こんにちは、シングメディア編集部です。
映像作品の著作権って誰のものになるんだろう、映像制作会社に制作してもらった動画を自由に使うことはできるのかな・・・。
そんな「映像の著作権について知りたいあなた」は必見です。
当然ですが、映像・動画にもちゃんと著作権が存在しています。知らずに著作権侵害をしてしまわないように、映像を制作する側も制作の依頼をする側も著作権について正しい知識を身につけておくことが大切です。
そこで今回は、「映像・動画の著作権に関する基礎知識と侵害しないための注意点」をご紹介します。
映像制作会社と依頼者のどちらに権利がある? 「著作権」の基礎知識
映像制作に携わる人はもちろん、映像制作を制作会社などに依頼する側の人もきちんと理解しておかなければならないのが著作権。
著作権について正しく理解していないと、思わぬトラブルに発展することもあります。
自分で映像制作を行って自分だけで利用するという場合なら特に問題はありませんが、ややこしいのが映像制作会社に映像制作を依頼した場合の映像の取り扱いについてです。
制作した側と依頼した側どちらに著作権が発生するのか、そしてその取扱いはどうなるのかなど、映像に関わる著作権についての基礎知識を解説していきます。
なお著作権は国際的に守られている権利ですから、海外の映像コンテンツを利用する際にも注意が必要です。
著作権の発生
知的財産権の一つである著作権は、「自然権」と言い、著作物である映像コンテンツが完成した時点で自動的に発生して効力が生まれるものです。
著作者が意識しようとしまいと関係なく発生するため、特許などと異なり手続きや申請をする必要はありません。
著作者
著作物である映像コンテンツを創作した人が著作者です。
映像制作会社に依頼して映像作品を制作してもらった場合、その映像を全体的形成した人、つまりプロデューサーや監督などのクリエイターが著作者となります。
脚本や楽曲など映像を構成する要素を制作した人は、それぞれの著作者にはなるものの、映像全体の著作者にはなれません。
また映像制作会社に所属しているクリエイターが映像を制作した場合、下記の『著作権法15条』の条件4つを満たすと著作者が法人(制作会社)になり、これを「法人著作」「職務著作」と呼びます。
- 法人の発意によって制作された
- 法人の職務に従事する人が職務上制作した
- 法人の名義によって公表された
- 雇用契約・勤務規則でその他の異なる定めがない
以上のことから、映像コンテンツの著作者は依頼者(クライアント)ではなく制作者(または法人)となり、制作者(または法人)に著作権が発生するということになります。
著作物
人や法人などが生み出したオリジナルの創作物はすべて著作物となります。
個人が撮影した動画も、企業が制作したプロモーションビデオも、独自性があればすべて著作物としてみなされます。
映像における著作物と言えるのが、映像の本編とキャッチコピー、脚本、楽曲・歌詞、ジャケットデザイン、キャラクターデザイン、二次的著作物です。
一方著作物としてみなされないのは、アイデアや作品タイトル、企画コンセプト、キャラクター設定となります。
また他人の著作物を真似して制作された作品についても著作物とはみなされません。
著作者の権利
著作者に権利として与えられるのが、「著作者人格権」と「著作権」です。
著作者人格権には、「公表権」「氏名表示権」といった著作者が自分の著作物や著作者名について公表方法を決められる権利と、「同一性保持権」という著作物を他人に編集されたり修正されたり改変されない権利があります。
この著作者人格権は他者に譲渡・相続することはできません。著作者だけが保有できる権利です。
そして著作権には、「複製権」「口述権」「頒布権」「上演権」「展示権」「伝達権」「貸与権」「譲渡権」「二次的著作物の利用権」「演奏権」などがあり、他者への譲渡・相続も可能となっています。
著作権は契約によってその帰属を決めることができるのです。
場合によっては著作者である映像制作会社が著作権を持ちながら、一定の範囲で著作権に該当する権利の利用を依頼者(クライアント)に認めるということもできます。
著作隣接権
著作物には「著作隣接権」というものも発生します。
著作隣接権とは、「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」に発生する権利です。
「実演家」は映像の出演者や演出家など、「レコード製作者」は最初に映像や音楽をDVDなどに収録した人、「放送事業者」は映像を配信するテレビ局やYouTubeなどの事業者を指します。
この三者は著作者ではありませんが、著作物を制作する上で重要な役割を担ったということで映像の録画や複製、公開などを行う権利が認められているのです。
映像・動画マーケティングの際に気をつけたい著作権侵害の危険性
他人が制作した映像を勝手に使用することは著作権法によって禁止されています。
しかしインターネットの普及によって他人の著作物へ簡単にアクセスしたりダウンロードしたりすることが可能になった今、知らずにうっかり著作権を侵害してしまう可能性もあるのです。
たとえば制作会社に制作してもらった映像を、勝手に修正してネット上に公開してしまうなど。
「お金を払って制作してもらったものなのだから、依頼者がどう使おうと勝手だろう」と思うかもしれませんが、著作権侵害となってしまいます。
また映像・動画を制作する側にも著作権侵害の可能性はあります。たとえば制作した映像が他人の制作した映像を明らかに真似したと思われるようなものだった場合。それも著作権侵害となり得るのです。
そんな著作権侵害に伴うリスクについてご紹介していきます。
著作権を侵害した場合の民事上のリスク
意図的ではなくうっかりであっても、他者の著作物を許可なく利用することは違法です。
著作権を侵害してしまった場合、民事上のリスクとして著作者から損害賠償請求をされたり、不当利得の返還を求められたりする可能性があります。
著作権を侵害した場合の刑事上のリスク
他人の著作権を侵害した場合、刑事上のリスクが生じる可能性もあります。
著作者が「著作権を侵害された」と告訴すれば犯罪として認められ、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という重い罰則が科せられることも。
「そんなつもりはなかった」と言っても、実際に著作権を侵害してしまえば罪となるので注意が必要です。
後悔しないためにも、著作権をきちんと理解し順守することを徹底しましょう。
映像・動画で著作権侵害しないための注意点6つ
映像・動画を制作する側も活用する側も、著作権侵害をしないよう注意する必要があります。
ではどんな点に注意すればいいのか、著作権侵害しないためのポイントを6つご紹介します。
1. 著作物に該当するものを把握する
映像・動画を制作する際には、何が著作物に当たって何が著作物に当たらないのかを正確に把握しておくことが重要です。
たとえば動画のBGMとしてアーティストの音楽を使用する場合、音楽も著作物となりますから、著作隣接権を持っている演奏家やCD制作者(制作会社)に使用許諾をとらなければなりません。
2. 撮影時に著作物が映り込まないよう周囲をよく確認する
映像・動画を撮影する際には、周囲に著作物がないか、それが映り込んでいないかをよく確認する必要があります。
たとえば部屋の中の様子を撮影する際、漫画やCDが映り込んでしまっていた、観光スポットを撮影する際、そこにあった芸術作品が映り込んでしまっていたなどの場合、「複製」という著作権法違反に該当します。
意図していなくても複製になってしまうので、著作物に当たるものが周囲にないかよく確認しましょう。
3. 映像を改変する場合は契約書に規定を入れる
映像制作会社などに制作してもらった映像について著作権の譲渡を行っていたとしても、依頼者が映像を改変すると「著作者人格権」に当たることになります。
著作者人格権は著作者に帰属し、他者に譲渡することができません。
著作者人格権の中には映像の改変を禁止する「同一性保持権」があり、著作者の意図しない形に映像が改変されてしまった場合、著作者はその不当性を訴えることが可能です。
また改変を行っていなくても著作者の意図しない形で映像を使った場合は、著作者人格権の中の「名誉声望権」が問題になります。
こうした著作者人格権によるトラブルを避けるためには、著作権の譲渡だけでなく、契約書に「制作会社は著作者人格権を行使しない、また著作者にも著作者人格権を行使させない」という規定を入れておくと有効だと言われています。
ただしこのような規定は「著作者人格権不行使特約」と呼ばれており、法律家の見解は分かれていますが、コンプライアンス違反に該当する可能性もあるとのこと。
著作者人格権も基本的人権の一つであるという考えから、著作者人格権不行使特約は基本的人権を封じ込める条項だとして、コンプライアンス違反に該当するという議論があるのです。
さらに著作者人格権不行使特約はクリエイターの士気を下げる恐れもあるので注意が必要。クリエイターの名誉や作品への思いなどを守るためにある権利が著作者人格権なので、その権利を行使することを禁止する条項は、やはり問題がある可能性も否めません。
特に大企業ではコンプライアンスの順守が徹底されており、違反すると多大な不利益になるリスクもありますから、十分注意しましょう。
4. フリー素材を使用する
許諾を得て著作物を使用する場合、高額な料金がかかるケースもあり、予算的に厳しくなることもあるでしょう。
そういった場合には、やはり自分ですべてオリジナルの映像を制作するか、著作権フリーの素材を使用するのがおすすめです。
フリー素材であれば商用利用でも料金がかからず自由に使用できます。
5. 動画サイトの動画を共有する際には違法性がないか確認する
YouTubeなどの動画サイトに投稿されている動画を、自分の制作した映像内でリンク紹介するのは問題ありません。
ただしその動画に違法性がないか確認してからにしましょう。
違法性がある動画というのは、テレビ局の許可なしにアップロードされたテレビ番組であったり、映画会社の許可なしにアップロードされた映画であったりします。
ミュージックビデオや漫画なども違法にアップロードされたものでないか確認することが大事です。
また投稿されている動画自体を自分の映像の中で流す場合には、著作者の許諾をとる必要があります。
海外の動画であっても国内と同様、著作権で守られているため無断で自分の映像内にて使用するのはNGです。
6. 海外の著作物を無断で使用しない
著作権については各国が協定を結んでいるため、海外のものだからといって無断で使用することはできません。
著作権は国境を越えて全世界で守られてる権利ですから、「日本のものでなければいいだろう」「外国のものなら無断で使ってもバレないだろう」というのは間違い。海外の動画や素材を使おうとする場合でも、著作権には十分注意をしましょう。
当然ですが、反対に自社の著作物が海外で断りなく使われていれば訴えることができます。もし自社の著作物が海外で勝手に使われているのを発見したら、泣き寝入りすることなく対応しましょう。
映像制作会社から依頼者(クライアント)側に著作権を移すには?
映像制作会社に依頼して制作してもらった映像コンテンツは、映像制作会社が著作権を持っています。
その著作権を依頼者(クライアント)に移すには、著作権譲渡契約を結ぶ必要があります。
著作権の譲渡は分割でも全体でも可能ですし、個人間であっても企業間であってもできます。
なお映像・広告制作業界においては「買い取り」という言葉がよく使われており、この買い取りが著作権の譲渡に該当するケースが多いです。
ただし買い取りの解釈が業界全体で統一されているわけではありません。暗黙の了解だと思っていると、後からトラブルになる可能性もあります。
それに口頭だけで著作権譲渡の約束をするのも危険なので、必ず契約書面上によって著作権が誰に帰属するのか、そして映像コンテンツの利用について誰がどこまで可能なのかを明記するようにしましょう。
譲渡による著作権買い取り価格の平均は、動画制作金額の10~30%程度が目安です。
しかし著作権譲渡や買い取りを認めていない制作会社も存在しますから、映像制作を依頼する前に確認してみるといいでしょう。
それから著作権譲渡契約を結んでも、譲渡できるのは著作権のみ。著作者人格権は譲渡できないので注意しましょう。
映像・動画を使用するときは肖像権にも注意しよう
映像・動画を使用する際には、著作権だけでなく肖像権にも注意する必要があります。
肖像権とは、自分が映っている動画や写真に対して無断で使わないように主張できる権利のこと。著作権法のように法律で認められているわけではありませんが、これまでの判例で認められてきた権利です。
肖像権は人格権の一種として考えられ、個人の人格的利益を守るために存在する権利となっています。
社外用でも社内用でも同様に、動画に出演すれば肖像権が発生するので、たとえ自社の従業員であっても許可を得なければなりません。退職してしまった従業員であっても無断で使用することはできませんので、必ず本人に許可を取ってから動画を利用しましょう。
また人の顔に限らず、キャラクターデザインや看板などにも肖像権があるため、動画に映りこんでしまった場合には、モザイクをかけるなどといった対応が必要です。
動画を撮影する際に、できる限りそういったものが映りこまないよう配慮することも大切になります。
まとめ
「映像の著作権について知りたい」という方のために、映像・動画の著作権に関する基礎知識と侵害しないための注意点をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
映像の著作権は制作者(制作会社)にあり、依頼者(クライアント)にはありません。そこをしっかりおさえておくことが大切です。
また著作権はしっかり理解していないと意図せず侵害してしまう恐れのあるもの。
映像・動画の制作や使用をする際には、関わる人すべてが著作権について理解しておくようにしましょう。
著作権を守って有効な映像・動画マーケティングが行えますように。
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