こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。
ビジネスを終えて領収書を発行した後、取引先から「領収書を再発行して欲しい」とお願いされるケースは珍しくありません。
大事な取引先の要望なので引き受けたくなる気持ちはわかりますが、領収書を安易に発行するとトラブルに巻きこまれる恐れがあるため注意が必要です。では領収書の再発行を依頼されたらどうすればよいのでしょうか?
そこで今回は、「領収書の再発行が難しい理由、再発行を依頼されたときの代替え案、やむを得ず再発行する際の注意点」などについて詳しく解説します。
領収書とはそもそもどういったものか?
領収書の再発行について説明する前に、そもそも領収書とはどういったものかを整理しておきましょう。
領収書とは、商品やサービスなどの取引で発生した金銭の授受を証明するための書類です。領収書を見れば、いつ誰にいくら支払ったのかということがわかります。
代金を支払った側が領収書の発行を求めたとき、代金を受け取った側は領収書を発行する義務が生じます。
領収書の役割は、支払い側と受け取り側で起こり得る金銭トラブルを防ぐこと。金銭の授受が記録として残るため、後から受け取り側から「金銭を受け取っていない」などと主張された場合にも、領収書で支払いの完了を証明することができます。
またそれだけでなく、会社員の経費精算や個人事業主の発生経費を計上する場合にも必要となります。
さらに領収書は確定申告、法人税申告、税務調査などで求められる書類でもあるため、7年間保存する義務があるということも覚えておきましょう。
・参考サイト:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
領収書の再発行が基本的にはできない理由
金銭授受の証明や経費精算、確定申告などさまざまなシーンで利用される領収書ですが、これを紛失してしまった場合、発行する側は再発行に応じる義務は基本的にありません。再発行によって悪用されるリスクもあるため注意しなくてはならないのです。
ではなぜ領収書の再発行はできないのでしょうか? その理由について詳しく解説していきます。
再発行に応じる義務はないから
領収書の再発行が基本的にできない理由の一つとして、領収書の再発行に応じる義務はないからということが挙げられます。
取引先から支払いを受けたときに領収書を請求されれば発行するのは義務ですが、領収書の再発行については法律上何も義務づけられていません。
こちらの出した領収書に不備があれば正式なものを再発行する必要がありますが、そうでなければ再発行を断る権利があるのです。
ただ一方的に拒否すると取引先との関係が悪くなるかもしれないので、あらかじめ領収書の再発行には応じない旨を伝えておくのが望ましいでしょう。
事前に「領収書の再発行はおこなわない」と明確に決めて伝えておけば、再発行依頼があっても関係性を気にすることなく、応じずに済みます。
悪用されるリスクがあるから
領収書の再発行が基本的にできない理由として、悪用されるリスクがあるからということも挙げられます。
領収書は原則として、1回の取引につき1枚だけ発行するものです。1回の取引で領収書を複数枚発行してしまうと二重発行になってしまい、架空の経費計上をされたり、不正使用されたりというリスクが発生してしまいます。
たとえば、「30万円の領収書をなくした」と嘘をつかれた場合、それを信じて領収書を再発行してしまうと、本来は30万円分の経費を60万円分計上でき、その分相手の税金が安くなります。これは脱税であり、犯罪です。
こういった不正が税務調査で発覚すると、領収書を再発行した側も共犯と疑われる可能性があるため注意。もしも「有印私文書偽造罪」に問われてしまった場合、3か月以上5年以下の懲役刑が課されることもあります。
不要なトラブルに巻き込まれないためにも、領収書の再発行には応じないべきといえるでしょう。
領収書の再発行を依頼されたときの代替え案
領収書の再発行は基本的に断るのが無難ですが、取引相手から頼まれて拒否しにくいというケースもあるかもしれません。この段落では、そのようなときのために、領収書の再発行を依頼された場合の代替え案について紹介します。
レシートの有無を確認する
金額によっては、レシートが領収書の代わりになります。そのため、「領収書がない」と言われたときには、レシートが残っていないかどうかを確認しましょう。
レシートでも店の名前、発行日、商品名、金額などがわかるため、金額がそこまで大きくないようであれば証憑として領収書の代用が可能です。
ただしレシートは宛名がないので、企業のルールによっては領収書として代用できないこともあります。
またレシートには経費以外の購入品が記載されていることもあり、その場合は購入者に経費となる金額だけを抜き出して報告書を作成してもらうなどの作業が必要になり、手間がかかります。
さらにレシートは感熱紙を使用しているので、時間の経過で文字が消えてしまう場合もあるということに注意が必要です。その点、領収書は手書きのため、レシートに比べて時間の経過によって文字が消えることもなく、保存性が高いといえます。
出金伝票に記録する
出金伝票に記録することでも、領収書の代わりになる場合があります。そのため領収書の発行ができないときは、取引相手に出金伝票の記録で対応できないかと聞いてみましょう。
出金伝票には支払先名称、日付、金額、領収書の但し書きに該当する内容を記載することで、領収書の代用になる場合があるのです。領収書の但し書きに該当する内容というのは、購入した商品名やサービス内容などを指します。
しかし出金伝票の場合、そこに記載しているのが本人であり、宛名もないため信用性は領収書に比べると劣るというのも事実。
税務調査で出金伝票を出した際に、支払先に事実を確認する反面調査がおこなわれるケースもあるため注意が必要です。税務署から反面調査があった場合にもスムーズに対応できるよう、支払いの事実を確認できる記録を残しておくことが大切になります。
反面調査で支払いの事実を確認できれば、取引相手が出金伝票で出した金額は経費として認められます。
クレジットカードや銀行口座の支払い情報を代用する
クレジットカードを使用したときに発行される利用明細も領収書の代用になります。Webで確認できる請求明細書でも可能です。
ただしクレジットカードの請求明細書はカード会社が発行したものであり、取引先が発行したものではありません。そのため領収書と同等に扱うことはできないため注意しましょう。
また銀行振込で取引した際の振込明細書も同様に領収書の代用になります。預金口座から振り込みをおこなった場合は、預金通帳の記録でも代用可能です。
クレジットカードの利用や銀行振込時に送信される購入確認メールも改ざん不可能な書類の扱いとなるので、領収書の代わりになるのです。これらは公式な記録なので、税務調査でも有効となります。
支払証明書や販売証明書を発行する
領収書の代わりに支払証明書や販売証明書を発行することも検討してみましょう。
領収書の再発行に応じるのはハードルが高いですが、支払証明書や販売証明書を発行することには検討の余地があります。
支払証明書や販売証明書には、領収書を発行した日付、支払い先、購入商品やサービス内容、支払金額の4項目を記載することによって領収書の代用となります。
ただし支払証明書や販売証明書を発行するのにはそれなりに手間がかかるので、取引先に別途費用を請求するのが一般的です。金額については取引先と事前に確認しておくといいでしょう。
やむを得ず領収書を再発行する際の注意点
領収書の再発行に対する代替え案を出してもそれが相手に認められず、関係性の深い取引先からの頼みであれば最終手段として領収書の再発行をおこなうことになります。この段落では、やむを得ず領収書を再発行する際の注意点について詳しく解説します。後でトラブルに巻き込まれないよう、しっかり確認しておきましょう。
元の領収書を返却してもらう
元の領収書が残っていれば、必ず返却してもらうようにしましょう。こちらのミス、または破損によって領収書を再発行するのであれば、元の領収書が取引相手の元に残っているはずです。
元の領収書が残っている状態で再発行してしまうと、不正利用のトラブルに発展する恐れがあるため必ず返却してもらうことが大切になります。
領収書の再発行をおこなう条件として、あらかじめ「元の領収書は返却してもらう」ということを伝えておくといいでしょう。
返却された領収書は破損していたり間違っていたりしたものであっても、ホッチキスやクリアファイルにまとめて、再発行日の日付、再発行をした理由、領収書番号などを記載し、確実に保管しておくことが必要です。
内容にミスがあって再発行する際は、次こそ内容に間違いがないよう、細心の注意を払って確認するようにしましょう。
領収書を再発行したことを明確にしておく
領収書を再発行した際には、再発行したことを明確にしておくことも重要です。
領収書を再発行するのであれば、とにかく不正利用されないための対策が必要となります。
不正利用されないようにするには、再発行した領収書に「再発行」や「再」と明記しておくことが効果的。目立つように赤色の再発行スタンプを押すのもおすすめです。
また但し書きに再発行した日付を書いておくと、元の領収書と区別が付きます。
なお領収書を一度再発行してしまうと、また次も同じ要求をされるケースがあるため注意しましょう。不正利用防止の対策とあわせて、領収書の再発行は今回だけの特例であると念押しするのを忘れないようにすることが大切です。
再発行した領収書に収入印紙を貼る
金額が5万円を超えた領収書を再発行した際は、収入印紙を貼るのがルールです。
再発行した領収書の金額が5万円以上の場合、初回に印紙を貼り付けていたとしても、再発行時にもう一度貼らなくてはなりません。
印紙税は文書に対して必要になる税金です。取引は1回だけであっても、金銭のやり取りを証明する文書を発行するたびに印紙税が課せられることになります。
再発行した領収書に印紙を貼り忘れてしまうと、たとえ悪気がなかったとしても法律違反となり、罰金の対象となってしまうため注意。罰金は収入印紙の額の3倍にもなります。
再発行した領収書の収入印紙代は、再発行を依頼した取引先に請求したり、折半したりするのも可能です。
ただし国が決めたルールでは作成側が収入印紙を貼ることになっています。そのため、事前に再発行の場合は領収書の再発行を依頼した側が収入印紙代を負担するといった取り決めをしておくのがおすすめです。
領収書紛失のトラブルを防ぐ方法
領収書紛失のトラブルは後を絶ちませんが、どのようにすれば防げるのでしょうか。
代表的な対策として、領収書の電子化が挙げられます。領収書を電子化すればデータ化されるので、紙にありがちな紛失は発生しません。
紛失リスクがなくなるだけでなく、必要情報を入力するだけでいつでもスピーディに情報が確認できて便利ですし、保管スペースの削減にもつながるというメリットもあります。クラウドシステムとの連携もしやすくなり、作業効率の向上にも期待ができます。
このように領収書の電子化はメリットが多いですが、デメリットとしては専用パッケージの導入に初期費用がかかるということが挙げられます。
またパソコンやインターネットに問題が発生した際に、データを参照できなくなるリスクがあることも留意しておきましょう。
領収書の再発行を行うときは細心の注意を払って対応しよう
領収書の再発行を依頼されても、受ける義務は原則ないということを覚えておきましょう。
再発行を依頼された場合には、クレジットカードの支払い情報の利用や支払証明書の発行などですませられるように、代案を提示してみるのがおすすめです。
代案を提示しても、どうしても再発行をせざるを得ないときは再発行である点を明確に示し、元の領収書の回収や収入印紙の貼り忘れなどに気をつけることが大切です。
領収書の再発行でトラブルに巻き込まれないよう、細心の注意を払って対応しましょう。
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