製作国:アメリカ
上映時間:113分
監督:リー・トランド・クリーガー
脚本:J・ミルズ・グッドロー、サルバドール・パスコウィッツ
出演者:ブレイク・ライブリー、ミキール・ハースマン、キャシー・ベイカー、ハリソン・フォード、エレン・バースティン、アマンダ・クルー
あらすじ:
サンフランシスコの市立資料館に勤務する29歳のきれいな女性ジェニー(ブレイク・ライヴリー)は、ある年越しパーティーで出会った青年エリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)と恋に落ちる。彼の両親の結婚記念日に招待されたジェニーが実家を訪ねると、初対面のはずのエリスの父親ウィリアム(ハリソン・フォード)から「アデライン」と呼び掛けられる。それは、ウィリアムが以前真剣に愛した女性の名前で……。
『アデライン、100年目の恋』予告編
『アデライン、100年目の恋』シングメディア編集部レビュー
月日の経過とともに年齢を重ねていく。
そんな当たり前すぎる現実のありがたみを教えてくれるのが、今回ご紹介する「アデライン、100年目の恋」です。
とある出来事がきっかけで年をとらなくなってしまった主人公が、100年の時を経て真実の愛に出会うファンタジーラブストーリー。
一度でもご覧になった方であればお分かりの通り、今作は予想外の展開あり、結末が読めないドキドキ展開あり。二度、三度、繰り返し見ても楽しめる作品となっているのです。
「アデライン、100年目の恋」の二度見ポイント1:アデライン役のブレイク・ライヴリーが見せる圧倒的なオーラと演技力
今作の主人公・アデラインを演じたのは、ドラマ「ゴシップガール」で一躍大ブレイクを果たした、女優のブレイク・ライヴリー。
とにかくこのブレイクのオーラがすごい! 見た目から放たれるオーラはもちろん、アデラインというひとりの女性を演じている際に言動の節々から見え隠れするオーラは、何度見ても目を奪われてしまいます。
年代ごとの流行ファッションを映えさせる立ち振る舞い
見た目は29歳のまま、約100年の時を生きてきたアデライン。
作中では現代だけでなく、年代ごとに当時の流行ファッションに身を包む彼女が映し出される回想シーンも多々あり、今作のなかでも見どころのひとつとなっています。
しかし注目すべき点はファッションだけではありません。アデライン役のブレイク、年代ごとに見た目とともに振る舞いにも微妙な変化をつけているのです。
たとえば現代のパーティシーンではシックなドレスに身を包み、衣装にあわせ動きも極力抑えた振る舞いを見せています。
反対におそらく60年代前後だと思われるシーンでは、レトロモダンなファッションに身を包み、動きもチャーミング。まるでお人形かのような仕草を見せているのです。
さすがファッションアイコンのブレイク! 細かい動きを変えることで、年代ごとの流行ファッションを映えさせ、時代背景もわかりやすくしています。
100年間の恋愛経験をいかした男性のあざむき方
年を取らない事実を隠し通すため、10年ごとに名前と住所を変え生きてきたアデライン。
当然、そのたびに人間関係も一掃しないといけないため、ひとりの男性と将来を見すえた恋愛はしないと強く心に誓っていました。
そんな自分への誓いもあってでしょうか。きっとこの100年でたくさん恋はしてきたものの、どこか一線を引いて相手と付き合う恋愛が当たり前になっていたのかもしれません。
とにかく男性のあざむき方がスマートすぎる。約100年の間に数えきれないほど男性から口説かれてきたのだろうなと安易に想像できるほど、アデラインのあざむき方がかっこよすぎるのです。
特に序盤でエリス(ミキール・ハースマン)と初めて出会い、彼から猛烈なアピールを受けた際のあざむき方。エリスには申し訳ないですが、完全にアデライン側の勝利でした。
ただただ美しい泣きの演技
ブレイク・ライヴリーの演技において、思わず目を奪われてしまうのが涙を流す瞬間。
美しい……。平凡な言葉ではありますが、彼女の涙は一言でいうならば美しすぎるのです。
なかでも感動的であるのが、かつて恋したウィリアム(ハリソン・フォード)に自分の正体がばれた瞬間。
最初は笑ってごまかそうとするものの、目には溢れんばかりの涙が。彼との会話を進めるにつれ、涙の量も増えていきます。
しかしその涙を一滴もこぼすことがないのです! 「涙って瞳の中にこんなに貯蓄できたっけ?」ともはや疑問すら感じるほど、溢れ出る涙をぐっとこらえるアデライン。
そしてここぞという瞬間、一滴の涙を頬にこぼすのです。
このブレイクの泣きの演技、素晴らしすぎませんか?
ハリソン・フォード迫真の演技も相まって、終盤間近のこのシーンは何度見ても鑑賞側の涙を誘う名シーンとなっております。
ブレイク・ライヴリーの演技だけで何度も楽しめる作品
数えきれないほどの嘘を吐きながらも、心のどこかでは平凡な幸せを望んでいるアデラインという役を演じきった、ブレイク・ライヴリー。
彼女のいちファンである筆者といたしましては、今作は初見で物語とブレイクの美しさに注目し、二度見以降はブレイクの細かいながらも高い演技力に注目すると、さらに作品の世界観を楽しめるのではないかと思っております。
「アデライン、100年目の恋」の二度見ポイント2:王道でありながらも新感覚のラブストーリーである理由
年を取らなくなってしまった女性が100年の時を経て真実の愛を知る。
このあらすじだけを見ると、よくありがちなシンデレラストーリーで終わりそうという印象を持つかもしれません。というか筆者も最初はそう思っていました。
しかし今作は良い意味で裏切られまくる! もはや途中からジャンルがサスペンスやSFに変わったのかと錯覚させられるほど予想外の展開が続く、新感覚のラブストーリーになっていたのです。
多くの人の予想を裏切った“アデラインが年を取らない理由”
まず初見で鑑賞する際、おそらく多くの方が気になったであろうこと。そうです、なぜアデラインは年を取らなくなってしまったのか?
定番のシンデレラストーリーでいけば、魔女的存在に毒リンゴや毒針的なものを盛られたファンタジー展開が妥当です。
しかし実際は29歳のとき事故にあい、心肺停止となったアデラインのもとに5憶ボルトの雷が落ちたことで、無事に生き返りはしたが、同時にDNAが時間による破壊作用を受けつけない体になったとのこと。
……いや、ありえないのですが、何かありえそうだなとちょっと納得させられる理由じゃないですか。
少なくともファンタジー展開を予想していた側からすれば、意外過ぎる科学的根拠を出されて驚いたのではないでしょうか。
そして約100年の時を経て、再び事故で心肺停止になったとき、AEDによる電気ショックで細胞が元に戻るというフラグ回収を知ったうえで見直すと、序盤の事故シーンに改めて納得させられちゃうかもしれません。
中盤でまさかのサスペンス展開に!?
序盤でアデラインの回想シーンの中に現れた謎の男性。
指輪を手に誰かを待つ様子の男性を愛おしそうに見つめながらも、そっとタクシーで去っていくアデラインの姿。この一瞬の映像だけで過去に本気で結婚を考えたものの、真実を伝える勇気が持てず、別れてしまった恋人がいたのだなという流れまではわかりましたが……。
まさかのその相手が現恋人であるエリスの父、ウィリアム。
修羅場、そして突然のサスペンス展開に思考が停止させられます。アデラインの正体がこの場でばれちゃうのでは? とヒヤヒヤドキドキさせられた方も多いはず。
でも結末がわかった今、改めてウィリアムとアデラインが再会するシーンに注目してください。
正体がばれそうでばれない、絶妙なふたりの会話。ブレイク・ライヴリーとハリソン・フォードの演技力の高さに脱帽させられます。
さまざまな時代の恋愛映画を楽しめる
今作は時代をこえた恋愛も一緒に楽しめる点でも、新感覚のラブストーリー作品になっています。
特に男性たちとの出会いのシーンは時代背景をうまく映し出しています。
現恋人であるエリスと出会ったのは、華やかなニューイヤーパーティの会場。大勢の参加者がいるなかで視線があい、お互いに運命を感じるという今の時代の恋愛作品ならではの出会い方でした。
一方、約50年前であろうウィリアムとの出会いは、車がエンストを起こして立ち往生しているアデラインに声をかけたウィリアムが彼女にひとめ惚れ。それを機に交際が始まるという、60~70年代の恋愛映画に見られる展開。今の時代ではあまり見かけない爽やかすぎる出会いです。
このように出会いはもちろん、ファッション、街並み、背景に映り込む小道具などから、現代と数十年以上前の時代を一度に楽しめる今作。
筆者的にはオードリー・ヘップバーンやブリジット・バルドーなどが出演していた時代の恋愛作品を鑑賞したあと、改めて今作を見返すと、過去の回想シーンをさらに楽しむことができるのではないかなと思います。
二度見では新感覚の展開をゆっくり楽しみたい
最後はハッピーエンドを迎えるものの、いたるところでラブストーリーらしからぬ予想外な展開があったり、違った時代の恋愛模様を楽しめるシーンがあったりと、王道でありながらも新感覚のラブストーリーとなっている今作。
初見では結末までの物語に注目しがちですが、二度見、三度見の鑑賞なら初見時とは違い、ゆっくり作品の世界観を楽しめるはずです。
「アデライン、100年目の恋」の二度見ポイント3:当たり前の幸せに気づかせてくれる名ゼリフの数々
年齢を重ね、老いていくことに不安を感じる方も少なくはないはず。
もしかすると今作の主人公・アデラインが年を取らないと知り、最初はうらやましささえ感じた人もいるかもしれません。
しかし作品を見返せば見返すほど、年を取るという当たり前の人生がいかに幸せであるかということを、今作では登場人物たちがいやというほど教えてくれるのです。
永遠の若さがあっても永遠の愛は手に入らない
エリスと恋に落ちるものの、これまでの恋愛と同じく、真実がばれる前に彼のもとから姿を消そうと考えていたアデライン。
そんな彼女に助言をするのが、すっかり年老いてしまった娘のフレミングです。
嘘をつき続けながら生きていくことに疲れたアデラインに対し、フレミングは「もう嘘をついてまで独りで生きていくことはやめ、愛する人と暮らしてほしい」と伝えます。
そして「私にママの美貌があればすぐに恋するのに」と一言。
いや、さらっと流されていましたがこの一言に深く考えさせられるのです。
フレミングではありませんが、29歳という若さと美しさをもったまま永遠に年を取らない人生がおくれるとだけ聞くと、「そんなのめちゃめちゃ恋するし、何ならイイ男をつかまえてやるわよ!」って欲がむき出しになっちゃうかもしれません。
でも実際に年を取らない人生を100年近く送ったアデラインからすると、自分に言い寄ってくる男性はいくらでもいて、好きなだけ恋もできる。ただ本当に愛する人と一緒に年老いていく未来は永遠に手に入らない。
同時に永遠の若さがある限り、永遠に幸せな愛は手に入らない。
そんな当たり前でありながらも忘れている幸せに気づかされるシーンです。
未来に希望と不安を抱けるのは幸せだから
エリスと天体観測デートをしている最中、会話は過去と未来についての話題にうつります。
「なぜ人は歴史に思いを馳せないの」と問うアデラインに対し、「未来だって魅力的だ、僕らの未来もね」とまるで少年のように純粋な目で彼女に語りかけます。
しかし笑顔を保ちながらもどこか複雑な表情を浮かべるアデライン。
その表情からは誰もが将来という未来に希望を抱くなか、自分だけは過去を振り返ることしかできない。そんな現実を改めて突きつけられ、苦悩する彼女の一面が見えます。
先の見えない未来とは希望と不安に包まれた存在。
でも「この先何が起こるかわからない」「希望と不安でいっぱい」といった未来を思い描ける状況って、自然なことでありながら実はとても幸せなのだと今作は教えてくれるのです。
年老いていくことをポジティブに考えられる
年を取らないことを隠しとおすため、恋人はもちろん、親しい友人すらつくることができないアデラインの人生。
そんな彼女にとって心の拠り所が一緒に暮らす愛犬でした。
しかし人間と同じく、動物にも最期はおとずれます。
愛犬を老衰のため安楽死で失ったアデライン。悲しみのなか、愛犬の写真を残そうと手に取ったアルバムには歴代の愛犬たちの写真が。
恋人や友人もつくれず、大切な愛犬も次々に先立ってしまう。おまけに唯一の家族である娘も、気がつけば自分より年を重ね、いつまで一緒にいられるかわからない。
年を重ね、老いていくことに不安を感じるのは不自然なことではありません。
でも今作を鑑賞すると、誰かと一緒に年老いていくということはまったく怖くなく、実は幸せなことである。そんな前向きな考えができるきっかけをもらえるのです。
人生に不安を感じたときこそ見返したい
家族、恋人、友人たちと「年はとりたくないね~」なんて言い合いながら、共に年齢を重ねていく。
ごく日常的な会話であり、当たり前すぎて気にもとめていないかもしれませんが、実はめちゃくちゃ幸せなことだったのですよね。
鑑賞するたびに当たり前の幸せに気づかせてくれる今作は、年を重ねていく現実や将来への不安で押しつぶされそうになったときこそ、改めて見返したい作品です。
忘れがちな“当たり前の幸せ”に気づかせてくれる作品
恋愛以外の要素もたっぷりで、予想外なストーリー展開に圧倒される「アデライン、100年目の恋」は、恋愛映画が苦手な方でも楽しめる作品。
なにより今作は恋愛、家族愛、人間愛を通して、忘れがちな“当たり前の幸せ”に気づかせてくれる作品でもあります。
二度見以降の鑑賞ではぜひとも今作から何かを学んで、人生の糧にしてみてはいかがでしょうか。
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