製作国:アメリカ
上映時間:97分
監督:シャロン・マグワイア
原作:ヘレン・フィールディング
出演者:レニー・ゼルウィガー、ヒュー・グラント、コリン・ファース、ジム・ブロードベント、ジェマ・ジョーンズ、シャーリー・ヘンダーソン、サリー・フィリップス、ジェームズ・キャリス
あらすじ:
日本を含む世界各国でベストセラーとなったヘレン・フィールディングの同名小説を映画化した爽やかコメディ。ブリジット・ジョーンズは出版社勤務のOLで32歳、独身。彼女は新年にあたってひとつの決意をする。「日記をつけ、タバコとお酒を控えめにし、体重を減らして、恋人を見つける!」そして、「ハンサムな上司ダニエルには気をつける」――はたして彼女の誓いは無事達成されるのか?
『ブリジット・ジョーンズの日記』予告編
『ブリジット・ジョーンズの日記』シングメディア編集部レビュー
2001年の初公開から2020年の今現在にいたるまで、公開された三作品すべてが大ヒットを誇る「ブリジット・ジョーンズの日記」。
独身女性の苦悩や葛藤をリアルに描きながらも、主役のブリジット・ジョーンズが持ち前の明るさで暗い気持ちを吹き飛ばしてくれる。
おまけにイケメン男性たちから言い寄られるシンデレラストーリー的展開もあり、リアリティと夢物語が一度に堪能できるストーリーに夢中になってしまった女性も多いはず。
今回はそんな名作恋愛映画「ブリジット・ジョーンズの日記」の原点ともいえる、第一作の二度見ポイントについてご紹介したいと思います。
「ブリジット・ジョーンズの日記」の二度見ポイント1:愛らしいブリジットの姿が堪能できる名場面
今作を語るうえでまず欠かせない存在であるのが、レネー・ゼルウィガー演じる主役のブリジット・ジョーンズ。
ブリジットを演じるにあたり体重を6キロも増やしたり、イギリス英語のイントネーションを猛勉強したりと、徹底した役作りの様子も話題になりました。
そんな彼女の努力から生まれたのが、今も昔も変わらず全世界の女性から愛され続けるブリジット・ジョーンズというひとりの女性。
作中ではとにかく「ブリジットが愛くるしくてたまらない!」と何度見ても虜になってしまうシーンが盛りだくさんとなっているのです。
おちゃめな歌唱姿に目を奪われる
おそらく独身女性の多くが一度は経験したことがあるであろう、お酒に酔って全力でラブソングを歌ってしまうというあるある。
このあるある現象って全世界共通だったのですね。大酒豪であるブリジットも作中では酔っていい気分になると、つい歌っちゃうという笑い上戸ならぬ、歌い上戸な姿を見せてくれます。
まあお部屋でひとり全力のリサイタルをする分にはまだいいですよ。
ただブリジット、普通にやらかしちゃいます。会社の飲み会でベロンベロンに酔っぱらって、テーブルの上に立ちMariah Careyの名曲「Without You」を大熱唱しちゃいます。
しかもその歌声がもはや音痴とかのレベルではない。キーからリズムにいたるまで、すべてがズレにズレまくっている。でも本人はめちゃくちゃ気持ちよさそうに大熱唱を続けちゃうのですよね。
しかも何が最悪かって、その姿を片思い中である上司のダニエルに見られてしまうという大失態。普通なら翌日すぐにでも退職届を出して、会社から存在ごと消えてしまいたくなるお酒の失敗です。
でもブリジットのいいところは「やっちまった~。もう完全にこの恋は終わっちゃったわね」と後悔しながらもすぐ前向きになれるところ。
見習いたい! このブリジットの何事もポジティブ思考で行動できる部分は全力で見習いたい!
と、全世界の女性が彼女の底抜けた明るさに励まされたであろう、おちゃめな歌唱シーン。何回見てもブリジットのかわいさに目を奪われてしまいます。
絶妙にダサかわいいパジャマ姿が愛おしい
作中でたびたび登場するブリジットのパジャマ姿も、今作を繰り返し鑑賞するうえで見逃せないポイントです。
というのも毎回違うパジャマ姿を披露してくれるブリジットですが、すべてのパジャマが絶妙にダサかわいい。
そしてなぜか彼女は好んでペンギンやブタといったアニマルがちりばめられた上下セットのパジャマを好んで着ちゃうのです。いやもう本当に途中からは一周まわって「もはやこれってオシャレ着なのでは?」と思わされてしまうほどの絶妙感。
でもブリジットが着るとなぜかそんな絶妙なパジャマもめちゃくちゃかわいく見えてしまうのです。何かの魔法にかけられてしまったのかと思うほど、彼女が着こなすとめちゃくちゃかわいいのです。
ストーリーの中ではミニスカートやバニーガールの姿など、さまざまな格好を披露したブリジットですが、二度見ではあえて彼女のパジャマ姿に注目してみてください。
見れば見るほど、パジャマ姿を通してブリジットの存在がさらに愛おしく感じてくるはずです。
少女のようなピュアさについ惚れちゃう
設定上は結婚に焦る30代女性という立ち位置である、ブリジット。しかしストーリーの中では彼女がアラサーであるということを思わず忘れてしまう瞬間が多々あります。
おそらく彼女持ち前の明るさが30代という年齢を感じさせない理由のひとつになっているという部分もあるかと思います。
ただ、それだけじゃないのですよね。ブリジットという女性が年齢を感じさせない理由は。
その理由はというと、ブリジットが時折見せる少女のような純粋さ。
普段考えていることは意外と計算高いけど、恋に夢中になってしまうとすべてを忘れてしまうブリジット。まるで少女です。初恋を知った10代の少女かのようなあどけなさをこれでもかというほど見せてくれます。
特にダニエルとのボートデートは必見! むじゃきにはしゃぎ笑う彼女はどこからどう見ても10代の少女そのもの。筆者個人としては、ブリジットが今作一のかわいさを見せたシーンであると思っています。
そんな彼女の何気なく見せる10代のような表情。同じ女性でもつい惚れてしまいそうになります。
何度見ても飽きない愛らしいブリジット
独身女性のリアリティを描いた作品は数多く存在します。しかしなかにはリアルさからつい感情移入し、心が痛み、二度三度見返す気にはなれないなんて作品もあることでしょう。
しかし今作はリアルでありながらも胸が痛むことはなく、ブリジットの愛らしさにより終始温かい気持ちで作品を見終えることができます。
失敗しても前向きさを忘れず、ときに少女のようなピュアさも見せてくれる。そんな誰からも愛されるであろうヒロイン・ブリジットが主役だからこそ、今作は何度見ても幸せな気持ちにさせられるのです。
「ブリジット・ジョーンズの日記」の二度見ポイント2:ブリジットのハッピーエンドまでを陰で支え続けた親友三人の存在
ブリジットと彼女を取り合うダニエルとマークの三角関係が主軸となっている今作。基本的にはこの三人のやりとりでストーリーが進んでいきます。
しかし二度見鑑賞をするうえで忘れてはいけない存在がいることにお気づきでしょうか。
そうです、ブリジットの大親友であるジュード、シャロン、トムの三人です。
アドバイスは参考にならないけどこんな友達がほしい
何かしらの恋の進展があると、即親友三人を呼び出すブリジット。
そして夜な夜なお酒とタバコ片手にブリジットの話を聞き、親友三人おのおのがアドバイスをするという展開が多々見られるのですが……。
驚くほど参考になるアドバイスがひとつもない。というかほぼ下ネタのアドバイスしか振ってこないため、使いたくても使えない。
おまけに途中からは全員がいい感じに酔いもまわり、話が脱線していくというお決まりの展開。
でもこの親友たちとの何気ない恋バナで盛り上がるシーンが、作品にいいスパイスを与えてくれているのですよね。
おそらくこれがブリジットひとりで今後の展開を計画し実行するだけのラブストーリーであったなら、作品の盛り上がりもかけていたかもしれません。
なにより恋の進展があるたび、呼び出してすぐ駆けつけてくれる親友が三人もいる! ブリジットを含む四人の友情物語を見て「こんな友達がほしい」と思った女性も多いのではないでしょうか。
奇跡的な息のピッタリさが生まれたバースデーパーティの夜
ブリジットの親友三人に一番スポットライトが当たったであろうシーンといえば、間違いなくバースデーパーティの夜でしょう。
当初は三人だけでブリジットの誕生日を祝うはずが、まさかのマークが参加。その後なぜか泥酔状態の元カレダニエルが乱入し、楽しいはずのバースデーパーティが一転、泥沼の三角関係バトル会場に。
初見時であれば誰もがヒヤヒヤしたであろう、このシーン。でも何がすごいかって、その場に居合わせた親友三人ですよ。
まずダニエルがブリジットを呼び出した瞬間、黙って様子を見ていた三人がまったくの同じタイミングでタバコに火をつける。
そしてダニエルとマークの喧嘩が勃発しそうになると、またしても同じタイミングでタバコの火を消し、「みんな喧嘩が始まる、表に見に行こうぜ!」と謎の野次馬根性で三人が一致団結する。
このぴったりな息の合い具合。正直、ブリジットをめぐる三角関係バトルよりも見どころがあると思っています。
お世辞抜きで何回見ても笑えるこちらのシーン。二度見ではブリジットたちの行く末を見守る親友三人それぞれの表情にご注目ください。
粋なセリフをさらっとはいちゃうかっこいい友人たち
すてきすぎるとしか言いようがないブリジットの親友三人。彼らはエンディング間近のシーンでも、最高にイケてる姿を見せてくれます。
マークがNYへ転勤になり、傷心真っただ中のブリジット。そんな彼女を励まそうと親友三人が計画したのはなんとパリ旅行。もうめちゃくちゃいい友達すぎないですか?
しかしそこは恋愛映画。旅行に出発しようとした瞬間、驚くほどピッタリなタイミングでNYにいるはずのマークが目の前に現れちゃいますよね。で、もちろんブリジットも「私はマークといるから旅行に行ってきて」ってなっちゃいますよね。
いや、普通なら「傷心のあんたのために旅行の手配までしたのに!」となってもおかしくないところですよ。
でも彼らは違います。「ごめん、こっちも三人までしか車に乗れなかったからブリジットは連れていけないわ」と粋なセリフを残し、三人だけでパリ旅行に出かけちゃう。もはやただ楽しいだけの旅行になってしまうというオチ。
「やっとブリジットとマークが結ばれた!」というハッピーエンドフラグに浮足立ってしまうこちらのエンディング間近の場面ですが、筆者としてはその陰にある友情にもご注目いただきたいところです。
親友三人なしではありえなかったハッピーエンド
失敗を繰り返しながらも、最後にはハッピーエンドを勝ち取ったブリジット。
しかし忘れてはいけません。ブリジットのそばにいつも三人の親友がいたからこそ、彼女はマークというすてきな恋人と巡り合えたのだという事実を。
そして常にユーモアを忘れず、鑑賞側を笑顔にしてくれる彼らの存在。二度見ではブリジットの三角関係ではなく、あえて親友三人の動きに目を向けて鑑賞してみてはいかがでしょうか。
「ブリジット・ジョーンズの日記」の二度見ポイント3:リアリティさを生んだ俳優たちのアドリブと裏話
王道に近いシンデレラストーリーでありながらも、主役のブリジットの演技によりリアリティさに拍車をかけていた今作。
しかし実は今作がよりリアルに仕上がった要素は、ブリジットの演技以外にも隠されていたのです。
それが出演俳優陣たちの一言から生まれたアドリブ演技です。
デカパンシーンで飛び出したあの名言はアドリブ!?
序盤でブリジットが思いを寄せる上司のダニエルと食事に行き、そのままいい雰囲気になった日の夜。
彼女はデート前にセクシーな下着を用意しつつも、スタイルを気にして最終的にはお腹の上まですっぽり隠れるベージュのデカパン(特大デカパンツ)を履くことに。
絶対デートで選んではいけないNo.1であろう、デカパン。でも「もしもそういう展開になったら下着を履き替えればいいか」と思っちゃうあたりが、ブリジットらしいのですよね。
ただ彼女がデカパンを履いた時点で誰もがこれはフラグだと感じたことでしょう。
案の定、ダニエルといいムードになったときには下着のことなど頭の片隅にも残っていなかったため、ダニエルにベージュのデカパンを見られてしまいます。
そこでダニエルの口から出たのがあの名言「ハロー、マミー(やあ、お母さん)」です。
そしてなんと、その後BAFTAのポッドキャストでダニエル役を演じたヒュー・グラントが「あのパンツのシーンは適当にアドリブで言っていただけなんだ」という衝撃の事実を明かしたのです。
今作に残る名言のひとつと言ってもいい、デカパンシーンのあの一言。それがアドリブだと知ったうえで見直してみると、二度見では見方が180度変わってくるかもしれません。
参考:Hugh Grant says he improvised famous Bridget Jones’ ‘enormous panties’ scene
いまいち迫力にかける喧嘩シーンの裏話
今作の名シーンのひとつである、ブリジットを取り合ってマークとダニエルが街中で大乱闘する場面。
ひとりの女性をふたりの男性が取り合い、激しく殴り合うという恋愛作品においては見どころとなるであろうこと展開。
……が、初見時に多くの方がきっとこう思ったことでしょう。
「なんかこの喧嘩ぐだぐだじゃない?」と。
明らかに喧嘩慣れしていない男性ふたりが、とりあえず手や足をおもむろに出し続け、相手にちまちまとダメージを食らわせるという展開が続きに続く。
でもそれがかえってリアルで、きっと現実世界でも女性を取り合う喧嘩ってこんな感じになるのだろうなと思わせてくれた名シーンでもあります。
しかし実はこの喧嘩シーン、当初はもっと迫力のある展開になるはずだったのです。
俳優陣の一言から生まれた奇跡的なアドリブ
といいますのも、当初は監督がプロのスタントマンも用意し、大掛かりなアクションシーンに仕上げるつもりだったのです。
ただ喧嘩シーンを演じるコリン・ファースとヒュー・グラントのふたりはここであることに気がつきます。
「いや、ブルジョア階級の男ふたりがそんなかっこいい戦い方できるわけないだろ」と。ええ、おっしゃる通りです。
出版社勤務のダニエルと、弁護士のマーク。そんな肩書きを持つふたりが突然街中でアクション映画さながらのバトルシーンを繰り出したら、もはやジャンルごと作品が変わってしまいます。
ということでふたりの意見もあり、結果的にはスタントマンは使わず、アドリブで喧嘩をすることに。
そのおかげでカッコ悪くて地味だけど、面白く、なによりリアリティさが伝わる伝説の喧嘩シーンがうまれたのでした。
参考:How Colin Firth and Hugh Grant devised their ‘ineffectual’ fight in Bridget Jones’s Diary
まだまだアドリブシーンは隠れているかも?
出演俳優陣が機転をきかしたアドリブを入れることで、リアリティある作品がさらにリアルになる。「ブリジット・ジョーンズの日記」はこのような裏話のなか生まれたのです。
また今回ご紹介したアドリブシーンは二つですが、もしかすると作中にはまだまだ秘められたアドリブが隠されているかもしれません。
二度見の際は「もしかするとここもアドリブなのかも?」と考えながら鑑賞してみると、違った視点から楽しめるはず。なによりアドリブを知ったうえで鑑賞すると、初見時以上に出演俳優たちへの愛が沸くことでしょう。
「泣いて笑って恋がしたい!」ときに見返したい作品
主役のブリジットをはじめ、彼女に惹かれる男性陣や友情に心温かくさせられる「ブリジット・ジョーンズの日記」は、ストーリーにどっぷりハマってしまうのはもちろん、一人ひとりの役柄が個性豊かで登場するすべての人物に愛着がわいてしまう作品です。
同じ毎日の繰り返しに飽き、「久しぶりに泣いて笑って恋がしたい!」と思ったときこそ、見返してみてはいかがでしょうか。
そして世の女性みなで一緒に思いましょう。私たちもコリン・ファースとヒュー・グラントに奪い合われる人生を送りたかった、と。
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