THINGMEDIAの「取り組み」

映像業界に必要なイノベーションとは? DX化の先で目指す新しい業界基準

「2025年までに、映像制作業界の仕組みと働き方のニュースタンダードを作り、渋谷最強の映像カンパニーとなる。」

高い目標を掲げるシングメディアが描く「ニュースタンダード」は、一体どんな世界を生み出すのでしょうか。これからの挑戦を、経営陣3名に聞いてみました。

前編:映像制作ベンチャーでは異例の「CMO」就任。次に見据える成長戦略とは

テクノロジーを活用した挑戦も視野に

田中:シングメディアは5期目に入って、売上は昨対比260%と順調に成長しています。ただ1つ1つの案件でみると売り上げ金額にはかなり幅があって、「売上の質」自体は低いと思っている。

理由は、受託案件は散発的だから。つまりフローとストックで言うと「フロー売上」となっているから安定しにくいし、先々の予定も見据えにくい。これでは会社は不安定なままで、経営上よい状況ではないと思っています。

だからこそ、どこかのタイミングで毎月積み上がっていく「ストック売上」をつくらないといけない。この「ストック売上」があれば、採用計画を立てたり、新規事業でアクセルを踏んだりと、会社としてより攻めやすくなります。

いずれはこの事業展開で、売上比率をフロー8:ストック2くらいにはしたいし、今期はその柱になるその事業をつくっていくつもりです。

佐藤:映像業界は“チームで正解がないものをつくりあげていく”仕事。その中でも「制作進行」という役割はチーム内の各所とコミュニケーションをとるから、特に長時間労働になりやすいといった課題を抱えている。だからこそ、これまでの当たり前を変えていく必要があると思ってる。

そこで解決策として、ツールやWebサービスといったテクノロジーをどんどん活用していくことも1つの手段として有効じゃないか、と。例えば、Slackをただのチャットツールとしてではなく、バーチャルオフィスとして活用していくとか。シングメディアでも2年ほど前から導入していて、そこで得た経験と感覚から、映像制作業界のスタンダードにした方が良いと感じています。
 
ほかにも、バーチャルプロダクションやVR、AR、XR、メタバースや、スマホやタブレットで撮影、編集するとかもいいよね。テクノロジー万歳な世界がきてるからこそ、映像制作業界の「DX化」にも挑戦しまくっていきたい。

田中:あとは映像技術に投資していくだけじゃなくて、非連続的な価値創造を起こしていくことも意識しています。例えば、新たに始めた正社員メンバーに限らないプロジェクト単位でのチームづくりもその1つです。

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佐藤:本当にその通りで、あらゆる手法を取り入れて映像制作業界をより良い方向に変えたいと思ってる。ただ、ツールを使うことや映像制作技術を高めることだけが目的ではないというか。もちろん、働き方改革のための工数の削減も手段の一つだけどね。

あくまでもシングメディアは、僕たちのあらゆる取り組みを通して、人が幸せになったり、感動したり、驚くものを届けたりする会社でありたいなと。

人間はどうしても負担をなくして楽になる方へ物事を考えていきがち。でも僕たちは、技術の進化などによる業務負担が減った分で生まれた時間を、よりクリエイティブなものづくりの時間に変えていきたいと思ってる。

相原:ベンチャーやスタートアップ企業では、雇用形態に囚われないチームづくりが当たり前になってきているし、参考になると思う。そうした体制が整ったら、プロ人材を集めやすくもなるし、会社の成長幅は格段に広がるのでオススメするよ。そうすると、シングメディア内で企画〜制作公開まで、いずれは代理店機能をも持つ体制は整えられるかもしれないし。

あと、仕組みにすれば誰でも再現可能になる分、クリエイティブなものが生まれにくくなるから、あえて「人に依存させる」のもいいかもしれないね。

「つくっておわり」ではないブランドを意識した映像制作

田中:先ほどの話でもあった通り、映像をつくった先、どこまで届けるのかは常に意識してクリエイティブや組織づくりはしていきたいと思ってる。あとは、今後もブランドづくりにも寄与する関わり方は常に模索していきたいです。

相原:たしかに、ブランディングは戦略が重要だからね。既存の顧客に対して届ける情報か、新規顧客に対して届ける情報かでかなり変わってきているし、しっかり「意味のある戦略」を設計する必要があると思う。

佐藤:映像制作って、つくり手の自己満になってる部分も多いんだよね。もちろん、「ブランドへの愛」や「好き」みたいな、つくり手の気持ちが全開に溢れた「自己満」は、共感を生むこともできるし、良いことももちろんあるんだけど。

でも根本的に必要なのは、“つくってからどうするか”じゃなくて、どんな戦略に則って議論していくか。そのブランドがどう愛されていくべきか? を必死に考えるのが重要なんじゃないかなって。

田中:そうだね。映像制作の現場では、最も重要であるはずのプロダクトやサービスの持つベネフィットや独自性を十分に詰め切る前に、表現や企画といったクリエイティブの話に進むことが多いかも。でも本質の部分を明確にしないままクリエイティブに進んでも、広告に対する投資効果は良くならないよね。

佐藤:一方で、僕は「一本の映像で世界が変わる」と心の底では思ってる。でももちろん、「一本の映像で世界が変わるわけがない」という考え方も事実だよね。映像の表現や手法は素晴らしくても、届けたい顧客にとって優れたものをつくれているかは別問題だから。でも、だからこそブランドを重視した映像制作の重要性が高まってると思う。

必要なイノベーションは「本質を捉えること」

相原:あらゆる商品がコモディティ化して、差別化しにくくなってきたことも、ブランドの重要性を高めているのかもね。ただ、「驚き」は時代によって違うから、あっと心を揺さぶるクリエイティブを発信したいよね。

田中:ただ“1本の映像を頼まれてつくる”スタンスから、クライアントと対等に向かい合い、共に進んでいく業界にしたい。シングメディアが掲げている「最適で最善で最高なBBBプロデュース」はここからきているし、予算などの制約を加味したベターやベストより、制約全てを取っ払ってボンバーな企画を提案することも必要なんじゃないかな。

佐藤:そうだよね。本質をついていれば、予算などの制約はなんとかして調整するクライアントもいる。だからこそ、対等に向かい合える関わり方を模索する重要性を感じてる。こなすだけでなく、飛び越えていく意識は常に大事にしたいし、業界の当たり前にしたい。

相原:「意味のイノベーション」が必要なのかもしれないね。ベンチャーマインドで、当たり前を疑うというか。心が動くものをつくり続けることが、2025年に達成を目指すニュースタンダードの礎になりそうだなって。

田中:あとは、市場にニーズがあるかを検証しながら進めていくことも重要なのかも。例えば、プレスリリースをLP代わりに配信して反応の良し悪しを確かめる、なんかも1つの形だと思って続けてるし。こうやって、映像業界でどんどん新しいチャレンジを続けていきたいよね。

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WRITTEN BY
田ケ原恵美

1994年生まれ、滋賀県出身。大学在学中、学内で開催されたミスコンテストで準グランプリを受賞。SNSのマーケティングスキルを活かしタレント・インフルエンサーとして活動を開始。卒業後はITベンチャーで広報部の立ち上げを担当。自社PRだけでなく、業界啓蒙やファンベースを生かした広報活動を経験。松竹芸能所属。