韓国映画

純愛物語『私の頭の中の消しゴム』の二度見ポイント〜繰り返し見ても涙が止まらない〜【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:2004年
製作国:韓国
上映時間:117分

監督:イ・ジェハン
脚本:イ・ジェハン
撮影:イ・ジュンギュ
出演者:チョン・ウソン、ソン・イェジン、ペク・チョンハク

あらすじ:

お嬢様育ちのスジン(ソン・イェジン)と、愛に懐疑的なチョルス(チョン・ウソン)は恋に落ち結婚する。2人はさまざまな困難を乗り越えて一層愛を深めていくが、幸せな日々はそう長くは続かなかった。

『私の頭の中の消しゴム』予告編

『私の頭の中の消しゴム』シングメディア編集部レビュー

「私の頭の中には消しゴムがあるの」。

若年性アルツハイマー病を患い、徐々にすべての記憶が消えていくヒロインが口にしたこの一言が印象的である、韓国の純愛映画『私の頭の中の消しゴム』。

普段純愛モノの映画はあまり見ない筆者ではありますが、この作品は何度見ても涙を誘われます。実際、映画の口コミレビューなどを目にしても、筆者同様、繰り返し見て涙を流してしまうという方の声も多く見られるのです。

では一体なぜ、今作は多くの方が繰り返し見返したいと思える、そんな長年愛されるヒット作になっているのでしょうか。

「私の頭の中の消しゴム」の二度見ポイント三行まとめ

「私の頭の中の消しゴム」の二度見ポイント1:何度見てももらい泣きさせられる登場人物の泣きの演技力

まず今作を鑑賞した方の多くが、おそらく中盤から終盤にかけては涙なしで見られない。そんな心境に陥ってしまったかと思います。

その理由は若年性アルツハイマー病を患ったヒロイン・スジンと、彼女を全力で支える夫のチョルスという純愛物語の鉄板ともいえる脚本に心を揺さぶられてしまったからかもしれません。

しかしただ王道の純愛物語を見せられているだけでは、人々の涙は誘えません。

私たちの涙を誘ったのは純愛物語にくわえ、登場人物の泣きの演技力が自然であり、かつリアルなものであったからなのです。

「私の頭の中の消しゴム」の二度見ポイント1

街中で声を抑えながら涙するスジン

今作において、おそらく多くの女性たちの涙を誘ったのが、ヒロインであるスジンの泣きの演技。もう彼女が見せる涙はものすごくリアルなのです。

駆け落ちを約束した不倫相手が待ち合わせに現れなかったとき。

自分が若年性アルツハイマー病だと医者から打ち明けられた帰り道。

大勢の人が行きかう駅構内や街中であるにもかかわらず、涙をこらえきれないスジン。しかし人々が行きかう中で号泣するわけにもいかず、公衆電話やビルの壁に向かいまわりから顔を隠すような体勢で、声を抑えながら号泣する。

きっとこれまでに街中で涙をこらえきれずに思わず泣いてしまった経験のある女性からすれば、このときのスジンと過去の自分を照らし合わせてしまったのではないでしょうか。

そんなスジンの必死で涙をこらえようとするものの、自分の意思とは正反対に勝手に涙が流れてくるという自然な演技は、鑑賞している側の心に強くつき刺さるのです。

決してスジンの前では悲しい顔見せないチョルスの涙

そしてそんなスジンを全力で支えようとする、夫のチョルス。

序盤の登場シーンからしばらくの間は、どこか冷たい感じがあり、癇癪持ちである部分が多々見られたため、悲しみの涙とは縁遠い男性であるかのようにも見えたでしょう。

しかしスジンと出会い変わっていくチョルス。

彼女が若年性アルツハイマー病を患っていると知って以来、何度も涙を流し、自分に向けられた運命を憎みます。

ただスジンの前だけでは笑顔をたやさず、決して泣いている姿を見せないのです。

スジンの病気が進行し、彼女が自分を元カレ(不倫相手)の名前で呼びながら「愛している」と声にしたときも、笑顔でその言葉に応えます。そして家を出た後、ドアの前でひとり唇を震わせながら涙を流していました。

そんな絶望の淵に落とされていながらも、彼女に不安な思いだけはさせまいと最後の最後まで涙を隠そうと声をひそめ、ひとり泣き崩れるチョルスの男泣きは何度見ても泣けます。

見逃しがちだが物語の空気を変えるスジンの母の泣きの表情

また主人公ふたりの泣きの演技にもらい泣きさせられてしまう今作ですが、ふたり以外にも私たちの涙を誘う人物がいます。

それがスジンの母親です。

実の娘が若年性アルツハイマー病を患っていると知った際、父親とチョルスの間でどちらがスジンを引き取るかという話し合いの場がもたれます。

そんなふたりが冷静に話し合う場において、後ろでひっそり声を押し殺しながら涙を流すスジンの母親。

このシーンにおいては、父親とチョルス、ふたりの話し合いに目がいきがちですが、よく見るとその後ろで涙を流しているこの母親の演技が非常にリアルなのです。

自分も話し合いの場に入り、今後のことについて考えなければいけない。でも突然突きつけられた残酷すぎる現実を受け止めきれず、何も考えずにただ涙を流すしかできない。

きっと世の母親であれば、誰もがこのような状態になってしまうのだろう。そう思わせてくれるスジンの母親の涙は、見逃しがちではあるものの、ただただリアルであり、その一瞬の姿だけで母親という立場の心境がひしひし伝わってくるのです。

改めて泣きの表情に注目したい二度見

愛し合っていたふたりに突然残酷な現実がつきつけられるという、純愛物語にありがちな流れではある今作。

それにもかかわらず、従来の純愛映画と違い、何度見ても涙を誘われてしまうのは、登場人物の泣きの演技が演じているのではなく、本当に心から涙を流しているのかと思うほど自然体であるから。

二度見の際はぜひ、それぞれの泣きの表情に改めて注目しながら鑑賞してみてはいかがでしょうか。

「私の頭の中の消しゴム」の二度見ポイント2:思わず感情移入してのめりこんでしまう理由

今作を涙なしでは見られないと語る人が多いのは、登場人物の泣きの演技もさることながら、物語のいたるところで思わず感情移入してしまうシーンが多々あるから。

別世界の話ではなく、自分の人生とつい重ね合わせてしまうかのようなシーンが数多く登場するため、無意識のうちに感情移入し、それが多くの人々の涙を誘っていたのです。

「私の頭の中の消しゴム」の二度見ポイント2

多くの女性が一度は経験した恋愛あるあるが満載

終盤にかけては悲劇の純愛物語という流れに変わっていく今作ですが、序盤は打って変わって現実的なシーンが多々組み込まれています。

たとえばチョルスにひとめ惚れをしたスジンが何とか彼との接点をつくろうと考えたとき。彼女がとったのは女友達に協力を経て、偶然を装うかのようにチョルスたちが飲んでいる屋台のそばを通るというベタすぎる計画。

でもこのわざとらしい“偶然を装った再会作戦”ですが、きっと多くの女性が似たようなことをした経験があるのではないでしょうか。

また無事に交際を始めたスジンとチョルスですが、とにかく交際当初はバカップル感満載かのごとくそこら中でいちゃこらしちゃいます。とはいえこのように周りが見えず、ふたりだけの世界に入っちゃうなんてことも、同じく多くの女性が一度や二度は経験したことがあるはず。

そんな現実的であり、見ている側も「わかる、わかる」とつい自分と照らし合わせてしまう序盤のシーンがあったからこそ、終盤の非現実的な展開にも違和感なく感情移入できるのです。

恋愛におけるトラウマあるあるが現実的

また今作は恋愛におけるトラウマにおいても、現実的であり、思わず過去の自分と重ねて見てしまうシーンが多々ありました。

たとえば冒頭の駆け落ちしようとした不倫相手から捨てられてしまったスジンの姿。

不倫であるかはさておき、女性の中には一度や二度、信じていた恋人から裏切りとも思える行為をとられ、涙した経験を持つ人も多いでしょう。

そんな過去の経験を思い返しながら、待ち合わせ場所に現れなかった彼に裏切られたと感じ、涙でその場を去るスジンを見ていると、なぜだかこちらまで過去の恋愛のトラウマを思い出して、スジンに同情してしまいたくなる。

またその他にもチョルスに結婚の意思を伝えてもなかなか彼が首を縦に振ってくれなかったり、スジンの父親から結婚を反対されたりと、もう他人事とは思えないほど恋愛に関するトラウマが引き出されてしまうシーンが満載。

そんな悲しき恋愛あるあるを見ているとつい自分の過去と比較し、気づけば感情移入させられてしまうのです。

フィクションでありながらもノンフィクションだと錯覚する作品

その他にも家の中でくつろぐふたりの姿は、どこにでもいるカップルといった感じでとにかく自然体の形であったり、喧嘩をするふたりからわざとらしさは一切感じられなかったりと、フィクションでありながらもノンフィクションのドキュメントを見せられているかのように思える今作。

そんな現実的で誰もが共感できる場面が多くあったため、終盤にガラッと大きく運命が変わる展開にも違和感なく入り込むことができ、最初から最後まで感情移入して見入ることができたのです。

何度見ても涙が止まらない理由はそこにあります。

終盤にかけて注目しがちな今作ですが、二度見ではぜひ、ふたりの出会いのシーンからじっくり鑑賞し、自分の過去と重ね合わせて見ると初見以上に感情移入することができるはずです。

「私の頭の中の消しゴム」の二度見ポイント3:落ち込んだときにこそ二度見したいシーン

何度見ても泣ける。ひとりで見ても泣ける。恋人と見ても泣ける。

……と、とにかく泣いて泣いて泣きまくれる今作ですが、悲劇的な運命が待ち構えているため、自分自身が落ち込んでいるときに見ると余計に心が折れてしまいそうだと感じる方もおられるかもしれません。

しかし筆者といたしましては、落ち込んだときにこそ見て立ち直れる。そんなシーンが今作にはいくつもあると思っております。

「私の頭の中の消しゴム」の二度見ポイント3

繰り返される日常に不安を抱いたときはコンビニのシーンを

会社と家の往復だけという、ただ繰り返されるだけの日常。そんな日々を送っていると「自分の人生これで良いのかな?」と理由なく落ち込み不安になってしまうこともあるかもしれません。

もしそのように繰り返されるだけの日常に漠然とした不安を感じたら、冒頭のスジンとチョルスが出会うコンビニのシーンを見返してみてください。

まさに一言でいうなら“運命的な出会い”ですよ。

でもこれはあくまでも映画であるからであって、スジンたちのような運命的な出会いが日常にそう転がっていることはないかもしれません。

ただ、このコンビニでの出会いのシーンを見るだけで「もしかしたら明日は今日とは違う何かがあるかも」とちょっとした期待が持てるのです。

一秒先のことなど誰にもわかりません。これから先も繰り返される日常が待っているだけだと思っているところに思わぬ運命が転がりこんでくる可能性もあるのが人生です。

漠然とした不安を抱えたときは、冒頭のコンビニのシーンを目にして、ちょっとした勇気と希望を与えてもらってはどうでしょうか。

他人に対して嫉妬心を抱いたときは「心の部屋をひとつ開けるだけ」

おそらくすべての人間関係を良好に築き上げられている人って、ほとんどいないと思います。むしろ誰だって人生の中で一度や二度、他人に対して嫉妬や恨みを感じたことがあるでしょう。

ただ、当たり前のことながらそんな嫉妬心や恨みからは何も生まれません。

今作の中でもチョルスは自分を捨てた母親を長年恨み、母親の話が出るたびに怒りの感情を爆発させてきました。

そこでパートナーであるスジンがかけた言葉が、「許すということは心の部屋をひとつ開けるだけ」という一言。

誰かに嫉妬したり、誰かを恨んだりということは、その相手に心の部屋をひとつ貸してしまっている状態。たとえどんなに憎い相手であっても、許す気持ちを持つことができれば、心の部屋がひとつ空き、そこに新たな感情を入れることができる。

もしも他人に対して嫉妬心等を抱いたりしたときは、このスジンの言葉を二度見で聞き直してみてはいかがでしょうか。

きっとこのままでいても何も変わらない。それなら許すという選択肢も入れてみてはどうだろうという気持ちが生まれるかもしれませんよ。

孤独感や絶望に襲われたときにわかるまわりのやさしさ

長い人生の中ではいつ突然何が起きるかわかりません。ふいに言いようのない孤独感や絶望に襲われることだってないとは言い切れないのです。

今作においては若年性アルツハイマー病を患っていることを知ったスジンとチョルスが、まさにその状況であると言えるでしょう。

そんなときふたりを支えてくれたのは、まわりにいる家族や恩師。

普段は近くにいて当たり前の存在ですが、孤独感や絶望を抱いたときにこそ、まわりにいる人々のありがたみややさしさが身に染みてわかるのです。

特にラストのコンビニでまわりの人々がふたりを迎え入れるシーン。言いようのない孤独感や絶望に打ちひしがれたときは、ぜひこのラストシーンを見直し、疲れたときは自分もまわりに頼って良いのだということを思い出してみてはどうでしょうか。

ただ泣けるだけでなく、励まされる作品

もしかすると今作は筆者が個人的におすすめしただけであり、本来は落ち込んでいるときに見ない方が良い作品なのかもしれません。

でも本当に声を大にして言いたいのです。今作はただ泣けるだけでなく、励ましてもらえるシーンもたくさんあるのだと。

何かに落ち込んだり、迷ったり、つまづいたりしたときは、今現在の自分と同じ心境であるシーンを見直し、共感を得ながらもそこから立ち直るヒントをもらってみる。それによりまた違った見方で今作を見返すことができると思います。

二度見でも泣いて心のデトックスを

韓国で一番泣ける純愛物語ともいわれる、『私の頭の中の消しゴム』。

もう筆者のように初見で泣きすぎて目がパンパンに腫れちゃったよって方も多くいらっしゃるかと思います。

でも今作は本当に何回見ても泣けます。おまけに見返せば見返すほど、やさしい気持ちにさせられる作品でもあるのです。

最近ストレスがたまったり、つらい出来事があったりと、いまいちうまくいかないことが多いと感じている方は、ゆっくりと今作を二度見しながら、心のデトックスをしてみてください。きっと鑑賞後にはすっきりと晴れた気分にさせられるはずです。

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WRITTEN BY
LISA

フリーライター/コラムニスト。2011年よりライター活動開始。元ギャルのオタク。映画は出演俳優とジャンル重視で選びがち。特にサメとゾンビとイケメンが大好物です。でも現実世界ではどれとも遭遇したくないと思いながら毎日を生きています。

Blog:https://ameblo.jp/lisa-ism9281/