会計・バックオフィス

年末調整で会社のミスが起きた際の対処法! 過年度の記載間違いなどを解説

こんにちは、THINGMEDIAコーポレート部です。

年末調整は従業員の給料に関連する大切な事柄のため、ミスは極力なくすべきです。しかし年末調整をおこなう時期はどうしても多忙になりがちで、ミスが起きてしまうケースは珍しくありません。

ミスが起きると慌ててしまう担当者は多いですが、冷静に正しい知識で対処すれば意外となんとかなるものと心得ましょう。

そこで今回は、「年末調整で会社が特にミスしやすい3つのポイント、年末調整のミスはいつまでに修正すればよいのか、過年度の年末調整でミスが発覚したときの対処法」などを詳しく解説します。

年末調整で会社が特にミスしやすい3つのポイント

年末調整で会社が特にミスしやすい3つのポイント

年末調整で会社が特にミスしやすい3つのポイントとして、「扶養関連のミス」「住宅ローン控除関連のミス」「保険料関連のミス」の3パターンが挙げられます。この段落では、それぞれについてどのようなミスをしやすいのか詳しく解説していきます。

1. 扶養関連のミス

年末調整でミスしやすいポイントの1つが扶養関連のミスです。新婚の人や子どもが初めて生まれた家庭などの場合、年末調整の扶養家族に関連する記載が漏れるケースが散見されます。

また年末調整の基準日は毎年12月31日のため、年末調整を提出した後に結婚や出産をする可能性も十分にあるでしょう。その場合は年末調整の訂正が必要になります。

新しい家族が増えた場合は健康保険などの申請をおこなうはずなので、健康保険や厚生年金を扱っている部署と連携を取れば、年末調整での扶養親族の記載漏れは会社側でケアすることが可能です。

16歳未満の子どもは現在、扶養控除の対象外となっていますが、夫婦の年収がどちらも850万円を超えている場合は新生児でも「所得金額調整控除」の対象となる点に注意しましょう。

さらに年末調整では来年度の住民税に関連する申告もあるため、新生児の情報は必ず確認する必要があります。

再婚をした場合に相手の子どもが16歳以上で扶養することになった際にも扶養控除が適用されるので、修正しなければなりません。

2. 住宅ローン控除関連のミス

年末調整でミスしやすいポイントの2つめが、住宅ローン控除関連のミスです。

住宅ローン控除は10年間(13年間)適用可能な所得税の税額控除となります。適用のためには初年度に従業員自身が確定申告をしなくてはなりません。間違えやすいですが、1年目から年末調整をすることはありません。

2年目からは年末調整をおこなえますが、従業員が書類提出をうっかり忘れてしまうケースが度々起きるので、後からトラブルにならないよう会社としてあらかじめ注意喚起しておいたほうがよいでしょう。

従業員が住宅ローン控除を年末調整するための書類を提出したとしても、内容に不足があると手戻りになってしまいます。会社側としては年末残高、および取得価格などが明確にわかる書類の添付を促すことが大切です。

3. 保険料関連のミス

年末調整でミスしやすいポイントの3つめが、保険料関連のミスです。

保険料控除申告書で記載し忘れた保険料があったり、保険会社から控除証明書が届く日程を考慮できておらず年末調整の期限に遅れたりすると、年末調整の修正が必要になります。

年末調整の書類を出したにもかかわらず、本年度中に新しい保険に入って保険料を支払った場合も、控除の対象となり再計算をしなくてはなりません。

生命保険の場合、新と旧の区分があり、計算方法がそれぞれで変わる点にも注意が必要です。従業員が間違った記載をし、会社もそのまま見逃してしまうことも多いので、どちらの区分になるのか気をつけて確認するようにしましょう。

また控除額についてはこれまでのものではなく、12月31日までの確定額分となるため、間違いがないか確認することも必要です。

年末調整のミスはいつまでに修正すれば間に合う?

年末調整のミスはいつまでに修正すれば間に合うか

年末調整でミスが発覚した場合、修正期限はいつまでになるのか見ていきましょう。

年末調整でなんらかのミスがあったとしても、翌年の1月31日以前かつ源泉徴収票の発行前であれば、自社内で修正をすることができます。

修正方法は、数字の誤記程度であれば該当箇所に二重線を引き、その上に訂正印を押して正しい数字を書き直せば大丈夫です。

扶養親族の増減、保険料の申告漏れなどの場合は従業員から最新情報をヒアリングし、添付書類を確認の上、修正をおこないましょう。

年末調整のミスに気がついたのが翌年の2月1日以降で源泉徴収票も発行してしまっているようなときは、自社での修正はできません。

対応方法としては、修正が必要な従業員が自分で確定申告の手続きを取ることになります。確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日と決まっているため、その期間内に対応してもらいましょう。

しかし会社のミスでそうなってしまったときは、従業員が納得できずトラブルになってしまう恐れもあるため注意。記載ミスに気がつくのが遅くなるほど、修正は厄介で手間がかかるという認識を持つことが重要です。

過年度の年末調整でミスが発覚したときの対処方法

過年度の年末調整でミスが発覚したときの対処方法

今年度が過ぎ去り、過年度の段階で年末調整の記載ミスが発覚するケースもありますが、過年度のミスも当然許されないので、年末調整のやり直しが必要になります。

過年度の年末調整のミスは大きく分けると、「従業員の税額増加による追加徴税」「税額減少による還付」の2パターンがあります。

「従業員の税額増加による追加徴税」の場合は会社が一旦、税務署に不足の税額分を代理で支払った後に、従業員に対して追加徴収分を求める流れとなります。

「税額減少による還付」の場合は、基本的に従業員が自ら税務署に還付請求をしなくてはなりません。

従業員が自分で還付請求をしなければ、払い過ぎた税金は戻ってこないため注意が必要です。

会社に取り戻してもらう手もありますが、従業員が自分でやったほうが従業員に還付額が直接戻ってくるため効率的といえます。

年末調整で従業員がミスしないために会社がすべきこと

年末調整で従業員がミスしないために会社がすべきこと

年末調整の時期は年末の忙しさの影響もあり、通常の業務よりもミスが起きやすい状況にあります。

そのため年末調整で従業員がミスしないために会社がすべきことは、担当者が余裕を持って対応できるよう、従業員にできるだけ早く書類を提出してもらえるよう促すことです。

時間がない中で作業をおこなうと焦ってしまい、ミスが発生しやすくなるため、余裕のあるスケジュールでおこなえるように調整しましょう。

また年末調整の書類チェックは複数人でおこなうのがおすすめです。1人だけにチェックを任せてしまうと、うっかりミスや個人の先入観などによって書類の間違いを見逃すリスクが高くなります。

ダブルチェックは最低限おこない、トリプルチェックまでできるのが理想です。

扶養家族の変更、保険の新規加入、マイホーム購入など、控除内容に変更が発生するケースについてはできるだけ早めの連絡を徹底することも大切になります。

年末調整は書き方がよくわからないことが原因で記載ミスになってしまうケースも多いので、わかりやすい記入例を用意しておくのも有効です。

年末調整はそれなりの頻度で改正がおこなわれるため、担当者は控除内容を含めた改正ポイントを事前にキャッチしておくことも忘れないようにしましょう。

年末調整でミスが起きないよう対策を事前に検討しておこう

年末調整でミスが起きないよう対策を事前に検討しておこう

年末調整でミスがあっても、源泉徴収票の発行前かつ1月31日以前であれば社内で修正が可能です。この期限を過ぎてしまうと、基本的には従業員が自ら確定申告をしなくてはならないため注意。

会社が年末調整でミスを起こすと従業員の反発や不満を高めやすいので、ミスが起きないような体制・環境を事前に整えることが重要です。

年末調整に割くリソースがなかなか確保できず、悩んでいるようであれば、プロの手を借りることを検討してもよいでしょう。


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THINGMEDIAコーポレート編集部

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