会計・バックオフィス

7時間勤務に休憩は必要? 企業が知っておくべき休憩時間に関するルール

こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。

パートやアルバイトを雇用する場合、短時間勤務をする人も多いでしょう。短時間が本当に短時間なのであれば休憩を付与する必要もありませんが、迷いがちなのが7時間勤務ではないでしょうか。

労働基準法でも労働時間によっては休憩時間の確保が義務となっているため、企業は短時間勤務をする人に付与すべき休憩時間のルールを理解しておく必要があります。

そこで今回は、「7時間勤務をはじめとする短時間勤務に休憩は必要なのか、休憩時間に関するルール」などを詳しく解説します。

【基礎知識】「休憩時間」の定義は?

「休憩時間」の定義

休憩時間とは、労働の途中に労働者が労働から離れて休息できる時間のことです。

休憩時間については労働基準法第34条で規定されており、使用者が好意で与えるものではありません。一定の休憩時間を与えることは使用者側の義務となります。

なお休憩時間は労働時間に含まれず、休憩時間には賃金も発生しません。

そのため休憩時間にはしっかりと休息をとらせる必要があり、「電話がかかってきたら対応して」「すぐに終わるから、休憩中にこれサッとやっといて」などと指示を出すのはNGです。

休憩時間に数分でも仕事を頼んだ場合は、その時間は休憩時間として認められず、時給が発生することになります。

また労働者に与えなければならない休憩時間の長さは、労働時間によって変わります。雇用形態や勤続年数などは関係ありません。

7時間勤務に休憩は必要?

7時間勤務に休憩は必要かどうか

労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合は、45分の休憩を付与しなければならないと労働基準法で定められています。つまり7時間勤務の場合は、45分の休憩が必要ということです。

どんなに人手が足りず忙しい状態でも、7時間勤務なら45分の休憩は必ず与える義務があります。

なお45分はあくまでも最低付与すべきラインであり、実際には1時間付与している企業も少なくありません。

たとえば勤務時間が9時~17時で休憩時間が60分の場合、7時間勤務で休憩は1時間としている企業は多いものです。

5時間・6時間・8時間以上で必要な休憩時間

5時間・6時間・8時間以上で必要な休憩時間

必要な休憩時間は労働時間に応じて異なると先述しました。そこでこの段落では、5時間・6時間・8時間以上で必要な休憩時間についてそれぞれ詳しく説明していきます。

5時間の場合

労働時間が6時間以下の場合は労働基準法上、企業側に休憩を付与する義務はありません。つまり5時間労働の場合は、休憩がなくても問題ないということです。

5時間労働であれば残業が発生することもほとんどありませんし、残業したとしても1時間以内で終わることが多いでしょう。そのため5時間労働のアルバイト・パートを雇用する場合は、休憩時間の設定を「なし」としても問題ありません。

休憩がないと困るのではと思う人もいるかもしれませんが、5時間の短時間で働く人の多くが主婦や学生、ダブルワークをしている人となっており、そういう人たちは休憩を取るよりも拘束時間が短くなることを優先する人が多いというのも事実。「休憩するなら早く帰りたい」という人は少なくありません。

6時間の場合

労働時間が6時間ぴったりの場合は、休憩の義務は発生しません。前の項目で説明した通り、労働基準法で認められています。

ただし6時間を1分でも超えると45分以上の休憩を与えなければならないという点に注意が必要です。

1分というのはちょっと退勤が遅くなっただけで超えてしまいますし、残業が発生すれば軽く超えてしまいます。よって労働基準法違反を避けるために、あらかじめ45分の休憩を入れておくとよいでしょう。

8時間を超える場合

労働時間が8時間を超える場合は、60分以上の休憩が必要となります。

労働時間が8時間以内であれば、必要な休憩時間は45分です。そのため所定労働時間が8時間なら労働基準法上、休憩時間は45分の設定でもよいのですが、8時間を1分でも超えると60分の休憩を与えなければならなくなります。

残業が発生した日は休憩時間を1時間、残業がない日は45分とするのは企業側にとっても従業員側にとっても手間となります。

そのため所定労働時間が8時間の場合は、初めから1時間の休憩を与える企業が多くなっているのです。

8時間労働であれば残業をすることも多く、残業すれば必然的に8時間を超えてしまうので、最初から休憩時間は1時間に設定しておくのが得策といえます。

「休憩時間の三原則」とは

「休憩時間の三原則」とはなにか

使用者が従業員に休憩を付与する際には、休憩時間の三原則を守る必要があります。休憩時間の三原則とは、「労働時間の途中で付与される」「休憩時間は自由に利用できる」「一斉に付与される」の3つの原則のこと。それぞれどういうことか、詳しく解説していきます。

1. 労働時間の途中で付与される

「休憩時間の三原則」の1つ目は、途中付与の原則です。

休憩時間は、労働時間の途中で付与しなければならないということ。これは労働基準法第34条で規定されており、企業にとって義務となります。

たとえば8時間労働で1時間休憩の場合、出社してすぐに1時間の休憩をとってから8時間連続で仕事させる、というのはNGです。8時間連続で労働してから休憩を取ることもできません。

従業員側から、「休憩は不要なので早く帰らせてほしい」という要望があったとしても、それに応じるのはNGとなるため注意が必要です。

必ず労働の途中、つまり4時間勤務したら1時間の休憩をとってから4時間勤務する、3時間勤務したら1時間の休憩をとってから5時間勤務する、というようにしなければなりません。

2. 休憩時間は自由に利用できる

「休憩時間の三原則」の2つ目は、自由利用の原則です。

これは、休憩時間中は労働から解放されなければならないということ。一切の労働から離れて、それぞれ自由に過ごしていいということです。

休憩時間は自由に過ごせるというのは当然のことではありますが、繁忙期や人手不足などがある場合、つい休憩中も仕事をしてしまうということはよくあるでしょう。

しかし電話応対や来客対応をしながら休憩する場合、休憩時間とはみなされません。

休憩時間中に偶発的に労働が生じた場合は、別でその時間分の休憩時間を付与する必要があるため注意しましょう。

ただし警察官や消防団員など、特定の職種については例外となり、自由利用の原則は適用されません。

3. 一斉に付与される

「休憩時間の三原則」の3つ目は、一斉付与の原則です。

休憩時間は原則として事業場単位で一斉に与えなければならないとされています。そのため多くの企業で休憩時間を12時~13時や13時~14時の昼休みとして設けているのです。

ただしこの原則には例外があり、運輸交通業・商業・金融広告業・官公署、通信業など特定の業種は除外されます。これは労働基準法施行規則第31条に規定があります。

また労使協定がある場合もこの限りではありません。労働基準法第34条第2項に基づき、「休憩時間を一斉に付与しない」との取り決めがある場合は、協定の範囲内で従業員がそれぞれ別の時間に休憩を取ることが可能です。

例外とされる特定の業種または労使協定がない場合は一斉に付与しないと違法となるため注意しましょう。

休憩時間に関して知っておきたいその他のルール

休憩時間に関して知っておきたいその他のルール

休憩時間に関して知っておきたいルールは、三原則以外にもあります。そこでこの段落では、その他のルールについて詳しく解説していきます。

雇用形態に関わりなく付与しなければならない

休憩時間は、雇用形態に関わりなく付与しなければならないというルールがあります。

休憩時間は正社員、派遣社員、パート・アルバイトなど雇用形態に関わりなく、すべての従業員に対して等しく付与する必要があるのです。

労働基準法では、雇用形態に関わりなく雇われて働く人のすべてが「労働者」として定義されています。そのため「正社員は1時間、パート・アルバイトは45分」など、雇用形態によって付与する休憩時間を変えると、違法になる可能性があるため注意しましょう。

休憩時間は雇用形態ではなく労働時間に応じて付与するというのが大前提です。

休憩は分割して取っても良い

休憩は分割して取っても良いというルールもあります。労働基準法で定められている休憩時間は、合計で所定の時間に達していればOKなので、分割して付与してもよいということになります。

そのため「業務の都合上、1時間まとめて取らせると支障がある」「従業員の集中力を保つために休憩時間を分散したい」などという場合には、「1時間の休憩を30分ずつ」「1時間の休憩を45分と15分に」などと分割して付与することが可能です。

ただし5分ごとや10分ごとなど休憩時間があまりにも細切れになっている場合は、休息として十分な時間を取れない可能性があるためNG。従業員がしっかり休息を取れるよう設定しましょう。

残業に休憩を付与する義務はない

残業に休憩を付与する義務はないというのも知っておきたいことです。

所定の労働時間を超えて残業したら、その分休憩時間も取らせなくてはならないのではと考えがちですが、法律上、残業時間に休憩を付与する義務はありません。

8時間を超えれば、残業をしても必要な休憩時間は60分で変わらないのです。

とはいえ従業員の健康や業務効率などを考えて、残業が長引いた場合には一度休憩を入れたほうがよいと考える企業も増えています。残業中に休憩時間を設定するかどうかは企業の判断に任されているので、それぞれの状況に応じた対処が求められます。

ただ残業中も休憩が欲しいという人もいれば、休憩は不要でできるだけ早く帰りたいという人もいるのが事実。残業によって休憩時間を増やすかどうかは、実情に合わせて慎重に検討するようにしましょう。

業務が忙しくて休憩を付与できなかった場合の対処法

業務が忙しくて休憩を付与できなかった場合の対処法

繁忙期や人手不足、職種などによっては、業務が忙しくてどうしても休憩を付与できなかったという場合もあるでしょう。

そのような休憩せずに働いてもらった場合は、その時間分の給与を必ず支払う必要があります。

休憩することなく働いたことにより時間外労働が発生した場合は、割増賃金を支払わなければなりません。原則として1日の実働時間が8時間を超えた場合、25%以上の残業手当がつくことになります。

決まった時間に休憩を取らせることができなかったとしても、後からでも規定の休憩時間を取らせて、法律で決められている休憩時間を守るようにすることも大切です。

本当は休憩を取らせていないのに取らせているようにごまかすと、従業員とのトラブルにつながったり、労働基準監督署からチェックされたりといったリスクがあるため注意しましょう。

休憩時間に関するルールを守らない場合の罰則について

休憩時間に関するルールを守らない場合の罰則

労働基準法第34条の休憩時間に関する規定に違反した場合は、雇用主に6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

休憩時間で違法があり、従業員が休憩ではなく労働をしていたとみなされると、追加の給与や残業代を支払わなければならないので注意が必要です。

また労働基準監督署の監査が入ったことや、労働基準法違反で罰則を受けたことなどが世間に知られると、社会的信用を失い、企業のイメージが大きく下がってしまいます。

休憩時間が適切に与えられないと、従業員が健康を害してしまったり、不満が高まって離職につながったりする恐れもあるため注意しましょう。

休憩時間をなくして効率良く働きたい人への対応は?

休憩時間をなくして効率良く働きたい人への対応

休憩時間を取ったほうが心身の疲れがとれて効率よく働けるように思えますが、休憩時間を取ると、その時間の分は賃金が発生しないため、効率が悪いという人も存在します。

パートやアルバイトで働く人の中には、休憩時間は不要で、拘束時間を短くして効率良く働きたいという人も多いのです。

そういった人には、5時間や5時間半など休憩時間が発生しない6時間以下のシフトを設けるとよいでしょう。

6時間ぴったりにする場合は、労働時間が1分でも超過したら休憩時間を設けないといけないため、超過しないよう注意する必要があります。

休憩時間のルールを守って生産性を高めよう!

休憩時間のルールを守って生産性を高めよう

休憩時間は従業員同士がコミュニケーションを取ったりリフレッシュしたりする貴重な時間です。

休憩時間をしっかり取って従業員が休息できれば、社内の生産性向上にもつながります。

休憩時間は労働時間に応じて与えるべき時間が決まっており、ルールもあるため、それをしっかり守っていくようにしましょう。


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WRITTEN BY
THINGMEDIAコーポレート編集部

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