切なポイントです。
動画広告を配信する媒体によって、ユーザーの男女割合や年齢層が異なりますから、自社の商品・サービスのターゲットと合った媒体を選ばなければなりません。
たとえばFacebookはInstagramに比べて年齢層が高く、ビジネスマンが多いという特徴があります。そのためビジネス関連の商材なら、ターゲットとユーザー層が一致しているFacebookが向いています。
逆に女性向けの商品やサービスなら、女性ユーザーの割合が高いInstagramが第一候補となるでしょう。
若年層に支持されているTikTokは、ターゲットが若い世代なら広告効果は高くなります。
Twitterは幅広い年代のユーザーがいるため、年齢を問わず幅広くリーチできるのが魅力です。
リーチしたいユーザー層の割合が低いと広告効果も下がり、余計なコストがかかる恐れがあるため、媒体ごとのユーザーの傾向は、動画広告を出稿する前に必ずチェックしておきましょう。
広告フォーマットは何か?
動画広告媒体を選ぶ際には、広告フォーマットの種類もチェックしておきましょう。
広告フォーマットには、大きく分けて「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」があります。
インストリーム広告は視聴者が見ようとしている動画が再生される画面内に表示される広告のことを指し、アウトストリーム広告は動画画面の外側で表示される広告のことを指します。
インストリーム広告のうち、ユーザーが動画コンテンツを再生しようとすると、その前に再生される「プリロール動画広告」がこれまで主流でしたが、現在は動画の視聴中や視聴後に広告を流す手法も増えてきました。
また動画広告には数秒後にユーザーがスキップ可能な「スキッパブル広告」と、スキップできない「ノンスキッパブル広告」があります。
媒体によって、バナー枠に表示される「インバナー広告」や、ユーザーが見ているWebページのメインコンテンツ内に表示される「インリード広告」なども用意されています。
Webページのコンテンツとコンテンツの間に表示される「インフィード広告」や、ユーザーがWebページをスクロールしただけで表示される「インスクロール広告」など、表示方法の細かな違いで呼称が変わるので、媒体を選ぶ際にはその点の違いにも注意したいところです。
商品・サービスとマッチした媒体か?
動画広告媒体を選ぶ際には、自社の商品・サービスとマッチした媒体かどうかを確認するのも大切なポイントです。
ユーザーの性別や年齢層がターゲットと合致していても、商品に興味や関心を持ってもらえなければ広告効果は小さくなってしまいます。
コンテンツに没頭したいユーザーに、まったく興味のない広告を見せても「邪魔」だと思われるだけで逆効果でしょう。
たとえばソーシャルゲームのアプリ内広告として、仕事や勉強関連のサービスについて宣伝するのは不向きである可能性が高いです。
また商品・サービスと媒体との相性もあります。食品や生活雑貨のようなニーズ型商品や、他社でも同様のものを扱っているサービスは、TwitterなどのSNSで動画広告を出しても効果が得られにくいという特徴があります。
何かを購入しようと考えているとき、SNS上でわざわざ特定の商品名で検索したり似ている商品を比較検討したりするよりも、ECサイトなどを使って検索するほうが自然だからです。
広告料や課金形態は?
動画広告媒体を選ぶ際には、広告料や課金形態についても理解しておくことが大切です。
媒体によって、1000回再生ごとに課金される「CPM(Cost Per Mille)」や、一定時間の視聴ごとに課金される「CPV(Cost Per View)」、動画広告をクリックするごとに課金される「CPC(Cost Per Click)」という課金形態があります。
YouTubeのインストリーム広告のうち、スキッパブル広告の課金形態を一例として見てみましょう。
ユーザーが「30秒以上の動画を30秒間視聴」「30秒未満の動画を最後まで視聴」「動画広告のリンクをタップ」のいずれかをおこなうと、CPVとして課金が発生します。
ユーザーが動画をスキップすると再生回数がいくら多くても広告料はゼロとなります。CPMは発生しません。
こうした課金形態をしっかり理解して選ぶと、広告コストを抑えることにもつながります。
動画広告のおすすめ媒体5選
動画広告を出稿するなら効果の高い媒体を選びたいというのは誰もが思うこと。選定の基本はアクティブユーザー数ですが、ユーザー属性や課金形態も考慮に入れておきたいところです。
動画広告出稿先の最優先候補として、5つのおすすめ媒体とそれぞれの特徴をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
Youtube
まずはもはや知らない人はいないと言っても過言ではないYouTube。国内の月間アクティブユーザー数は6500万人以上、世界では20億人を超える(2020年)世界最大級の動画配信サイトです。そのユーザー数の多さから、圧倒的なリーチ量を誇るのが特徴となっています。
Google広告を通して出稿するため、広告フォーマットを細かく設定できるのも大きな魅力です。
世界中に圧倒的多数のユーザーがいるため、「多くのユーザーにリーチしたい」「なるべく広告コストを抑えたい」という場合に適した動画広告媒体と言えます。
また広告フォーマットのユーザビリティーが高く、効果的に動画広告を流せるのも特徴です。
ただし動画広告が審査で通るまでに時間がかかることもあるため、すぐに配信したいという場合には注意が必要となるでしょう。
ユーザーが自分でスキップできないノンスキッパブル広告はユーザビリティーを下げて逆効果になる可能性があるため、使いどころは慎重にしましょう。ユーザーをイライラさせてしまうと、企業や商品に対する評価を下げてしまうことにもなりかねません。
動画広告のフォーマットとしては、数十秒から数分間の動画広告を配信可能な「TrueView インストリーム広告」、広告動画終了後にフレーズとバナーを表示してアクションを促す「TrueView アクション広告」、6秒未満のスキップできない「バンパー広告」があります。
ほかにもYouTube検索ページと動画再生ページ、そしてモバイルアプリのトップページに広告が掲載される「TrueView ディスカバリー広告」や、モバイル専用広告でGoogle動画パートナー上のWebサイトやアプリに掲載される「アウトストリーム広告」、YouTubeのトップページ上に掲載される「マストヘッド広告」といった広告フォーマットもあるので、目的と用途に合わせて選ぶことが大切です。
LINE
次にご紹介するのは、LINEです。LINEはコミュニケーションツールとしてだけでなく、動画広告を配信する媒体としても人気。
国内の月間アクティブユーザー数は8600万人以上、アクティブ率は、日間・月間ともに85%という高さを誇るのが特徴です。
世界の月間アクティブユーザー数は2億1,700万人以上で、日本以外の主要国は台湾、タイ、インドネシアとなっています。
日本国内では圧倒的なシェアを誇るため、ユーザー層も幅広く、多くのユーザーにリーチできるのが魅力。
課金形態は広告表示1000回ごとに課金されるCPMとクリックごとのCPCとなっています。広告枠はメッセージ配信とタイムライン投稿のそれぞれにあるのが特徴です。
LINEの「Smart Channel」はアクティブ性の最も高いトーク画面上部に表示できますが、ユーザーが自分の意志でタップしないと再生されないというデメリットもあります。
またLINEは主機能のメッセージアプリのほか、「LINE BLOG」「LINE マンガ」「LINE NEWS」「LINEウォレット」などの連携コンテンツが複数あるのも魅力。
各コンテンツでメインのユーザー層が異なるため、ターゲットに合ったコンテンツへ動画広告を出稿できます。ただしそこを見誤ると効果が出にくいので注意が必要です。
国内向けの広告には強いですが、アジア圏以外の海外ユーザーへのリーチは難しい点、広告の審査が厳しめという点にも注意しましょう。
3つめにご紹介するのは、Twitterです。総務省が発表した2020年1月の資料では、日本のTwitter利用率は38.7%となっており、単純計算でアクティブユーザー数は4,900万人となります。世界で見るとユーザー数は3億3,500万人程度(2018年時点)です。
そんなTwitterは10代〜20代の若年層ユーザーが多いという特徴がありますが、年代層は比較的幅広く、著名人や各国の政府首脳も利用しており、注目度が高いのも魅力と言えます。
またリツイート機能による爆発的な拡散力を持っているのも大きな特徴で、拡散のしかたは1次拡散と2次拡散に分けられます。
2次拡散からはエンゲージメントに課金が発生せず、広告コストの大幅な削減が可能となるのが魅力です。そのため2次拡散を狙った戦略的な運用で高い費用対効果が望めます。
デメリットとしては、匿名性が強く、属性などによるターゲティングが難しいという点が挙げられます。
広告フォーマットは、「プロモ広告」「Amplify」「Twitterライブ」「Twitterテイクオーバー」などの独自のフォーマットで動画広告を配信できるのが特徴的。
課金形態はCPC、CPV、CPMのほか、エンゲージメントごとに課金されるCPE(エンゲージメント課金)があります。
・参考サイト:総務省|情報通信政策研究所|情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
4つめは、Instagram。国内の月間アクティブユーザー数は3,300万人(2019年時点)、世界では10億人(2018年時点)となっています。
TwitterやFacebookと比べると、リツイート機能やシェア機能などがないため拡散力は落ちますが、一方でInstagramのアクション率は85%と非常に高いのが特徴。そのためコンバージョンを意識したマーケティングには有効となります。
Instagramは長らく若年層の女性ユーザー比率が高かったこともあり、女性向けの動画広告を配信するならマッチ率が高いため、第一に選択したい媒体です。
ただ今では徐々にユーザー割合の男女差も小さくなりつつあります。年齢層も以前より上がってきているので、「女子受け」を狙わない動画広告の需要にも期待ができるでしょう。
Instagramの広告フォーマットには、タイムライン上で配信される「フィード広告」、ストーリーズ内で表示される「ストーリーズ広告」、発見タブと連携する「ディスカバリー広告」という3つがあります。
課金形態はCPC、CPV、CPM、アプリインストールごとの課金となるCMIとなっています。
広告の審査に時間を要する場合があるので、すぐに出稿したいという場合や期間限定のキャンペーンを行う場合などは、特に出稿タイミングに注意が必要です。
5つめはFacebookです。国内の月間アクティブユーザー数は2600万人(2019年時点)、全世界では23億7500万人となっています。
年齢層は40〜50代の割合が多く、ビジネスパーソンがメインです。
動画広告の出稿設定を細かく決められるため、ターゲティングの精度が非常に高いのが特徴。そのためターゲットに効率的にリーチすることが可能です。
ユーザーはビジネスパーソンが中心のため、中高年向けの商品やサービスを宣伝するならFacebookの優先度は高いと言えます。動画広告の視聴完了率も高く、大きな宣伝効果を見込めるでしょう。
逆に若年層ユーザーへのリーチはあまり期待できません。若年層を狙うのであれば他の媒体にしましょう。
また広告の審査には時間がかかることを見越しておくことも必要です。
広告フォーマットには、著名人などの投稿動画に埋め込まれる「インストリーム広告」、タイムラインに表示される「フィード広告」、ユーザーが投稿したストーリーズの間に挿入される「ストーリーズ広告」のほか、「プレミアム動画」「プレイアブル動画」というものもあります。
課金形態は、CPM、CPC、広告動画を最後まで再生、または15秒以上再生された回数で課金されるThruPlayとなっています。
動画広告を出稿可能なその他のメディア
おすすめの動画広告媒体5選以外にも、動画広告を配信可能な媒体があります。
商品やサービス、あるいはターゲットの属性によっては、ほかの媒体も組み合わせることでさらに多くのリーチを獲得できるので、利用を検討してみましょう。
予算との兼ね合いもありますが、なるべく複数の媒体で戦略的に動画広告を展開していくことが効果的です。
TikTok
TikTokの国内月間アクティブユーザー数は950万人(2019年時点)、世界で5億人(2018年時点)です。
ユーザー層は10〜20代の若年層が多く、女性ユーザーの割合が65%と高いのが特徴。そのため若年層の女性向けの広告なら訴求効果が非常に期待できます。
ただし世界的には全年代で男性の割合が高く、20代以上が6割を占めるため、将来的には日本も同様の経過をたどる可能性があることを覚えておきましょう。
またTikTokはユーザー自ら動画投稿をするSNSであるため、動画広告への抵抗感が薄く、エンゲージメント率も高い傾向があります。実際に、目標の500%近いエンゲージメント率を叩き出した事例もあるほどです。
さらにIMP保証によりコストを抑えることが可能なのも特徴的。
広告フォーマットが少なく、「起動画面広告」や「#チャレンジ(タイアップ)」はコストが高いというのも若干ネックになるところ。「インフィード広告」は画面全体を占有できるため訴求効果は大きくなります。
TikTokの特性に合わせた動画広告の作成や運用が必要になりますが、ユーザー層が偏っているので、ターゲティングがうまくいけば大きな成果が得られる媒体と言えます。
Yahoo!ディスプレイ広告
Yahoo! JAPANのWebサイトの訪問者数は、約9200万UU(2020年時点)。膨大なユーザー数がいるため、リーチ量も大きいのが魅力です。
主な提携サイトは、Yahoo!ニュースやヤフオク!、GYAO、クックパッド、Amebaなどとなっています。
ただしディスプレイ広告(YDN)は2021年6月23日にサービスを終了。今後は「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」(YDA)が利用可能です。
若年層の利用率は男女共に約8割で、若い世代への訴求効果も期待できます。精度が高い独自のターゲティング設定があるため、潜在的なユーザーへのアプローチもしやすいのが特徴。
広告フォーマットは「バナー(動画)」と「レスポンシブ(動画)」があり、キャンペーン目的で使い分けることになります。ディスプレイ広告(予約型)もありますが、別途契約が必要です。
課金形態はCPCとCPVのほか、ユーザーの視認領域に入ると課金されるvCPMがあります。動画広告の審査は比較的厳しい傾向です。
Googleディスプレイアドネットワーク
Googleは言わずと知れた、世界最大の検索サービス。Webサイトの訪問者数は、国内で約1億1500万UU(2020年時点)を誇ります。
そんなGoogleが運営するGoogleディスプレイアドネットワーク(GDN)は、アウトストリーム広告による広告配信サービス。対して、YouTube動画内の動画広告はインストリーム広告と呼びます。
Webサイトやモバイルアプリの広告枠に表示するもので、mixi、食べログなど200万以上の提携サイト(Google 動画パートナー)で配信可能です。
18~34歳の若年層では、男女ともGoogleによるリーチ率は年代人口の80%を超えています。全世代のリーチ率は56%です。
特徴としては、幅広いWebサイト、コンテンツでの動画広告配信が可能なこと。属性やコンテンツで細かくターゲティングし、潜在層へのリーチも期待できます。
課金形態は、広告面積の50%が2秒以上表示されると課金されるvCPMとなっており、審査は厳しめです。
YDAと併用すれば大きな効果が期待できますが、その分コストも大きくなるのがネックと言えます。
AbemaTV
AbemaTVの国内月間アクティブユーザー数は、1900万人(2019年時点)です。
ユーザーの半数以上が18〜34歳の若年層で、若者向けの商品やサービスの動画広告なら出稿を検討する価値があります。
特徴としては、広告視聴率が高く、15秒の動画広告における平均視聴完了率は88%。30秒でも85%という高水準を保っているので、訴求効果に期待できます。
視聴完了率が高ければ、それだけ認知効果も高まりますし、消費行動にもつながりやすくなります。
「CM配信」には、性別・年齢別で配信する「Demographic」、1チャンネルを1時間単位で自由にカスタマイズして配信できる「Zone」、指定番組のみで配信する「Program」の3つが用意されています。
「タイアップ企画」では、1分から5分のオリジナル長尺CMのほか、オリジナル番組制作や人気レギュラー番組とのタイアップといったプロモーションが可能です。
注意点としては、中高年ユーザーにはリーチしにくいこと、独自の掲載基準により出稿できないケースがあることが挙げられます。
TVer
TVerは、日本テレビ、テレビ朝日、TBS テレビ、テレビ東京、フジテレビが連携した公式テレビポータル。各局の番組を好きなときに楽しめるため人気が高いです。
国内の月間アクティブユーザー数は1,622万人(2021年時点)。月間番組再生数は1億回を超えます。
TVerの動画広告は、番組中に流すインストリーム広告で離脱が少なく、30秒のインストリーム広告の視聴完了率は84.6%にもなります。
民法コンテンツのため、無料動画投稿サイトよりもCMに対する安心感やスポンサー企業への信頼感が高いのも特徴。
ユーザー登録情報の性別・年齢・住所による精細なデモグラターゲティングが可能なのも魅力です。
番組カテゴリーを指定し、ジャンル別に横断した広告配信ができ、Public DMPからユーザーの職業や年収、興味・関心などのデータを取得し、多様なターゲティングが可能となっています。
課金形態はインプレッション保証型で、CM1本3.6円から。他に運用費が別途かかります。
アプリ内広告
国内でのモバイルアプリダウンロード数は、約26億件にものぼります(2020年時点)。そのためモバイルアプリ内で動画広告を配信する方法も有効です。
「ネットワーク型広告」でアプリ内にて動画広告を出すには、アドネットワークに登録しなければなりません。
アドネットワークには、Googleが運営するAdMobのほか、バリューコマースのAdLantis、TwitterのMoPub、ファンコミュニケーションズのNendなどがあります。
「運用型広告」の場合は、アプリ運営会社を通して特定のアプリで広告配信を行うことになり、「純広告型広告」は特定のアプリの広告枠を買い取る方式です。契約期間中はその枠で独占的に広告を掲載できます。
ゲームコンテンツでは「動画リワード広告」がよく利用されています。広告を視聴することでアプリ内報酬が得られるため、視聴完了率が高いのが特徴。
コミックアプリなどでは「インタースティシャル広告」という全画面型の動画広告が採用されており、アプリの起動時や画面遷移時に表示する配信形式となります。
動画広告で成果を上げるコツ
動画広告で成果を上げるためにはいくつかのコツを押さえておく必要があります。どんなことを意識すればいいのか、一つひとつ詳しく紹介していきましょう。
動画広告出稿の目的を明確にする
たとえば商品の購買促進、商品のキャンペーン周知、自社のブランディング、商品・サービスの認知度アップなど、ユーザーに動画視聴後、どのようなアクションを起こしてほしいのかを明確にしましょう。
目的を明確にすることでターゲットと伝えたいメッセージも明確になります。その上で目的とターゲットに最適な配信プラットフォームを決定しましょう。
広告フォーマットに合わせてクリエイティブを制作する
配信媒体によって広告フォーマットは異なるため、その広告フォーマットに合わせたクリエイティブを制作することも大切です。
たとえばユーザーが視聴後5秒経過すると自発的にスキップ可能となるYouTubeのインストリーム広告の場合、冒頭でユーザーの心を掴む工夫が必要になります。
冒頭でユーザーの共感を得るメッセージを伝える、インパクトのある映像で気を引くなどが有効です。
動画の終わりにCTAを設ける
CTA(Call To Action)とは、自社のWebサイトやショッピングサイトへの誘導、資料請求、アプリのダウンロードなどのアクションを促すボタン。
このボタンを動画の終わりに設置することで、ユーザーのアクション率が大きく変わります。
ユーザーの視聴環境を考慮する
たとえばユーザーが動画広告をパソコンから見ているのか、スマートフォンから見ているのか、音声が出る状態で見ているのか、音声をミュートにした状態で見ているのか、などを考えることが大切。
ターゲットとなるユーザーの視聴環境を考慮することで、音声がなくても内容が理解できる動画広告にする、スマホサイズを想定した動画を制作するなど、よりターゲットに刺さる動画広告にすることができます。
ストーリー性を意識する
ユーザーに共感してもらうことは、動画広告で成果を上げるためにも大事なことです。
ただ商品やサービスを紹介するだけでは、共感を生むことはできません。共感を生むためには、ユーザーが関心を持って視聴できるようなストーリー性を動画に持たせることが大切。
ターゲットの悩みに寄り添ってから、その悩みを解消する方法を提示するなど、ストーリー性をうまく取り入れるようにしましょう。
目的別のおすすめ動画配信手法
最適な動画配信手法は目的によって異なります。そこでこの段落では、目的別におすすめの動画配信手法をご紹介します。
認知
認知を目的とする場合は、動画自体が認知度向上という目的に向いているため、どの配信手法でも大丈夫です。
インバナー広告やバンパー広告、SNS広告、TrueViewインストリーム広告、マストヘッド広告といった配信手法の中から、ターゲットや商品・サービスに合ったものを選びましょう。
各種SNSやYouTubeのユーザー層を調べておくことが効果を上げるのに役立ちます。
関心
ユーザーの興味・関心を引くという目的のためにおすすめなのは、まずインリード広告。記事の間に動画が表示されるためコンテンツの一部のように見えて広告っぽさが薄まり、ユーザーに嫌悪感を持たれにくいのが特徴です。
またユーザーが視聴している動画に関連する広告が出せるというのが特徴の、TrueViewディスカバリー広告もおすすめの配信手法となります。
ユーザーの興味・関心に関連する広告となるため、興味を持って見てもらえる可能性が高いです。
さらに類似配信もおすすめの配信手法。これは特定のサイトを訪れたユーザーと類似しているユーザーへ広告を配信する手法で、自社サイトに関心があるユーザーと似たユーザーへ広告配信できるため、興味を持ってもらいやすいメリットがあります。
獲得
獲得という目的におすすめなのは、リマーケティング配信という手法です。これは一度自社サイトに訪れたユーザーに広告を出せるのが特徴となります。
自社サイトに訪れている=すでに自社の商品・サービスに興味があるユーザーということになるため、その人たちへ向けて再度広告を配信することによって購入などを促すことが可能となるのです。
動画広告の効果分析に役立つ指標
動画広告を配信した後は、その効果をしっかり分析して改善していくことが大切です。そこでこの段落では、効果分析に役立つ指標を3つご紹介します。
クリック数
クリック数とは、ユーザーが動画広告についているリンクをクリックした回数のことです。
自社サイトへ誘導することを目的に動画広告を配信している場合は、このクリック数を効果分析に使用しましょう。
視聴数
動画広告の効果分析で最も多く利用される指標が視聴数。動画広告がどれくらいの回数見られたかを知るのに役立ちます。
ただし視聴数の定義は媒体によって異なる点に注意が必要です。たとえばYouTubeなら30秒以上、TikTokなら6秒以上、LINEなら3秒以上視聴されることによって視聴数にカウントされます。
そのため秒数の少ない媒体では視聴数のカウントが多くなりますが、実際には一瞬だけ見てそのまま動画を閉じられているというケースも多くあります。
CV数
CV(コンバージョン)数とは、ユーザーが動画を視聴した後に何かしらの行動を起こした数のこと。
このCV数はユーザーに動画広告を見てもらった後、サイトへ誘導してサイト上で「会員登録」や「申し込み」「商品購入」などのアクションをとってもらいたいときに利用する指標です。
CV獲得には動画の内容にこだわるだけでなく、サイトの構成などにもこだわる必要があります。
商品に合った動画広告媒体を選んで効果的なマーケティングを
動画広告を出稿する媒体を選ぶときは、アクティブユーザー数やユーザーの属性、広告フォーマット、課金形態などをよく調べておくことが大切です。
おすすめの媒体はYouTube、LINE、Twitter、Instagram、Facebookの5つですが、ほかのメディアも検討の余地があります。
商品・サービスに合った媒体を選んで、効果的に動画広告をマーケティングに活かしましょう。
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