こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。
バックオフィス業務で税務関連の経理処理をする上で必要な知識の一つが、扶養親族についてです。
しかし小規模な映像制作会社の経理担当者や個人の映像クリエイター、デザイナーなど経理処理で必要となる扶養親族についての基礎知識がない方もいるでしょう。
そんな方に向けて、今回は「扶養控除とは何か、扶養親族の範囲や条件、扶養控除手続きの方法」などをご紹介します。
きちんと手続きができるように、扶養親族の範囲や条件をしっかり押さえましょう。
そもそも扶養とはどういうこと?
扶養とは、親族から経済的な援助を受けることを指します。
もう少し詳しく説明すると、収入が少ないことから自分の生活を自分で維持することができない人に、その生活を援助するために必要な給付を行うことです。
扶養に入るためには収入が一定金額の範囲内であることなどの条件がいくつかあり、扶養を受ける人のことを「被扶養者」といいます。
扶養控除とは
扶養控除とは、税金を納める人に子どもや親など税法上の控除対象となる扶養親族がいる場合に受けることが可能な所得控除のことをいいます。
親族を養っている納税者の収入から扶養控除額を差し引くことによって、課税される所得金額が少なくなり、税負担を減らせる制度です。
この制度を正しく理解して適切な処理を行わないと、必要以上に税金を多く支払わなければならなくなるため、次の項目で扶養親族の対象となる人の条件をしっかり把握しておきましょう。
扶養親族の範囲は? 条件をチェックしよう
扶養親族になるためには、以下に挙げるすべての条件を満たしている必要があります。一つひとつチェックしていきましょう。
6親等以内の血族・あるいは3親等以内の姻族である
1つめの条件は、6親等以内の血族、あるいは3親等以内の姻族であるということです。
血族とは、納税者本人にとっての親族で、姻族とは納税者の夫や妻といった配偶者の親族のことを指します。
ここでのポイントは、納税者自身の子どもや孫だけでなく、親や祖父母なども対象となることです。
なお配偶者は配偶者控除が適用となるため、扶養控除の対象にはなりません。これについては後ほど詳しく説明します。
納税者と同一生計である
2つめの条件は、納税者と同一生計であるということ。
納税者の収入によって生活していることが条件となります。同一生計というと同居していることと勘違いされがちですが、納税者と同居しているかどうかは問われません。
たとえば単身赴任で夫が別居中、子どもが進学や留学などで親から離れて一人暮らしをしている、といった場合も経済的援助をしていれば対象になります。離婚して元配偶者に生活費の一部や子どもの養育費を支払っている、高齢の親に仕送りをしているといった場合も対象です。
納税者自身の親や配偶者の親への仕送り、援助を見落として扶養に入れ忘れることが少なくないため、申請する際は扶養親族の対象者となる人がいないか、よく確認してみましょう。
年間の合計所得が48万円以下である
3つめの条件は、年間の合計所得が48万円以下であるということです。
収入金額から給与所得控除額を引いた所得の合計が、年間48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であることが条件となります。
パート・アルバイトのみの場合、年間所得48万円以下とは、年間の収入が103万円以下のことです。
子どもがアルバイトなどをして年間の所得が48万円を超えた場合は、扶養親族になれません。
年金受給者の場合は、年金の受給額から公的年金等控除額を引いて計算します。
公的年金等控除額は65歳未満だと60万円、65歳以上だと110万円となり、年齢によって年間所得が48万円を超えてしまいます。年金受給者だからといってひとまとめにして計算してしまわないよう注意が必要です。
事業専従者ではない
4つめの条件は、事業専従者ではないということです。
親族が青色申告の事業専従者として、年間に一度も給与の支払いを受けていないことが条件となります。また白色申告者の事業専従者ではないことも条件となっています。
なお事業専従者とは、納税者が営んでいる事業に従事している人のこと。たとえば納税者がデザイン事務所を経営しており、そこで自分の子どもや親をアルバイト・パートとして雇って働かせ、給与を支払っている場合、その子どもや親は事業専従者となり、扶養親族の対象ではなくなります。
扶養親族がいる場合の扶養控除手続きはどうやるの?
では扶養親族がいる場合の扶養控除手続きについては具体的にどのように行うのでしょうか? 給与所得者のケースと個人事業主のケースで異なるため、それぞれ解説していきます。
給与所得者の場合
会社員として働く給与所得者の場合、扶養控除手続きは会社側が年末調整で行うことになるため、特に面倒なことはありません。
毎年、年末調整の時期になると会社から「給与所得者の扶養控除等申告書」が配られるため、そこに扶養親族について必要な項目を記載し、会社に提出しましょう。
なお控除額は扶養親族の年齢によって変わるため、記載内容が正しいかどうかよく注意することが必要となります。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は年末調整が行われないため、確定申告の際に確定申告書の扶養控除の欄に記入する必要があります。
扶養家族であることを証明する書類の添付は不要です。ただし同居していない親族について扶養控除などの適用を受ける際には、戸籍の附表の写しなど親族関係書類の提出もしくは提示が必要となります。
なお控除額のない16歳以下となる扶養親族がいる場合は、第二表へ記入する必要があるので注意しましょう。
混同しやすい! 扶養控除と配偶者控除の違いとは
よく、「妻(夫)が夫(妻)の扶養に入るためにパートの収入を調整する」「稼ぎすぎると夫(妻)の扶養から外れてしまう」などと言われるため、配偶者も扶養控除の対象者となると勘違いし、扶養控除と配偶者控除を混同してしまう人も少なくありません。
しかし正しくは、扶養控除と配偶者控除は別物。扶養控除は納税者の子どもや親といった親族を対象にしています。配偶者には配偶者控除が適用されるため、扶養控除の対象外となるのです。
配偶者を配偶者控除と扶養控除の両方の対象にすることもできないため注意しましょう。
なお配偶者とは民法上の配偶者であることが前提となっているため、事実婚のパートナーは法律上、配偶者にも扶養親族にも当たらず対象外となります。
便利なサポートを利用すれば経理処理がスムーズに!
扶養親族は年齢によって控除額が変わるため、対象者に合わせて対応しなければならず、注意が必要です。
とはいえ小規模な映像制作会社や個人のクリエイターなどの場合、通常業務と並行して経理業務を行うのは非常に大変なもの。
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