コメディ映画

全世界の女性たちを虜にした映画版『セックス・アンド・ザ・シティ』の二度見ポイント【映画レビュー(ネタバレあり)】

上映日:2008年
製作国:アメリカ
上映時間:145分

監督:マイケル・パトリック・キング
脚本:マイケル・パトリック・キング
製作:サラ・ジェシカ・パーカー、ジョン・メルフィ、ダーレン・スター、マイケル・パトリック・キング
撮影:ジョン・トーマス
音楽:アーロン・ジグマン
衣装:パトリシア・フィールド
出演者:サラ・ジェシカ・パーカー、キム・キャトラル、クリスティン・デイビス、シンシア・ニクソン、クリス・ノース、ジェニファー・ハドソン

あらすじ:

今や作家として成功したキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)は、ビッグ(クリス・ノース)との関係も順調な中、25歳の若いルイーズ(ジェニファー・ハドソン)を助手として雇うことに。一方、俳優の恋人スミス(ジェイソン・ルイス)とともにロサンゼルスに住むサマンサ(キム・キャトラル)は、ニューヨークの暮らしを恋しく感じていた。

『セックス・アンド・ザ・シティ』予告編

『セックス・アンド・ザ・シティ』シングメディア編集部レビュー

世界中の女性を魅了し、社会現象とまでなったアメリカの連続テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(通称・SATC)。

その大人気シリーズの映画版第一作では、10年の交際を経て、ついにキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)とビッグ(クリス・ノース)が結婚! ……と思いきや、まさかのトラブルの連続。

おまけに親友たちも、浮気、別れ、出産とそれぞれが人生の大きな転機を迎えるという、「まさにこれこそSATCワールド!」と言える、最高の一作になっています。

そんな何度見ても楽しめる『セックス・アンド・ザ・シティ』ですが、どうしても初見の時点では、それぞれのパートナーとの行方。そして、もはやSATC名物である“下ネタ満載ぶっちゃけ女子会”の様子に目が行きがちになるのでは?

そこで今回は、ここをチェックしてこそ、真のSATCファンだと呼べる二度見ポイントを、筆者独自の目線からご紹介したいと思います。

『セックス・アンド・ザ・シティ』の二度見ポイント1:パーティーファッションだけでなく普段着にも注目を!

まず、『セックス・アンド・ザ・シティ』を語るうえで欠かせないテーマと言えば、恋愛、女の友情、そして誰もが目を引く大胆なファッション。特に4人揃って街に繰り出すシーンでは、毎回、全員の派手なパーティーファッションに注目が集まります。

しかし、今作では、パーティーファッションだけに限らず、たまにチラッと登場する彼女たちの普段着からも目を離せないのです。

セックス・アンド・ザ・シティのファッション注目ポイント

カジュアルさとラフさを重視した、キャリーの普段着

普段は、ハイブランドとヴィンテージの組み合わせを好み、足元からのぞくマノロ・ブラニクのヒールがトレードマークとなっている主役のキャリー。

しかし、家で過ごす際の普段着では打って変わり、意外にもカジュアルでラフなスタイルを好む様子が多々描かれています。

今作でも、タンクトップに七分丈レギンスや、Tシャツにデニムパンツなど、普段のキャリーからは想像もできないカジュアルスタイルを披露するシーンがあるのですが……。

なぜだか、キャリーが着るとまったく地味に見えない! むしろ、Tシャツとデニムパンツというありきたりな組み合わせすら、めちゃくちゃオシャレに見えてしまう!

そんな組み合わせ上手なキャリーのカジュアルファッションは、見ているだけでマネをしたい衝動にかられます。

アラフォーならではの色使いがうまい、キャリーの普段着

また、アラフォー女性だからこそできる、色使いのうまさも、キャリーの普段着の大きな特徴だと言えます。

たとえば、シャーロットとその友人であるアンソニーと結婚式プランを練るシーンがありますが、そのとき彼女が身に着けていたのは、落ち着いた色合いでありながらも、決して地味に見えないミニワンピ。

また、図書館に本を返しに行くシーンでは、目を引くマスタードカラーのジャケットを身に着けていましたが、こちらも他のアイテムをグレーやブラウンの落ち着いた色合いに統一することで、明るめのカラーが浮くことのない仕上がりになっています。

女性の中には、年齢を重ねるにつれ、黒や紺を基調とした保守的なカラーに走ってしまう人も多いはず。

しかし、そのような女性こそ、キャリーのように色の彩度からデザイン、他のアイテムとの組み合わせを工夫したコーディネートをお手本にしてみると良いのかもしれません。

お揃いルームウェアでの女子お泊まり会はまさに憧れ

そして、映画『セックス・アンド・ザ・シティ』で印象的なシーンのひとつでもある、“結婚式前夜の女子お泊まり会”。

日本でもよく女性たちがパジャマパーティーという名の、男子禁制お泊まり会を開催していますが、今作では、4人全員が同じルームウェアに身を包み、ひとつのベッドの上で語り合っています。

それぞれがお気に入りのパジャマに身を包んでのパジャマパーティーも楽しいものですが、彼女たちのようにお揃いのルームウェアで過ごすパジャマパーティーも絵になる。

そんな女子同士のお泊まり会に新たな概念を生み出してくれたシーンは、こちらまで楽しい気分にさせてもらえます。

『セックス・アンド・ザ・シティ』の二度見ポイント2:表情だけですべてを語るシャーロットの演技力がすごい!

さて、『セックス・アンド・ザ・シティ』の見どころと言えば、何と言っても、18禁ワード満載のぶっちゃけトークが繰り広げられる女子会シーン。本作品でも最初から最後まで、ドラマ版に負けず劣らずの強烈な下ネタがばんばん飛び交っています(主にサマンサを中心に)。

しかし、彼女たちの会話内容に注目しがちな女子会シーンですが、二度見の際には、その会話と合わせて、シャーロットのオーバーすぎる顔芸にもご注目ください。

意外と見逃しがちですが、とにかく彼女、4人の中で一番感情表現が豊かすぎる存在なのです。

セックス・アンド・ザ・シティ』の表情注目ポイント

とにかく全力で叫ぶシャーロット

まず、感情表現が豊かなシャーロットは、誰とどこにいようが、嬉しい出来事が起こると全力で叫びます。おそらく、お化け屋敷に入ったら、お化け役の方が彼女にビビっちゃうんじゃないかなと思うくらい、それはもう、大きく目を見開きながら全力の大声で叫びだします。

今作でも、レストランで食事中にキャリーから結婚報告を受けたとき。新聞にキャリーの結婚を伝える記事が掲載されていたとき。そして、キャリーの引っ越しの手伝いのために、サマンサがLAから駆けつけたときの計3回、もう、ものすんごい勢いで叫んじゃっています。

二度目以降はぜひ、このシャーロットの叫び芸に注目しつつ、鑑賞を楽しんでみてください。また違った見方で彼女の一挙一動に目を引かれるようになります。

強い目力だけで言いたいことを伝えるシャーロット

そして、叫び声もさることながら、目力の強さも半端ないのが、シャーロットの魅力です。

驚いたときや焦ったとき、言葉には出さないものの、彼女は目力だけでそのときの感情を伝えてくれます。もはや、見ているこちら側がその目力の強さに引き込まれそうになるほど、インパクトのある表情です。

特にその目力のすごさがわかるのが、先ほども登場した、“結婚式前夜の女子お泊まり会”。

実はこのとき、4人だけでなく、シャーロットの愛娘リリーも一緒にお泊まり会に参加していたのですが、子どもであるリリーを目の前にしながらも、気にせずにばんばんと下ネタを吐きまくる、通常運転のサマンサ。

すると、焦ったシャーロットは、サマンサを睨みつけた後、リリーの方をちら見。

その何がすごいって、一切言葉には出していないにもかかわらず、目力だけで「ちょっと!娘のリリーもいる前で何て卑猥なワードぶっこんでくれるのよ!」という言葉を伝えてきているのです。目の表情ひとつでここまで伝えられるシャーロットの演技力、マジで半端ないです。

二度見の際は、ぜひとも、お泊まり会シーンを始めとした、シャーロットの目力のすばらしさが実感できるシーンを見逃さずにチェックするようにしてみてください。

伝説のおもらしシーンではシャーロットの顔芸オンパレード

さて、今作の中で、シャーロットの一番の見せどころと言えば、あの伝説のおもらしシーン。

ビッグとの結婚が中止となり、憔悴しきったキャリーを引き連れ、メキシコの地へと降り立った4人。しかし、食中毒を恐れるがあまり、シャーロットは滞在中、NY生産のプディングしか口に入れません。

しかし、そこまで気を遣っていたにもかかわらず、ランニング終わりに浴びたシャワーの水を間違って飲みこんでしまうシャーロット! やばい、これは絶対にやばい! 心なしかお腹がギュルギュルと鈍い音を立て始めている!

そして全速力で部屋のトイレに向かうも、タイミング悪く、清掃中で入室できないという悲劇。その瞬間、彼女を襲ったのは、鈍い音を立てながら、お腹からお尻に向かって何かが流れ出ていく感覚……。

このおもらし事件を機に、憔悴していたキャリーも大笑いができ、元気を取り戻すことができたという素晴らしいシーンでもあるのですが、当の本人であるシャーロットからしてみれば、もうただの黒歴史でしかないですからね。

アラフォーになってから、友人たちの前で大きい方をもらしちゃうとか、間違いなく今すぐ消し去りたい過去でしかありませんからね。

そりゃ、全速力でトイレに向かっている最中にすれ違った相手から「ハーイ」と声をかけられても、おなじみの強い目力で「お願いだから、今話しかけないで!」と睨みつけたくもなりますよ。

と、シャーロットのオーバーすぎる顔芸のオンパレードが拝める、伝説のおもらしシーン。二度見の際は、そんな彼女の表情にも目を向けて鑑賞してはいかがでしょうか。

『セックス・アンド・ザ・シティ』の二度見ポイント3:大晦日の夜こそ、今作の隠れた名シーン

数々の名シーンを残した、映画『セックス・アンド・ザ・シティ』。

おそらく、多くの人の記憶に残っているのが、キャリーとビッグの結婚式やプロポーズといった感動的なシーンなのではないでしょうか。

しかし、筆者といたしましては、二度見の際は、あえて大晦日のシーンに注目し、それぞれの心境に立って鑑賞してみると、今作がより一層、楽しめるのではないかなと思います。

『セックス・アンド・ザ・シティ』の隠れた名シーン

女の友情に感動した、キャリーとミランダの大晦日

この大晦日のシーンででは、セリフもほとんどなく、BGMのみで、それぞれがどのような大晦日を過ごしているかが流れるように描かれています。

そして、結婚が中止となったキャリーはというと、大量のパーティーの招待状が届いているにもかかわらず、カップ麺を食べながらひとりで過ごすことを選択。

また、旦那であるスティーブと別居中のミランダも、「家族みんなで食事しないか?」という彼からの誘いを断り、ひとり中華片手に大晦日の夜を迎えることを決意。

しかし、寂しさから思わずキャリーに電話をかけてしまうミランダ。そんなミランダを心配したキャリーはすぐさまダウンタウンに住む彼女の元に駆けつけ、ふたりで一緒に年を越すことに。

……という女の友情の素晴らしさをこれでもかと描いた感動シーンなのですが、その合間に映る、それぞれの大晦日の過ごし方がものすごく心をえぐってくるのです。

リア充組の大晦日は幸せしか感じない

さて、まず先行を飾るのは、いわゆるリア充組たち。

妊娠中のシャーロットは、旦那であるハリーと愛娘リリー。そして2匹の愛犬と共に、自宅で幸せいっぱいの時間を過ごします。

また、LAの豪邸で恋人のスミスと過ごすサマンサは、まぶしくなるほどのキラキラしたお揃いのバスローブに身を包み、シャンパン片手に恋人との甘い時間を満喫中。

そして、その他はというと、年越しパーティーに参加していたスタンフォードとアンソニーは新年を迎えた瞬間に熱いキスを交わし、キャリーのアシスタントであるルイーズは地元で元カレと再会し、それが復縁のきっかけになります。

……と、まあ、簡単に言えば、ほとんどがパートナーと幸せいっぱいのリア充大晦日を過ごしていたのですよね。

一方その頃、あの男はというと……

そんなそれぞれが幸せな時間を過ごす、大晦日の夜。

しかし! あの男だけは違いました! そうです。キャリーとの結婚が中止になり、絶賛シングル生活を送っている元カレのビッグです!

彼の大晦日はというと、何とカップルたちが新年を祝い賑わうレストランの中で、赤ワイン片手にひとりで夕食をとるというもの。しかもめちゃくちゃ複雑な表情で。もはや、見ているこっちが辛くなるほどの何とも言えない場違い感。

そんな切なさしかないビッグの過ごし方を見て、初見時は「ざまーみろ、お前がキャリーを手放すからだぞ」的なノリで見ていた方も多いはず(まあ、結婚中止に関してはビッグが100%悪かったわけではないのですが)。

しかし、二度目の鑑賞では、もうそんな彼が辛くて見ていられなくなります。お願いだから、さっさと食事を終えてお家に帰ろうよ、ビッグ……。

そして、それが三度目、四度目の鑑賞ともなると、逆に「お祭り状態である大晦日のNYでひとり食事ができるなんて、ビッグのメンタル強すぎない?」と、彼を尊敬の眼差しで見てしまうようになるのです。

自分の立場に置き換えて、違った見方を楽しもう

そんなそれぞれの過ごし方が描かれた大晦日のシーンでは、シャーロットやサマンサ視点から、疑似幸せ気分を味わうも良し。反対にビッグ視点でぼっち気分を味わいながら、彼に感情移入して涙を流すも良し。

と、自分の立場に置き換えてみながら鑑賞すると、これまでとは一味違う見方ができると思います。

二度見では恋愛、女の友情、ファッション以外に目を向けた鑑賞を

今も変わらず、世界中に根強いファンを持つ『セックス・アンド・ザ・シティ』。

この作品の素晴らしいところは、二度見だけに限らず、三度、四度と繰り返し見ても、笑えて泣けて、楽しめる。そんな中毒性の高い部分にあるのではないかなと思います。

そしてもし、二度見をする機会がありましたら、ぜひ、恋愛、女の友情、ファッション以外の部分に目を向けて鑑賞してみてください。

きっと、初見時には気がつかなかった出演俳優たちの高い演技力や、リアリティのある心理描写を始めとした細かい部分に目がいき、これまで以上にSATCワールドの虜になるはずです。

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WRITTEN BY
シングメディア編集部

映像・動作制作を手掛けるTHINGMEDIA株式会社のメンバーで構成しています。制作現場で得た映像・動画の知見をお伝えしていきます。