会計・バックオフィス

備品管理の目的とメリットとは? 導入手順や運用ポイントも解説!

こんにちは、THINGMEDIAコーポレート部です。

事業規模が大きくなるに従って、社内で取り扱う備品の数も増えていくものです。

「いつかは備品管理をしなけば……」と思いながらも、それほど緊急性がなかったり具体的な手法がわからなかったりして後回しにしてしまい、結局手つかずのままというケースも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「備品管理の目的やメリット、導入手順と運用ポイント」を詳しく説明します。

備品管理とは

備品管理とは何か

備品管理とは、社内の備品についてその個数や状態を確認して管理する業務のことです。

備品は一定の期間にわたって使用できるものを指します。具体的には、耐用年数1年以上の消耗品でない物品のことで、机や椅子、パソコン、その他の業務に必要な機械・器具が含まれます。

コピー用紙やボールペン、トイレットペーパーなどといった少額かつ耐用年数が1年未満のものについては備品ではなく消耗品、または少額備品と呼ばれます。

備品の個数や状態を把握することは企業の利益には直結しませんが、備品の不備や不足は業務にさまざまな支障をきたす場合があるため、放置したままにするのは注意が必要です。

備品管理の目的

備品管理の目的

備品管理はノンコア業務ではありますが、その目的を理解すれば決しておろそかにできない業務です。この段落では、備品管理の目的となる「業務の効率化」「コストの削減」「不正行為の抑制および防犯」について一つひとつ詳しく解説していきます。

業務の効率化

事業が拡大していくと、人員の増加とともに備品も増えていきます。備品の数だけでなく種類も多くなっていき、必要なものがどこにあるのかわからず、すぐに見つからないという事態も発生しやすくなるものです。

また数が足りていない場合、ほかの人が使い終わるのを待たなくてはいけなくなり、時間をロスしてしまいます。

そんなとき、備品管理が行き届いて常に整理整頓されていれば、従業員が必要なものをすぐに手に取ることができます。備品を探したり備品を使う順番待ちをしたりといった無駄な時間も発生しません。

備品管理をおこなうことで業務の効率化を図ることができ、生産性向上や売上アップにつながるのです。

コストの削減

コストを削減するためにも備品管理は必要です。備品管理ができていないと、過剰在庫や二重発注といったコストの無駄が発生する恐れがあります。

現時点で何があって何がないのかを把握するためにも、定期的な棚卸しで備品の数や状態を把握することが重要です。

備品管理をおこなうことによって、「これは使用頻度が低く十分な在庫があるから発注数を抑えよう」など購入数の最適化ができるだけでなく、経費計上に都合が良いように購入時期の調整も可能になります。購入時期を調整することで、節税にも役立つのです。

不正行為の抑制および防犯

社内外の人物が備品を盗難したり私物化したりするケースがあるため、備品管理は不正行為の抑制や防犯にも役立ちます。

備品管理が適切にできていないと、従業員などが私用するものを「業務で必要だから」といって経費を使って購入しても気付くことができず、不正が横行してしまいかねないのです。

備品の盗難などは単純に会社の損失となるだけでなく、犯罪行為の黙認となりかねません。

そのため備品管理をおこなって、持ち出し禁止ルールなどを設定すれば、セキュリティ向上にもつながります。

社内備品に関する不正行為が見受けられるようなら、防犯目的で備品管理を徹底することが必要です。

備品管理で得られるメリット

備品管理で得られるメリット

備品管理には、先述した目的を達成すること以外にも副次的なメリットが存在します。一言でまとめれば、「従業員が安全に、気持ちよく仕事に取り組めるのに役立つ」ということです。一つひとつ詳しく解説していきましょう。

職場環境の改善

備品管理は職場環境の改善につながるというのがメリットの一つです。

備品管理がなされていないオフィスは、床や通路に物が置かれていて通行の邪魔になっていたり、保管場所が定まっていないためにどこにあるのか探すのに手間取ったりするもの。

それが常態化すれば従業員のストレス要因になるだけでなく、躓いて転ぶなど怪我につながる可能性もあります。

オフィスが整理整頓されているとデスク周りの視界も開け、気持ちよく落ち着いて業務に取り組めるでしょう。

紛失・破損の早期発見

備品管理をおこなうことで、紛失や破損があった場合にすぐに気が付けるというのもメリットです。

備品管理が行き届いていれば、どこに何がどれだけあるのかがわかっているため、必要なものがあるのかないのかを瞬時に把握でき、ないなら早めに用意しておくことができます。

破損にもすぐに気づくことができるため、次に使用するまでに修理をしたり新しいものに取り換えたりすることが可能です。

備品を使うときになって探してみたら紛失していた、破損していたと気づくのでは業務に支障が出てしまいます。

また破損に気づかないまま器具を使用するようなことがあると、事故につながる場合もあるため危険です。

従業員満足度の低下抑止

備品管理ができていないことに不満を持つ従業員は少なくありません。

必要なときに備品が不足していたり破損したりしていると、従業員のモチベーションを下げる要因になるのです。

また備品の盗難や私物化などが横行するような職場では、モラルのある真面目な従業員が退職してしまいかねません。

セキュリティ対策も疎かになり、個人情報流出などが起こるリスクもあります。

備品管理は会社のインフラとしての側面があり、従業員満足度を不必要に低下させないためにも重要なことなのです。

備品管理導入の手順

備品管理導入の手順

企業は明確な目的と計画性を持って備品管理を導入することが大切です。これから備品管理を徹底しようとしている企業担当者に向けて、この段落ではどのような手順で備品管理を導入すればよいかを詳しく解説していきます。

現状の把握

本格的に備品管理を導入する前に、現在の備品状況を把握しなければなりません。

どのような備品がどこにあるのか、備品の種類と数、状態をチェックしましょう。使用されていない備品についても、今後必要になるかどうか確認することが大切です。

後で分類とラベリングをおこなうため、この段階で管理しやすい形に種類分けできるとよいでしょう。

また保管場所が決まっていないものがあれば、改めて保管場所を決定することも必要になります。

厳密な意味での備品のみを管理するのか、コピー用紙などの消耗品も管理対象にするのか決めておくことも必要です。数が多くなって大変そうであれば、業務への必要性や購入金額で管理対象を絞ってもよいでしょう。

管理台帳の作成

備品の現状を把握したら、管理台帳によって備品を一元管理しましょう。

管理台帳は管理に必要な項目を設定し、台帳を見れば備品の種類や数、状態などが把握できるようにするものです。

具体的な項目例としては、管理番号、物品名、種類(分類)、数量、保管場所、状態、利用状況、購入年月日などとなります。

管理台帳を作成したら、随時記入することが大切。紙で制作してもよいですが、Excelやスプレッドシート、アプリなどを活用するのも便利でおすすめです。

分類とラベリング

管理台帳を作成したら、管理しやすく誰もが取り出しやすいように備品をカテゴリ別に分類しましょう。

従業員が目的の備品を検索しやすいように、直感的にわかるカテゴリ名を設定します。分類作業に合わせて、管理ラベルを作成しましょう。カテゴリ別にラベルを色分けするのもおすすめです。

ICタグやバーコードを印刷したラベルを備品に貼ると、専用端末でスキャンすれば備品の情報を簡単に把握できるようになるため、管理が楽になります。

運用ルールの策定

分類とラベリングが完了したら、備品管理の運用について社内統一のルールをつくることが重要です。

たとえば管理台帳の使い方と記入方法、備品返却の方法、備品を使用する際の許可の有無、発注のフロー、故障や紛失・破損に気付いたときの対応などをルールとして策定しましょう。

誰が備品を触っても、共通した使用・管理の仕方がなされていれば、紛失などのトラブルが起きにくくなります。

備品の実際の状態と台帳の内容が違わないようにルールを策定しましょう。

定期的な棚卸しの実施

定期的な棚卸しをおこない、管理台帳と備品の現状に相違がないか確認することも大切です。

定期的に棚卸をおこなうことで管理台帳への記入漏れや記載ミスを見つけられるほか、古い備品や使用されていない備品の処分、買い替えを適切な時期に検討することが可能になります。

管理台帳への記載ミスや使いにくさがあった場合には改善をおこなっていくことも大事です。

また棚卸の際には盗難や紛失などがないかもチェックし、必要なら再発防止措置をとるようにしましょう。

備品管理運用のポイント

備品管理運用のポイント

備品管理をうまく運用するには、いくつかのポイントを意識することが役立ちます。

運用のわかりやすさ、効率性などの観点から、「購入から管理までをマニュアル化」「エクセルや管理システムの活用」「従業員への周知・指導」「外注して業務効率の改善」という4つのポイントをそれぞれ詳しく紹介していきます。

購入から管理までをマニュアル化

備品管理をうまく運用するには、備品管理一連のフローをマニュアル化して、誰がおこなっても同じになるようにするのが有効です。

運用ルールの策定時に、なるべくシンプルで個人差が出にくい方法を検討しましょう。

備品管理の基本的なフローは、「見積をおこなう→稟議にかける→発注する→納品する→検収をおこなう→固定資産台帳に入力する→現物管理する」となりますが、機械的に処理できる工程が多くなるほど管理負担も減ります。

現場の意見も聞きながら、効率よく運用できるように管理規定やマニュアルなどは都度ブラッシュアップしていくといいでしょう。

Excelや管理システムの活用

備品管理をおこなう際に、MicrosoftのExcel、あるいはGoogleのスプレッドシートを活用している企業は多いもの。

表計算ソフトやアプリは特に準備の必要がなく、低コストなのがメリットで、マクロなどの豊富な機能を使いこなせれば備品管理に十分役立つものです。

ただし管理する情報量が多すぎると処理が重くなる、備品管理の規模が大きくなるほど関数が複雑になって編集や修正が難しくなる、セキュリティ面での不安がある、といったデメリットがあるのも事実。

関数が複雑になることで誰もが備品管理台帳を扱うというのは難しくなりますし、入力ミスが発生しやすくなるといった懸念もあります。

そういった場合は、一定のコストはかかるものの備品管理ができるシステム・ツールを活用すると、そういったデメリットを抱えることなく効率的な運用がおこなえます。

管理システムやツールを使用すればシステム上ですべて管理できるため、業務効率が向上するだけでなく、入力ミスも防ぐことが可能です。

従業員への周知・指導

マニュアル化して運用方法をわかりやすくしたとしても、従業員に周知できていなければ意味がありません。

基本的には総務が備品管理を担当しているとしても、業務フローと管理ルールについては全体に伝えたり、運用不備があれば指導したりする必要があります。

運用担当者が定期的な呼びかけをおこないながら、全社に定着するまで周知徹底するようにしましょう。

外注して業務効率の改善

人手が足りず、備品管理にリソースを割けないという場合には、単純な管理事務や機密に関わらない作業については外注化するのも得策です。

総務に相当する部署がなく、管理台帳の作成やルール策定まで手が回らないといった場合にも、バックオフィスサービスに依頼するとよいでしょう。

外注することで新たに従業員を雇うよりも人件費や採用にかかるコストを抑えられますし、本来の業務のリソースを確保したまま業務効率の改善を図ることができます。

備品管理を上手に運用して業務効率化につなげよう

備品管理を上手に運用して業務効率化につなげよう

ついつい後回しにしてしまいがちな備品管理ですが、目的やメリットを考えれば、備品管理が業務効率化や業績向上の下支えになるということが理解できるでしょう。

備品管理による業務効率化を達成するためには、導入手順や運用ポイントを押さえることが大切です。

必要であれば管理システムを活用したり、リソース不足なら外注化も視野に入れたりして、備品管理を適切におこなっていきましょう。


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WRITTEN BY
THINGMEDIAコーポレート編集部

映像プロダクションのTHINGMEDIA株式会社で会計・経理の経験を積んだメンバー構成しています。クリエイティブ会社の運営で得たバックオフィスの知見をお伝えしていきます。