会計・バックオフィス

休業手当はどのように計算する? 基礎知識や勤務形態ごとの計算方法を解説

こんにちは、バックオフィス業務サポートサービス「AIBOW」編集部です。

労働者側に働く意思があるにもかかわらず、会社側の都合で仕事を休業させなくてはならない場合は、休業手当を支払う必要があります。

ただし休業と一口にいっても、該当するケースは経営悪化や自然災害などさまざまで、手当の支払い義務は条件によって変わるものです。また休業手当は勤務形態ごとに計算方法も違うので、正しく理解しておかなくてはなりません。

そこで今回は、「適切な休業手当の支払いをするための基礎知識、計算方法」などを詳しく解説します。

休業手当に関する基礎知識

休業手当に関する基礎知識

休業手当を正確に理解するためには、そもそも休業とは何かをまず知ることが大切です。休業手当と混合されがちな休業補償との違いも押さえておくとよりよいでしょう。この段落ではまず、しっかりと理解しておきたい休業手当に関する基礎知識について解説していきます。

そもそも休業とは

「休業」とは、労働者に働く能力と意思があるものの、会社側の都合で休ませることです。労働者側からの申請によって休業するケースもあります。

もともと労働義務の発生していない「休日」は所定労働のない日を指すため、休業とはまったく違う意味となります。

意味を混同されやすいのが、「休暇」。休暇は労働義務のあった日に労働する義務がなくなるということから休業にニュアンスが近いです。しかし両者を区別するために、比較的長い休みを「休業」、短めの休みを「休暇」といった使い分けをすることが多くなっています。

なお休業は時間単位で勘定されるため、早退などで所定労働時間の一部のみ会社側の都合で休んだケースも休業となります。

休業の理由はさまざまで、例として挙げると、経営の悪化、施設メンテナンス、産前産後休業、育児休業、自然災害などがあります。

休業にともなう手当の支払い義務は条件によって変わる、ということも覚えておきましょう。

休業手当の定義

休業手当とは、会社都合で労働者を休ませたときに発生する補償義務です。

休業になった所定労働日1日につき、平均賃金の60%~100%の手当を支払うことが「労働基準法」第26条によって定められています。休業手当も労働に対する賃金という扱いになるため、課税対象となります。

休業手当の義務が発生するのは、あくまで「使用者の責に帰すべき事由」の休業だけです。

たとえば経営不振の休業、機器の点検のための休業、資材や従業員不足による休業、生産調整のための一時休業などが休業手当の対象に該当します。事業者の都合によって休業しなければならないとき以外は休業手当の対象とはなりません。

また休業手当の支給対象は雇用形態を問いません。正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなども支給対象となります。

・参考サイト:労働基準法第26条 | e-Gov法令検索

休業補償との違い

休業手当と似た言葉として、「休業補償」があります。意味的にも類似点は多いですが、適用となるケースや補償内容に違いがあるため、それぞれ正しく理解しておく必要があります。

休業補償は業務上の怪我や病気の療養のために労働者が働けない期間、療養の費用として企業が支払う補償のことです。こちらは「労働基準法」第76条によって定められています。

業務によって怪我や病気になった場合の補償責任なので、会社側に過失がなかったとしても支払いが発生する点が休業手当とは大きく異なります。休業補償で支払う金額は、平均賃金の60%です。

休業手当は労働者に対する賃金の扱いのため課税対象ですが、休業補償は労災保険からの支給となるため課税対象ではありません。

また休業手当は会社が休日の日に支払う必要はないのに対し、休業補償は会社が休日であっても支払いをする義務がある点も大きな違いとして知っておきましょう。

・参考サイト:休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続|厚生労働省

・参考サイト:労働基準法第76条 | e-Gov法令検索

休業手当の対象にならないパターンとは?

休業手当の対象にならないパターン

休業手当は会社から休むように指示があったからといって、必ずもらえるものではないという点に注意が必要です。前述した通り、労働者側に働く意思があり、使用者の責に帰すべき事由による休業でなければ休業手当の支払いはされないのです。

たとえば台風や地震などの自然災害といったものは会社側に過失がなく、不可抗力によるものなので、休業になったとしても基本的に休業手当はもらえないと考えるのが妥当でしょう。

またストライキ中など、労働者が意図的に休んでいるときも、労働の意志がないとみなされるので、休業手当の対象外となります。

労働安全衛生法の規定にともない、健康診断の結果に基づく休業のケースや、代休付与命令によって休業するケースも休業手当の対象外です。

業務とは関係なく、怪我をしたり伝染病にかかったりして労働できない場合も、休業手当の対象にはならないので注意が必要。ただし新型コロナウイルスの場合、ケースバイケースなので後ほど詳しく解説します。

休業手当の基本的な計算方法

休業手当の基本的な計算方法

休業手当は、「平均賃金×60%以上」で計算されます。1日分の平均賃金の計算方法についても見ていきましょう。

「平均賃金」は、「直前3か月間の賃金の総額÷直前3か月間の暦日数」で計算されるのが原則です。もしくは、「直前3か月間の賃金の総額÷直前3か月間の労働日数」で計算してもよいです。

賃金のすべてまたは一部が時間額や日額、出来高給となっており、労働日数が少ない場合には、どちらか高い金額を用いることになります。

なお「直前3か月間」とは、休業の事由が発生した日付直近の賃金締め日から3か月間さかのぼった期間を指します。

業務上の怪我や病気で療養した期間、試用期間などは含みません。もしも勤務期間が3か月未満であれば、勤務を開始した日から直近の締め日までの歴日数で計算することになります。

ちなみに「賃金」は基本給だけでなく交通費、皆勤手当、残業手当などの手当もすべて含みます。半年に1回のボーナス、慶弔見舞金や退職金など臨時で支払われるものは含まないため、計算の際には注意しましょう。

「歴日数」は労働日以外の休日も含みます。一方、「労働日数」は労働日ではない休日は除外します。この点もしっかりおさえて計算しましょう。

・参考サイト:休業手当(平均賃金の60%以上)の計算方法 | 大分労働局・労働基準監督署(PDF)

勤務形態ごとの休業手当の計算

勤務形態ごとの休業手当の計算

休業手当の基本的な計算方法について解説しましたが、日雇い労働者や派遣社員、アルバイトなどの勤務形態になると計算方法が多少変わってくるため、注意が必要です。この段落では、それぞれの勤務形態の計算方法について詳しく解説していきます。

日雇い労働者の場合

勤務日数にムラがあったり、毎日決まった場所で働くわけではなかったりする日雇い労働者の場合、休業手当の計算方法はどのようになるのか見ていきましょう。

1日の契約期間のみで契約終了する、日々もしくは30日以内の期間で雇用されるような日雇い労働者の場合、一般的な休業手当とは異なる計算が必要です。ケースに応じてその計算方法が変わるため、多少複雑になります。

1つめのケースは、1か月間、勤務先が変わらなかった日雇い労働者の場合。この場合は、「1か月の総支給額÷その期間の総労働日数×73%」で計算します。

2つめのケースは、1か月間の間で勤務先が変わる日雇い労働者の場合。こちらは、「当該事業者で1か月以上働いた同種労働者の1か月間に相応する賃金総額÷その期間の同種労働者の総労働日数×73%」で計算することになります。

日雇い労働者の休業手当の計算方法は、上記2パターンのどちらかとなっていますが、どちらでも計算しにくいようであれば最寄りの労働基準監督署で相談するようにしましょう。

・参考サイト:平均賃金について【賃金室】 | 厚生労働省神奈川労働局

アルバイトやパートの場合

アルバイトやパートの場合は、どのように休業手当を計算するのか見ていきましょう。

アルバイトやパートの場合も、終日休業の場合は平均賃金の60%以上の支給が労働基準法にて定められています。

しかしアルバイトなど月の労働日数・時間が限られている従業員の場合は、正社員のように「直前3か月間の賃金の総額÷直前3か月間の暦日数」で計算すると、平均賃金が低くなりやすいのが問題です。

そのため、アルバイトは「直前3か月間の賃金の総額÷直前3か月間の労働日数」で最低補償金額を算出したほうが、高い金額になるケースもあるので、その場合はこちらを平均賃金として適用しましょう。

また終日休業だけでなく、「今日は仕事がないため、早く帰ってください」などと会社都合で早退が発生した場合にも、休業手当が支給されます。

該当する日の実労働分賃金が60%に満たない場合には、その差額が休業手当として支払われます。ただし実労働分の賃金が平均賃金の60%以上の場合には、支給対象外となるので注意が必要です。

派遣社員の場合

派遣社員に関しても、休業手当の計算方法は基本的には同じです。「平均賃金×60%以上×休業日数」で算出されます。

時給で働いている派遣社員の場合で、始業から数時間後に急に休業になった場合はその数時間分の賃金が1日分の休業手当より少なければ、その差額を請求することが可能です。

派遣社員は派遣先企業ではなく、派遣元が休業手当を支払うことになるのが一般的。ただし派遣先と派遣元が結んでいる派遣契約の内容によっては、派遣元が休業手当以上の損害賠償を派遣先に請求することが可能となります。

派遣先の都合によって、派遣契約が中途解約されたことで休業に至った場合は、派遣元が休業手当を支払います。

とはいえ労働者派遣法において、派遣先企業から契約解除があった場合、派遣元が派遣社員に対して支払うことになった休業手当などの費用を派遣先企業に求めることが可能となっています。

・参考サイト:派遣先の事業主の皆さまへ 労働者派遣契約の安易な中途解除はしないでください | 厚生労働省・都道府県労働局(PDF)

休業手当の具体的な計算例

休業手当の具体的な計算例

休業手当は、「平均賃金×60%以上」で計算できると解説してきました。それでは実際に具体的なケースで計算をしてみましょう。

条件は下記と設定して算出していきます。

・休業期間:11月6日~11月30日
・所定労働日数:17日
・賃金の締め日:月末(月給制)
・直前3か月の賃金:8月末は31万円、9月末は29万円、10月末は32万円で合計92万円
・直前3か月の暦日数:8月は31日、9月は30日、10月は31日で合計92日間

最初のステップは平均賃金の計算です。直前3か月の賃金(92万円)÷直前3か月の暦日数(92日)=平均賃金は1万円となります。

次のステップでは、1日あたりの休業手当を計算します。休業手当の最低補償額である60%だったとすると、1日あたりの休業手当は平均賃金(1万円)×60%=6000円です。

この1日あたりの休業手当(6000円)に対して所定労働日数の17日をかけると、10万2000円になります。この金額が、上記条件で休業期間に支給される総支給額となるのです。

新型コロナウイルスで休業手当は支給されるのか?

新型コロナウイルスで休業手当は支給されるのか

新型コロナウイルスが要因で休業手当が支給されるかどうかは、状況によって異なります。

基本的に新型コロナウイルスは、「外部起因性」と「防止不可能性」のある不可抗力となるため、会社側に休業手当を支払う義務は発生しにくいのです。

労働者本人が新型コロナウイルスを発症し、休業した場合は休業手当の対象にはなりません。

しかし新型コロナウイルスの感染の疑いがある従業員を経営者の判断だけで休業させるケースでは、休業手当の義務が生じる可能性があるといえるでしょう。

また不可抗力と認められるためには、事業主が経営者として最大限の注意をつくす必要もあります。在宅勤務などで働く方法があったにもかかわらず、休業させた場合は休業手当の対象になり得ます。

休業手当の対象になるかどうかを適切に判断し正しい計算を

休業手当の対象になるかどうかを適切に判断し正しい計算を

休業手当は会社都合で発生し、勤務形態によって支払い方法が変わるということをしっかりと押さえておきましょう。

新型コロナウイルスなどの天災は、基本的に休業手当の対象外ですが、会社の対応の仕方によっては対象になってしまうこともあるため注意が必要です。

従業員とトラブルになると訴訟問題につながる恐れもあるので、慎重な対応を心がけましょう。


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WRITTEN BY
AIBOW編集部

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