株式会社木々家

理想と現実。『やきとん木々家(はやしや)』密着ドキュメンタリー【第2話】

2008年の創業以来、池袋を中心に7店舗(※2018年6月時点)を展開し、すべての店舗が坪月商40万円を売り上げる人気店となっている居酒屋『やきとん木々家(はやしや)』。

飲食経験ゼロから起業した社長・林田博之さんは、10年をかけて何を考え何を行って、「やきとん界のバケモノ」と呼ばれるまでに成長してきたのだろうか。

第2話となる今回は、林田社長と各店舗を回る様子をお届けする。その中で見えたこだわりの数々とは? そして各店舗を回る中で、林田社長が怒りをあらわにした従業員のある行動とは?

【スペシャルゲスト】ナレーター:株式会社Voicy 代表取締役 緒方憲太郎

グラスの匂いとビールの温度管理へのこだわり

この日から、密着を開始した我々に、林田社長は各店舗を案内してくれた。

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「やきとん 木々家 二号店 池袋芸術劇場前店」に入ると、スタッフの「いらっしゃいませ~」という元気な声が響く。

ここで林田社長が創業以来こだわり続けた、あるものを見せてくれるという。

厨房に入ると、そこにいた従業員と笑顔でコミュニケーションをとる。こんな些細なコミュニケーションも、林田社長のこだわりの一つなのだろう。

従業員との談笑が終わると、さっそく「じゃあグラスからいきましょう」と声がかかる。

見ると、大量のグラスが何やら網の上に置かれていた。

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「僕、臭いグラスが大嫌いなので、臭いグラスの原因ってなんだろうと思って。まず雑菌が繁殖してるんですよね。(グラスを)洗うスポンジに雑菌が多少残っていて、洗うスポンジを毎日除菌するということと、あとは、(水を切る網を)図面書いて、送って、作ってもらってます。この網だけ、頼んでるんですよ。換気を常日強めに回してるんで、グラスが絶対に臭くならないんですよ、誰がやっても。これを全店舗です」とのことだ。

「1店舗目はできなかったから、途中で全部作り変えたんです。僕、すごい神経質なので、僕が全部オペレーションやってれば臭くならないんですよ。だけどいろんな人が(やるので)」と続ける。

グラスの臭さをとるために、水を切る網まで特注してしまうというこだわりと、誰がやっても同じようにグラスが臭くならないシステムを作るというこだわりようには、頭が下がる。

次に林田社長が指を指したのが、冷蔵庫。

「下に冷蔵庫があるんですけど、そこに、ビールの樽が全部しまってあるんですよ」と言いながら、冷蔵庫を開けて見せてくれた。確かに、そこにはたくさんのビールが樽ごとしまわれている。

「うちが契約している酒屋さんに、48時間以上冷やした樽を持ってきてもらってるんです」と話してくれた。

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しかしなぜ48時間にこだわっているのだろうか? そこにはちゃんと根拠があるという。

「急速に冷やした缶ビールとかって、意外と温度が上がるのが早いんですよ。でも長い時間をかけてゆっくりと冷やされたものって温度が上がるのが遅いんです」と理由を説明してくれた。

一つひとつのこだわりには、全部理由があるのだ。

その後、厨房の従業員の仕事ぶりに目を光らせる林田社長。細かい性格であるがゆえ、こうして各店舗を回る中で、さまざまな改善点を見つけることも多いのだという。この細かさが、林田社長の一番のこだわりなのかもしれない。

本丸はニューヨークじゃないですか

続いて案内されたのは、思い入れの強い創業のお店、「やきとん 木々家 池袋西口本店」だ。

本店へ向かう道中、林田社長が見据える未来を語ってくれた。

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「企業理念の中に、日本と世界っていう言葉を入れてるんですよね。たぶんシンガポール、シンガポールはね、たぶんそんなにハードル高くないと思うんですよ。でもやっぱり本丸はニューヨークじゃないですか。そこはたぶん、パワースポットにはなることには変わらないんですけど、日本で実現する楽しいを設計というよりは、たぶん、プロフェッショナルを徹底して追求しなきゃいけないと思うんですよね。たぶんそこがめちゃめちゃしんどい。つぶれそうになりながら頑張るって、ちょっと楽しそうじゃないですか」

世界進出という目標に向かい、がむしゃらに頑張るという。そんな心意気に感動していると、本店に到着。

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お店の前で林田社長は、「10年前の今日ぐらいに、契約したのかもしれないですね。ここ誰もいなくて。契約して僕と弟でお店作ってたんですよ。で、たぶん11月の終わりくらいかな、夜中までやってて、ちょっと疲れたから外出たんですよ。真っ暗で、なんかね、枯葉がひゅ~ってこう来たんですよ。こんなとこで商売すんのかよって。誰も歩いてなくて真っ暗で、枯葉がひゅ~って舞うって、あのヤベーやつじゃないですか。それね、すっげー覚えてるんですよ」と当時の様子を語ってくれた。

こじんまりとした店内は、木のぬくもりを感じる温かな雰囲気。従業員の元気な挨拶が飛ぶ。

家族を巻き込んで始めた本店。我々にはわからない思いもあるのかもしれない。

ドアに張られた張り紙が、ほんの少し曲がっているのも見逃さない林田社長。お客様からどう見えるのか、こだわりぬいた思いは、半端ではない。

林田社長の目が変わる

続いて我々が案内されたのは、「やきとん 木々家 五号店 池袋東口駅前店」。

そんな中で、林田社長の目が変わるのを、我々が見逃すことはなかった。

林田社長が従業員一人ひとりに、厳しい表情で何かを話し始めたのだ。一体何を伝えていたのか。

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「“あなたを待ってました”って気が全くないんですよ。“やべ!”みたいな感じだったじゃないですか。あれはやばい。最初の本店も、若干アクション遅いなとは思ってたんですけど」と教えてくれた。

それはお客さんとして来店したとき、無意識に感じるポイントだ。

「徹底的に練習してるけど、実装されてない。やってるだけで、備わってない」と憤る。

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普段はなるべく従業員同士で何とか解決させたいとは思っているそうだが、「言いたいことはいくらでもある」というのが本音らしい。

林田社長の並々ならぬこだわりが従業員一人ひとりに浸透していくのには、まだ少し時間がかかるのかもしれない。

今回の密着はここまで。次回は、コンサルティング会社「リンクアンドモチベーション」が襲来。次々に出る、社員たちの不満。林田社長はそれらとどう向き合っていくのか、ぜひ見届けてほしい。


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