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雇用保険取得届の書き方と記入例・添付書類・提出方法を解説

こんにちは、THINGMEDIAコーポレート部です。

従業員を雇い入れる際には、雇用保険被保険者資格取得届の作成および提出が必要になります。

しかし小規模事業者で初めて従業員を採用する場合などには、書き方や添付書類にとまどうケースもあるでしょう。

そこで今回は、「雇用保険被保険者資格取得届の概要、書き方と記入例、添付書類が必要な場合とその種類、提出方法」について詳しく解説します。

雇用保険被保険者資格取得届の概要

雇用保険被保険者資格取得届の概要

業種や規模を問わず、企業は雇った従業員を雇用保険に加入させなければならないという決まりがあります。

従業員を雇用保険に加入させる際に提出する書類が雇用保険被保険者資格取得届で、取得届の提出先はハローワークです。

提出期限は従業員が被保険者となった日、つまり入社日の翌月10日までなので、忘れないように提出しましょう。

雇用保険の加入条件は、「31日以上雇用される見込みがあり、所定労働時間が週20時間以上」となっています。

正社員に限らず、パートやアルバイトだとしても、所定労働時間が週20時間以上になる従業員は全員加入させるのが企業の義務です。

なお被保険者には、一般被保険者、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者の4種類があります。

雇用保険取得届|16項目の書き方と記入例

雇用保険取得届|16項目の書き方と記入例

雇用保険被保険者資格取得届の項目は1.~26.まであります。項目数が多いですが、17.~26.の項目については外国人の場合に記入する項目となります。この段落では、1.~16.の項目について、それぞれ書き方や記入例を詳しく解説していきます。

・参考サイト:雇用保険被保険者資格取得届 様式第2号 | 厚生労働省(PDF)

・参考サイト:雇用保険被保険者資格取得届 | ハローワークインターネットサービス

1. 個人番号

個人番号とは12桁のマイナンバーのことで、マイナンバーカードや個人番号通知カードなどで調べることが可能です。従業員本人に確認をとり、本人の個人番号を記載します。

なおマイナンバーは基礎年金番号や住民票などの個人情報と紐付けされているため、慎重な取り扱いが求められます。

そのため利用目的を従業員本人に伝えること、番号確認・本人確認をおこなうことが必須です。

2. 被保険者番号

被保険者番号は雇用保険へ加入した後に発行される番号です。過去に雇用保険に加入していた場合には、雇用保険被保険者証にて確認ができるため、従業員に確認して記載します。

従業員が新卒であったり前職がなかったりして初めて雇用保険に入るときにはまだ番号がないため、空欄にしておきましょう。

3. 取得区分

過去に雇用保険に加入したことがない、または過去に加入したことがあるものの資格喪失から7年以上が経過しているという従業員を加入させるときには、「1 新規」を選びます。

すでに雇用保険に加入したことがあり、資格喪失から7年が経っていないのであれば「2 再取得」を選びましょう。

4. 被保険者氏名

被保険者になる従業員の氏名を記入します。被保険者氏名の欄は漢字、フリガナの欄はカタカナ、濁点・半濁点は一字扱いで書きましょう。

「山本 太郎」「ヤマモト タロウ」のように、姓と名の間は1マス空けて記入します。

5. 変更後の氏名

「取得区分」が「2 再取得」で、該当従業員の被保険者証に記載された氏名が現在の氏名と異なる場合は、「変更後の氏名」の欄に現在の氏名を記載しましょう。

結婚で名字が変わった人、名前の漢字を変更した人などが該当します。

雇用保険資格喪失から7年以上経過している「1 新規」の人は、この項目は記入不要です。

6. 性別

被保険者となる従業員の戸籍に書かれている性別を記載しましょう。「1 男」「2 女」のいずれかを選択します。

ちなみに健康保険・厚生年金保険と同様、雇用保険でも性同一性障害を理由とした性別変更が認められています。

7. 生年月日

被保険者の生年月日を記載しましょう。1月、2月など1桁の場合は空欄を作らないよう、頭に0をつけて2桁になるようにします。たとえば平成2年4月6日なら、「020406」となります。

また西暦ではなく、元号の該当番号を選択して記入します。特に1989年が昭和と平成の境となることを覚えておきましょう。

8. 事業所番号

事業所番号とは、雇用保険に加入している事業所ごとに交付される番号のことです。4桁・6桁・1桁からなる合計11桁もしくは連続した10桁の番号となります。

10桁の番号の場合は左詰めで記入しましょう。最後の枠は空欄のままで問題ありません。

事業所番号が不明の場合には、処理済の雇用保険被保険者資格取得届を確認しましょう。

9. 被保険者となったことの原因

従業員が雇用保険に加入する理由の該当番号を選びます。それぞれの番号と理由は以下となります。

・1 新規雇用(新規学卒):新卒社員の雇用において、その人が卒業した年の3月1日~6月30日に入社した場合
・2 新規雇用(その他):新規学卒と65歳以上を除くすべての新規採用。中途採用などの場合に該当
・3 日雇からの切替:1日ごとの雇用契約から、継続雇用契約に変更した場合
・4 その他:ほかの項目に該当しない場合。備考欄に説明を記入
・5 出向元への復帰等(65歳以上):65歳以上の従業員が出向元に戻って勤務開始した場合

新卒者や転職者の場合は1か2に該当するケースが多いと思いますが、特殊な経歴がある従業員の場合には注意が必要です。

10. 賃金

入社日時点における賃金の支払の態様、賞与や残業手当などを含まない賃金月額を記載しましょう。

賃金支払の態様は、月給、週給、日給、時間給、その他です。時間給の場合、賃金月額については1か月の所定労働時間となります。

計算方法は該当番号を選択した上で、賃金月額を千円単位の4桁で記入します。

たとえば月給23万4000円の場合なら、「1-0234」という表記になります。

11. 資格取得年月日

試用期間や研修期間も含めて、雇用保険に加入する従業員の雇用開始初日(入社日)を記載します。

間違えて雇用保険被保険者資格取得届の作成日を記載しないように注意しましょう。

元号については該当する元号を番号で選択し、年月日を記入します。年月日が1桁の場合は頭に0をつけて2桁にしてください。

たとえば雇用開始初日が「令和5年4月1日」であれば、「5−050401」という表記になります。

12. 雇用形態

雇用形態については、以下の1~7から該当するものを選択しましょう。

・1 日雇:1日ごとに雇用契約を結ぶ従業員の場合
・2 派遣:登録型派遣労働者、いわゆる派遣社員の場合
・3 パートタイム:派遣労働者ではない、週の所定労働時間が30時間未満の従業員
・4 有期契約労働者:派遣、パートタイム以外のフルタイムかつ契約期間が限定されている従業員、もしくはトライアル採用の従業員
・5 季節的雇用:季節的業務に従事する従業員
・6 船員:海洋上の業務に従事する従業員
・7 その他:フルタイムで働く常用雇用の従業員

たとえば正社員としての雇用であれば、その他の「7」を選択します。

13. 職種

職種については、以下の1~11までの番号の中から該当するものを選択して記載しましょう。なお番号と職種は用紙の裏面に記載されているので、一番近いものを選んでください。

・1 管理的職業
・2 専門的・技術的職業
・3 事務的職業
・4 販売の職業
・5 サービスの職業
・6 保安の職業
・7 農林漁業の職業
・8 生産工程の職業
・9 輸送・機械運転の職業
・10 建設・採掘の職業
・11 運送・清掃・包装等の職業

14. 就職経路

就職に至った経路を記載します。「1 安定所紹介」「2 自己就職」「3 民間紹介」「4 把握していない」の中から当てはまるものを番号で選びましょう。

たとえば従業員自身が直接企業へ連絡してきて採用した場合は「2」を、求人サイトやアプリなどを経由して応募し採用した場合なら「3」を選択します。就職経路を選ぶのに迷った場合は「4」を選んで問題ありません。

15. 1週間の所定労働時間

1週間の所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書に記載された「通常の週(1週間)に勤務すべき労働時間」のことです。

対象となる従業員の入社日時点で決められている1週間の所定労働時間を記入します。

休憩時間を除いた始業時刻から終業時刻までの合計の時間を記載しましょう。たとえば週40時間勤務なら、「4000」と記入します。

16. 契約期間の定め

契約期間の定めについては、定めがあるのであれば「1」を、ないのであれば「2」を記載します。

「1」を選んだ場合には、その契約期間や契約更新条項の有無も書きましょう。

契約期間は契約開始と終了の年月日をそれぞれ2桁で記入します。元号は「4 平成」か「5 令和」を選択してください。

たとえば令和5年5月5日から令和5年10月15日までの契約期間なら、「5-050505」から「5-051015」と記載します。

雇用保険取得届に必要な添付書類

雇用保険取得届に必要な添付書類

雇用保険被保険者資格取得届の提出時には、添付書類が必要なケースがあるため注意が必要です。そこでこの段落では、添付書類の提出はどのような場合に必要なのかと、添付書類の種類について詳しく解説していきます。

添付書類の提出が必要となる場合

雇用保険被保険者資格取得届において多くの場合、添付書類の提出は必要ありませんが、主に次のような状況に該当する場合には添付が必要です。

・事業主としての被保険者資格取得届を初めて提出する場合
・被保険者資格取得届の提出期限(対象従業員の入社月の翌月10日)を過ぎて提出する場合
・労働保険料を滞納している場合

そのほか、事業主の届け出不備による不正受給があった場合や事業者が労働関係法令の違反者だった場合などが挙げられます。

こういった特殊な事情がある場合には添付書類を提出しなければならないため、必要な書類を確認し、提出期限までに余裕を持って準備しましょう。

・参考サイト:雇用保険の適正な届出をお願いします | 厚生労働省/都道府県労働局/公共職業安定所(ハローワーク)(PDF)

提出する添付書類の種類

雇用保険被保険者資格取得届に添付して提出が求められる書類の例は以下の通りです。

・賃金台帳
・労働者名簿
・タイムカードや出勤簿
・社会保険の資格取得に関する書類(従業員を雇用した事実と雇用開始年月日がわかる書類)
・有期労働者の場合:就業規則や雇用契約書などの労働条件を確認できる書類

これらの提出が必要になることもあります。ただし自治体によって違いがある場合もあるため、管轄のハローワーク窓口やホームページなどで事前に確認しておくようにしましょう。

雇用保険取得届の提出方法

雇用保険取得届の提出方法

雇用保険被保険者資格取得届は事業所を管轄するハローワークへ提出します。提出方法は窓口、郵送、オンラインの3つです。それぞれの方法について詳しく解説していきます。

窓口

1つめの提出方法は、事業所を管轄しているハローワークの窓口に必要書類を持参するという方法です。

届出が受理されると交付されるのが、「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」と「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」のほか、「雇用保険被保険者証」「雇用保険被保険者資格喪失届」となります。

「雇用保険被保険者証」は紛失することがないように、従業員へ渡さずに退職まで企業側が保管するケースもあります。

郵送

2つめの提出方法は、事業所管轄のハローワーク宛に書類を郵送するという方法です。

ただし注意しなくてはならないのが、マイナンバーを記載している書類があるため一般郵便での送付はできないということ。特定記録や簡易書留など、受け取り確認が可能な方法で郵送する必要があります。

受理後の発行書類は窓口持参の場合と同様です。返送用に料金分の切手を貼付した返信用封筒を同封しておくようにしましょう。

オンライン

3つめの提出方法は、電子政府の総合窓口「e-Gov」を利用して、オンラインによる電子申請をおこなう方法です。

オンラインなら、窓口持参における交通費、郵送における切手代や封筒、印刷代などを節約することが可能。添付書類も必要ないため気軽に利用できます。

審査が終了したら、「雇用保険被保険者証」「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」を電子公文書としてダウンロードしましょう。

雇用保険取得届を正しく記入して提出しよう

雇用保険取得届を正しく記入して提出しよう

雇用保険被保険者資格取得届の記入について特別な知識は必要ありませんが、初めてだと戸惑ったり不安になったりするかもしれません。

各項目の書き方や記入例を参考にして正しく作成し、提出することが大切です。提出方法は窓口、郵送、オンラインの中で利用しやすいものを選択しましょう。

提出期限が決まっているため、余裕を持って手続きするのがおすすめです。


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THINGMEDIAコーポレート編集部

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