動画マーケティング

動画広告の1つ「プレロール広告」とは? スキップ有無の種類、効果、おもしろ事例

こんにちは、シングメディア編集部です。

プレロール広告とはどんなものでどんな種類があるんだろう、プレロール広告の成功事例や効果が知りたい・・・。

そんな「プレロール広告について知りたいあなた」は必見です。

動画広告の中でも主流となっているプレロール広告。うまく利用することでマーケティング効果に期待ができます。

そこで今回は、「プレロール広告の種類、効果、おもしろ事例」をご紹介します。

プレロール広告とは動画が再生される前に挿入される動画広告スタイルのこと/プレロール広告には「スキッパブル広告」「完全視聴型広告」「バンパー広告」の3種類がある/スキップできるプレロール広告でも一定の効果が得られる

動画広告の1つ「プレロール広告」とは?

動画広告の1つ「プレロール広告」とは

プレロール広告とは、YouTubeなどの動画サイト上で配信される動画広告である「インストリーム広告」の一種で、そのうち動画コンテンツが開始される前に挿入される動画広告スタイルのことです。

プレロール広告が再生されてから一定の時間が経つと、ユーザーが動画をスキップできる機能が付いているものも多くなっています。

また現在、動画広告の中でも主流となっているのがプレロール広告です。

動画サイト上で配信される動画広告のうちほとんどがプレロール広告となっており、動画広告全体の8割以上を占めるとも言われています。

ユーザーが視聴しようとしている動画コンテンツの開始前に再生されるため、Webサイト上の枠内で再生される動画広告「インバナー広告」よりも視聴される確率や訴求力が高くなるのがメリットです。

ただしプレロール広告が配信できるのはYouTubeなどの動画サイトだけになってしまうため、インバナー広告よりもリーチできるターゲット層が限定されてしまうというデメリットもあります。

とは言え今後も動画配信サイトや動画配信サービスは増えていくことが予想されますし、TwitterなどのSNSでも採用されてきているため、プレロール広告の需要や重要性もますます増していくでしょう。

スキップ不可も! プレロール広告の種類

プレロール広告の種類を紹介

プレロール広告には、ユーザーが動画広告をスキップできる「スキッパブル広告」とスキップができない「完全視聴型広告」、スマホなどのモバイルユーザー向けである「バンパー広告」という3つの種類があります。

それぞれどのような特徴があるのか、詳しくご紹介していきましょう。

スキッパブル広告

ユーザーが5秒以上など一定時間動画広告を視聴すると、スキップすることができる機能のついた広告形態です。

動画広告の長さは15~30秒以上というある程度の長さがあるものが一般的。

ユーザーが動画広告を30秒間視聴した時点か、最後まで視聴完了した場合、ユーザーがタイトルなどをクリックした場合に課金となります。

完全視聴型広告

ユーザーが動画広告をスキップできない広告形態です。

完全視聴型広告の場合、長さは15秒以内となっており短いのが特徴。

課金形態は、ユーザーが動画広告を最後まで完全に視聴する形式です。

バンパー広告

スマートフォンなどのモバイルから動画視聴をしているユーザーに向けた広告形態です。

特徴は広告の短さ。尺は6秒間となっており、スキップはできません。

スキップはできないものの、6秒間というその短さから多くのユーザーに動画広告を最後まで見てもらうことができるというのがメリットです。

モバイルユーザーも6秒であれば不快に思うことはありませんから、まさにモバイルユーザーにマッチした広告形態と言えるでしょう。

連続ドラマ型!? プレロール広告のおもしろ事例

プレロール広告のおもしろ事例

プレロール広告をスキップされず最後まで視聴完了してもらうためには、冒頭からユーザーの興味を引くような演出をすることが大切です。

「この広告、何かおもしろそう」「何が始まるんだろう」などと興味を持ってもらうことでプレロール広告を最後まで見てもらい、効果を最大限に発揮させることができます。

ではそんなユーザーの興味を引くプレロール広告とは一体どのようなものなのでしょうか?

プレロール広告のおもしろ事例をいくつかピックアップしてご紹介します。

ユーザーの興味を引く動画広告作りの参考としてお役立てください。

全34話の連続ドラマ型プレロール広告

ロシアの通信会社『ROSTELECOM』が2018年にYouTubeで配信したプレロール広告は、連続ドラマ形式という斬新なものでした。

連続ドラマ型の動画広告の名前は、『The Buzz』。

“通信にまつわる家庭の日常”が描かれたドラマとなっており、たとえば夫にかかってきた不審な電話について妻が問い詰めるなどのストーリーが展開されます。

ストーリーは全34話、一話完結型で、それぞれのストーリーの最後では10秒間、毎回自社通信サービスの特徴をPRするという作りになっているのが特徴です。

また34話あるストーリーのうちユーザーにどのストーリーが配信されるかは、ユーザーのCookieや視聴している時間帯、デバイスによって異なり、都度最適なものが選ばれるようになっているということです。

スキップされやすいプレロール広告でも、このように連続ドラマ型のエンタメコンテンツとすることで、ユーザーから好意的に視聴してもらえるようになります。

実際、このプレロール広告のインプレッション数は累計で102,297,114、32,513,225ビュー、自社サイトへのアクセス数は651,346にもなったということです。

サッカーの生中継映像を配信するプレロール広告

ベルギーのスポーツチャンネルである『Play Sports』が2017年にYouTubeのプレロール広告として配信したのは、サッカーのLIVE中継映像。

シーズン開幕前のカップ戦を生中継できるシステムを整備し、ユーザーがプレロール広告を再生したときリアルタイムで開催されているサッカーの試合を生配信したのです。

プレロール広告でサッカーの生中継試合映像を見ることができるということで、ユーザーからは大好評。145,484人が視聴したとのことです。

またプレロール広告の時間内に見られる試合時間はほんのわずかですから、「試合の続きをもっと見たい」というユーザーが続出した結果、Play Sportsの契約者数は417%もアップしたと言います。

この試みはプレロール広告をスキップされず最後まで見てもらうということだけでなく、契約者数の大幅増加という効果を生み出した斬新な戦略と言えるでしょう。

最初の5秒で違和感を与えて興味を引くプレロール広告

プレロール広告をスキップされないためには、最初の5秒でユーザーの心を掴むことが大事。

それを見事にやってのけたのが、世界的なスポーツメーカー『asics(アシックス)』がYouTubeに配信したプレロール広告です。

動画の冒頭でアップになったスニーカーと「PASTA TEST(パスタテスト)」の文字が表示され、その後ろには湯気の出た鍋を持った男性が。

この映像でユーザーは「パスタのテストだから鍋を持った男性がいるのはわかるものの、なぜスニーカーがアップになっているんだろう?」と違和感を抱きます。

そしてその違和感を解消するため5秒が経過した後もずっとそのまま動画広告を見続けることになるのです。

その後のストーリーとしては、男性がゆであがったパスタをスニーカーに入れ、ドライメッシュ素材のスニーカーからはお湯だけ流れ出ていきます。

スニーカーの内部に残ったパスタを皿に移して味付けして食べてパスタテスト完了という流れです。

映像と文字の違和感で動画広告に引き付けられたユーザーは結局最後まで視聴した結果、「ああ、スニーカーの通気性の良さをアピールするためのパスタテストだったのね」と理解します。

このプレロール広告は尺の長さが47秒ありますが、最初の5秒でユーザーの心をガッチリ掴み、最後まで興味を持たせたまま視聴を完了させることに成功しています。

最初の5秒で違和感を生み出すという戦略が、見事に当たった例と言えるでしょう。

スキップできるプレロール広告の効果は?

スキップできるプレロール広告の効果

「スキップできるプレロール広告を配信しても、どうせスキップされてしまうのだから意味がない」そう思っていませんか?

確かにスキップ可能なプレロール広告の場合、多くのユーザーはスキップをしてしまいます。

アメリカの『Magna』と『IPG』が公開した、スキップできるプレロール広告についての視聴者の反応や効果をまとめたレポートによると、動画広告全体のうち、その65%がスキップされていたとのことです。

Media Trial Report: MAGNA and IPG Media Lab Turbocharge Skippable Pre-Roll Campaign – IPG Media Lab

ユーザーが動画広告をスキップするまでの時間については、15秒広告の場合が平均5.5秒時点、30秒広告の場合が平均7.4秒時点となったと言います。

ほとんどのユーザーが、スキップできるようになってすぐにスキップしているということになりますね。

しかしスキップをせずに動画広告を視聴しているユーザーも35%います。スキップできてもしていないユーザーがいるのです。

ではなぜ35%のユーザーはスキップしなかったのでしょうか?

理由としては、「広告を楽しめたから」「ブランドが好きだから」というものと、「広告が短かったから」というものが多かったとのことです。

このことからスキップされにくい動画広告の特徴としては、「楽しめる内容であること」「インパクトのある内容であること」「短い尺であること」が挙げられるでしょう。

そのためプレロール広告を制作する際には、これらの特徴を踏まえて制作することが大切です。

それではプレロール広告がスキップされてしまったら、広告として何の意味もないのでしょうか?

実はそんなことはありません。先述したレポートでは、プレロール広告がスキップされてしまった場合にもそれなりの効果があることが伝えられています。

その効果とは一体どのようなものなのか、見ていきましょう。

ユーザーの視線を集めることができる

人の目の動きを分析するアイトラッキング機能を使って、ユーザーがプレロール広告をどれくらい注視していたのかを測定した調査結果によると、広告がスキップされた場合でもスキップされなかった場合でも、変わらず高い注意力が見られたと言います。

その高い注意力は15秒広告でも30秒広告でも変わらず、ユーザーが広告を見終わるまで維持されていたままだったとのこと。

これはユーザーが本来見ようとしている動画コンテンツの前に再生されるというプレロール広告の特性によるものと言えます。

スキップされたとしても高い注意力を持ってユーザーに視聴されているということは、企業や商品・サービスについて認知してもらえる可能性の高さを表していると言えるでしょう。

一定程度のブランドリフト効果がある

調査によって、スキップされても高い注意力で動画広告を視聴してもらえているということがわかりましたが、それを裏付けるようにブランドリフト効果についても一定程度の効果が出ていることがわかりました。

スキップされた動画広告とスキップされなかった動画広告のブランドリフト効果を比較した場合、当然ながらスキップされなかったほうが高い効果が出ているのですが、スキップされた広告についても「購入意欲」と「関連性」について一定のリフトが見られたとのことです。

購入意欲については、たとえスキップしたとしても動画広告を視聴する前に比べて5%アップしており、関連性については3%アップしていると言います。

ブランド想起に関しても、純粋想起で10%アップ、助成想起で22%アップという結果に。

これらの結果から、たとえプレロール広告をスキップされたとしても、一定程度のブランドリフト効果がある=無駄ではないということが言えるでしょう。

広告元へのアクセス効果がある

スキップできる動画広告であっても、視聴した後に商品・サービスを提供している自社サイトや商品ページなどへアクセスするユーザーも一定数いる、という調査結果もあります。

インパクトがあれば、ユーザーは気になって広告元へアクセスすることがあるということです。

まとめ

「プレロール広告について知りたい」という方のために、プレロール広告の種類、効果、おもしろ事例をご紹介してきましたが、いかがでしたか?

プレロール広告をスキップされず最後までユーザーに視聴してもらうためには、楽しんで見てもらえる内容にすることが重要です。

プレロール広告を出稿しようと考えているマーケティング担当の方はユーザー目線に立って、楽しんでもらえる内容で短い尺の動画広告制作を目指すといいでしょう。

みなさんがプレロール広告をうまくマーケティング活用し、目的に合った効果を出すことができますように。


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WRITTEN BY
シングメディア編集部

映像・動作制作を手掛けるTHINGMEDIA株式会社のメンバーで構成しています。制作現場で得た映像・動画の知見をお伝えしていきます。