会計・バックオフィス

【勤怠管理】早退で控除することは可能? 事前準備や懲戒処分について

こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。

正しい勤怠管理をおこなうには、社員が早退した際に適切な手続きをすることが含まれます。しかし中には、社員が早退する際の正しい対応や勤怠手続きに不安があるという担当者もいるかもしれません。

そこで今回は、「社員が早退する際の適切な対応と正しい勤怠管理」について、詳しく解説します。

社員が早退するときの正当な早退理由とは

社員が早退するときの正当な早退理由

社員が「早退したい」と申し出たときには、その理由が正当であれば会社側は早退を認めなければなりません。そこでまずは社員が早退するときに、会社側が認めるべき正当な早退理由を紹介します。

体調が良くない

正当な早退理由の一つが、体調不良です。朝起きたときから多少体調が悪くても、無理して出社したことで悪化してしまうこともあるでしょう。

またたとえ朝、家を出るときには問題がなくても、通勤途中や勤務中に体調が悪くなることもあります。

体調が優れないまま無理して働くことで、仕事のパフォーマンスが下がり、ミスをしてしまう可能性もあります。周囲に心配をかけてしまったり、風邪などの場合、周囲にうつしてしまったりする可能性もあるのです。

そのため体調が悪いときには、早退してしっかり休むことが必要となります。

病院へ行く

病院へ行くというのも、正当な早退理由の一つです。急な体調不良はもちろん、歯が痛くて歯医者に行きたいという場合や、持病があって通院が必要になったという場合にも早退は認められます。

病院の診療時間は平日の朝から夕方までしか受付していないことが多いため、やむを得ず早退しなくてはならないことがあるためです。

体調が悪いのに我慢していると悪化して深刻な状態になってしまうかもしれませんし、体調不良が長引くと仕事に影響が出るため、できるだけ早く体調を整えるためにも病院へ行くことが必要となります。

急用ができた

急用ができたため早退したいというのも正当な早退理由の一つですが、急を要する用事であると認められることが必要です。

たとえばガス・水道などの設備点検やハウスメーカーの定期点検、Wi-Fi工事などで在宅が必要な場合などが挙げられます。

また自宅などで何かのトラブルが起きることもあるでしょう。大家さんや管理会社などから呼び出される場合もあります。そういった緊急性が高い用件では、企業は早退を認めたほうがいいといえます。

役所や銀行での手続きがある

役所や銀行での手続きをしなければならないという場合も、正当な早退理由として認められやすいです。

役所の窓口が開いているのは基本的に、平日の9~17時となっているため、通常の勤務時間では間に合わないというケースも多いもの。そうした場合は早退しなければならないでしょう。

住宅ローンの手続きなどで銀行に行かなければならないこともあります。銀行も営業しているのは基本的に平日のみで、早く閉まってしまうため、早退しなければ間に合わないことも多いです。

家庭の事情がある

家庭に関する事情がある場合も、正当な早退理由として認められやすくなっています。

たとえば家族の体調不良や事故、不幸といった突発的に起こることはもちろん、子どもの授業参観、保育施設からの呼び出しなども早退理由として認められます。

近年ではペットも家族の一員という認識が浸透してきており、ペットの体調不良も家庭の事情とみなされることもあります。

企業側は社員から早退理由を「家庭の事情」と言われた場合には、プライベートのため深く追求しないほうがいいでしょう。

社員が早退を願い出たときに考えたいポイント

社員が早退を願い出たときに考えたいポイント

業務が忙しいときに社員が早退したいと言ってきた場合、企業側としては認めたくないというケースもあるかもしれません。しかし早退を認めないことで、トラブルにつながる可能性もあります。そこでこの段落では、社員が早退を願い出たときに、企業側が考えたいポイントを紹介します。

感染のリスクを考慮して休んでもらう

社員が体調不良を理由に早退を願い出た場合は、感染のリスクを考慮して休んでもらうのが企業としても最善の方法です。

感染症が疑われる場合は、社内感染のリスクが高くなります。無理して出勤すると、周囲にうつしてしまいかねません。集団感染してしまえば、事業に影響が出てしまう恐れもあります。

一般的にも、体調不良のときは会社を休むのがマナーとされています。特に37.5℃以上の発熱がある場合は早退してもらい、病院でしっかり診察してもらうのがいいでしょう。

なお病院で診察してもらった際には、社内感染のリスクを判断するためにも結果を報告してもらいましょう。

早退するのは悪いことではない

企業側としても早退するのは悪いことではないということを理解しておくことも大切です。

仕事や周りに支障をきたさなければ、早退は責められるものではありません。体調不良の場合、本人の健康管理不足が指摘される部分もありますが、いくら注意していても突然体調が悪くなることもありますし、家庭の事情などもやむを得ないものです。

そのため個人の責任の範囲内であれば、突然の仕事の早退も問題ありません。無理をして働くことで、かえって周囲に迷惑がかかることもあります。

個人的な仕事を抱えている場合は、可能であればほかの社員に引継ぎをしてもらってから早退してもらいましょう。

やむを得ないときに早退を認めないとマイナスになる

やむを得ない理由があるのに早退を認めない場合は、会社にとってマイナスになるため注意が必要です。やむを得ない理由でも早退を認めないと、法律違反となる可能性もあります。

またSNSやネット上の口コミで悪い評判を流されればブラック企業として知られ、会社の評判が落ちる可能性もあるのです。

早退を認めてもらえないということで社員が不満を抱き、転職を考えるきっかけとなって離職率が高まる恐れもあります。

さまざまなリスクを避けるためにも、社員が早退を願い出たときには正当な理由があれば認めなくてはいけません。

社員が早退した場合の給料はどうなる?

社員が早退した場合の給料の扱い

企業側にとっても社員側にとっても気になるのが、お給料のこと。そこでこの段落では、社員が早退した場合に給料が発生するのかどうかを詳しく説明していきます。

ノーワーク・ノーペイの原則を適用して控除できる

社員が早退した場合の給与は、ノーワーク・ノーペイの原則を適用して控除することが可能です。

ノーワーク・ノーペイの原則とは、労働者が労働を提供していない分まで使用者は賃金を支払う義務はないという考え方。

たとえば1日8時間労働の会社で1時間しか働いていない場合には、会社側は社員が労働した1時間分以外の賃金を支払う必要はないということです。

早退した時間分は労働の提供がないため、使用者にはその分の賃金を支払う義務は発生しません。

このノーワーク・ノーペイの原則は雇用形態に関わらず、正社員や契約社員、アルバイト、パートなどすべての労働者に適用されます。そして早退だけでなく、遅刻や欠勤にも当てはまります。

ただし給与形態によっては給与カットできない

労働者が労働を提供していない分については使用者に給与を支払う義務はないと先述しましたが、給与形態によっては給与カットができません。

月の給与額があらかじめ定められている月給制の場合は、遅刻・早退・欠勤があっても減額できないのです。ただし多くの正社員の実態は、「日給月給制」や「月給日給制」となっており、早退分の基本給を(日給月給制の場合は手当も)カットできます。

また年俸制や歩合給制で働いている社員の場合では、控除が可能です。

年俸制の場合は、1時間分の控除額を年俸÷(1日の所定労働時間×(365日-年間休日日数))で求められます。歩合給制の場合は、基本給をもとに早退分を控除しますが、歩合部分は控除が不可となります。

フレックスタイム制で総労働時間を満たしていない場合についても控除が可能です。総労働時間を満たしている場合は控除ができません。

早退で控除するときに必要な事前準備について

早退で控除するときに必要な事前準備

早退による控除をするときに必要な事前準備について詳しく紹介していきます。

就業規則にルールを定めておく

早退による控除をする際には、就業規則にルールを定めておくことが大切です。就業規則に、早退の基準と控除ルールを定めておきましょう。

早退をする際には、いつまでに、誰に、どのような手段で届け出るのかを明示することが必要です。

就業規則にルールを定めたら、それを社員に周知しましょう。就業規則にルールを定めて社員へ周知しておかないと、後々「給与から勝手に引かれた」などとトラブルになる可能性があります。

早退や遅刻で給与を控除するときの計算方法を決める

労働基準法には賃金控除の定めがないので、企業ごとに早退や遅刻で控除するときの計算方法を決めておかなければなりません。

一般的なのは、1時間あたりの基礎賃金に、早退した分の時間数を掛け合わせて控除する方法です。企業によっては独自に減算して控除金額を決定しているところもあります。

注意点としては、15分や30分単位での切り捨てはしないこと。労働基準法第24条に違反しないように、1分単位で処理するようにしましょう。

早退が繰り返される場合の対処法! 懲戒処分はできる?

早退が繰り返される場合の対処法

社員が早退を繰り返す場合に懲戒処分は可能なのか、見ていきましょう。

結論から言うと、あらかじめ就業規則等に懲戒処分について明示しておけば、処分を下すことができます。

不就労控除とは別に、制裁として賃金から一定額を差し引くことは可能となります。ただし、早退1回ごとの減給額は平均賃金1日分の半額を超えてはなりません。

また月の減給総額が賃金月額の10%を超えてはならないという点にも注意が必要です。

このほか、本人に注意をして反省を促す戒告・譴責、出勤停止、懲戒解雇などの処分もあります。

勤怠管理するなら知っておきたい! 早退に関するQ&A

早退に関するQ&A

勤怠管理をする際に知っておきたい早退に関するQ&Aを紹介しましょう。

早退するときに有給休暇は使えるの?

まずは早退するときに有給休暇が使えるのかどうかという点です。一般的に有給休暇は事前申請が必要なため、早退では有給休暇を使えない場合が多いといえます。

ただし会社によっては突発的な早退でも、事後申告により有給休暇とすることを認めているケースがあります。また有給休暇を半日や1時間単位で申請できる会社もあります。

会社側は早退に有給休暇が使えるかどうか就業規則に定めておくようにし、社員は就業規則を確認するようにしましょう。

早退したら残業した分と相殺できる?

早退したら残業した分と相殺できるかどうかについては、原則としては、早退した分を残業で相殺することはできません。3時間分を早退した翌日に3時間残業をしたからといって、それを相殺することはできないのです。

ただし就業規則への明記や従業員との合意があり、かつ一定の条件を満たす場合には相殺することが可能です。

相殺する場合でも、1日の労働時間が8時間を超える場合は、割増賃金を支払う義務があるという点も覚えておきましょう。

早退などの勤怠管理はシステムを導入すれば楽になる!

早退などの勤怠管理はシステムを導入すれば楽になる

早退などの勤怠管理は手間がかかりますが、勤怠管理システムを導入すれば楽になります。

勤怠管理システムを導入すれば、早退の申請もネットワーク上でおこなうことができ、各社員の労働時間を正確に把握できます。

早退の時間数に応じて自動で控除額を計算することも可能です。給与計算のシステムと連携することで給与計算の手間を省けますし、計算ミスも減らせます。

勤怠管理システムを導入すればデータの管理を一元化できて煩雑な作業が軽減され、業務の効率化につながるでしょう。

早退には適切な対応をして勤怠管理ミスを防ごう!

早退には適切な対応をして勤怠管理ミスを防ごう

社員の早退は突発的に生じる可能性があるものです。正当な理由による早退願いが出されたときには、後々のトラブルやさまざまなリスクを避けるためにも、しっかりと認めて早退させることが大切です。

そして早退に伴う時間の確認や控除額の計算などイレギュラーな処理が求められるため、ミスがないように注意して手続きするようにしましょう。

煩雑な作業を効率化したい、ミスを防ぎたいといった場合には、勤怠管理システムの導入を検討するのもおすすめです。


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WRITTEN BY
THINGMEDIAコーポレート編集部

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