会計・バックオフィス

労働基準法が定める休憩を正しく理解しよう! 休憩の定義や原則を解説

こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。

映像・デザイン業界では、常に納期に迫られているという現場も多いもの。みなさんの職場では、休みなく仕事を続けているなんてことはないでしょうか?

しかし労働基準法では労働者に休憩時間を与えることが定められているため、必ず休憩をとる必要があります。

そこで今回は労働基準法が定める休憩を正しく理解するために、「労働基準法による休憩の定義や原則、注意点」を解説していきます。

労働基準法で定められた休憩とは

労働基準法で定められた休憩とは

労働中の休憩は、労働者が休息するために必要なものとして労働基準法第34条で規定されています。そのため従業員を抱える企業では、休憩の設定の仕方や休憩時間の長さなどの原則を守り、労働基準法に違反しないようにする必要があります。

そこでまずは労働基準法で定められている休憩の定義や休憩の原則について解説していきます。

休憩の定義

休憩時間とは、労働者が労働時間の途中に労働から解放される時間のことです。

休みなく労働を続ければ、疲れてしまって仕事の効率が下がったり、ミスが発生して労働災害につながったりするなど会社にも不利益が生じる可能性があります。そのため休憩時間が必要となるのです。

休憩中は労働者がリフレッシュするために、自由に過ごす権利を企業側は保障しなければなりません。

逆に労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下にある時間です。休憩中は使用者の指揮命令下にあってはならないというのも休憩時間の定義となります。

また休憩時間は労働時間に含まれないため、休憩時間中には賃金の支払義務は発生しません。

なお仕事に取りかかっていなくても、電話番をしているなど使用者の指示等ですぐに仕事に戻らなければならないような待機時間は「手待時間」とされます。

手待時間は基本的に休憩時間ではなく、労働時間とみなされるため注意しましょう。

労働基準法34条の解説|休憩時間の定め方や休憩の原則

休憩は時間や設定、与え方について労働基準法第34条に規定があります。そのため規定に違反しないよう、労働基準法の条文の内容を把握しておかなければなりません。

そこでここでは条文の内容をふまえながら、休憩の原則について説明していきます。

休憩時間の長さは労働時間によって決まる

労働基準法34条1項に基づき、休憩時間は労働時間によって決まることが定められています。

労働時間が6時間以内なら休憩時間がなくても、労働基準法上は問題ありません。

労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合は、最低45分の休憩が必要です。

8時間を超える労働時間の場合は、最低1時間の休憩を与えなければなりません。

たとえば9時出社、17時30分退社の場合なら、45分の休憩時間に対し労働時間は7時間45分(8時間以内)となり適法です。

また労働基準法で定められた休憩時間でなくても、労働者が有利になる休憩時間の設定は適法となります。

たとえば労働時間が7時間のとき、最低45分のところ1時間の休憩を与えるなどは労働者にとってより多くの休憩時間がもらえることになるため適法です。

労働基準法で定められた休憩時間を超えていれば、あとは企業側が自由に設定することができます。

・参考サイト:労働基準法 | e-Gov法令検索

労働時間の途中に設定する

労働基準法34条1項では、休憩を『労働時間の途中に与えなければならない』と定めており、これを「途中付与の原則」といいます。

この途中付与の原則により、始業前や終業後に休憩時間を与えることはできません。

たとえば従業員が遅刻したとき、始業前に休憩をとったことにしたり、早退を就業後の休憩扱いにしたりすることは違反となります。従業員側がそれを望んでも違法となるため注意しましょう。

タイミングとしては、労働時間の途中であればいつ与えても違反にはなりません。

ランチ休憩として正午に休憩時間を設定している企業が多いと思いますが、特に正午を休憩の開始時刻にしなければならないわけではないのです。

休憩時間をまとめて与える必要もなく、分割して小刻みに与えるという方法でも問題ありません。

・参考サイト:労働基準法 | e-Gov法令検索

事業所で一斉に休憩を与える

労働基準法34条2項では、休憩は『一斉に与えなければならない』と定められており、これを「一斉付与の原則」といいます。

一斉の範囲は作業場単位ではなく、事業場単位となるため注意しましょう。

個別に休憩を与えてしまうと監督機関が違反を発見しにくいのと、一斉休憩のほうが個別にとるより回復効果が高いという考えなどからそのように定められているのです。

ただし労働基準法34条2項では、事業場の書面による労使協定があれば一斉付与をしなくてよい場合があるとされています。

また一斉付与の考えがそぐわない業種もあるため、1998年の改正で労使協定による例外が認められました。

労働基準法40条では特例が定められており、サービス業などには一斉付与の原則が適用されません。

・参考サイト:労働基準法 | e-Gov法令検索

労働から完全に解放する

労働基準法34条3項の規定により、休憩時間中の労働者は労働から完全に解放されていなければならず、また休憩時間を自由に利用できると定められており、これを「自由利用の原則」といいます。

休憩時間中に電話対応のために席から離れられない、来客があったときのために外出をさせない、などは違反です。

ただし「労働基準法の施行に関する件:法第三四条関係(三)」として、休憩をとる目的が損なわれない限り、事業場の規律を保つために必要な制限は認められています。

また従業員が休憩時間を自由に利用できると定められてはいるものの、休憩中に飲酒するなど後の労働に支障が出るような利用は企業側が制限することが可能です。

・参考サイト:労働時間・休憩・休日関係 | 厚生労働省

・参考サイト:労働基準法の施行に関する件 | 厚生労働省

休憩の特例とは

休憩の特例とは

労働基準法34条には「但し書き」があり、休憩について特例が認められています。業種や業態によっては特例が当てはまる場合があるので、会社経営者や事業主はこの特例に関してもしっかり把握しておきましょう。

さっそく休憩時間に関する特例について一つひとつ詳しく紹介していきます。

休憩が一斉でなくてもよいケース

労働基準法40条では、一定のサービス業に関して一斉付与の原則が適用されない旨(一斉付与の排除)について書かれています。

具体的には、運送業、商業、金融広告業、映画・演劇、郵便・電気通信、病院・保健衛生、旅館・飲食店、官公署の事業(別表第一の四号、五号および八~十五号に該当する業種)です。

これらの業種では、一斉付与に関して労使間協定は必要ありません。労使間協定の有無に関係なく、個々で休憩時間をとることが認められています。

これは、休憩の一斉付与のためにサービス利用者の利便性が損なわれることを避ける目的によるものです。

ただし同40条2項にあるように、一斉付与をおこなわない代わりに企業は『労働者の健康及び福祉を害しない』休憩となるよう適切に設定しなければなりません。この点に注意して、各従業員が休憩時間をしっかりとれるようにしましょう。

・参考サイト:労働基準法 | e-Gov法令検索

休憩時間が与えられないケース

労働時間に対して適正な休憩時間を与えることが法的に定められていますが、労基法施行規則32条では、旅客・運送・郵便事業の長距離乗務員に休憩時間を与えないこと(付与制限)を認めています。

長距離乗務員に該当しなくても、従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合は、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ時間、その他の時間の合計が労基法34条1項に規定する休憩時間に相当するときは休憩を与えなくてもよいと定められているのです。

また屋内勤務30人未満の郵便局の従事者も対象となります。

上記以外の事業において、休憩時間を与えないことは認められていないので注意しましょう。

・参考サイト:労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) | e-Gov法令検索

休憩時間を自由に利用できないケース

労基法施行規則33条には、休憩時間の自由利用が排除される職業が規定されているので、こちらについても知っておきましょう。

具体的に該当する職業は、警察官、消防吏員、常勤の消防団員、准救急隊員です。こちらは常に私たちの生活の安全を守ってくれる職業であるため、納得できるでしょう。

また児童自立支援施設に勤務する職員で、児童と起居をともにする者についても休憩時間の自由利用が排除されます。

さらに乳児院、児童養護施設および障害児入所施設に勤務する職員で、児童と起居をともにする者についても休憩時間の自由利用が排除されますが、労働基準監督署長の許可が必要です。

ほかにも、居宅訪問型保育事業の労働者のうち、家庭的保育者として保育を行う者も該当します。ただし同一居宅において、一人の児童に対して複数の保育者が同時に携わる場合を除くと定められています。

自由利用排除の規定は上記の通りですが、これらに該当しなくても事業場の秩序を乱すような休憩時間の利用などは企業側が制限してもやむを得ないとされます。

・参考サイト:労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)| e-Gov法令検索

【休憩に関する疑問】こんな休憩は労働基準法違反?

休憩に関する疑問

労働基準法に違反する休憩の付与をおこなっていた場合、使用者に6か月以下の懲役または30万以下の罰金が科されるため注意が必要です。

従業員の健康のためにも、法律違反をしないためにも、さまざまな休憩の付与の仕方について適法か違反か知っておくことが大切。そこで労働基準法34条違反になるかどうか疑問に思う事例をいくつか紹介します。

就業形態が違えば休憩の付与も違っていい?

就業形態が時短勤務、裁量労働制であっても、休憩付与は同等です。

時短勤務の労働時間は原則6時間となっているので、休憩時間をとらせることは必須ではありません。残業などで6時間を超えると45分以上の休憩時間が必要になります。

裁量労働制の場合は、みなし労働時間が6時間を超えているのであれば休憩時間の設定をする必要があります。

パート・アルバイトの休憩は正社員より短くてもいい?

雇用形態にかかわらず、労働基準法の規定に従った休憩付与をしなければなりません。

パートやアルバイト、派遣社員、契約社員であっても、正社員と同様に労働時間が6時間以上であれば45分、8時間以上であれば1時間の休憩を設定する必要があります。

繁忙期などでいつもより長く働いてもらうときなどには、休憩時間を考慮することを忘れないようにしましょう。

休憩時間を分割しても問題ない?

休憩時間を1回でまとめて付与しなければならないという規定はありません。

そのため労働時間が8時間で休憩時間を1時間与える場合、1時間まとめてではなく30分ずつ分割して与えても問題ありませんし、45分と15分に分けて与えるといった形でもOKです。

ただし5分ずつ何回も与えるなど、十分に休憩がとれないほど極端に短い時間に分割した場合、違反とみなされる恐れがあるので注意しましょう。

あまりに小刻みに与えると、従業員が十分に疲れをとったりリフレッシュしたりすることが難しくなってしまいます。

残業になっても追加の休憩時間は必要ない?

通常時、休憩時間を45分に設定している会社では、残業により8時間を超える労働時間になるときは追加で15分の休憩を与えなければなりません。

しかし中には、追加の休憩をもらうより残業を早く終わらせて退社するほうがよいと考える社員もいます。ただしその考えを尊重してしまうと違反になってしまうため注意。

残業によって労働時間が延びることを想定し、あらかじめ休憩時間を1時間に設定しておけば残業時に休憩時間を追加しなくてすむため、多くの企業ではそのように休憩時間を設定しています。

労働基準法に沿った休憩付与をするためのバックオフィス外注

労働基準法に沿った休憩付与をするためのバックオフィス外注

就業形態や雇用形態に関わらず、適切な休憩が与えられることは労働者の権利として労働基準法で守られています。

休憩時間の与え方に問題があれば、法律により罰せられる可能性もあるため注意しなくてはなりません。

そこで企業は勤怠管理をしっかりおこなうことが重要ですが、日々の業務に追われて「難しい」と感じている経営者もいるのではないでしょうか。そういった場合は、バックオフィス業務を「AIBOW」に外注してみるのもおすすめです。

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THINGMEDIAコーポレート編集部

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