会計・バックオフィス

小口現金とは? 現金との違いや管理方法をわかりやすく説明!

こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。

経理業務をしていると、毎日の細々とした出費を現金で精算することもあります。そのようなときに使用する「小口現金」の管理を面倒だと感じている担当者もいるでしょう。

また中には、小口現金の導入を考えているが、どのようなものか知ってから判断したいという方や、逆に小口現金の管理が面倒なのでいっそ廃止してしまいたいと考えている方もいるかもしれません。

そこで今回は「小口現金と現金の違い、小口現金の管理を楽にする方法」などを詳しく説明します。

そもそも小口現金とは? 現金とはどう違う?

小口現金とは何か

まずは基礎知識として、小口現金とはどういうものなのかということについて詳しく説明しながら、現金との違いについても解説していきます。

小口現金とは

小口現金とは、急な経費が発生したときに支払いに利用するための少額の現金のことをいいます。

たとえば急に来客があったときにお茶代を支払ったり、従業員が移動に使う交通費として支払ったりした際に、精算が必要となる経費に使われます。

企業のお金を現金ですべて手元に置いておくのは盗難や紛失などのリスクが高いため、部署ごとに少額を小口現金として手元に用意し、管理している企業が多いのです。

現金との違い

現金とは、多額の支払いに充当するためのまとまった現金のことを指します。通常は銀行や金庫に保管してあり、すぐには取り出すことができません。

しかし企業が業務をおこなう上では、急に現金での支払い・精算が必要になる場面が出てきます。そのたびにいちいち銀行へ行ってお金を下ろすのは手間がかかります。そこで使われるのが、先述した小口現金なのです。

小口現金は現金と異なり、社内に小分けして備えてあり、必要なときにすぐに出して使うことができます。

つまり両者の大きな違いは、管理方法が異なり、すぐに使えるか使えないかという点です。

なお小口現金も現金も、財務諸表を作る際には金額を合算し、「現金および現金等」の科目で仕分けすることになります。

「小口現金出納帳」と「現金出納帳」の3つの違い

「小口現金出納帳」と「現金出納帳」の違い

続いて「小口現金出納帳」と「現金出納帳」の違いについて、記入内容、記入部署・担当者、記入のタイミングをそれぞれ詳しく説明していきます。

1. 記入内容

まずは小口現金と現金の記入内容の違いについて見ていきましょう。

日々の業務で発生する雑費の支払いに使われる小口現金を管理するために使われる帳簿が、小口現金出納帳。小口現金出納帳では、入出金があるたびに日付や内容を記入する必要があります。

一方、現金出納帳は、企業の現金の支払いや受け取りを管理するための帳簿です。小口現金の収支を細かく記載する必要はありません。部署ごとに用意する必要もなく、企業として管理します。

2. 記入部署・担当者

小口現金と現金、それぞれの帳簿は、記入部署・担当者も異なります。

複数の部署がある企業の場合には、部署ごとに小口現金と小口現金出納帳を用意し、管理しなくてはなりません。各部署でそれぞれに管理する必要があるため、1つの企業に複数の小口現金出納帳があり、複数人で記入する場合もあるのです。

一方の現金出納帳は1つの企業に1冊のみしか用意されません。企業の大きなお金の動きを管理するため、経理部が記入します。情報の混乱を避けるためにも、経理部以外の人が記入することは基本的にありません。

3. 記入のタイミング

小口現金出納帳と現金出納帳は、両方ともお金の動きがあったときは毎日記入しなければなりませんが、記入するタイミングが異なります。

小口現金出納帳は、日々発生する細かな支出管理をおこなうため、入出金があるたびに記入が必要です。

一方の現金出納帳は、小口現金出納帳の記入・集計後に記入することになります。小口現金を使うたびに現金出納帳に記入する必要はありません。小口現金出納帳を記入・集計後、小口現金を補給する際に記入します。

この順番を守らないと、お金の流れが正確に把握できなくなったり、残高が合わなくなったりする可能性もあるので注意しましょう。2つの出納帳を正しく記入して管理することが大切です。

小口現金を補充する制度

小口現金を補充する制度

小口現金を補充する制度として、「定額資金前渡制度」と「不定額資金前渡法」という2つの制度があります。この段落では、それぞれの制度について詳しく解説していきます。

定額資金前渡制度

小口現金を管理する方法の一つが、定額資金前渡制度という方法です。

定額資金前渡制度とは、一定の期間を決めて期間ごとに小口現金の使用分を補充する方法になります。毎回決まった金額を管理することから、企業の金銭管理がしやすいのが特徴です。

企業の会計担当者が一定期間ごとに小切手で必要な金額を小口現金担当者に渡し、小口現金担当者が換金して、日々の交通費や消耗品代などの支払いに使用するという流れが多くなっています。

一定期間が終わると、小口現金担当者は期間内の支払い内容と金額を会計担当者へ報告。会計担当者はその金額を小切手などで小口現金担当者へ渡して補充します。これが一般的に使われている方法です。

特に会計制度の整っている大きな会社でこの方法が導入されている傾向にあります。

不定額資金前渡法

小口現金を管理する方法の2つめは、不定額資金前渡法という方法です。

不定額資金前渡法とは、期間を定めず、必要となったときにその都度小口現金を補充する方法となります。その性質から、「随時補給制度」とも呼ばれています。

一般的な小口現金の管理方法は定額資金前渡制度ですが、不定額資金前渡法を採用している企業もあります。日々の業務で小口現金がいくらかかるか予測することが難しいような創業時に、こちらの方法を用いられることが多いです。

小口現金を持つことにはデメリットがある!

小口現金を持つことにはデメリットがある

多くの企業が小口現金を用意しており、急な出費が発生して際に便利なものですが、小口現金を持つことにはデメリットもあるので注意が必要です。この段落では、そのデメリットについて紹介します。

現金は紛失や盗難のリスクがある

小口現金は少額とはいえ現金であるため、現金を会社に置いていると、盗難・紛失のリスクがあります。

たとえば小口現金を管理する担当者は、容易に横領することが可能です。特に一人の担当者が小口現金を管理している場合は、チェックが甘くなりがちでリスクが高いといえます。

また実際には小口現金担当者が横領したわけではなくても、紛失や盗難があった場合には真っ先に疑われてしまいます。そのため担当者の精神的な負担も大きいでしょう。

管理に手間がかかる

小口現金は、管理に手間がかかるという点もデメリットです。

小口現金出納帳への記帳は、入出金があったらその都度おこなう必要があり、1日の業務終了後に現金を数えなければなりません。

毎日の現金残高を確認するために、金種表を作成する場合もあり、担当者は手間がかかります。

現金残高と小口現金出納帳が合わない場合は、見直しの確認作業が大変です。合うまで何度も確認を繰り返すなど、時間がかかってしまう場合も。

月末には再度残高を確認する必要もあり、小口現金の管理は担当者にとって大きな手間と時間がかかる業務であり、大きな負担となるのです。

小口現金の管理を楽にする方法は?

小口現金の管理を楽にする方法

非常に手間と時間がかかる小口現金の管理。小口現金をなくしてしまえば楽になりますが、小口現金がないと困る企業もあるでしょう。そこでこの段落では、小口現金の管理を楽にする方法を2つ紹介します。

Excelで小口現金出納帳を作成する

小口現金の管理を楽にする方法として、Excelで小口現金出納帳を作成して管理するという方法が挙げられます。実際に小口現金出納帳をExcelで作成して管理している企業は多いものです。

Excelの小口現金出納帳はネット上に多くの見本やテンプレートがあります。無料のテンプレートもダウンロードできるため、コストがかからないのがメリット。そのため導入のハードルが低いといえます。

またExcelだと自分で使いやすいスタイルに調整できるのもポイント。Excelの知識があれば簡単に自分が使いやすいものを作成できます。

手書きの出納帳での管理に比べて格段に効率化できるため、管理が面倒だと感じている担当者は、まずExcelでの管理に変えてみるといいでしょう。

法人カードでキャッシュレス決済をする

小口現金の管理を楽にする方法として、法人カードを作成してキャッシュレスにするという方法も挙げられます。

法人用のクレジットカードを作成し、出費があった際はそれを使用してキャッシュレス決裁すれば、現金のやり取りが少なくなります。

法人カードで決済をおこなえば会社の口座から引き落しされるため、立替の経費精算をする手間がなくなり、担当者の手間も省けます。

カードの使用上限額を適切に設定すれば、不正使用のリスクも減らせるでしょう。利用明細を経理が見られるため、それも不正利用を防ぐのに効果的です。

法人カードの利用明細から仕訳を自動でおこなってくれる経費精算システムを併用すれば、さらに業務の効率化が可能になります。

面倒な小口現金を廃止するためにできること

面倒な小口現金を廃止するためにできること

小口現金の管理をもっと効率化したいのであれば、面倒な小口現金を思い切って廃止してしまうという手もあります。「廃止してしまって大丈夫なのだろうか?」という方のために、小口現金を廃止するためにできることを詳しく紹介します。

立て替えた経費は給料日にまとめて支払う

小口現金を廃止するためには、立て替えた経費を給料日にまとめて支払うという方法が挙げられます。

立て替えた経費を給与と一緒に支払えば、出費が発生した都度の清算処理をなくすことが可能です。

小口現金の精算処理を都度おこなうことは大きな業務負担となるため、この方法をとることで事務作業の工数を大きく削減できます。

ただし立て替えた社員にはすぐに現金が入らないというデメリットがある点に注意。大きい額を立て替えた社員にとって、立替費用がすぐ清算されないのは心理的な負担となる場合もあるでしょう。また領収書が紛失してしまう恐れがあるという点もデメリットといえます。

仮払い制度を導入する

小口現金を廃止するためには、仮払い制度を導入するという方法もあります。

出張などでは交通費や宿泊費など大きな金額がかかってしまうもの。それを社員に立て替えてもらうとなると、負担に感じる社員も多いでしょう。

そのため大きな金額が必要な場合は、立て替え精算ではなく、仮払いするという方法がおすすめとなります。

事前に社員へ立て替え金を支給しておき、精算する場合は給与支給とすれば、一括で管理しやすいのがメリットです。

仮払金が余れば会社に返してもらい、仮払金よりも多くの費用がかかったら、その分を追加で支給します。

この方法であれば社員にとっても負担になりませんし、小口金管理の手間も省けて企業側にとってもメリットとなります。

小口現金管理ソフトを利用する

小口現金管理ソフトを利用する

小口現金の管理が面倒で業務を効率化したいという場合には、小口現金管理ソフトを利用するという方法もおすすめです。

小口現金管理に特化したシステムを導入すれば、経費の申請・承認・精算から取引先への支払いまで、すべてシステム上でおこなうことができるため、大幅に業務を軽減できます。

クラウド型の経費精算システムもあり、パソコンでもスマートフォンでも利用することが可能です。

また小口現金管理ソフトを利用することで、キャッシュレスと同時にペーパーレスも実現できます。

経費精算システムを導入すれば、小口現金の管理だけでなく経費精算作業の効率化も叶い、経理担当者の負担を削減することも可能です。

小口現金での管理を簡素化して経理の負担を軽減しよう!

小口現金での管理を簡素化して経理の負担を軽減しよう

日々発生する急な出費に対応するために小口現金を利用している企業は多いと思いますが、小口現金は発生する都度、出納帳への記載が必要になったり、現金の残高確認が必要になったりと管理はとても煩雑で手間と時間がかかるものです。

担当者の負担を大きく軽減するためには、小口現金の管理を簡素化するか、小口現金を廃止する必要があります。

Excelで出納帳を作成管理する、法人カードでキャッシュレス決済する、立て替えた経費は給料日にまとめて支払う、仮払い制度を導入するなどして、業務の効率化をはかりましょう。


映像業界のニュースタンダードを一緒につくりませんか?

THINGMEDIAでは、パーパスを「常に夢中を創造する挑戦者でいよう」と掲げ、「2025年までに、映像制作業界の仕組みと働き方のニュースタンダードを作る」ことを目指しています。

会社の成長とメンバーを支えるために最重要な、「THINGMEDIAのインフラ」を共につくれる仲間を募集しています。

現在THINGMEDIAコーポレート部では、「経営企画・事業企画」「経理事務・財務アシスタント」を募集しています。

もし私たちと一緒にチャレンジしたいと思われた方は、ぜひ弊社の求人ページをご覧ください。あなたのご応募をお待ちしております。

※人事理念については、以下をご覧ください。
「はぐれ者たちを、ヒーローに。」人事理念に込めた想いと、シングメディアの描く未来

WRITTEN BY
THINGMEDIAコーポレート編集部

映像プロダクションのTHINGMEDIA株式会社で会計・経理の経験を積んだメンバー構成しています。クリエイティブ会社の運営で得たバックオフィスの知見をお伝えしていきます。