製作国:日本
上映時間:139分
監督:大友啓史
原作:和月伸宏
脚本:藤井清美、大友啓史
主題歌:ONE OK ROCK
出演者:佐藤健、武井咲、青木崇高、蒼井優、大八木凱斗、福山雅治、江口洋介、伊勢谷友介、土屋太鳳、田中泯、宮沢和史、小澤征悦、藤原竜也、神木隆之介、滝藤賢一、三浦涼介、丸山智己、高橋メアリージュン、村田充、屋敷紘子、原勇弥、山田崇夫、島津健太郎、山口航太、渡辺大
あらすじ:
かつて人斬り抜刀斎と呼ばれた伝説の人斬り、緋村剣心(佐藤健)。刀を置き、平穏な生活を送る剣心は、ある日、剣心から影の人斬り役を引き継いだ志々雄真実(藤原竜也)が京都でその名をとどろかせていることを知る。政府が派遣した討伐隊は志々雄を前に成すすべがなく、最後の望みとして剣心に白羽の矢が立つ。志々雄の野心を阻止すべく、剣心は京都へ向かう。
『るろうに剣心 京都大火編』予告編
『るろうに剣心 京都大火編』シングメディア編集部レビュー
世界が認める漫画大国・日本。漫画をこよなく愛する人が多いからこそ、実写映画化に関しては、いかんせん厳しい声がつきものになることもあります。
今回ご紹介する「るろうに剣心」も、実写化が決まった際は、原作ファンからさまざまな意見が出ていました。
……が、公開されるや否や、大ヒット記録を連発。次々に続編も公開され、いまや日本のアクション映画界を代表する作品となりました。
「るろうに剣心」シリーズは、前作を通してアクションシーンがとにかくかっこいい! しかしアクション以外にも見どころはたっぷりあるのです。
そんなるろ剣ワールドを何度も堪能すべく、今回は第二部作となる「るろうに剣心 京都大火編」の二度見ポイントについてご紹介したいと思います。
「るろうに剣心 京都大火編」の二度見ポイント1:完成度が高すぎる一対多数のアクションシーン
冒頭でもお伝えした通り、「るろうに剣心」といえばアクションといっても過言ではないほど、本格的な殺陣シーンやスタントなしの危険なシーンが盛りだくさん。今作では剣心と宗次郎、翁と蒼紫の対決が特に見どころだったのではないでしょうか。
ただ、二度見では一対一のアクションシーンではなく、一対多数のアクションシーンに注目していただきたいのです。
一瞬の隙すら見せない斎藤一
物語が始まってすぐ、志々雄と対面を果たした斎藤一ですが、志々雄と直接対決することは叶わず、数十人の手下たちと戦うことになります。
大人ひとりがやっと通れるかどうかの狭い板の上で、周りは炎に囲まれている。多数相手であれども、比較的、一対一での戦いに持っていきやすい状況ではあります。
ただ、志々雄の手下が前からも後ろからも迫ってくる。前のひとりと戦っていたかと思えば、後ろから敵が攻めてきて、気を取られていたらまた前から二人がかりでやってきてと、完全なる挟み撃ち状態。普通であれば、背後をとられてやられてしまうことでしょう。
しかしさすがは、元新撰組三番隊組長の斎藤さん。目の前の敵と戦いつつも、後ろから迫る敵を察知し、ぎりぎりのところで振り返り反撃。二人がかりで襲ってきた敵はまとめて切っていきます。
一見、派手な演出ではないものの、一瞬の隙すら見せない斎藤一の戦いから、彼の強さと剣術の腕をこれでもかというほど意識させられるアクションシーンです。
圧倒的強さと残虐性を見せる志々雄
人斬り抜刀斎の後継者として、鳥羽・伏見の戦いに参加していた志々雄。
とにかく剣術のスピード感が尋常ではない。スロー再生しないと細かい動きがわからないほど、目に見えぬ速さで次々に剣を振っていきます。おまけに隙を見て蹴りや頭突きを入れるなど、身体能力の高さもうかがえる。
なにより、いかに相手に苦痛を味わわせてとどめを刺すかという志々雄の行動から見える、歪んだ思考。
1分弱の回想シーンではあるものの、この一瞬で志々雄の圧倒的な強さと恐ろしい残虐性を鑑賞側に伝えています。
志々雄が本気で戦うシーンを見せるのは、今作の後編にあたる「るろうに剣心 伝説の最期編」のみなのですが、この回想シーンのみでラスボスとしての期待値をぐっとあげた志々雄。まさに理想的な悪役と呼ぶにふさわしい、最高のアクションです。
自然すぎて飲み込まれる新月村での戦い
今作一の一対多数のアクションシーンといえば、やはり新月村での戦い。
家族を殺された少年・栄次と、志々雄への憎しみを込めて戦う剣心ですが、ざっと見渡しても相手は30人以上。一気に襲い掛かってこられたらひとたまりもありません。
しかしいざ戦いが始まると、剣心ひとりと数十人の敵でやっと互角なのだと思わされてしまう自然さがあるのです。
5~6人がまとめて襲い掛かってくるも、剣心の迫力で敵がひるみ、その隙にひとりずつ倒してしまう。また、相手の動きを読んで戦うことを得意とする剣心だからこそ、次の行動を把握し、確実に敵の数を減らしていきます。
言葉で表すと簡単に思えるかもしれません。しかしこれらの動きをアクションで再現するのって、本当にすごいことです。
一対多数の戦いをお芝居ではなく、あたかも本当に戦っているかのように見せる自然さ。個人的に今作で一番大好きなアクションシーンです。
アクションシーンは何度見てもかっこいい!
何度見てもかっこよさからしびれ、鳥肌が立ってしまいそうになる今作のアクションシーン。剣心をはじめ、登場人物それぞれの戦いを見返すだけでも、二度見、三度見の価値があるかと思います。
二度見鑑賞の際は、一対一の殺陣シーンだけでなく、一対多数のアクションシーンにもご注目ください。
「るろうに剣心 京都大火編」の二度見ポイント2:見逃し厳禁!一瞬の見どころシーン
おそらく今作を5回は見返している筆者。鑑賞するたびにしびれるアクションと泣ける人間ドラマに感動させられています。ただ、5回も見返していると、途中からまったく別視点で見ちゃうときもあるのですよね。
そこで筆者的に二度見鑑賞でおすすめしたい、一瞬の見どころシーンをご紹介いたします。
志々雄が初登場シーンで見せる不気味な表情
今作を見返せば見返すほど、「やっぱりかっこいいわ~」と思わず声に出してしまうシーンがあります。それが志々雄の初登場シーンです。
斎藤一が初めて志々雄の姿を目にした、冒頭のシーン。炎に包まれる中、ゆっくり映し出されていく志々雄が最初に口にした言葉が「お前、地獄を信じるか」。かっこよすぎます。完全に中二心をくすぐられます。
そして次の瞬間、振り返ったときの志々雄の顔!
全身を焼かれ、顔を包帯で隠すという、原作に負けず劣らずの完璧なビジュアルは、初見ではトラウマになるかもしれません。
ただ、見返すごとにこの振り返った瞬間の志々雄がかっこよく思えてくる不思議。なにより確実に強敵になるであろうと感じさせるラスボス感が半端ない。
二度見ではこの振り返った際の一瞬の志々雄の表情にご注目いただきたいです。
さりげなくお辞儀をする宗次郎
幼いころの家庭環境により、喜怒哀楽の楽以外の感情が欠けている宗次郎。この宗次郎の特徴と言えば、やっていることは狂気じみているにもかかわらず、常に敬語で物腰が柔らかい性格であるという点。
そんな宗次郎の人間性がよくわかるのが、作中でお辞儀をする回数。もはや宗次郎が映っているシーンすべてでお辞儀をしているのではないかと思うほど、常に頭を下げているのです。
新月村で志々雄の元に「客人をお連れしました」と剣心を連れてきたときや、逆刃刀が折れたときに「新しい刀用意しといてくださいね」と言い残して立ち去る際など、しっかり一度お辞儀をしています。
さらには冒頭、ゆらめく炎の中を志々雄一派が去っていくときや、大久保利通の暗殺で馬車に乗り込んで「あ、初めまして」と挨拶をするときなど、本当にわかるかわからないかのシーンでもしっかりお辞儀をしているのです。かわいすぎでしょ、宗次郎……。
宗次郎が画面に映った瞬間、彼がお辞儀をするかどうかに注目して鑑賞してみるのも、新しい見方として楽しめるかと思います。
ちょっと笑えるシュールなシーン
ド派手なアクションと心に刺さる人間ドラマが印象的な今作ですが、実はシュールでくすっと笑えちゃうシーンもあります。
たとえば京都に向かう剣心が初めて操と出会ったシーン。剣心が川で水を汲んでいる間にこっそり逆刃刀を盗もうとする操ですが、お腹がすいていたのか、目の前で焼いていた魚もついでに拝借しちゃいます。
しかし剣心に気づかれるやいなや、「あ、やべえ……」と言わんばかりの顔をして、そっと魚だけを戻す。そして逆刃刀を持ってダッシュで逃走。
いやなぜ魚だけ戻した! そこは魚も持って行っていいよ、操ちゃん! と言ってあげたくなるシーンです。
また志々雄一派のひとりで武器マニアの方治さんが、ひとり部屋で入手したガトリング砲を撫でながら「いいよ、いいよ~」と喜びに浸っているときに志々雄が部屋に入ってきた瞬間。「やべ、志々雄様に変なとこ見られた」という焦りをひしひしと感じるあの後ろ姿が個人的にはシュールで大好きです。
見返すたびに新たな発見ができる
見返すたびに新しい発見に気づいたり、お気に入りのシーンが増えたりする今作。二度見では初見とはまた違った見方ができると思うので、ぜひ自分だけの思い入れあるシーンを見つけてみてください。
「るろうに剣心 京都大火編」の二度見ポイント3:物語を知ったうえでもう一度見返したい語りのシーン
剣心というひとりの男を通し、人間の醜さや人と人とのつながりの大切さをも教えてもらえる今作。
初見ではさらっと流しがちではあるものの、見返すことでセリフの重みに気づくシーンもあるのです。
栄次へかけた剣心の一言
両親と兄を志々雄に殺され、復讐のために志々雄の手下に手をかけようとした幼き少年・栄次。しかし刀を振り下ろそうとした瞬間、剣心の手によって止められます。
「お主がこの小さな手を汚しても誰も喜びはしない」
栄次もきっとわかっているはずなのですが、やり場のない悔しさや恨みをどこにぶつけていいのかわからない状態です。
そこで剣心がかけた言葉が、
「志々雄一派のように力で人を虐げる男になるな。村人のように暴力に怯えて何もできない男にはなるな。最後までお前を守り、家族を案じ続けた兄上のような男になるでござるよ」
です。
その場で泣き崩れる栄次。まさに名台詞、名シーンです。
初見でも十分感動できるシーンですが、物語のなかに時折現れる理不尽さの部分を知ったあとだと、さらにこの剣心の一言が深く胸に突き刺さります。
赤空の何気ない一言に隠された本心
剣心が流浪の旅へ出るとき、厳しい言葉をかけながらも逆刃刀を授けた新井赤空との回想シーン。このシーンだけ見ると、赤空が逆刃刀の生みの親だったということしかわかりません。
しかし後のシーンで赤空の息子から「護身刀を打つ際は、真打と影打の二本打つのが刀鍛冶の通例」である事実を知らされます。そしてこれまで剣心が手にしていたのは影打。今回の戦いにより、新たに手に入れた逆刃刀こそ、本物である真打である真実が明かされたのです。
この真実を知ったあと、改めて赤空との回想シーンを見返すと、めちゃくちゃ鳥肌が立ちます。
剣心に逆刃刀を授けたあと「そいつが折れた時、それでも甘い戯言を言い続けるなら、もう一度俺を訪ねて京都に来な」と言い残した赤空。
厳しい言葉をかけながらも、剣心が人を護るための剣を振り続けているなら、その時は逆刃刀真打を譲ろうと、赤空はこの瞬間から心に決めていたのです。
物語を見終えたあとに言葉の裏に隠された本心がわかる、赤空の何気ない一言。かっこよすぎますよ、赤空先生!
語りシーンにもこだわられた演出
アクションシーンが強く印象に残りがちな今作ですが、実は何気ない語りのシーンのセリフ一つひとつにもすばらしい演出が隠されています。
二度見では栄次と赤空のシーンで投げかけられる言葉の一つひとつを噛みしめながら、鑑賞してみてください。
自分好みの見方で二度見鑑賞を!
本格的なアクションに心躍らされるなかで、個性的なキャラたちの虜になってしまう「るろうに剣心 京都大火編」。
アクションシーンを見てスカッとするもよし、人間ドラマを見て感動するもよし。はたまた、こだわり抜かれた世界観に映し出された明治の時代を堪能するもよし。さまざまな見方ができる今作で、ぜひ自分好みの二度見鑑賞を楽しんでみてください。
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