こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。
誰かと食事をしたときなどには、代金を接待交際費として計上することができますが、「これは接待交際費として計上できるのだろうか」と迷うこともあるでしょう。
接待交際費の範囲は法人か個人事業主かによっても異なりますし、会社の規模によって上限も異なるため注意が必要です。
そこで今回は、「接待交際費として計上できる費用とできない費用の違いや、計上する際の注意点」を詳しく解説します。
接待交際費とは?
接待交際費とは、得意先や仕入れ先など、事業にかかわる相手に飲食の提供や謝礼、贈答などをおこなった際にかかる費用のことです。
飲食の提供などをしても、自社の役員や社員が相手では、接待交際費となる場合とならない場合があります。
なお租税特別措置法第61条の4第6項によると、接待にとどまらず、「供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」が接待交際費に該当すると定義されています。
事業活動のための支出であり、事業主にとって有利に事業活動を展開するために必要な交友にかかる費用であれば、接待交際費といえるのです。
当然ながら、事業に関係のないプライベートな友人が勤める会社と会食をした際などには接待交際費として認められません。
・参考サイト:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算 | 国税庁
法人の規模によって異なる接待交際費の上限
接待交際費はいくらでも計上できるというわけではなく、また一律で上限額が決まっているわけでもありません。法人の規模(期末資本金額または出資金額)によって、接待交際費として計上できる上限が異なります。それぞれの上限がいくらなのか、詳しく見ていきましょう。
期末資本金額または出資金額が1億円超の場合
まずは期末資本金額または出資金額が1億円超の法人における接待交際費の上限ですが、法人税法上、接待交際費は原則として損金算入されません。
つまり、この規模の法人では、接待交際費は原則として税法上、経費として計上できないのです。
ただし飲食のために要する費用で、飲食店に支払う費用である「接待飲食費」に限り、例外的に1人当たり5000円以下なら、法人の規模に関係なく損金算入できるようになっています。
1人当たりの接待飲食費は、要した接待飲食費を参加した人数で割って計算します。たとえば接待飲食費が10万円で20人参加していたとすれば1人当たり5000円となるため、接待飲食費として計上可能です。
また1億円超100億円以下の法人は、接待飲食費に限り、50%まで接待交際費として損金算入できます。50%を超えた分は損金不算入です。
100億円超の法人が損金算入できるのは、1人当たり5000円以下の接待飲食費のみとなります。
・参考サイト:交際費等(飲食費)に関するQ&A | 国税庁(PDF)
期末資本金額または出資金額が1億円以下の場合
続いて、期末資本金額または出資金額が1億円以下の中小法人における接待交際費の上限について見ていきましょう。
期末資本金額または出資金額が1億円以下の中小法人は、接待交際費の一部を損金算入することが可能です。
具体的には、年間800万円までの接待交際費を損金算入するか、接待飲食費の50%までを損金算入するかを選択します。
どちらを選択するかは企業によって自由ですが、選択次第で経費計上できる金額が大きく変わることもあるため注意が必要です。
たとえば接待飲食費が1000万円の企業が、「年間800万円までの接待交際費を損金算入する」というほうを選んだ場合、800万円を経費として計上できることになります。しかし「接待飲食費の50%までを損金算入する」というほうを選んだ場合には、500万円しか経費計上できません。
このように飲食以外の接待交際費の割合が多い場合や、年間の接待交際費の金額が少ない場合は、年間800万円までの接待交際費を損金算入するというほうを選ぶのがおすすめです。その代わり、接待飲食費の例外規定は適用されません。
一方、1人当たり5000円を超える接待飲食費が多い場合には、接待飲食費の50%を損金算入するほうがお得です。ただしこちらを選んだ場合、飲食以外の接待交際費は損金不算入となるので注意しましょう。
・参考サイト:交際費等(飲食費)に関するQ&A | 国税庁(PDF)
個人事業主における接待交際費の上限
個人事業主の場合は法人と異なり、接待交際費の上限は設けられていません。そのため事業にかかわる飲食代は基本的にすべて接待交際費にすることが可能です。
個人事業主の場合、事業にかかわるものかどうかの線引きが難しいものですが、ビジネスに必要な情報を得る目的や人間関係の構築を目的とした食事も、事業に関するものといえます。
個人事業主の場合、法人よりも事業にかかわるものと判断できる範囲が広いのです。友人や親族との食事でも、それが本当に事業に関係がある場合は接待交際費になります。
ただし上限がないからこそ、税務署の目が光っているというのも事実。明らかに事業に関係ないと判断される領収書は真っ先に調査の対象となるため、説明のつくものだけを接待交際費にするようにしましょう。
接待交際費には該当しないケースとは?
法人において接待交際費には該当しないケースというものがあります。この段落では、それがどんなものなのか一つひとつ詳しく解説していきます。
接待飲食費が1人当たり5000円以下に収まったケース
接待飲食費が1人当たり5000円以下に収まったケースは接待交際費には該当しません。
接待交際費として算入できるのは、1人当たりの接待飲食費が5000円を超えた場合です。接待目的で食事した場合でも、5000円以下のときは接待交際費としては計上できないため注意しましょう。
そのため通常のランチや飲み会程度の金額の場合では、接待交際費には該当しないことが多いです。
取引先との飲食代で5000円以下のものは、一般的に会議費として計上することになります。
誤って接待交際費として計上してしまわないようにするため、金額が少ない場合であっても、いつどこで誰と会食したのか、何人でいくらかかったかなど、詳細を記載した書類を保存しておく必要があります。
イベントの参加者が自社社員のみのケース
イベントの参加者が自社社員のみのケースについても接待交際費には該当しません。
運動会やゴルフコンペ、旅行などを開催した際の費用でも、参加者が自社社員のみの場合は、接待交際費にはならないのです。
これらはクライアントを接待するためではなく自社社員の慰安のためにおこなう行事と考えられるため、接待交際費ではなく福利厚生費に該当します。
ただし同じ規模のゴルフコンペや旅行であっても、そこにクライアントが参加する場合の費用は接待交際費として計上することが可能です。
何にしても、接待交際費とするためには「事業に関係のある者に対する行為」という条件を満たす必要があると覚えておきましょう。
打ち合わせをしながら食事をするケース
打ち合わせをしながら食事をするケースについても接待交際費には該当しません。
一緒に食事する相手が取引先の社長や担当者であっても、打ち合わせ目的で食事をする場合は、接待交際費に該当しないのです。
喫茶店などで飲食しながら打ち合わせするような場合の代金は、会議費となります。社内でおこなう会議のお茶代やお弁当代についても、接待交際費ではなく会議費で処理することになります。
たとえそこにクライアント企業の担当者が参加していたとしても、接待交際費ではなく会議費として処理しましょう。
取引先に宣伝目的の品物を贈るケース
取引先へ宣伝を目的とした品物を贈るケースについても、接待交際費には該当しません。
取引先に、自社名の入ったカレンダーやうちわなどの販促品を贈ることがあるでしょう。そのようなカレンダーやうちわといった品物は贈答品ではなく、不特定多数に対する宣伝を意図した販促品です。
カレンダーやうちわ以外にも、手帳や筆記用具、手ぬぐい、ステッカーなども同様の意図で贈る品物といえます。
これらの販促品代金は接待交際費には該当せず、広告宣伝費として計上することになります。
ただし商品券やギフト券、見舞金などといったものを取引先へ贈る場合は接待交際費として計上するため、間違えないよう注意しましょう。
・参考サイト:交際費等(飲食費)に関するQ&A | 国税庁
取材の際に飲食を共にするケース
取材の際に飲食を共にするケースについても接待交際費には該当しません。
新聞や雑誌などに掲載する記事を書くために、座談会などで取材相手と飲食を共にするケースがあると思います。これは事業活動につながるため、接待交際費と勘違いしやすいですが、接待交際費には当たりません。
出版物や放送番組の編集を目的とした取材や座談会にかかわる場合は、飲食を伴っても取材費です。
なお取材費として処理する場合には、取材相手の名前を記載したもの、取材の記録、作成した記事などを残しておく必要があります。
接待交際費を計上する上で注意するポイント
接待交際費を計上する上では、注意しなければならないポイントもあります。正しく計上しないと節税につながらなかったり、接待交際費として認められなかったりする可能性があるため気を付けなければなりません。そこでこの段落では、接待交際費を計上する際の注意点を解説していきます。
経費計上できる金額を確認する
接待交際費を計上する上で注意しなければならないポイントとして、経費計上できる金額を確認することが挙げられます。
先述した通り、接待交際費として経費計上できる金額には上限があります。
期末資本金額または出資金額が1億円以下の中小法人の場合、接待飲食費の50%か年間800万円かのどちらかを選択しなければなりません。
接待飲食費の合計金額が年間1600万円を超える場合は、接待飲食費の50%を経費計上したほうが節税につながります。
期末資本金額または出資金額が1億円を超える大企業の場合は、接待飲食費の50%が経費計上の上限です。これを超える金額は接待交際費に算入できません。
期末資本金額または出資金額が5億円以上の法人の100%子会社の場合は、中小企業向け特例は適用されないため、接待飲食費の50%が上限となります。
これを踏まえて、自社が接待交際費として経費計上できる金額を確認しましょう。
・参考サイト:No.5800 一定の大法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について | 国税庁
領収書は後でわかるように保管する
領収書は後でわかるように保管することも、接待交際費を計上する上で注意しなければならないポイントです。
接待交際費に限ったことではありませんが、経費として計上するものは領収書の保管が重要になります。領収書は事業に関連する費用であることを証明するために必要な書類。税務調査が入ったときの証拠になるため、必ず保管しておく必要があります。
特に接待交際費は、行為の目的が事業に関する活動でなければならないと決められている勘定項目です。後で見たときに、いつどこで誰と何にいくら使ったかが正確にわかるようにしておかなければなりません。
領収書やレシートの裏には、日付、参加者名、参加人数など、事業に関する活動であると証明する際に必要な事柄を書き込んでおくようにしましょう。接待飲食費は何人で使った金額かという点も重要です。
領収書をもらえなかった場合は、出金伝票を利用して、取引の日時、金額、相手、取引内容などを記入しておきます。
また領収書の保存期間にも注意が必要です。青色申告の場合、帳簿も領収書などの書類も7年間保存しなければなりません。紛失などしないよう、しっかりと保管・保存しておきましょう。
接待交際費の計上は正確におこなおう
接待交際費は、税務調査が入る際、最初に確認される項目の1つです。そのため正確に経理処理することが重要となります。
接待交際費についての理解を深めておけば、節税にもつながるため、しっかり理解したうえで経理処理をおこないましょう。
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